副総理としての定例記者会見(平成24年9月7日)
岡田副総理記者会見要旨 平成24年9月7日
(平成24年9月7日(金) 15:00~15:35 於:合同庁舎4号館1階108会議室)
1.発言要旨
冒頭5点、第1は先程第180通常国会が終了いたしました。
感想は非常に長い国会だったということであります。残念ながら、法案の成立率は必ずしも高くありませんが、私としては社会保障・税一体改革が成し遂げられたということは、非常によかったというふうに思っております。しかし、行革立法法案や公務員制度関連4法案、特会、独法、マイナンバーなど、多くの法案が積み残しになりまして、非常に残念に思っております。
ブログにもちょっと書き込んでおいたのですが、やはり問責決議というものをどう考えるのか、今までは期末に出していたものを期のど真ん中に出していて、長い時間、結局内閣改造を行うまで国会が動かなかったと、そういうことが分かっていて問責決議を出されたと思いますが、そういうことはどうなのか。
それから、これも幹事長時代から申し上げておりますが、解散という制度がない参議院において、総理の問責決議を出すということ、憲法上の立て方からすれば、非常に問題があるわけですが、そしてそれを理由にまた審議が行われないと、こういったことについて、よほどよく考えないと、これは別に野党だけを責めているわけではなくて、与党、野党お互い知恵を出していかないと、ますます国民が既成政党から、あるいは政治から離れていくと、そういう危機感をしっかり持つべきだというふうに改めて感じているところであります。
それから、第2点は今日の閣議で「社会保障制度改革国民会議に関連する2政令」について決定をいただきました。
資料もお配りしてあるかもしれませんが、国民会議令、それから国民会議の設置期限を定める政令の2本であります。具体的には、国民会議令のほうは、会長事故時の職務の代理とか定足数とか表決数とか、そういった国民会議に関しての事項を定めているわけであります。
それから、国民会議の設置期限を定める政令につきましては、法律上1年を超えない範囲内というふうに、法施行の日から1年を超えない範囲内とされていることを踏まえて、平成25年8月21日と定めたわけであります。
こういった形で政令も準備されましたので、あとは一刻も早く国民会議を動かすことができるように、各党にもしっかりお願いをしなければならないと、特に自民党ですが、是非お願いをしたいというふうに思います。この国会で解散をと言ってきたこととの整合性をつけるために、解散総選挙の後だと言ってきたわけですが、と思われますが、国会も終わりますので、終わりましたので、この国会での解散はないわけですから、次の国会がいつ開かれるかということも決まってないわけなので、時間を無駄にすることなく、しっかり審議するということについて、是非御協力を自民党の皆さんにはいただきたいというふうに思っております。それが私たちの責任だというふうに考えております。
それから、3番目、行政事業レビューを通じた国民への意見募集ということで、資料がお配りされているかと思いますが、二つのことを申し上げたいと思います。
まず、「行政事業レビューシート」を公開するということで、各府省において「行政事業レビューシート」を公開するということが一つ、それからもう一つはその公開したものを国民の皆様に御覧いただいて、そして国の事業の無駄の削減、より効率的な効果の高い、効率的効果の高い事業への改善の推進力ということで、いろいろ御指摘をいただきたいというふうに考えております。
9月10日から始まって、1カ月間、各府省が行った事業見直しの内容について、国民の皆さんからチェックしていただく、それを意見としてお寄せいただく取組を行いたいと考えております。
そういったことを行った上で、行政刷新事務局、あるいは政務のほうでもそういった国民の皆さんの御意見を参考にしながら、最終的な予算案を作成する上での糧にしたいというふうに思っているところであります。
それから、本日内閣官房・総務省のほうから、「特殊法人等と独立行政法人の役職員の平成23年度の年間平均給与水準の国家公務員との比較」について公表がなされました。このことについて一言私から申し上げたいと思います。
数字などはお手元に恐らく資料がお配りされていると思います。そこに書かれたとおりでありますが、ラスパイレス指数が昨年度より特殊法人は6.4ポイント減、独立行政法人は0.1ポイント増ということでありますが、いずれにしても100を超えているという状況にあります。
各省庁において、様々御努力いただいておりますが、公務員よりなぜ多いのかということについて、もちろん例えば非常に専門性が高いとか、例えば医師などの資格を持った人が多いとか、いろいろなそれぞれ理由がある場合もありますが、きちんと説明できるものは別にして、国家公務員よりも高いということは、私は基本的には理解されないことだというふうに思っております。
もちろん全体の公務員並みの2年間に限った給与の引き下げということは、別途お願いしておりますが、やはりその基本となる給与引き下げもベースのところがラスパイレスが、例えば110であれば10ポイント高いわけですから、そういうことについて各省庁は、より厳格に見直しをしていただきたいというふうに思っております。
詳しい実態をこれからさらに把握をした上で、どこかの段階で各省庁に行革実行本部などでお願いをしたいというふうに考えているところであります。
例えば、非常に130を超えるものとか、一体これは何だという感じがいたします。金融関係は、その比較の対象になる民間の金融機関も高いからという、そういう説明もあるかと思いますが、国家公務員の場合は従業員50人以上ということで比較をしておりまして、一昔前とはかなり違うわけであります。
金融機関はメガバンクや非常に成績のいい地方銀行と比較して、そんなに高くありませんとか、あるいは少し低いですとか、そういう話ではなくて、やはり比較対象について、国家公務員も50人以上ということで比較しているということも踏まえて、しっかりと給与水準、同じ金融機関の中で整合性、バランスをとるとしても、考えていただきたいというふうに思っております。
いずれにしても、もう少しよく精査をした上で、各大臣に見直しについてしっかりお願いをしたいというふうに考えているところです。
最後、5番目ですが、閣議議事録等作成・公開制度について、今日の閣僚懇で今までの議論、作業チームがありますが、作業チームにおける議論の状況について私から説明をいたしました。
これは閣議、あるいは閣僚懇の記録に関わることでありますので、一度各大臣の御見解も聞いておきたいということで、状況を御説明して、したところであります。
詳しいことは申し上げられませんが、現在の方向性、つまり議事録を残す、そして一定期間後、欧米、欧州の結果を見れば20年とか30年、一定期間後これを公表するという大きな方向性については、特にそれに対して異論というものは出ませんでした。
あと具体的にチームで議論している情報公開制度との関係をどう整理するかとか、そういうことについては、まずこのチームで方向性を明確にした上で、また閣僚懇などで閣僚の皆さんの御意見も聞いてみる必要があるかなと、そういうふうに思っているところであります。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)【今国会の感想関連】
朝日新聞の河口です。
今国会は、確かに一体改革など、大きな法案も通されたと思いますけれども、それに伴って民主党自体の非常に党が分裂するという事態になりましたけれども、この辺りについては如何でしょうか。
(答)それに伴ってということももちろんありますが、それだけではないというふうにも思います。つまり昨年からそういう話はあったわけでありますので、不信任案に賛成して離党するとか、そういう話がありましたので、大変残念なことだというふうに申し上げる以外、ちょっとコメントのしようがありませんね。
(問)フリーランスで宮崎信行と申しますが、今国会は内閣提出法案の成立率は例年に比べると低かった、民主党政権になってからはもっと低いときも一昨年あったのですけれども、衆議院議員提出法案の成立数が55年体制で一番多かったと思います。
例えば、今国会ですと原子力規制委員会設置法、あれは衆議院議員立法になっています。また、郵政見直し、改正郵政民営化法、あれも衆議院議員立法という形になっています。こういった形で議員立法というのをいろいろな理由でやらざるを得ないというところでしょうけれども、どういったところに期待されるのか、また臨時国会で例えば場合によっては特例公債法案、参議院で今日廃案になっていますけれども、また出さなければいけないのですけれども、大胆ですけれども、衆議院議員立法で出してもらうとか、そういったお考えはございませんでしょうか。
(答)最後の御質問はちょっとよく分からないのですが、野党は反対しているので、賛成して法案出してくれるなら、喜んでこちらも賛成したいと思いますが、私自身は閣法だけで議論するのは、ちょっとこれ自身が古いなという感じがしますね。本来国会というのは、議員立法がもっと増えていいと、我々は野党のときからそう申し上げてきたのですが、ですから議員立法も非常にレベルはいろいろありますから、同じテーブルの上で議論するのはなかなか難しいところがありますが、本来であれば議員立法、閣法合わせてどのぐらい成立したかということが論じられるべきなのかなというふうに思います。
おっしゃるように、特にねじれという中で、議員立法というものは、より重要になってきてますし、それはある意味では国会の本来の役割を果たしているところもあるわけですから、そのことについて特に悪いとかいいとか、そういうつもりはございません。
(問)【国民会議関連2政令関連】
NHKの田村です。
国民会議の自民党への呼びかけに関連して、先程副総理は国会も終わったのでということをおっしゃってましたが、一方で自民党では総裁選挙等も始まっていて、なかなか民主党と連携する雰囲気が今のところ感じられないように見受けられるのですが、その辺見通しはどのようにお考えですか。
(答)ただ、それは法案を国会にむしろ自民党主導で出して、そして成立したものであります。賛成ももちろん自民党はしたわけで、責任は重いと思うのですね。1年というおしりも切れているということですから、議論を我々は勝手にやるわけにはいかないので、いろいろ御相談しながら進めましょうと言っていることについて、是非御協力いただきたいというふうに思います。
何か次の選挙の後だ、なんて言っていたら、一体いつになるか分かりませんし、「近いうちに」ではありますが、年金にしても高齢者医療にしても重要な問題で、しっかり議論が求められますので、議論はスタートを是非させてもらいたいというふうに思っています。強く思っています。
(問)フリーで宮崎です。
政令のほうで国民会議、平成25年8月21日までとするというふうになっています。衆議院の任期がこの8月29日までですから、これは次期総選挙で年金制度に関して各党で違いを争点とせずというメッセージにも感じます。どうでしょうか。
(答)それは選挙がいつあるかによりますから、そのときまでにまとまっているかどうか分かりませんので、争点にしないというほどきちっとまとまればそれはいいと思いますが、それは時期にもよるということだと思います。
(問)ただ、8月21日までというと、非常に任期満了に近いわけですけれども、そういう意味合いではないのでしょうか。
(答)解散の時期がいつあるかというのは、それとは関係ありません。
もう一つ言わせていただくと、議論の途中であれば、それは選挙でも争点にはなると思います。まとまっていれば争点にはならない。一番いけないのが議論すらしてないという状況で選挙をすると、それは与野党ともに無責任であるという、そういう批判はまぬがれないと思います。
(問)共同通信の蒔田ですが、今回この政令を定めるに当たっては、何か事前に民主党を通してとか、自公のほうとのやりとりがあったり、何か合意できた上で政令を出したりとか、そういう手続はあったのでしょうか。
(答)これは政令ですので、合意をするという性格のものではありません。それなりの仁義は切っておりますが、別にこれで結構ですとか、そういうことを言われているわけではありませんし、そういうふうに言われる立場でもないということですね。これは政府が決めること、しかし自民党や公明党に対しては、それなりの仁義は切っているということです。
(問)医療の専門紙を出しているじほう社の大西と申します。
今回の政令を定めたことで、8月21日までの期限というのが明確になったと思うのですけれども、これにこの意義をどういうふうにお感じになっているか、逆に言うとここまでに設置できないと無効になるのかなというような印象を受けるのですけれども。
(答)設置できないということではなくて、これは結論を出す期限です。
(問)この政令を定めたことによる、この国民会議設置への意義というか、何かあるのでしょうか。
(答)法律の枠の中で政令は定めたということです。
(問)【行政事業レビューの意見募集関連】
共同通信の関といいます。
レビューの作業というのは、5,000事業あって非常に膨大で、刷新事務局が全部カバーをなかなかし切れないというところもあるかと思うのですけれども、今回の国民にチェックしてもらう狙いというのは、それを補ってもらうというようなところもあるのでしょうか、狙いとしては。
(答)そういう面はあります。
それから、もちろん紙で見ているだけではなくて、実際にそれに近いところにいる人の中で日々疑問を持っている人というのはいると思うのですね。そういう方からの情報提供ということも期待しているところです。
(問)その点、二つお聞きしたかったのですが、事業が執行されている現場の実態を踏まえた意見というところに、やはり非常に今回は期待をしているという理解でいいのでしょうか。
(答)それだけではありませんが、そういったところについて、我々は十分に目が届いてないところについて、御指摘をいただければ、それは非常に有用であると、役に立つというふうに思っています。
(問)【特殊法人等・独法役職員の平成23年度給与水準関連】
共同の関です。
これは詳しい実態を把握というふうにおっしゃっていましたけれども、現状で把握していらっしゃる限りで、問題というか、実態に見合わない給与になっているのではないかというのが疑われる事例というのは、既に報告等で上がっているのでしょうか。去年独法の改革の議論を聞いている中では、割と副総理御指摘の専門職というところでのインセンティブとして給与が高くなっている面を割と各独法強調していたように記憶をしているのですが、それでも見合わない分というのがあるというふうにお感じでしょうか。
(答)合理的に説明できるかどうか、ある程度の中央か地方かとか、いろいろな調整をしても、なおかつ差があるということですから、一つ一つ果たしてなぜそうなっているのかということについて、合理的説明ができるかどうかという問題だと思います。
ラスパイレスというものは万能ではありませんので、よくそこは精査したいというふうに思いますが、しかしそうはいっても110とか120とか、はたまた130とか、ちょっと理解が不能ではないかというふうに思いますね。
(問)【閣議議事録等作成・公開制度関連】
共同通信の蒔田ですけれども、大きく異論はなかったということですけれども、やはり若い閣僚の人ほど20年後、30年後の公開となれば切実な問題ではあるかと思うのですけれども、そもそも結構活発に意見は出たのでしょうか。
(答)中身をお話しすることはございません。ただ、なぜ切実なのか、政治家がいろいろな発言をするということは重いことですから、責任を取れないような発言は閣議でしてはいけないですね、閣僚懇とか。ただ、直後はいろいろと影響はあると思いますが、何十年か、20年か30年か決めてませんが、そのぐらいたった後で振り返って困るというのは、私は政治家として如何かと思いますが、そういうふうに思っている人は私はあまりいないのではないかと思います。
(問)フリーランスで宮崎です。
一つ確認ですけれども、今までちょっとずっと気になっていたのですが、閣議とおっしゃった場合、閣議と閣僚懇談会、両方をあわせておっしゃっていらっしゃいますでしょうか。
(答)今回は閣議及び閣僚懇の記録の問題です。
(問)今回の作業というのは、閣議だけではなく閣僚懇の議事録もつくるということですか。
(答)もちろん入っています。
(問)ほぼ同じ意味ということで使っていらっしゃるということでよろしいですか。
(答)閣議と閣僚懇は性格は異なります。しかし、その双方について今議論をしているということです。
(問)【その他】
フリーランスの安積と申します。
国有化の話が出ています尖閣についてお伺いいたします。
中国側から上陸しない、調査しない、開発しないという提案があったという報道がありましたが、副総理としては、これから日本が、日本政府が国有化した場合に、どのような統治形態といいますか、支配形態が望ましいとお考えなのでしょうか。
(答)まず、中国側からそういう提案があったということは、私は全く承知しておりません。多分、正しくない情報ではないかというふうに思います、私が承知してないわけですから。したがって、そういった不確かなというか、恐らく間違っているだろう情報に基づいて何かコメントする必要はないと思います。
(問)フリーランスの安積です。
国有化した後に、今までの賃借している状態と異なるような支配形態というのはお考えになっているわけでしょうか。
(答)これまた国有化というのは、きちんとそういうことが完了したわけではないので、まだオン・ゴーイングというか、プロセスの最中で、どうなるかというのは最終的に決定していませんから、あまり急いで物事を言わないほうがいいと思うのですね。きちんとそういったことを無事実現すれば、そのときにまた御質問いただきたいと思います。
(問)フリーランスの安積です。
たしか尖閣の賃借は1年ごとで、4月に契約が更改されるということなのですが、次の4月になると契約が、今の賃貸借契約が切れるということなのですけれども、結構それまでに時間があるようでないような感じなのですけれども、副総理としては全くそれについては、それについては現状維持なのか、また違うのかとか、そういうふうな方向性もお考えになってないわけですか。
(答)今、国有化に伴ってという御質問ですから、それは国有化が本当に実現すればそのときにお答えしますというふうにお答えしているわけです。
(問)朝日新聞の河口です。
民主党代表選についてお尋ねします。
まだ正式に野田総理が表明されていないところでちょっと恐縮なのですが、恐らくこの後表明になるかと思いますので、お尋ねいたします。
まず、野田総理が再選を目指されるに当たって、岡田副総理は近くで御覧になっていて、なぜ野田総理でなければいけないのか、野田総理が再選されるほうが望ましいという理由、またそういったこの点が野田総理が非常に指導者として再選されるにふさわしいという点はどういった点か、そこをお尋ねしたいと思います。
(答)野田総理は非常に難しい局面の中で、社会保障・税一体改革を始め、様々な問題について物事を決めてきた。その実績について、私は多くの方が認めていただいているというふうに思います。
過去の誰と、という比較をするつもりはありませんが、政治が前に進んだ、非常に困難な状況の中で前に進んだということで、野田総理に勝る候補者が今与野党を通じて見て、いるというふうには私は思いません。
(問)共同通信の関といいます。
概算要求が出そろいまして、副総理が指摘された事業等も最終的な要求がされたと思うのです。その中で、青年国際交流事業については、世界青年の船のほうは民間への事業、最終的には移管のようなものを軸に今年度は予算要求しないという話になり、ほかについても半減を目指すというような方針が示されましたが、これについて一見指摘どおり、指摘を踏まえた形かなと思うのですが、最終的な改めて評価をお願いできますでしょうか。
(答)評価は予算が最終的に政府案が決まったところで申し上げればいいことだと思います。
ただ、いろいろな議論があったにしろ、政府の中で方向性を出したものについては、それはできるだけやり抜いていかないと、何のために議論しているのかなということになるのだろうと思います。
先程、行政事業レビューについても、全体を見直して、これからいろいろな意見を刷新事務局、あるいは刷新会議として申し上げていくことになりますが、言った以上はそれがなるべく実現するように、精一杯の努力をしたいというふうに思っております。
(問)フリーランスの宮崎です。
施政方針演説の中にあった国の出先機関の改革法案、提出はされませんでした。提出されなかったということは、されなかったからいいのですが、何が一体難しいのでしょうか。本省の職員が出先機関の職員から何かいろいろと言われているのか、あるいは自治体の首長が財源が来ない中で権限が来ても困るというふうに言っているのですけれども、何が実際実務の中で一番難しいところなのでしょうか。
(答)私はこの問題を直接やっていたわけではありませんので、一部不正確かもしれませんが、政府の中では基本的にまとまったわけであります。ただ、そういう中で党も含めて、あるいは自治体からも、緊急事態など、例えば東日本大震災のような大きな事態になったときに、果たして国ではなくて、そういった県の連合体できちんとやれるだろうかという、そういう不安、疑問というものが出てきたということだと思います、一つはですね。
もちろん道州制のような形で完全にまとまってしまっていれば、また別の議論はあったと思いますけれども、いわば九州であれば九州の各県の集合体のところにその仕事が来るということですから、果たして大丈夫なのだろうかと、こういうことだったと思います。
いわゆる根底にあるのは、やはり市町村長と知事との間に温度差があるということではないかと思います。これは沖縄の一括交付金カットも私は随分推進したのですが、そのときにも仲井眞知事に言われて、私はかなり政府の中で当時は幹事長でしたけれども、一括交付金化に携わったのですけれども、作業にですね。各市長さんや町長さんになると、県が予算の全体の配分権を持ってしまうということについて心配する声も聞かれたことも事実です。ですから、同じ地方といっても、市町村レベルと県レベルで必ずしも利害は一致しない、あるいは市町村レベルの中でも政令市やそれに準ずるような市と町村の間でも違うと、そういったことについて、きちんと調整していかないとまとまらないということもあるのだと思います。
後期高齢者医療制度の廃止も同じですね。市町村長の中には、必ずしも強い反対というふうに私は思ってないのですが、知事さんたちは非常に強い反対で、若干利害が異なるところがあるということで、その辺の難しさをどう乗り越えていくかということは、だんだん議論が深まってくるから、こういうところまでいろいろな議論が出てくるわけですけれども、乗り越えなければいけない点だというふうに思います。
(問)そうなると、秋の臨時国会には提出はできそうでしょうか。
(答)それを目指してしっかりとさらに地方との、地方というのは県だけではなくて市町村も含めて議論しなければいけないということだと思います。そして、それは国だけがやるのではなくて、九州であれば九州の知事会と市長会、あるいは町村会長、町村会、あるいは議会、そういうところでよく議論していただく必要もあると、そういうふうに思います。
先般、大分の釘宮市長、長崎市長、それから誰だっけな、もう1人、熊本市長だったかな、私のところにお見えになりまして、そういう県庁所在地の市長レベルでまとめた分権の考え方というのを御説明になっていきましたが、知事レベルとちょっと違うのですね。そういったところについて、よく同じ九州の中ですから、私のほうはよく議論してくださいというふうに最後申し上げたのですが、そういうこともこれから必要になってくるということであります。
(以上)