選挙制度改革は丁寧に議論すべき(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年3月14日号)
未曾有の被害をもたらした東日本大震災から2年が過ぎた。今週11日午後2時46分、私は政治家として、1人の日本人として、改めて犠牲となった方々のご冥福を心からお祈りした。
与党時代、私は何度も被災地を訪ねた。「対応が遅い」というお叱りの声をいただいたりもした。「何とかしなければ」と懸命に努力したが、いまだに避難生活を送る方が31万人以上もいる現実を深刻に受け止めなければならない。
原発事故の対応は、着実な廃炉、がれき処理、除染作業、ふるさとへの帰還、仕事の確保、風評被害対策など、問題が山積している。いずれも重い課題だが、1つ1つ解決していくしかない。
とにかく、被災地の方々が1日も早く、安心して生活できる環境を政治が整えなければならない。高台移転などの具体的進展も少しずつ見えてきた。震災復興に与野党は関係ない。今後もしっかり取り組んでいきたい。
中国から微粒子状物質「PM2・5」が飛来していることが問題となっている。北京の現状について「四日市ぜんそくが発生した1960年代から70年代の三重県四日市市に近い」との報道もある。同市が地元であり、当時、同窓生を亡くした経験がある私としては、とても残念な思いだ。
日本はかつて「公害のデパート」と呼ばれたりもしたが、国と自治体、企業が「これではいけない」と一体となって改善に取り組んだ。こうした経験は折に触れ、中国にも伝えてきた。GDP(国内総生産)世界第2位の国力を持ってすれば、必ず乗り越えられる。中長期的な視野に立って、よく考えて対処してもらいたいと思う。
さて、先週7日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相と首相就任後初めて議論した。私以外の質問者への答弁も含めて、安倍首相は強気だった。
例えば、衆院の定数削減や選挙制度改革について、安倍首相は「われわれが成案を出し、細野(豪志・民主党幹事長)さんが賛成すれば、直ちに成立します。協力していただけますか」と言い放った。
選挙制度改革は、どういった制度を導入するかによって、その国の政党政治の形態に大きな影響を与える。少数政党に不利益になる可能性もある。まさに民主主義の基盤だ。各政党の意見をよく聞き、丁寧に議論を進めるべきで、圧倒的多数を持った与党が押し切るようなものではない。
野田佳彦内閣時代、「社会保障と税の一体改革」を実現するため、私は連日、野党議員を訪ねて「国民のために協力してほしい」と説得していた。当時民主党は衆院多数だったが、あのころを懐かしく思い出す。
定数削減と選挙制度改革は、野田前首相が衆院を解散する条件として、安倍首相と党首討論で約束したものだ。安倍首相は「とにかく自分たちが正しく、民主党はダメだ」という姿勢が目立つが、もう少し、懐を深くして、議論に臨んでほしいものだ。(民主党衆院議員)
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(ブログ TALK-ABOUT 2013年3月8日)