平成25年4月3日 第183回国会 衆議院内閣委員会「番号制度、政府CIO、地方公共団体情報システム機構について」
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
まず、番号制度についてお尋ねしたいと思います。
この法案は、前政権時代から煮詰めて議論してきたものであり、三党間でも協議をしたものですから、なかなか個々の中身については質問しにくいところがあるんですが、もう少し大局的な見地から幾つか御質問したいと思います。
まず、この番号制度を導入することによって政府の効率化、合理化というものがどの程度なされるのかということについて、甘利大臣は本会議でも、数値化は困難であるという答弁をされています。しかし、巨額の税金を投入して行われるわけで、投資効果といいますか、かかったコストとそれに見合った効果というのは、当然比較考量の上でこの番号制度の導入がなされるんだと思います。
もちろん、行政サービスの向上という観点はあるものの、やはり行政の効率化という視点を考えれば、そういった政府としての目標値というものは、これは当然あってしかるべきではないかと思いますが、具体的にどの程度の効果があるというふうに考えておられるのでしょうか。
○甘利国務大臣 岡田先生は、この間までここで答弁をされていた方でありますから、全部承知で質問をされているんだと思います。
私も当時の質疑のやりとりを見ておりましたけれども、なかなか数値化が難しいようでありました。一部には、二兆とか三兆を目指すとか、あるいは、たしか北川正恭さんの研究会では、彼は衆議院の当選は私と同期なんですけれども、一兆円ぐらいあるんじゃないかとか、いろいろな数字が出ております。
なかなか確定しづらいんだと思います。効果は定性的というのが政府答弁の模範回答なのでありますけれども、費用対効果であれば、かける費用、たしか民主党のときには五千億とか六千億というふうな答弁もあったようでありますけれども、現状では二、三千億円ぐらいではないか。当然、それを回収して余りある、行政効率効果だけではなくて、国民の利便性等々あるんだと思います。いずれ、この番号制を導入し、行政の電子化とあわせて次第に効果が確定していくのであろうかと思います。
現時点において、こういう計算式において幾らであるということは、なかなか算定しづらいというふうに思っております。
○岡田委員 なかなか根拠のある数字というのは示されないわけですけれども、これは、民間の投資ということで考えてみれば、例えばある会社がそういったIT化を行う、そうすると、今まで手作業とかそういったことで行われていた事務が効率化される、その結果としてどのぐらい人が必要なくなり、そしてその人件費抑制効果というのはこのぐらいある、そういったことは少なくとも数値化できる話ではないか。少なくとも民間はそういったことをした上で投資をするかしないかを決めているというふうに思います。
そういう観点でちょっと具体的にお聞きしたいんですが、番号制導入による合理化という意味で幾つかの分野を挙げられていますが、例えば社会保障分野、年金なら年金を取り上げて、今行われている年金に関する行政の作業の中のどういった作業が、番号制を導入することによって、人から機械に、ITに置きかわるのかというようなことを、少し具体的にお話しいただけませんでしょうか。
○甘利国務大臣 全体を通してどういう効果があるかというと、申請の添付書類が省けるということ、それから給付に関しての併給調整ができるということ、それから税の捕捉がより正確になるということだと思います。
分野別に具体的にどういうことが起きるかということをお話ししますと、年金分野では、老齢厚生年金の加給年金額の加算に関する手続においての、加算の条件を確認するための添付書類である住民票であるとか所得証明書等の省略が可能になる。
それ以外の分野については、どうしますか。(岡田委員「まず年金について」と呼ぶ)はい。
○岡田委員 添付書類が省略できるというのは、これはユーザーが、つまり国民から見てのメリットだというふうに思いますが、そのことが行政側にとって具体的にどういう手間が省けるのかということはいかがでしょうか。
○甘利国務大臣 この種の発行業務にかかわる業務量自身、あるいは、それにかかわる人手が減ってくるということになろうかと思っております。
○岡田委員 ある程度そういうものを数量化する、件数はわかっているわけだし、どういう手間が省けるかということも具体的に特定して、全体としての仕事量はどのぐらい減るか、それにかかわる人はどのぐらい必要がなくなるかということを、これは窓口業務と国の業務とそれぞれあると思いますが、そういうことをある程度特定することは可能だし、そういうことが特定されなければ、やはり国民に対して、巨額の投資をするということについての必要性をきちんと説明したことにはならないんじゃないでしょうか。
○甘利国務大臣 もちろん、業務量が効率化されて減ってくる、作業自身が減るし、人も減るし、当然それにかかわるいろいろなコスト、人件費も、それから作業コストも含めて減っていくということははっきりしているわけでありますが、それ以上に、国民の費やす手続が圧倒的に減る、それに関するコストも減るということはしっかり説明していく必要があると思います。
行政のコストがどこまで減らせるかということは、恐らく、あらあらのことはできるかもしれませんが、そこは少し導入に従って数字が精緻になってくるのではないかというふうに思っております。
先生が答弁されていた時代の質問に対する答えについても、コスト自身がまだしっかり確定していなかったということもありますし、そして、三党協議を経て、今回、あれから年数を経て、今法案が新たに提案をされているときになって、実はもう少しコストが削減できるのではないか、しかし、その数字も二、三千億というあらあらの数字ですから、作業工程が進むに従ってしっかりフォーカスしてくるのではないかというふうに思っております。
今どこまでできるかは関係者と少し相談をしてみますけれども、明確に細かな数字まで、現時点で算定はなかなか難しいんじゃないかと思います。
○岡田委員 番号制導入を前提に、まず現在の番号制を前提にしていない業務の仕事のやり方そのものを改革する。そして、それに合ったシステム開発も当然必要になるはずであります。そういうことを番号制導入とあわせて同時にやっていかないといけないというふうに思いますし、それはなるべく、各省庁ばらばらではなくて、統一感を持ってやっていかないと効果も薄い。だから、そういうのをトータルで考えていかなきゃいけない。単に番号を入れればいいという話ではないと思うんですね。
そこのところの問題意識が私は十分ではないような気がするんです。民間だとちょっと考えられないことではないか。やはりそこのところをきちっとやった上で投資を決めるというのが普通ですから。
もちろん、我々の政権のときもそれをきちっと固め切れていなかったことは事実で、まず、ぜひここはもう少し問題意識を持って、そこまで裾野を広げて政府の中で議論していただく必要があるんだと思いますが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 民間企業、なかなかイオンと比べてそのとおりにいくかどうかというところ、勉強しなくちゃならないところはあろうかと思っております。
あわせて、今度、政府CIOが法定化されるといいますか、しっかりした権限を持って設置をされる。そこで、政府全体の電子化の作業が、今まで毎年、正確な数字は知りませんけれども、数千億円投じてIT化、ICT化を進めているにもかかわらず、遅々として進んでいないという点がある。それらの政府全体の整合性とあわせて、効果は加速するのではないかというふうに思っております。
○岡田委員 これは並行してやっていかないと、番号制を入れてからよいこらしょと立ち上げたのでは、恐らく手おくれになってしまうと思いますので、ぜひそこは積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
さっき年金についてお聞きしましたが、例えば税についてこの番号制を入れることで、少なくとも法人に番号はつくわけであります。そうすると、国会でもいろいろ我々も当時の野党の皆さんから御質問いただいたりしたんですが、法人番号制が入ることで、例えば社会保険に、入っていなければならないにもかかわらず、入っていないかもしれない法人というのは一定数存在するわけですね。そういうものはきちんと把握できるようになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○甘利国務大臣 少なくとも、今までよりは確実に把握は進むというふうに思っております。
○岡田委員 番号は全ての法人に振るということでよろしいんでしょうか。そういうふうにしますと、かなりの数の法人が、例えば厚生年金に入っていない、そういったことが全て明らかになって、そういう法人に対して厚生年金加入をきちんと指示できる、こういう仕組みになるというふうに考えていいんでしょうか。
○甘利国務大臣 全ての個人、全ての法人であります。でありますから、あらゆる点での、番号が振ってある対象に対しての、いろいろな情報の捕捉というのははるかに正確にできるようになると思います。
○岡田委員 そのときに、例えば、税の対象になっている法人とそれから社会保険の対象法人で、ずれがあるというようなことがたびたび主張されるわけですが、そういったものを突き合わせて、そこに差があるとか、そういうことはきちんと仕組みとしてできるようになるというところまで考えておられるんでしょうか。
○甘利国務大臣 番号制の導入というのは、あらゆる法人、あらゆる個人に、その人には一つだけの番号が付されるわけでありますから、いろいろなその法人あるいはその個人に関する情報の突合は圧倒的に迅速に正確にできるということになりますから、御指摘のような、法人でありながら社会保障に関して果たすべき義務が果たせていないということは、しっかり把握できるはずであります。
○岡田委員 それから、これは国の中だけじゃなくて、国と地方の関係というのもあると思うんですけれども、我々のときも議論していたんですが、例えば旅費のシステムとか給与システムというのが、これは各省庁でそれぞれ独自の体系をお持ちで、そのことによって、公務員には基本的に番号がついていても、政府の中でそれがうまく活用できないというようなことはあったと思うんです。
今度、国と地方の間でやはりシステム的に整合性がないと、番号制が入って全体が把握できたとしても、結局、それはうまく使えないというようなことも起こり得る。
したがって、そういう意味での国と地方のシステムの調整というものが非常に大事になってくるんじゃないかというふうに思いますが、この点についてはいかがですか。
○甘利国務大臣 全体の費用が二、三千億の中に、地方のシステムにかかわるのはたしか千五、六百億というふうに試算されていますけれども、先生御指摘のとおり、システムの整合性がきっちり図れないとやる意味がないのでございまして、そこはしっかりと整合性がとれるようにしていきたいというふうに思っております。
旅費のシステムというお話も先ほどありましたけれども、これは各省ごとにばらばらで、中央省庁でも、前から、システムの整合性がとれていないから、お金をかけてもちっともIT化が進まないという指摘がありました。
これは政府CIO担当大臣の領分であると思いますけれども、政府CIOに私は個人的に、なぜ進まないんだという質問をしたことがあります。それは、指揮をとる者が、システムを構築する者以上にITに対する知識がしっかりないとそれはできませんということでありました。
ですから、政府CIOは相当な知識をお持ちの方についていただいていると承知をいたしておりますけれども、圧倒的な知識量を持っている人が権限を持って全体の統一化を図るということが必要だというふうに思っております。
国の中の統一性、それから国と地方との整合性、そこには十分な思いをはせて取り組んでいきたいというふうに思っております。
○岡田委員 今、政府CIOの話が出ましたので、この点に移りたいと思います。
実は、平成二十四年十一月三十日に、前政権時代ですけれども、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定、行政改革実行本部決定ということで、幾つかの重要なことを決めております。その中の一つに、政府CIOの権限の話がございます。
今、甘利大臣御指摘のように、やはり政府CIOにどれだけの権限を持たせるか、つまり各省庁に対する権限の意味ですけれども、そのところが政府CIOをこれから法制化したときに非常に重要になってまいります。
先ほどの本部決定においては、政府CIOに対して勧告権限を付与しているわけであります。「各省のIT関係予算の審査・調整等を行う権限、IT投資に係る業務改善等に関する勧告権限を有するものとする。」
残念ながら、今度の法案にはそういったものはないわけですけれども、勧告権限を持たせることは仕組みとしては十分可能だと思うんですけれども、ここのところはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○山本国務大臣 岡田先生のおっしゃった二十三年の本部決定、これはもちろん私もよく読ませていただきましたし、前政権で今の内閣情報通信政策監、この設置については精力的に御議論いただいておりまして、もちろんいいことについてはしっかり引き継いでいかなければいけないと思っていますし、二十三年の本部決定は最大限に尊重し、そこを踏まえて、今回、政府CIOの法案を出させていただいているということをまず申し上げたいと思います。
その二十三年の方針の中に勧告権限の話があるんですが……(岡田委員「二十四年」と呼ぶ)二十四年だ、ごめんなさい、失礼しました。去年です。二十四年の中に勧告権限の話があるんですが、岡田委員御存じのとおり、今度の法案の中で、政府CIOは内閣危機管理監と同格のかなり高い位置づけを与えられているということと、IT戦略本部でも一応本部員として参加をするということになっておりますが、やはりそれでも府省の大臣と同等というわけではありませんので、大臣に対する勧告権限を今のたてつけで付与するというのは極めて難しいだろうという判断がありました。
他方、これも御存じだと思うんですけれども、IT戦略本部から政府CIOが委任を受ける事務、例えば関係行政機関の経費見積もり方針とか、府省横断的な計画の策定とか、政策評価とか、あるいは施策の方針とか、こういうことについては政府CIOが直接内閣総理大臣に意見を言えることになっていまして、内閣総理大臣は、IT戦略本部の本部長として、本部員である閣僚の指揮監督権限というものがありますので、そこを通じて十分に総合調整ができるのではないか、こんな認識でおります。
○岡田委員 まず、現在の政府CIOについて、山本大臣はどのぐらいの頻度で会っておられますか。例えば、毎週会っておられますか、それとももう少し回数は多いんでしょうか、少ないんでしょうか。
○山本国務大臣 所掌分野が七つか八つあるので、毎日お目にかかるというわけにはいかないんですけれども、例えばIT政策についてのいろいろな大臣レクのときには常に来ていただいていますし、あるいはほかの会議等々でもお目にかかっていますので、一週間に一回か二回ぐらいお顔を見ているんじゃないかと思います。
○岡田委員 顔を見るというより、直接一対一でお話しになる、そういった機会がやはりもう少しあった方がいいと思うんですね。
それから、総理とはどのぐらい、何回ぐらいお会いになったんでしょうか。
○山本国務大臣 閣議でという意味でいうともちろん毎週会っていますけれども、二人でということですか。(岡田委員「CIOが」と呼ぶ)ごめんなさい、私ではないですね。大変失礼しました。
政府CIOが総理と直接どのくらい会っているかというのはよくわかりませんが、会議等々ではいろいろ意見を交わしておられると思います。お二人で何回会っているかというのは、よく把握しておりませんけれども、そう頻繁ではないと思います。
○岡田委員 今度、これは危機管理監と同等という高い位置づけ、もちろん権限的には問題があるというのは先ほど申し上げたとおりなんですが、危機管理監であれば、恐らく週に一回は総理と会っておられるはずですね。
そういうことを考えても、単に形式的にその位置づけがどうということだけではなくて、政府の情報化に関して不断に総理とも意思疎通ができるということが、やはり実効性を持たせる非常に大きなポイントじゃないかというふうに思うわけです。
それはすぐにでも実行できることですから、大臣の方からもまたぜひ、総理にそういったことについてアドバイスをしていただければというふうに思います。
○山本国務大臣 大変貴重な御示唆をいただきました。
実は、岡田先生の思いは、政府CIOに任命する方にきちっとした仕事をしていただきたい、政府CIOをつくるからには、ちゃんと機能できる体制にしなきゃいけない、こういう問題意識だと思うんですけれども、そこは私も共有しております。
実は、この法案のたてつけについてもかなり強力なものにできたと私は思うんですが、かといって、やはり総理のバックアップとか、担当大臣である私のバックアップがないとなかなか前に進まないこともありますし、総理も、新しい政府CIOについては、私と山本大臣がしっかりバックアップするということも明言していただいていますので、今の岡田委員のアドバイスはしっかり受けて、またそのことを私の方から総理にもきちっとお伝えしたいというふうに思っています。
○岡田委員 アメリカなどでも、大統領との近さといいますか、あるいは大統領自身がどのぐらいの問題意識を持っているかということが、やはり政府のIT化を進めるに当たって非常に重要だったというふうに理解をしております。そこはぜひお願いしたいということ。
あと、山本大臣、各省のCIO、大体官房長がやられていることが多いと思いますが、会議を持たれたことはありますか。
○山本国務大臣 今、CIOの連絡会議があるということは存じ上げていますが、会議で議論をしたということはまだございません。
○岡田委員 各省庁のCIOは大体官房長が兼任されていることが多いんですが、それぞれの各省の官房長がどのぐらいITに関する理解とか、あるいは必要性についてきちんとした考え方を持っておられるかというと、官房長も大変忙しいし、それまでのキャリアの中で、ITとは全く関係のないところで育ってきた方も多いんじゃないかと思うんですね。
ですから、そういったところの動機づけといいますか、それも非常に重要なことで、私が閣内におりましたときに、一度、彼らを集めて会議を持ったことがありますが、政府CIOの重要性を再認識してもらうためにも、それから、各省庁が本気になってIT化を進めてもらわなきゃいけませんから、そういうためにも、そういった会議を持つとか動機づけをしっかりするということも、ぜひ山本大臣にお願いしておきたいと思います。
○山本国務大臣 今、岡田委員から御提案いただきましたので、できるだけ早急に、一度、各省のCIO、官房長のケースが多いと思いますけれども、集めて、いろいろと議論させていただきたいと思います。
○岡田委員 もう一つは、勧告権の話は後ほどまた同僚議員がやられると思いますが、対象として、独法に対しての権限というのが直接及ばない形になっているわけです。これは、先ほどの平成二十四年十一月の本部決定の中では、独法に対してもということを書き込みました。大きな情報システムを持っている独法というのはたくさんございます。やはりそこまで含めてやっていかないと、結局、効果が限られるんじゃないか、そういう問題意識なんですが、独法についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○山本国務大臣 独法については、それぞれ所管の省庁があって、大臣がおりますので、今回の法案のたてつけで、先ほど御説明をいたしましたが、政府CIOとしていろいろとアドバイスをする、あるいは独法のIT政策等々、システムについて意見を言うということはできると思っております。
岡田委員のおっしゃった、政府CIOが直接、独法の情報システム、業務改善みたいなことに責任を持つということになると、場合によっては、例えば主務大臣がふえるみたいな話になってしまうという可能性もあって、釈迦に説法ですが、やはり独法のたてつけというのは、できるだけ大臣の関与を少なくするということもあって、なかなか、そのまま直接、政府CIOが各省の所管する独法に権限を行使するというのは、ちょっと独法のたてつけとそぐわない面もあるのではないか、こんな議論もあったというふうに伺っております。
いずれにせよ、今の法案のたてつけの中で、主務大臣を通して、しっかり独法の例えばIT投資なんかも政府CIOが意見を言えるようにさせていきたいというふうに考えております。
○岡田委員 独法の業務に関する独立性というのは一つの重要なポイントだと思いますが、こういった基盤となる仕組み、システムの問題ですから、そういうところで余り独立性を発揮されるよりは、そこはやはり政府としての一体感を持った仕組みというのが非常に重要だと思うんですね。
それに対して所管大臣が問題意識を持っていただければいいわけですが、各省庁、今までIT化がなかなか進んでこなかったということを考えれば、やはりそこは、むしろ外から専門家を持ってきて、権限を付与してやっていくというのがそもそも政府CIOの考え方ですので、この政府CIOにより強い権限を持たせて、独法に対してもしっかりと物が言えるような、そういう仕組みをぜひ考える必要があるのではないか、そういうふうに思っております。御検討いただきたいと思います。
それから、地方公共団体情報システム機構についても少しお聞きをしたいと思います。
まず、現在の財団法人地方自治情報センター、これは平成二十二年秋に事業仕分けの対象になりまして、官庁OBの再就職の自粛でありますとか役員報酬の見直し、調達の改善などを行うという指摘がなされました。もちろん、その後、民主党政権も続いていたわけでありますが、現時点でどのような対応がとられたか、御説明いただけますか。
○新藤国務大臣 前政権で行われました事業仕分けにおいて、財団法人地方自治情報センターに対して、官庁OBの役員就任等に関する指摘がなされております。しかし、その業務の必要性を否定する意見ではなかったわけであります。そして、一財団法人に委ねるのではなくて、地方によるガバナンスを強化すべき、こういう意見もあったというように認識をしております。
その上で、今回の地方自治情報センターは、これまでの事業仕分けを受けて、これまでも、技術系の人材の理事長への登用、これは官庁OBではございません、それから、民間出身者の理事への就任といった役員の人選、役員報酬の見直し、外部有識者を交えた契約監視委員会の設置などの調達方法の点検、見直し、こういったものを実施しております。
今回、財団法人から地方共同法人に移行することによって、新たなるガバナンスのもとで効率的な運営ができるようになるんじゃないか、このように考えています。
○岡田委員 この機構の役員の任命、解任については、新法に基づく機構ということですけれども、総務大臣への届け出ということになっております。今までの自治情報センターと比べると、国の関与は弱まっております。
そこにある基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
○新藤国務大臣 今回、代表者会議または理事長が機構の役員を任命、解任したときは、総務大臣への届け出、こういうことになっているわけであります。
これは、この番号制度を、個人番号を生成する事務、これは地方の事務として、地方によるガバナンスを強化した地方共同法人という形に移行いたしまして、この地方公共団体情報システム機構というものをつくるわけであります。
この機構の運営に対する総務大臣の関与、これは地方の事務という意味から関与は最小限にする、こういう方針があるわけであります。
また、地方共同法人である地方公共団体金融機構というのが、同じようなものが別にありますが、これも同様に、役員の任命、解任については総務大臣への届け出のみということにしております。
しかし、一方で、総務大臣は機構に対して報告、立入検査、違法行為の是正要求、こういったことをできるようにしておりまして、非常時など、最終的には国が適正な業務を担保するガバナンス、そこの部分は、最終的な部分での余地は残してある、このように御理解いただきたいと思います。
○岡田委員 地方が主体となってやるということは、それはそれで結構なことだと思いますが、一方で、情報化ということを考えたときに、やはりここも、先ほどの、各省庁間で例えば旅費システムとかそういったことがばらばらであるということが効率性を阻害していたということと同じように、やはり国と地方の一体性ということも重要になってまいります。
そういう意味で、国の権限というものも重要になると思うわけですけれども、そもそも、国の財政措置というものは、機構に対して全く負担がないということでしょうか。地方公共団体が負担するというふうになっておりますけれども、いろいろな形で国が負担するということはないというふうに、確認したいと思います。
○新藤国務大臣 まず、先ほどから委員が御指摘いただいている、国や地方公共団体のいわゆる事務の共有化、共通化、これが極めて重要だと思っています。
それは国の各省庁においてもそうですし、地方自治体も、地方自治体ごとに別々のいろいろな仕組みを入れてしまっています。ですから、そういうものをやはり標準化するなり、共有化するなり、そういった工夫をしないと、この共通番号制度の効果というのは、飛躍的な効果というのはそこに鍵があると私も思っております。
その部分においては、私たち総務省もその分野を受け持っておりますから、これは新しい仕組みをつくっていきたい、こういうことを今研究しているわけであります。
今のお尋ねでございますが、機構の運営に要する費用は地方公共団体が負担をする、このようになっています。しかし、住民基本台帳法だとか、それから公的個人認証法を改正いたしまして、これは番号を付与します、それから住基ネットの番号を使っていただきます。こういうものについては、機構が国の機関から情報提供手数料を徴収する、国が番号の付与については一定の負担をする、こういうふうになっておりまして、国の費用負担がございます。
それから、機構に設置する、最初につける個人の番号付与システムは国費によって構築する、このようにしているわけであります。
それからさらに、今後必要となる費用、これにつきましては地方が負担していただくわけでありますが、その地方負担について、交付税措置だとか、いろいろなさまざまな財政措置、これは地方公共団体の意見も聞きながら検討をし、必要なものは対処しなくてはならない、このように考えています。
○岡田委員 我々、独法に関しては、役員について、天下りを基本的には禁止する、少なくとも公募によるということにいたしまして、公務員OBの役員の数というのは短期間のうちに八分の一ぐらいになったわけであります。
この機構はもちろん独法ではありませんけれども、しかし、仕事の中身はそういった公的なもののみでありまして、そういう意味では、こういった機構に対する天下り規制やあるいは役員の公募といったことは当然必要だというふうに思いますが、この点についての担保はどういうふうになされているんでしょうか。
○新藤国務大臣 これは、地方のガバナンスの強化、そのために地方共同法人をつくるわけであります。そして、この機構においては、理事長及び監事は、代表者会議が任命する、しかし、副理事長及び理事は、理事長が代表者会議の同意を得て任命する、こういう仕組みになっているわけであります。
ですから、役員また理事長をどう決めていくかは代表者会議で決めるべきでありますが、この選任の過程の透明性を高める、それから有為な人材を登用する、こういうことが必要だというふうに思います。
そして、私たちとしては、地方の三団体に対して、理事長等の任命に当たっては、公募も含めて、あらゆる可能性を排除せずに適材を選んでいただきたい、こういうお願いをしていきます。
それから、代表者会議の選任の方針ではありますが、今委員からも御指摘の官庁OBの再就職の自粛方針、こういったものは趣旨が引き継がれると思います。しかし、これもあらゆる可能性を排除せずに有能な人材を選んでいただきたい。
こういう中で、機構がしっかりとした運営ができるように願っている、こういうことでございます。
○岡田委員 国のお金も随分入る、そういった機構ですから、やはりそこの人選、天下りの排除、それから、公募も排除せずにということですけれども、排除せずにではなくて、公募を原則にというふうにぜひやっていただきたいと思います。
結局、こういう機構がいかにきちんと機能するかどうかということが極めて重要で、先ほど各省の官房長のことも申し上げたが、例えば首長経験者とか、あるいは各自治体の中でどのぐらいITについて知見のある人が民間と比べて多いかというと、私は必ずしもそういうことは言えないんじゃないかというふうに思います。
政府CIOについても、これは外から持ってくるということで、政府全体のITの考え方をいわば変えようということですから、この機構についても、天下りとかそういうことにならないように十分な指導力を発揮していただきたいし、そういったことがこれからも担保されるような仕組みをぜひ入れていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
何か一言あればおっしゃっていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○新藤国務大臣 今の御指摘、問題点、課題というのは共有できると思います。ですから、あらゆる可能性を排除せずに、最適な人材、適切な運営がなされるようにしなくてはいけない。
これまでのいろいろな御指摘も踏まえた上で、そういったことを地方にはお願いしていきたい、このように考えています。
○岡田委員 最適な人材、あらゆる可能性を排除しないという中で大体天下りとかそういったことは続いてきたので、そこはぜひ大臣のリーダーシップをお願いしたいというふうに思います。
終わります。