「政権交代可能な政治」定着させることが重要(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年7月18日号)
7・21参院選の投開票まで、あとわずかとなった。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」に対する過剰な期待感の中で、民主党は今回、苦しい選挙戦を強いられている。特に、全国31ある「1人区」の状況は非常に厳しい。
確かに、大胆な金融緩和を行い、公共事業の予算を大幅に増やせば一時的に景気は良くなる。しかし、持続的な経済成長のために最も重要なのは、第3の矢である「成長戦略」や「規制改革」だ。
これが成功しなければ、最終的にデフレ脱却もうまくいかず、アベノミクスは莫大な借金の山を残すことになりかねない。第1の矢(金融緩和)と第2の矢(財政出動)だけで、日本経済が良くなっているかのような錯覚に陥っているが、実は、肝心な成長戦略や規制改革の具体策はまだ見えていない。
参院を含め、国会とは、与野党が健全な議論を尽くすことで、国民のための解決策を生み出していく場だ。経済政策だけでなく、原発再稼働やエネルギー政策、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、社会保障制度改革、地方主権改革、外交停滞など、日本を左右する問題が山積するなか、政権与党・自民党が勝ちすぎれば、国会のチェックが機能不全に陥る危険性は大きい。
加えて、ようやく見えてきた「政権交代可能な政治」を日本に定着させることも重要だ。古い自民党の1党支配政治に戻してはならない。そのためにも、民主党は、生活者、納税者、消費者、そして働く人の立場に立つ改革政党として、しっかりと踏みとどまらなければならない。
猛暑が続く参院選で、私は地元・三重県に張り付き、民主党の高橋千秋候補の選対本部長として県内をくまなく歩いている。小泉旋風が吹き荒れた2001年参院選でも、民主党は1人区で三重と岩手だけ勝利したが、今回は「三重が最後の砦」と言われている。
高橋氏には13年間、三重県下を歩き、地元の声を国政に届けてきた経験と実績がある。経済産業政務官や外務副大臣としても活躍した。50代半ば、働き盛りの政治家であり、これ以上の適任者はいない。
参院議員は任期が6年間と長い。一時的な雰囲気ではなく、誰が日本のために必要か、冷静な目でご判断いただきたい。 (民主党衆院議員)