民主は徹底した党内論議が不足している気がする(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年8月15日号)
参院選が終わり、今年は久しぶりに国会がない夏となった。全国各地で最高気温の更新が報道されるなか、私は地元で選挙のお礼を続けている。多い日は1日50件ほど回ることもある。
厳しかった選挙結果について、私が「申し訳ありませんでした」と頭を下げると、支持者の方々は「残念だった」といいながら、「早く、民主党を立て直してほしい」と励ましてくれる。その通りだと思う。
民主党執行部は「参院選の総括をする」といって、地方の意見を聞いている。反省も必要だが、そろそろ次に向けてアクションを起こすことも重要だ。海江田万里代表は続投宣言をした以上、強い決意で、党再建に取り組んでほしい。
秋の臨時国会は、消費税増税やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の参加問題、社会保障制度改革、集団的自衛権の見直しなど、重要課題が山積している。予算委員会などで政府と徹底的に議論するには、党の意見をしっかりと固める必要がある。
私個人としては、大きな経済変動がない限り、消費税は予定通りに来年4月から上げるべきだと思う。安倍晋三首相は現在、さまざまな意見を聞いている段階だろうが、そろそろ明確に発言された方がいい。
増税しなければ「2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化達成」という国際公約を守るメドは立たない。これ以上、次世代にツケを回すことは許されない。政治家が真正面から増税の必要性を説けば、国民の方々もきっと理解してくれるはずだ。
集団的自衛権も大きなテーマだ。
私は、これまでの内閣法制局による「国際法上は保有するが、憲法上は制限している」という憲法解釈は、法理論として整合性が取れていると考える。解釈変更を見据えて、首相主導の法制局長官人事があったとされるが、憲法の根幹に関わるだけに、仮に必要があるとしても、改憲論議の中で対応すべきではないのか。
日本は先の戦争の反省に基づき、自分の国を守るために「最小限の自衛権行使に限る」という憲法9条を選んだ。いわゆる「普通の国」になるなら、徹底的な議論をしなければならない。
民主党は野党になって、党内融和を優先しているのか、徹底した党内議論が不足している気がする。党内で議論を尽くして、政府与党とは別の選択肢を提示することが野党の責任だ。政府与党以外に現実的な選択肢がないとすれば、それは国民にとって不幸というしかない。 (民主党衆院議員)