シリア攻撃、消費税増税…自民党は早急に国会開き議論すべき(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年9月12日号)
2020年東京五輪の開催が決まったことは、非常に良かった。招致運動に関わった方々すべての努力の賜物だと、心からお祝い申し上げたい。招致活動は野田政権から行っていた。それを安倍政権が引き継ぎ、頑張っていただいた。まさに関係者が全員野球で勝利を勝ち取ったといえる。
私は、1964年の東京五輪のときは、地元・三重の小学生だった。「東洋の魔女」と呼ばれたバレーボール全日本女子が、ソ連との全勝対決を制して優勝し、感動したのを覚えている。教室にテレビが持ち込まれ、授業中に五輪観戦した記憶もある。
五輪招致が景気対策になるという見方もあるが、むしろ国中が心理的に明るくなることが大きいだろう。東京五輪を成功させるため、国民の気持ちが1つになれば、日本全体に素晴らしい影響が出てくる。7年後の東京五輪を楽しみにしたい。
消費税率引き上げの是非について、政府が有識者60人から意見を聞く「集中点検会合」が開かれた。慎重に景気情勢などを判断することには、私も異論はない。
ただ、内閣官房参与である米エール大学の浜田宏一名誉教授や、静岡県立大学の本田悦朗教授が「来年4月の増税は見送るべきだ」「毎年1%ずつ引き上げればいい」などと、法律の規定や政府方針に反する発言をしているのは、明らかにおかしい。2人は政府の一員であり、一般の経済学者とは違う。民主党時代なら「政府内がバラバラ」などと自民党やマスコミが厳しく批判しただろう。
経済指標を見る限り、来年4月の消費税増税を見送る理由はない。世論調査は増税に否定的だが、1000兆円を超える国の借金について聞くと、多くの国民は「心配だ」と答える。14年度政府予算の概算要求額が過去最大になったという報道もあった。財政規律を守るためにも、安倍首相は国民を説得する努力をすべきではないか。
さて、米国が国連安保理の決議抜きで、シリアに対する軍事介入を目指している。もちろん、日本は武力行使の当事者ではないが、外交の基本的姿勢が問われている。
過去に、国連決議なく米国が武力行使に踏み切ったのはコソボ紛争とイラク戦争だ。コソボ紛争では、NATO(北大西洋条約機構)の合意でユーゴスラビアへの空爆が行われ、日本政府は「人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられた措置であったと理解している」とした。イラク戦争では、当時の小泉純一郎首相がいち早く「支持する」としたが、その後、根拠とされた大量破壊兵器が存在しなかったことが明らかになった。
日本政府は今回、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したかどうか、少なくとも国連の調査結果を待つべきだ。米国にもきちんとした証拠を示すよう要求する必要がある。イラクの二の舞は避けなければならない。
シリア攻撃や消費税増税への対応を考えるためにも、国会を開いて国民の前で議論すべきだ。10月15日といわれる臨時国会召集では間に合わない。閉会中審査でもいい。安倍自民党は早急に国会での議論に応じてもらいたい。 (民主党衆院議員)