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2013.09.26|夕刊フジ

安倍首相は国会での質疑に応じよ 汚染水問題には説明責任がある(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年9月26日号)

TBS系ドラマ「半沢直樹」の最終回の平均視聴率は42・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)に達したそうだ。瞬間最高は46・7%だった。実は、私も初回ともう1回を除いて、録画などしてすべて見た。同僚議員の間でも「あれは面白いね」と話題になっていた。

「半沢直樹」はリアルな経済ドラマではない。絶体絶命のピンチに陥るたびに協力者が出てきたり、上戸彩さん演じる理想の夫人がいたり…。視聴者は「あり得ない」と思いつつ、水戸黄門のような痛快なファンタジーを求めたのだろう。

最終回は私も見たが、香川照之さんの大和田常務が取締役として残ったのは理解できなかった。堺雅人さんの半沢が証券会社への出向を通告されて終わるのにも違和感があった。映画化か次回ドラマを意識した演出かもしれないが、「これは…」と感じてしまった。

さて、24日の野党幹事長・書記局長会談で、民主党、みんなの党、共産党、生活の党、社民党の5党は、東京電力福島第1原発の汚染水問題や、消費税増税と経済対策、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などを議論するため、政府・与党が来月15日召集で調整している臨時国会の前倒しを求めることで一致した。

汚染水が海に流出しているのは事実だ。太平洋に混ざれば希釈され、安倍晋三首相がいう「安全な数値」になるだろうが、確実に放射性物質は蓄積されていく。国民も海外も懸念している。安倍首相は「私が責任者」「国が前面に出る」などと述べているが、国民の税金をどこまで投入すべきかという根本的な議論もある。真摯に受け止めて、説明責任を果たしてほしい。

来年4月からの消費税増税にあたり、政府が5兆円規模の経済対策を打つといった報道も流れている。増税が経済にマイナスの影響を与えるのは事実であり、景気の腰折れを防ぐため、一時的な経済対策は必要だ。しかし、消費税を財源にして、恒久的な法人税減税や公共事業を行うようなことは認められない。

消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」は、持続可能な財政運営を行い、社会保障を安定・充実させていくために、民主党政権が苦しい思いをして取り組んだ。衆参ねじれのなか「国の未来に責任を持とう」と、民主、自民、公明3党の合意にこぎ着けた。

ところが、安倍首相の発言や報道を見る限り、一時的な経済対策では収まりそうにない。消費税増税を財源にして、花咲かじいさんのように法人税減税や公共事業にバラまくつもりなのか。これでは、国民に対してウソをついたことになる。プライマリーバランス(基礎的財政収支)の2020年度黒字化も絵に描いたモチだ。

国連総会や東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議など、安倍首相の外交日程が立て込んでいるのは理解する。ただ、国民の大きな関心事について、首相がテレビ番組だけで一方的に話すのはどうか。

国会を早急に開き、国民の前で質疑に応じるのが最低限の責任のはずだ。 (民主党衆院議員)




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