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2013.11.07|夕刊フジ

日本版NSC、外務省と二元外交の危険性(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年11月7日号)

 東北楽天ゴールデンイーグルスが、球団創設9年目で初の日本シリーズ優勝を果たした。私は野村克也監督時代から、楽天を応援してきた。第7戦は帰宅後にテレビ観戦したが、マー君こと田中将大投手が9回のマウンドを三振で締めくくった瞬間、胸に熱いものを感じた。

 マー君は、レギュラーシーズンから神懸かり的だった。間違いなく、日本球界の伝説になった。このほか、シーズン中不調だった美馬学投手が巨人相手に無失点で2勝したり、新人の則本昂大投手が連日堂々のピッチングを披露したり、とんでもない力が働いた気がする。

 東日本大震災でご苦労されている東北の方々にとっては、何よりのプレゼントになったのではないか。マー君が大リーグで活躍する姿を見たい気もするが、もう少し、楽天で頑張ってほしいとも思う。正直、複雑な気持ちでいる。

 さて、臨時国会では、特定秘密保護法案と、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案が大きな焦点となっている。

 特定秘密保護法案については、重要な情報があまりにも外に漏れてしまう日本の現状からみて、私も法律の必要性は認めている。ただ、国会での議論を聞いていると、特定秘密の範囲があいまいなうえ、行政機関が恣意的に指定する恐れがある。政府の運用次第ということでは危うい。どういう法案修正が必要なのか、政府は真剣に議論に応じてほしい。

 日本版NSC設置法案も、官邸主導で外交や安全保障、危機管理に即応していく、という考え方は理解できる。民主党政権時代も、関係閣僚が集まって頻繁に議論したが、官邸の事務局体制が十分でなかったことは否定できない。

 ただ、制度設計を慎重にしなければ、外務省とNSCによる二元外交などの心配もある。米国でも、国務長官と大統領補佐官(国家安全保障担当)は、その権限や役割分担をめぐって、しばしば緊張関係となり、話題になる。NSCを設置したから、すべての問題が解決するわけではないことを指摘しておきたい。

 菅義偉官房長官が4日、東京電力福島第1原発事故への対応について「そろそろ結論を出さなければいけない時期だ」と語り、政府の関与を強める考えを示した。言葉はいいが、重要なのは具体的に何をするかだ。

 政府が口を挟むことで、現場が混乱する可能性もある。法的な位置づけや役割分担をしっかりしないと、責任の所在が不明確になりかねない。税金を投入するとなればなおさらで、「東電が現状のままでいいのか」という議論にもなる。

 菅氏は「民主党政権は政府関与なしで東電に対応させる道を選んだ」とも述べ、わが党を批判しているようにも聞こえた。だが、われわれはあらゆるケースを検討して、当時としては最善のものとして、現在のスキームをつくった。それを変えるのであれば、現在の政府として、具体的にどうするのかを国民に説明すべきだろう。 (民主党衆院議員)




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