特定秘密保護法案 維新・みんなも共闘、慎重審議を要求へ(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年12月5日号)
中国が突如、東シナ海上空に防空識別圏を設定したことには驚いた。世界各国も防空圏を設定しているとはいえ、事前に何の協議もなく、沖縄県・尖閣諸島などを含む広い範囲に、一方的に設置するやり方には非常に問題がある。
防空識別圏の定義が、国際常識と異なっていることも異様だ。
中国は、防空圏内を飛ぶ航空機に対し、自国の領空でもないのに、飛行計画の提出や、国防省の指示に従うことを義務付けた。従わない場合、中国軍が「防衛的緊急措置」をとるという。日中の防空圏が重なっている部分で、偶発的な衝突が起きるリスクが飛躍的に高まったといえる。
これまで先進国を中心に認められてきた国際的ルールを、中国が自国の都合のいいように変更しようというのは、世界の秩序に対する挑戦といえる。日本や韓国だけでなく、世界にとっても重大な問題と考えるべきだ。
中国もこのような発表をすれば、大きな緊張を生むことは分かっているはず。やはり、国内の不安定な状況、政府が軍を抑えきれない事態となっているのではないか。こちらの方も気になる。
さて、私は先週、沖縄県を訪問して仲井真弘多知事と会談した。この席で、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題について「埋め立て申請は、適切な時期に判断していただきたい」と話してきた。具体的時期や判断内容には触れなかったが、民主党は「移設先は辺野古しかない」としており、私の意図することは伝わったはずだ。
辺野古移設に対する沖縄県民の気持ちは理解できる。民主党政権が県外移設への期待を高めたのも事実だ。ただ、私は外相時代、普天間の危険性除去と沖縄の負担軽減という観点で徹底検討した。その結果、日米間で「辺野古移設」で合意し、信念を持って共同文書を作成した。
現状のまま、辺野古移設に反対し続ければ、結果的に、世界で最も危険とされる普天間飛行場はそのままだ。日本を取り巻く環境を考えれば、日米同盟も極めて重要といえる。関係者の方々には、どうかご理解をお願いしたい。
今回の沖縄訪問で、仲井真知事や市町村長から、民主党時代に成立した基地跡地利用の法律や一括交付金などが高く評価された。全日空が那覇空港を貨物のハブ空港にしたり、数次ビザや格安航空会社(LCC)の就航で国内外の観光客が増えるなど、「元気な沖縄」が実現しつつある。人口が増え、失業率も低くなっている。こうしたことに民主党政権が一役立てたことをうれしく思う。
さて、与党は特定秘密保護法案について、国会会期末の週内に成立させる構えを見せている。
こうしたなか、民主党など野党7党は3日、緊急集会を国会内で開き、同法案の慎重審議を求めた。この中に、衆院で与党と修正合意した、日本維新の会と、みんなの党が参加していることの意味は大きい。多くの国民が懸念する重要法案であるだけに、与党には慎重な対応を求めたい。(民主党衆院議員)