平成26年1月31日 第186回国会 衆議院予算委員会「外交密約、特定秘密保護法、歴史認識、選挙制度改革」
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
長妻委員に引き続いて、総理にお尋ねしたいと思います。
まず、外交密約の件について少し認識をお聞きしたいと思っています。
この外交密約の問題は、私が外務大臣のときに、四つの密約ということで取り組みました。その中で、きょうは、核の持ち込み密約について取り上げたいというふうに考えております。
この核の持ち込み密約というのは、核兵器を搭載した艦船や航空機が日本に寄港する、そのことについて議論されたものであります。(パネルを示す)下の方に、アメリカのライシャワー元大使が、もちろん現職のときにはそういうことはおっしゃっていないんですが、やめた後、毎日新聞のインタビューに答えて、こういうふうに言っているわけであります。
「われわれにとって、」つまりアメリカ側にとって、イントロダクション、これは持ち込みというふうに日本では訳されるんですが、「イントロダクションとは、その核兵器を陸揚げし設置することを意味しました。 他方、日本での「モチコミ」とは、日本の領海内に核兵器を単に持ってくるという意味にとっていました」、こういう食い違いが存在したわけであります。
中曽根さんの総理当時の答弁、これはライシャワー元大使の後、昭和五十九年でありますが、参議院予算委員会において、「一時寄港あるいは領海通過も事前協議の対象であり、もし核兵器を持っておれば断る、それは一貫しております。」こういう答弁をされています。これは、中曽根総理だけではなくて、歴代総理が同趣旨の答弁をされてきたということであります。
密約調査で外務省の中を徹底的に調査したところ、決定的な証拠が出てまいりました。それがこれで、これは外務省のホームページで公開しておりますので、ぜひ、これは表紙だけつけてありますが、全体、御関心がある方はごらんいただきたいと思います。
ここで書いてあることは、日米の食い違いがある、しかしこれはいかんともしがたいんだ、したがって、このまま放置していくしかないという趣旨のことが書いてあるわけであります。
そこで、そのときに、これは昭和四十三年ですけれども、当時の総理大臣が佐藤栄作総理で、肩のところに、佐藤総理御閲読済みと書いてあります。その前には、三木外務大臣も御閲読済みであると。それが一回きりではなくて、歴代総理に対して、この紙を使って、あるいは口頭で、ずっと説明してきたということが明らかになっております。
例えば、実は、ここには中曽根総理と安倍外務大臣というのもあるんですけれども、海部総理まで、この紙に基づいて、現物を見せたかあるいは口頭でか、説明をしてきたということが明らかになっているわけであります。
私は、この密約調査の中でも申し上げたんですが、こういう食い違いがあったことがわかっていて答弁をしてきたということについて、一方的に批判するつもりはない。それは、当時の政治的な状況なども考えて、いろいろな苦渋の決断だった面もあるというふうには考えるんですが、しかし同時に、国会において、あるいは国民に対して、明らかに間違ったこと、あるいはうそと言われても仕方のないことを歴代の総理大臣が答弁してきたことは、これは私は重大ではないかというふうに思うわけであります。
このことについて総理はどういうふうにお考えか、御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、この文書を拝見させていただきました。私、この文書は、岡田当時外務大臣によってこうした文書が表に出た後に拝見したことがございますが、私は、官房長官あるいは総理としては拝見したことはないし、説明は受けていないわけでございます。
これはどうしてかなと思ったんですが、別に私が信頼されていないというわけではなくて、九一年に、当時、お父さんのブッシュ大統領の時代に、いわば戦術核の海洋配備をやめましたから、基本的に、こういう持ち込まれる可能性というものは、その可能性自体がなくなったということによって、その後、説明がなくなったんだろうと。しかし、私はそれは問題だと思っていますが。
これは、今、岡田委員が御指摘のように、これを決めた当時の状況、日本を守るために必要であったという判断の中において、しかし、なかなか国内でこれが理解し得るかどうかという中における判断だったんだろうとは思いますが、それをそのままずっと、国民にそのことを示さずに来たのは、これはやはり私は間違いだった、このように思うわけでございます。
○岡田委員 今、総理から間違いだったというお話がありましたが、特に九〇年以降、アメリカの核政策が変わって、総理おっしゃるように、戦術核について艦船や航空機に積むということがないということになった後、それでもなおかつ同じ答弁を繰り返してきたということについて、やはりそれはきちっとけじめをつける必要が私はあると思うんです。
これは自民党政権の時代の話です。今それを一方的に私は批判しようとは思いませんが、しかし、国会で、あるいは国民に対して、明らかに違うことを言ってきたということについて、きちんと内閣として、つまり、我々民主党政権がやるのもおかしな話ですから、それは、自民党政権に戻られたわけですから、きちんとした内閣の見解を私は出されるべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 この問題について政府としてどう考えているかということについては、お示しさせていただきたいと思います。
○岡田委員 総理から御答弁いただきましたので、それを待ちたいと思います。私は、これはやはり国民に対する政府あるいは政治の信頼の問題だと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
その上で、総理は、特定秘密保護法の審議の中で、この法律があればこのような密約の問題は起こらないというふうに国会答弁をされています、十二月四日、参議院ですけれども。これはどういう意味なんでしょうか。総理大臣が事実に反することを言う、そういうことがある以上は、幾ら法律があっても、特定秘密保護法があったとしても、それは防げないことではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 それは、例えば特定秘密に該当する秘密があって、それが歴代受け継がれているという中にあれば、それは総理大臣として把握をするという立場に、この新しい法律によって、なるわけでございます。ということは、その時々の総理大臣がそういう判断ができる、こういうことになるわけだろうと思います。
そうでない場合は、今までの場合は、これが、今、特定秘密になるかどうかということをにわかに申し上げることはできませんが、もし特定秘密に指定されるようなものに当たるものが書類としてあるのであれば、そしてそれが政権の代を継いで引き継がれているものであれば、それは当然、総理大臣として、こういうものがありますという説明を受けるわけでありまして、当然それは、もう既に解除する必要があるという判断は総理大臣としてできるわけでありますし、五年ごとにそれはそういう判断のときが来るわけでありますから、当然そういうことは起こり得ない、こういうことになるのではないかと思います。
○岡田委員 これは先ほどの、九〇年代になってアメリカの政策が変わった後も、総理大臣は何人も国会で、アメリカが協議してこない以上、ないと、それは過去のことについて聞かれて、そういうことを答えておられるわけです。非常に有名なのは森総理と不破共産党委員長との党首討論、これは何回も行われまして、そのときに、恐らく森元総理もちゃんと説明は聞いていたと思うんです。知らなかったということは、私はあり得ないと思うんです。
ですから、やはりそれは、総理大臣が場合によってはこれは隠すということになれば、幾ら法律をつくったってだめなんですね。そのことをまずしっかりと考えておかないと、法律をつくったから全部うまくいくというものではないと思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 森政権時代、私は官房副長官でありましたが、これには当時の森総理のサインはないわけでありまして、森総理がこの説明を受けていなかった可能性の方が私は高いと思いますし、私は官房副長官でありましたが、もちろん、そういう説明は一切受けていないわけでありますが、これは今までの答弁にのっとって答弁をするということだったんだろう、こう思うわけであります。
いずれにせよ、今までは、秘密のあり方については、今ある特別管理秘密もそうですが、防衛秘密もそうですが、日米の協定による秘密もそうですが、総理大臣がその秘密の全体像を把握しているわけではありません。しかし、今後は、その全体像を把握して、諮問会議に年に一回報告をするという義務を負うわけでありますから、ここは当然大きく変わってくるんだろう、こう思うわけでございます。
これは核にかかわる話でありますから、その書類については、当然、これは特定秘密になる可能性というのもあるんだろうと思いますが、それは当然、総理大臣が責任を持ってしっかりと見ていくということになるわけでありますし、当然、政権が交代になれば、民主党政権において、新しい総理大臣であり、官房長官であり、それをしっかりと見ていくということになるわけであります。
先般の政権交代の際には、それがなかったことによって、岡田外務大臣がそういう委員会をつくって調べられたんだろうと思いますが、今後は、この法律にのっとって、もしそれが特定秘密に指定されていれば、当然それを把握することになっていくんだろう、このように思います。
○岡田委員 私は、森元総理個人を取り上げるつもりはないんですけれども、あのときの議論というのは、アメリカ側の資料のコピーを示しての議論で、全く知らなかったということはあり得ないし、少なくとも総理大臣として、調べろと言う責任はあったと思います。恐らく、現実には、外務当局はきちんと説明をした上でああいう答弁になったんだと思うんですね。ですから、制度が変わったから常に大丈夫だということではないということは申し上げておきたいと思います。
もう一つ、総理、総理は特定秘密保護法について、知る権利は奪われないとか、それから、この前の自民党大会でも、知る権利が侵害されることはありませんとか、非常に強く断言されていますね。私は非常に違和感を感じる表現なんですね。
この法律をつくったことで一定の知る権利というのは制限を受け得るという前提で、やはりきちんと国民に説明すべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今でも、外務省には外交秘密がありますね。特別管理秘密もありますし、防衛秘密もありますし、そして、今でも、日米の協定に基づく秘密については、これは情報を漏えいすれば十年という厳しい刑があるわけであります。今でもそれは既にあるわけですよ。
これに加えて、例えば今、私は、機密、暗号を知りたいと言っても、それは教えるわけにはいきませんよ。そういう意味においては、知る権利といっても、暗号を知りたいといっても、それはお教えするわけにはいきませんねということになるわけであります。例えばまた、当然、衛星写真についても、それはお示しするわけにはいきません。また、あるいは、外国の情報機関から提供された、サードパーティールールで提供されたルールについて示してくださいと言われても、これはお示しすることはできません。
そういう意味においての知る権利ということについては、これはある程度制限されるわけでありますが、何をもって知る権利ということかということなんだろうと思うわけであります。
まず、報道の自由については、これは全く制約されることはないわけでありまして、いわばこの秘密をとるために、例えばその当該の課長なりを、おまえの娘をひどい目に遭わせるぞとか言って、おどかしてとったら、これは罰せられるということになるわけであります。あるいはまた、特定の国からお金をたくさんもらって、このお金で誰々を買収して、脅迫して、秘密をとってこいと言って、その国に渡せば、これは罪になるわけでありまして、これは新しく罰せられるようになるわけでございます。
いわば事実上のスパイ行為として罰せられるようになるわけでありますが、通常の取材活動において取得したものについて、これが罰せられるということは基本的にないわけであります。だって、今までも、それぞれ公務員法違反になるわけですから、取材においてそれをいわば法令に反してとった場合、それは今までだって罰せられるわけでありますが、そこが今までと大きく変わることはないということは明確にしておきたいと思います。
むしろそうしたルールがきっちりとしていくわけでありまして、我々は誰から情報を守っているかといえば、それはテロリストであり、スパイであり、工作員なんですね。一般の国民から守るとか、あるいはジャーナリストから守るということではないんですよ。
この法律の相手は、あくまでもそういう人々から情報を保全していくということであるということを、それは国民の命を守ったりあるいは国益を守るためのものであるということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
○岡田委員 結局、総理の御認識なのか説明の仕方なのかわかりませんが、私は、知る権利というのは、やはり国家としてどうしても守らなければならない秘密というものがある以上、制限を受け得る、そういう前提で国民にきちんと丁寧に説明されるべきだと思うんですね。それを、知る権利は一切害されることはありませんと。それでは丁寧に説明したことにならないじゃありませんか。そして、それでは理解も進んでいかないと思うんですね。
今度のこの法律の中でも、例えば情報収集の手法とか暗号とか、そんなものは六十年たっても公開しないことはあり得るということになっていますね。これだって、ある意味での制約ですよ、知る権利の。
ですから、どういう場合について、こういったことで国家としては知る権利を制限せざるを得ないということを丁寧に説明することで国民の理解を得るということがないと、いや、もう絶対大丈夫です、一切害されることはありません、そういう説明が、ある意味では非常に疑念を招いている。
やはり、そこはバランスの中で、国家として秘密を守らなければいけないということと国民の知る権利、そこのバランスの問題であるということをきちんとまず説明された上で、この法案について政府の立場を御説明になるべきではなかったかと私は思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 私も今のような説明をずっとしてきたわけでありますが、この説明で、何でも知ることができると思った人は、私は誰もいないと思いますよ。ですから、私は、こういう説明を常にしてきたつもりであります。
今までも秘密があったということは申し上げているわけでありまして、それはどういうものであるかということは申し上げてきましたし、特別管理秘密の中の、中身はどれぐらいのものであるか、中身は例えば、衛星情報が九割ですよ、あと暗号があって、そして武器等にかかわる秘密がありますよ、それが実はほとんどですよという説明をしてきたわけであります。
これは、今までこういう情報は政府が公開してきていなかったわけでありますから、この際しっかりとそういうことを公開していくべきだという考え方のもとに、そういう御説明を繰り返してきたつもりであります。
○岡田委員 私も総理の議事録は全部読みましたけれども、そして、総理はもっと丁寧に自分が説明すべきだったということも言われているわけですから、やはり説明が私は十分じゃなかったんだと思うんですよ。総理御自身も認めておられるわけですね。
そこで、第三者機関、つまり情報保全監察室、仮称でありますが、これを内閣府に設置するということになっております。
私が非常に違和感を覚えるのは、これがどうして第三者機関なのか、それから、独立性というのはどういうふうに担保されているのかということなんですが、御説明いただけますか。
○森国務大臣 法律の附則九条におきまして、独立した監査する機関を置くというふうになっておるのです。これを、施行までに、仮称でありますけれども情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定等をチェックすることとしております。これは、内閣府に置かれます。
ですから、例えば、防衛大臣が指定した防衛秘密、外務大臣が指定した外務上の特定秘密の指定について、そこと独立した公正な立場で特定秘密の指定をチェックするというものでございます。
○岡田委員 まず、第三者機関というのは、当事者の外にあるというのが普通の第三者機関だと思うんですね。政府の中にあって、それが第三者機関というのは、私はちょっと、第三者機関で政府の中にあるものというのは聞いたことがないんですね。
それから、独立性についても、内閣府にあるからほかの役所と独立しているということですが、内閣の中ではこれは一つじゃないですか。
そして、例えば、総理にお聞きしますけれども、内閣官房の長というのは総理ですよね、違いますか。総理なんですよ。ですから、総理が基本的には特定秘密を指定する、そういう立場にあるわけです。内閣府も総理なんですね。ですから、そこは共通しているわけですよ。決して独立じゃないですよね。
内閣官房の恐らく特定秘密になるであろうという秘密は、非常にたくさんのものが想定されます。もちろん、衛星写真だけではなくて、内閣情報調査室の情報もあります。あるいは、これから日本版NSCをつくるということであれば、その事務局である国家安全保障局の情報もあります。膨大な情報が内閣官房にあるわけですね。
それを、同じ総理をトップにいただく内閣府で、独立して中身をチェックできるんですか。
○安倍内閣総理大臣 第三者機関といっても政府内ではないかというお話なんですが、しかし、例えば、今まで、外務省のものであれば外務省だけで判断をしていたわけですね。防衛省であれば防衛省だけだったわけですよ。新たにこうしたものがつくられるのは、特定秘密で初めてそれはつくられるわけでありますから、これはやはり大きな違いが私はあると思いますよ。
そこで、総理大臣である私というのは、国民によって選ばれた国会議員から選ばれて、いわば政府を率いる立場として、正しく行政機関が秘密に指定しているかどうかということを国民の代表としても見る。もちろん政府の代表でもあるわけでありますが、国民によって選ばれた国会議員の代表としても見るわけであります。
そして、それは、政権もかわるわけですから、正しかったかどうかというのは、後々必ずその検証を受けるわけであります。
そこで、私が果たしてそれを全部見られるかということでありますが、先ほども申し上げましたように、特別管理秘密については、九〇%以上が衛星写真であって、さらに暗号があって、そして武器。潜水艦については、例えばスクリューの形状あるいは厚さ等々も含めて、細かい秘密がたくさん、幾つもあるわけです。そして、それをコピーすればそれは一件一件ふえていくわけでありますから、それを全部足し込んでいっての四十二、三万件ということになるわけでありますが、ほとんどが防衛秘密と言ってもいいんだろうと思います。
内閣官房においてもそれはほとんど衛星と言ってもいいんだろうと思うわけでありまして、そしてその上において、カテゴリーをいわばしっかりと分けていく中において、これはしっかりと見ていくもの、あるいはこういうカテゴリーになっているんだなというものもあるわけでありますから、その中で、私は十分に把握が可能であろうと。
それは、例えば外国の情報機関から提供されていて、つまりサードパーティールールで外に出せないものというのもあるでしょうし、それ以外の、テロから守るためにこういうことをしていますよというカテゴリー……(発言する者あり)外野からやじらないでください、真剣に議論しているんですから。
ということをしっかりと私たちは、見ていくことは十分に可能なんだろうと、このように思います。
○岡田委員 総理御自身が最終的な担保になっているという御答弁だと思うんですけれども、やはりこの法律の本質というのは、権力というものが時には国民にとって暴走したりその権利を侵害するということでつくられている法律でもあると思うんですね。その権力の頂点が総理大臣ですから、私は、総理が見ているから大丈夫だというのは、それは説明になっていないと思うんですね。
先ほどの密約の話だって、歴代総理が事実に反する答弁も平気でしてきたという歴史もあるじゃないですか。ですから、そこはもう少し独立した、あるいは第三者の入ったような、そういう機関構成にする必要があるんじゃないかというふうに思います。
二十名と言われましたよね。今言われているのは、体制が二十名。私、二十名でちゃんとチェックできるとはとても思えないわけですよ。
私は、外務大臣のときに、古い、三十年たった外交資料を公開するというルールをつくって、今は、聞きますと、外務省では常勤、非常勤を入れて六十六人体制でやっていると。過去三十年以上たったものを順次公開しているんですけれども、四年間で一万四千件、一生懸命やったけれども、それだけしかできなかった。
そういうことを考えると、とても私は、二十人で本当に中身にわたってチェックできるとは思えませんし、それから、総理がその中の大事なものを見るといったって、お忙しい中でそんなことができるとはとても思えないんですね。だから、もうちょっと現実的な姿にして見せないと、結局、形だけじゃないかということになるんじゃないでしょうか。
○森国務大臣 附則九条の、独立した公正な立場による監査機関についての御議論でございますけれども、諸外国の例を参考にしてつくっていくということを御答弁申し上げてきたところでございますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、どの国も、政府から外にチェック機関があるということはございません。
これはどうしてかと申しますと、やはり国家機密の性質上、大変機微な情報があるということで、その中で、情報保全監督局、これは米国にあります、それから省庁間上訴委員会もございます。こういったものは、米国でも、大統領が全て委員を任命したりしております。
総理大臣は日本では行政機関全てのトップでございますから、それは総理大臣がどこも関与しているわけではございますけれども、その中で、公正性を保ってチェックしていく仕組みをつくっております。
なお、政府と違う第三者の立場の目が入るという点では、有識者会議、諮問会議を立ち上げておりまして、そこで基準をしっかりと決めていく仕組みとなっております。
○岡田委員 有識者というのは、中身を見ないわけですね。
それから、私の質問に答えていないんですけれども、二十名で本当にできるんですか、中身をちゃんと見るのなら。私は、とてもできないと思いますよ。だから、できないことをやりますと言っているのは、私は、誠実ではないと思うんです。全部ちゃんと見るような印象を与えて、そして二十名でやるというのは、私はそれは違うと思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 例えば、官邸について、恐らく特定秘密に指定されるものは、ほとんど衛星写真です。ほとんどと言っていいと思います。例えば、内閣府については、果たしてそれに該当するものがどれくらいあるだろうかということではないか、このように思いますよ。そしてまた、例えば、国交省、国土地理院、これはほぼ一〇〇%は衛星写真であります。もちろん、防衛省のものは防衛秘密であります。外務省においては、外交秘密が全て特定秘密になるわけではありませんから、そのほんの一部ですね。一部であります。
であれば、そもそも、重要なものについて、カテゴリーとしてちゃんと分けていって、私自身が中身までよく読んでおく必要があるものがありますね。衛星写真というのは解像度そのものが秘密でありますから、あるいは暗号もそうでしょうし、武器に関するものは一々私が見る必要は、私はないと思っていますけれども、それ以外については、これはある程度、カテゴリーに分けていく中において十分把握していくことは可能だろう。もちろん私一人ではできませんから、それを補佐するスタッフがいれば、それは可能だろう。
しかも、今まではそれはないんですから、今までなかったものを新たにつくるんですから、つまり、事態としては今よりも当然よくなるんだろう、このように思いますよ。
○岡田委員 総理、ごまかさないでいただきたいんですが、今までよりよくなるだろうという話をしているんじゃなくて、総理がそれを全部チェックするかのごとくおっしゃるから、それは無理ですよと私は言っているわけです。
今、内閣官房の話をされましたが、内閣官房だって、さっき言った国家安全保障局もできますよね。ここにやはり特定秘密に属するものがかなり集まるはずですよ。それから、内調はどうですか。これはテロに関する情報も入っていますよね。内調の情報にかなりそういうものが私は入ってくるはずだというふうに思うんですよ。
ですから、そこはよく現実的に考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、歴史認識についてお話ししたいと思います。
私は、この問題は、いつも申し上げるんですが、別に海外に言われたからどうのこうのという問題ではなくて、やはり日本国自身の、あるいは日本国民自身の問題だというふうに考えております。
そこで、まず総理にお尋ねしたいのは、この村山談話にある、我が国は、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、それについて、歴史の事実を謙虚に受けとめて反省の意をあらわすと。これが、私は、村山談話の一番コアの部分だというふうに思うわけです。
実は、これは、村山談話だけではありません。戦後、村山談話は五十年ですが、六十年のときの小泉談話もほぼ同じ文言を踏襲しています。この植民地支配とか侵略といったことについて、総理が果たしてそこまでお認めになっているのかどうかというのは、今までの国会のやりとりの中ではっきりしないんですね。それを疑っている人もいる。そうであれば、やはりこういうことも、植民地支配や侵略も含めて村山談話を受け継いでいますということを明言された方が私はいいと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 歴史認識については、累次申し上げてきたとおりでありまして、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきました。その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
戦後、我が国は、その深刻な反省の上に立って、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家として歩んできました。その歩みは今後も変わらないということでありまして、安倍内閣として、今、岡田さんがおっしゃったように、侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけであります。
そしてまた、累次申し上げてきたように、基本的には、歴史認識については、歴史家に任せるべきであろうというのが私の考え方であります。
○岡田委員 従来と同じ御答弁なんですが、つまり、最初のところで、植民地支配とか侵略ということを飛ばして必ず言われるんですね。それで、後で、否定したことは一度もないと。
これは総理のパターンなんですが、しかし、この村山談話は、植民地支配、侵略によって、とりわけアジアの国々に多大の損害と苦痛を与えたということを明言しているわけです。そこの部分、どうして総理は最初のところの植民地支配と侵略というのを飛ばして言われるんですか。そのことが、何か違う考えを持っているんじゃないか、そういう疑念を招いているわけですね。そこはちゃんとおっしゃった方が私はいいと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 ですから、ただいま申し上げましたように、侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけでありまして、我が国が、植民地支配や、あるいは侵略をしていない、こういう否定をしたことは一度もないわけであります。
ですから、これは再々、繰り返しになりますが、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
一方、戦後、我が国は、この深刻な反省の上に立って、自由で、民主的な、そしてしっかりと基本的人権を守る国をつくってきた、法の支配をたっとぶ国をつくってきたわけでありまして、平和の道をひたすら歩んでいった、この歩みは決して変わることはない、これはもう再三申し上げてきたとおりでございます。
○岡田委員 総理はおっしゃらないんですよね。これは本当にわずかなところというふうに総理は思われているかもしれませんが、私は非常に損していると思うんですよね。植民地支配や侵略も含めて、きちっと村山談話、小泉談話を引き継ぎますというふうに言われれば済む話じゃないかというふうに思うんです。そこをもって、いや、考え方が違うというふうに言われているとすれば、それは極めて残念なことだと私は思うんですね。
では、菅談話というのがあります。
これは、政権交代した二〇〇九年、まあ二〇一〇年なんですが、日韓の併合条約、その百年だったんですね。それに当たって、当時の菅総理が出した談話であります。
基本的には村山談話、小泉談話を踏襲しているわけですけれども、この中で、これは韓国に絞った談話なんですけれども、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられました、こういう表現になっているわけです。
この菅談話については、総理は引き継がれるおつもりですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、安倍内閣の立場は、かつての国々、特にアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきました。その認識においては、安倍内閣としても、歴代の内閣の立場を引き継いでいるということでありまして、その中において、戦後、我が国は、その深刻な反省の上に立って、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたって平和国家としての歩みを歩んできた、その歩みにおいては今後も一切変わることはない、こういうことでございます。
○岡田委員 今の答弁がよくわからないんですけれども、結局、この菅談話について、総理は引き継いでおられるのかどうか。村山談話については、全体として引き継ぐということは言われているわけですね。では、菅談話についてはどうなのかということをお聞きしているわけです。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今、内閣としての立場については申し上げてきたとおりでありまして、いわば歴史認識ということについては、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識において、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えであるということは、再々申し上げてきたとおりであります。
○岡田委員 そうすると、今言われた範囲で菅談話も、歴代内閣と言われましたから、引き継がれている、こういうことですか。
○安倍内閣総理大臣 累次申し上げてきているとおりであります。
その上に立って、日本は、深刻な反省の上に立って、我々は、戦後、民主主義、そして自由をたっとび、そして法の支配をたっとび、基本的人権を守り、平和な国をつくり上げてきたわけでありまして、この戦後の六十八年の歩みは今後も変わることがない、こういうことでございます。
○岡田委員 日韓関係、なかなか難しいところがあります。もちろん、我々にも主張が当然ある。今の韓国の政府に対しても言いたいことはあるし、それは当然、言うべきことは言わなければならないと思います。
しかし、そういう中で、今までの歴代内閣がさまざまな努力を積み重ねてきた。先ほどの村山談話、小泉談話だけじゃなくて、日韓関係でいえば、一番大きな一つの結節点になったのが、小渕政権時代の小渕総理と金大中大統領による日韓共同宣言、ここにあらゆることが私は言い尽くされているというふうに思うんですね。
にもかかわらず、結局、そのことがきちんとした、これから未来志向でいこうということになっていないその理由は、もちろん韓国側にもあるんですが、日本側も、今まで出してきたいろいろな談話について、それを否定するような発言が、場合によっては閣僚も含めて相次ぐものですから、結局、苦労してこういうものをつくっても、それが意味がないというか、それを口実にして、また議論が振り出しに戻ってしまう。
総理のおっしゃった、この菅談話についてもそうですし、村山談話の植民地支配のところについてもそうなんですが、結局そういうことになってしまっているんじゃないかということを私は非常に懸念しているわけですよ。
今までの歴代政権が努力をしてなし遂げてきたことを、しっかりそのまま全て受け入れて、その上で未来志向の考え方に持っていくということでなければならないと思うんですが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、私どもも日韓関係は大切だと思っておりますし、最も大切なこの隣国関係を、そして基本的価値を共有する国でありますから、何とか関係を発展させていきたい、こう考えているところでございまして、対話のドアは常に開いている、こういうことを申し上げているわけでございます。
もちろん、歴代の内閣がそれぞれ努力をしてきているわけであります。しかし一方、課題もありますから、課題を解決していく。それは、かつて菅内閣において菅談話を出された。しかし、民主党政権下において韓国の大統領が竹島に上陸をしたことは、極めて遺憾なことでもありました。
こういう問題、課題があるからこそ、私は、いわば両国の首脳は胸襟を開いて、会って話をするべきだ、こういうことを申し上げているわけでございますので、韓国側にもぜひそういう姿勢をとっていただきたい、こう思っている次第でございます。
○岡田委員 私も、十二月の二十日過ぎだったと思いますが、韓国に参りまして、旧知の政治家やマスコミの方々と議論してまいりました。私の主張は、無条件で首脳会談をやるべきだということで話をしてまいりました。韓国側にも、メディアも含めていろいろな、そのときには少しやり過ぎじゃないか、そういう報道もなされたりして、私は少し変わってきたという印象を受けました。外交当局も随分努力されていたと思います。でも、その直後に総理が靖国神社に行かれたことで、もう一回これがゼロベースに戻ってしまったと思うんですね。
その総理の靖国神社参拝について、少し議論をしたいというふうに思うんです。
私は、一つはやはりA級戦犯を神として合祀しているということと、それから靖国神社のさきの戦争に対する戦争観、この二つがやはりネックになっているというふうに思うんです。
まず、靖国神社にある遊就館では、大東亜戦争について、自存自衛の戦争でありアジア解放の戦争であったというふうに言っています。それから、遊就館で一日六回上映されている映画、「私たちは忘れない」。私はインターネットでしか見ていませんので中身はわからないんですが、その宣伝の中で、日本参戦をしかけた米国の陰謀、日本は苦渋の開戦決断へ、日本を侵略国として断罪した東京裁判の不当性を暴き、戦犯の無念を振り返る、これが遊就館で上映されている映画の宣伝文句なんですね。
遊就館というのは靖国神社の一部でありますから、そういう考え方をしている神社に内閣総理大臣が行くということは、私は非常に誤解を招きかねないんじゃないかというふうに思うんですね。もちろん、遺族の皆さんが、それぞれの親族、亡くなった親族に対して靖国神社に行かれること、これはもちろん当然のことだというふうに思うんですが、内閣総理大臣というお立場でそういう考え方を持っている神社に行くということについて、問題があるというふうにお考えになりませんか。
○安倍内閣総理大臣 私は、遊就館に行ったわけではありません。靖国神社にお参りをしたわけでありますし、また、鎮霊社にもお参りをしたわけでありまして、いわば国のためにとうとい命を犠牲にされた方々に対して尊崇の念を表し、そしてみたま安かれなれと手を合わせたわけであります。
これは、各国の指導者の姿勢にも共通するんだろうと。国のために命をかけて戦った、そして倒れた人々に対して手を合わせる、そしてみたま安かれなれと祈るという気持ちは、これは世界各国のリーダーの共通の姿勢だろうと思います。
また、私は、世界の全ての戦場で倒れた人々が祭られている鎮霊社にもお参りをしたわけであります。二度と戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくっていくという意味において、決意を込めて不戦の誓いをしたところでございます。
それが、私が参拝した思いの全てでございまして、決して韓国や中国の人々を傷つけよう、そういう気持ちはないということは、参拝をしてこられた歴代の首相と全く同じであるということも申し上げておきたい、このように思うところでございます。
○岡田委員 遊就館と靖国神社というのは、全く別物なんですか。やはりそれは、遊就館というのは靖国神社の敷地の中にあって、それは私は基本的に一心同体だと思いますよ。そして、そこでそういう主張をしているということをどう考えるか。少なくとも、いろいろな人が外から見たときにどういうふうに受け取るかということだと思います。
例えば、アーリントン墓地。総理は、アーリントン墓地と靖国神社を並べて言われましたが、それは全く違いますよね。アーリントン墓地は、墓地です。そして、靖国神社は、全体、それはA級戦犯を含む戦争で亡くなった方々、あるいはその関係の方々を神として祭っているんです。そこは全然違うんです。そこをきちんと踏まえないと非常に誤解を招いてしまうということだと思います。
A級戦犯についても少し議論したいと思うんですが、これは総理と何度か、官房長官とか第一次安倍内閣でやっていますので、確認ですが、A級戦犯で赦免、減刑ということがありました。
実は、これは政府の、質問主意書に対する答弁なんですが、A級戦犯の方で赦免された方はいない、十名の方が減刑されたというのが正しい理解だというふうに思うわけですが、そのことと、それから、東条英機元首相を初め七名の死刑執行された方や獄中死した五名の方は、当然この赦免、減刑の対象にはなっていないということですが、それはそういう認識でよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 かつて、私、官房長官時代に、岡田議員とこの件について議論させていただいたわけでありますが、その際に私は大橋法務総裁の発言を引いたわけであります。
大橋法務総裁は、我が国がサンフランシスコ平和条約第十一条によって極東国際軍事裁判を受諾し、今後は日本政府が刑を執行することになるとしつつ、この条約において日本政府に許されている赦免、減刑、仮出獄等に関する関係国政府に対する勧告権を行使して、戦争犯罪者の早期釈放に向けて、できる限りの努力をしていきたいという旨、衆議院法務委員会で述べておられるわけでございます。
その後、この件について委員とお話をさせていただいた際、これを私が引いてお話をさせていただいたわけでございますが、その際、岡田委員から、今のお話ですが、確かに赦免、減刑あるいは仮出獄ということは認めておりました、しかし、赦免というのは、そのもとになった東京裁判の判決そのものを無効にするものなんですか、そういうふうに聞こえますよということでございましたので、それに対して私は、これは減刑等、赦免、減刑ということで言っていたわけでありますが、岡田委員から赦免ということで言われたものでありますから、十一条において書いてあったことを述べたわけでありまして、手続に沿ってその人たちを赦免した、これは赦免ではなくていわば減刑であったわけでございますが、そういう気持ちで答えたということでございます。
○岡田委員 当時、もう十年ぐらい前になりますから、お互い知識が若干不十分なまま議論していたところがあったかもしれませんが、結論は、先ほど私が申し上げたようなことだと思います。
そして、中には、赦免、減刑をもって、既に刑が執行された東条英機元首相を初め七名の方も含めて、何か、刑に問われたことが、効力がなくなってしまったというふうに誤解する方もいらっしゃいますが、それはそういうことではなくて、その刑は、死刑執行でそこで終わっているということもよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 これは、いわば、いわゆるA級戦犯の人々だけではなくて、サンフランシスコ平和条約の十一条によっては、これは内外全ての裁判について定められたものでございますが、海外では約九百人近くの方々が処刑されたわけでございまして、数千人の方々が獄につながれたわけであります。
当時の解釈としては、平和条約が締結をされた段階においては、将来に向かって戦争裁判の効力は失われるというのが多数説でありました。しかし、今は、人道に対する罪ということ等が確立をされておりますので、その概念は事実上なくなっているわけでありますが、当時はそういう考え方の中において議論もなされていたということではないか、このように思います。
○岡田委員 基本的に、刑としては確定したということで、そこは誤解が結構あるということ。私は、いろいろな誤解に基づいた議論が相当なされていると思いますので、ここで少し確認をさせていただいたわけです。
さて、総理、靖国に行かれたことで、アメリカが、失望したというコメントをいたしましたよね。このことをどういうふうに受けとめておられますか。
私は、どうして、日米同盟がスタートして以来、異例のこの厳しい表現が出てきたかということは、それはやはりきちんと受けとめなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 日米同盟関係においては、まさに日本の外交、安全保障の基本でありますから、これが揺らぐことがあってはならないし、今揺らいでいるわけでは全くないということは申し上げておきたい、こう思いますが、この靖国参拝については、米国側にも私の真意をしっかりと説明していきたい、こう考えているところであります。
○岡田委員 これは外務省の調査、アメリカの会社に委託した調査なんですが、私は、ちょっとやはり気になるんですよね。
これは、過去五年間をとりました。二〇〇九年時点では、これは一月の調査ですから、麻生政権のときの調査なんですね。鳩山政権、菅政権、野田政権、安倍政権と。安倍総理のときは、これは七―八月であります。もちろん、このころには慰安婦をめぐる他党の発言もありましたので、別に安倍総理のせいでこうなったというふうに私は言うつもりはありませんが、かなり下がってきているわけであります。
特に、日米間の協力関係を一般的に言ってどう思うか、これが一番気になるんですが、極めて良好と良好を足したものが、七〇%以上だったものが五八%にがくっと落ちている。
これは、アメリカの一般の方々の意見なんですけれども、日本を見る目というものが少し変化してきたのかもしれない。そこのところはやはり相当慎重に受けとめておかないと私はまずいんじゃないかというふうに思いますが、何か御感想はありますか。
○岸田国務大臣 御指摘の米国における世論調査でありますが、お示しいただきました資料のような数字、こうした変化があるのは事実でございますが、同じ調査における、この二〇一三年の調査の質問項目としまして、日本は信頼できる友邦であると考えるかという質問がありますが、この質問に対しましては、二〇一三年の時点におきましても、一般の部で、信頼できる七六%、有識者の部、信頼できる九三%、こういった数字も示されています。
こうした世論調査の結果につきましては、今後ともしっかり注視していきたいと考えておりますが、現時点では、日米関係、日米同盟は揺るぎないものであると認識をしております。
○岡田委員 今大臣が言われた数字は、前年も同じぐらいの数字なんですね。ですから、それは変わっていないということなんですが、こういう変わったものもある。やはりそこはもう少しちゃんと受けとめた方がいいんじゃないかということを私は申し上げておきたいと思います。
次に、集団的自衛権などについて少し議論したいと思います。
まず、総理にお尋ねしますが、総理は、国際協調主義に基づく積極的平和主義ということを言われています。この積極的平和主義における集団的自衛権の位置づけというものはどうなっているんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 我が国を取り巻く環境は、安全保障環境はますます厳しさを増している中において、脅威は容易に国境を越えてくるわけでありまして、もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることができない、この認識の中において、国際社会と協力して地域や世界の平和を確保していくことが不可欠である、まずこういう時代認識であります。
我が国としては、この中において、この時代認識のもとに、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定に寄与していくことによって、我が国の平和とそして国益を守っていくというのが積極的平和主義でありますが、集団的自衛権については、こうした状況にふさわしい対応を可能とするよう、安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識のもとに、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討を行っているわけでありまして、我々は、この結果を、まずは懇談会の議論を待ちたい、こう思っているわけであります。
今、岡田委員の御質問において、積極的平和主義というのは、日本一国において日本の平和と安全と繁栄を守ることができないという、この認識を持って国際社会に貢献をしていく、同時に、いわば今申し上げましたような、その認識の中において、我々にできないことがあるのであれば、それは果たして本当にできないのかどうかということを検討していくということで、今懇談会において検討しているということでございます。
○岡田委員 私は、国際協調主義ということとそれから日米同盟に基づく集団的自衛権の行使というものが、もちろん一致する場合もありますが、お互い矛盾し合う場合もある、そういうことについてどう整理するのかということがきちんと説明されなければならないと思うんですね。
外務省や総理御自身も言われているんですが、いろいろな国に行って、積極的平和主義が評価された、評価された、こう言っておられるんですが、そのときに集団的自衛権というのは多分説明されていないんじゃないかと思うんですね。
ですから、非常に重要なパーツを説明せずに、評価されたと言って誇るというのは、私には非常に理解しがたいことだということを申し上げておきたいと思います。
もう時間が非常になくなりましたので、先ほど野田総務会長が選挙制度について言われましたので、このことについて御質問したいと思います。
総理も、あるいは野田委員も言われましたが、結局、我々野党と、野党も全部じゃありませんが、野党と、そして与党との違いは、小選挙区のところをこれ以上さわらないのか、さわるのかというところにおいて決定的な意見の違いがあるわけです。
先ほど野田委員も言っておられたように、もうこれ以上小選挙区はさわれない、五つ減らしたからこれでいいというふうに与党の方はお考えであります。もし違ったのであれば言っていただきたいんですが。
そして、私たちは、一つはやはり一票の格差の問題、最高裁からも指摘をされている。今のこの五減案では一・九九八です。この前の国勢調査で一・九九八ですから、事実上はもう二倍を超えている可能性が極めて高い。それから、この一票の格差の問題は、二倍以内ならいいんだということじゃなくて、やはりもう少し縮めていく努力が要るじゃないか。そのためには、やはり小選挙区ももう少し手を入れなきゃいけない。そして、小選挙区の数も減らし、比例も減らすことで、全体を減らせばいい。
それを、小選挙区をいじらずに比例だけで数を減らそうとするから、いびつな、二つの枠に分けて、私は違憲の疑いが非常に濃いと思いますけれども、第一党に投票した人の権利が、全体の中の八十議席については、五十議席ですか、これは生きてこない、こういうことになっているわけであります。
やはり小選挙区についてももう少し手を入れるということについて、総理はどうお考えですか。そのことを言っていただければ、私はかなり歩み寄れる余地はあると思うんですね。
○安倍内閣総理大臣 まさに民主主義の土俵をつくっていくのが選挙制度なんだろう、このように思います。
その中において、定数の是正ということにおいて言えば、〇増五減について、これは最高裁においても評価されているところや、高裁においても評価されているところがあるわけでございます。
そして同時に、定数の削減ということについては、我々、消費税を上げていく中において、みずからも身を切る必要があるという認識のもとに、定数の削減に取り組まなければならないということでありまして、そこで、私たちが出した案が、比例を三十削減する。これは、国会議員の中において、その土俵をどうするかというのは相当、常になかなか議論がまとまらないというのは、かつて二十年前に岡田委員も自民党におられて、それがなかなかまとまらなくて党が割れたという過去があるわけでございます。
ですから、現実的に、まず着地点を考えていくことも我々政治の責任ではないか。つまり、我々は、我々の案をぜひ軸に議論をしていただきたい、こう思っているところでございます。
○岡田委員 小選挙区はこれ以上手を入れないという前提で第三者に投げても、これは第三者も困っちゃいますよね。もう比例のところの数をどうするかという話しか残らないわけですから。
ですから、小選挙区についても手を入れるということはやはりお認めいただいた上で具体的中身を議論していくということでなければ、私は、第三者に投げたって結局同じだと思いますよ。時間がたつだけですよ。それで、一・九九八の格差は残るということになるわけですから、そこはよくお考えいただきたいと思います。
終わります。
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