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2014.02.20|夕刊フジ

国のかたちを大きく変えかねない「集団的自衛権問題」(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年2月20日号)

 ソチ冬季五輪で日本人選手が大活躍している。

 フィギュアスケート男子では、19歳の羽生結弦選手が今大会日本初の金メダルを獲得した。ショートプログラムで世界歴代最高の101・45点を叩き出し、フリーでも最後まであきらめない演技で世界中の人々をひきつけた。私もテレビで見たが、実に感動的だった。

 羽生選手は、東日本大震災で仙台市の自宅が被災し、避難所生活を経験した。今回の金メダルは、どれだけ被災地の方々を勇気付けたことだろう。五輪特有のプレッシャーの中でよく頑張った。本人の努力のたまものであることはもちろんだが、やはり天才のなせる業なのだろう。

 ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒルでは、41歳の葛西紀明選手が銀メダルを獲得した。冬季五輪日本選手最年長のメダリストだという。銅メダルに輝いた選手が「自分が生まれる前から、葛西選手は飛んでいる」と語っていたが、まさに「レジェンド」「中年の星」だった。

 葛西選手は7度目の五輪ながら、個人種目の表彰台に立ったことがなかった。さまざまな苦難を乗り越えての銀メダル。「また目標ができた。金メダルを目指して頑張りたい」と語っていたが、世界中のアスリートの目標となるはずだ。

 さて、先日、衆院予算委員会で集団的自衛権の問題について、安倍晋三首相と議論した。

 私は、日本国憲法9条の根幹とは「日本は海外で武力行使はしない」ことだと考えている。憲法解釈を変えて集団的自衛権を認めることは、方針を大転換することになるため、首相の認識と論理を問いただしたのだ。

 ところが、首相は「現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)で議論している」といい、曖昧な答弁に終始した。

 もう1つ、集団的自衛権を解釈改憲で全面的に認めるつもりなのか、集団的自衛権に分類される行為の一部を認めるつもりかも詰めた。集団的自衛権を憲法上全面的に認めて、具体的に何をするかは個々の法律で決めていくことになれば、「憲法9条の意味」を無くしてしまいかねない。これに対しても、首相の真意はよく分からなかった。

 私は、集団的自衛権を頭からすべて否定するものではない。安全保障環境が変化するなかで、安倍首相が「国民の生命、財産を守るために、これはぜひとも必要だ」と考えるならば、どういうケースについて、どういう論理で集団的自衛権の行使を認めるのか。前線に出る自衛隊員の生命・身体にも関わる重大事だ。国会で徹底的に議論して、国民に深く理解してもらうことが不可欠だと考えている。

 集団的自衛権の問題は、日本の国のかたちを大きく変えかねない。近く、改めて安倍首相と真剣に議論したいと思う。(民主党衆院議員)




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