渡辺代表は説明責任果たすべきだ 8億円使途と返却資金の原資(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年4月3日号)
私は3月20日から22日まで、中国・上海を訪問し、日本企業の現地責任者や、中国の起業家の方々と意見交換をしてきた。日本人学校や資生堂の工場なども視察してきた。日中間の政治対話が途絶えているなか、中国の空気に触れて、経済や民間交流などにどんな影響が出ているかを調べるためだ。
中国は、沖縄県・尖閣諸島周辺で公船を領海侵犯させたり、尖閣を含む東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定したり、日本としては決して認められないことを続けている。日本国内には「嫌中感」も出てきており、一般の中国国民の感情も気になった。
訪問前は厳しい予想をしていたが、見事に裏切られた。
ある日本人駐在員は「(2012年9月の)尖閣国有化後から2、3カ月は大変だったが、現在では(業績は)戻っている。中国では中間層が拡大しており、ビジネスは伸びている。日本で限られたマーケットを相手にするより、やりがいがある」と語っていた。
日中間の経済関係はさらに深まっており、この大きな流れは変えようがないということだった。
私は、中国人起業家の1人に「江沢民時代から始まった、反日の『愛国教育』の影響はないのか?」と聞いてみた。彼は「私も愛国教育を受けたが、家に帰れば日本のアニメに夢中になっていましたよ」と笑っていた。現に、上海では現在、日本旅行が再ブームになっているという。
上海に本社がある格安航空会社(LCC)「春秋航空」のナンバー2の女性経営者とも会談した。同社は2004年に設立され、現在、上海と茨城、佐賀、高松、関西空港間で、定期チャーター便や定期便を就航させている。元々は旅行会社だったという。
同社が就航している日本の空港は、大都市や観光地に近いが、使用料が安いなど、戦略的に選ばれていた。その女性経営者は「ビジネスに役立つ方を紹介してください」と自ら「陳情」するなど、バイタリティーにあふれていた。上海では、国有企業ではない企業がいくつも成長しており、新鮮さを感じた。
日中間には譲れない一線はあるが、お互いになくてはならない存在といえる。大局を見据えて、より広い視線で両国関係を考えていく大切さを痛感した。現地の日本人学校では約3000人が学んでいる。こうした生徒・児童たちが、安心して勉学に励み、将来の日中の懸け橋になってほしいと思った。
さて、みんなの党の渡辺喜美代表が、化粧品会社会長から8億円を借り入れていた問題が連日報じられている。会長は「選挙のために貸した」といい、渡辺氏は「個人として借りた」と反論するなど、主張が真っ向から食い違っている。
渡辺氏が「選挙資金や政治資金として使っていない」というなら、大金を何に使ったのかを具体的に説明すべきだ。約2億5000万円は返却したと言うが、その返却資金の原資も説明しなければならない。
みんなの党は公党であり、渡辺氏はその代表である。有権者の素朴な疑問に答える、責任を果たしてほしい。 (民主党衆院議員)