中国には「封じ込め」より「関与」 オバマ大統領のメッセージ(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年5月1日号)
オバマ米大統領が先週、国賓として来日した。
最大の懸案とされたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉については、事前に大筋合意という見方もあったが、先送りされた。オバマ氏には想定外だったのではないか。論点は整理されてきたとは思うが、11月の米中間選挙が近づけば、合意はさらに遠のく。
日本がこれからも経済成長していくには、広範囲にわたる経済連携協定を締結し、自由貿易を推進することが必要だ。早期に日米間で合意したうえで、参加国全体の合意に結びつけるよう努力してほしい。
安全保障分野では、オバマ氏が安倍晋三首相との共同記者会見で、「(沖縄県)尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲」と明言した。民主党政権時代に、クリントン国務長官から同様の発言があって以降、米国政府の公式見解だが、米大統領としては初めてだ。尖閣周辺海域に、連日公船を侵入させている中国への一定の牽制になるだろう。
ただ、オバマ氏は中国について、関与政策の重要性も語っていた。安倍首相の掲げる「価値観外交」は見方によって「中国封じ込め」にも見える。オバマ氏は「それは適当ではない」という認識を示したといえる。
オバマ氏は先月、ミシェル夫人と子供たちを中国に約1週間も滞在させている。中国との関係についても重視していることは明らかだ。
民主主義国ではない中国が、大国として力を発揮してきた現実を受け止めつつ、世界のルールにいかに従わせていくか。そのためには、封じ込めや孤立化ではなく、関与させることが必要だ。
オバマ氏は「日中間には懸案事項があるが大局的に対応すべきだ」と、安倍首相にメッセージを送ったのではないか。
さて、私は最近、地元・三重で「座談会」という20~40人のミニ集会を週末ごとに開いている。誰でも参加でき、自由に発言できるもので、1カ所が約1時間、1日6カ所程度を回っている。
質疑応答では地元に関する陳情・要望は少なく、集団的自衛権や原発問題、年金制度、財政赤字など、国のあり方についての意見や質問を投げかけてくれる人が多い。多くが年配の方々だが、若い人が年金制度の将来などを質問してくれると刺激になる。ぜひ、もっと参加してほしい。
落選中の全国の前議員の地元も回っているが、同じような傾向だ。一時の強烈な民主党批判は少なくなり、「しっかりしろ!」という激励が目立ってきた。安倍首相の危うさや、他の野党の現状を見ての発言だろう。
前回衆院選から約1年半、そろそろ、民主党が国民の期待にしっかり応える存在にならないといけない。民主党にとって、残された時間はそう長くはない。 (民主党衆院議員)