平成26年7月14日 第186回国会 衆議院予算委員会 集中審議「武力行使との一本化、集団的自衛権、集団安全保障」
○岡田委員 岡田克也です。
総理、ちょっと通告した順番を変えて、まず、武力行使との一体化について少し議論したいというふうに思っています。
今回の閣議決定の中で、この武力行使との一体化、余りここでも議論されていないものですから取り上げるんですけれども、従来は、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施されている活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる、そういう地域に限って支援活動ができる、基本的にそういう考え方でやってまいりました。今回は、現に戦闘行為を行っている現場ではない場所では支援活動ができる、こういう中身であります。
そこで、法制局長官にお聞きしたいと思いますが、従来「地域」と言っていたのが、今回は「現場」ということになっています。私は、現場というのは、かなり狭い概念かなと、地域と比べると相当狭い印象を受けるんですが、ここはいかがでしょうか。
○横畠政府参考人 一般的な用語の意味内容として、現場よりも地域の方が広いものを指しているというふうに理解はしております。
○岡田委員 私は、かなり狭いという印象を受けるわけですが、もう一つ、「現に」というのが最初に来ますね。この「現に」というのはどういう意味かということであります。
例えば、ゲリラ的な攻撃が予想されているそういう場所とか、あるいは断続的に戦闘行為が行われているそういう場所も、現に戦闘行為が行われていなければ、その間を縫って支援活動をすることが可能である、そういうふうにも考えられますが、法制局長官、そういう解釈でいいんでしょうか。
○横畠政府参考人 この一体化の考え方でございますけれども、ちょっと前提を御説明させていただきたいと思います。
いわゆる、他国の武力の行使との一体化の考え方は、我が国が行う他国の軍隊に対する補給、輸送等、それ自体は直接武力の行使を行う活動ではないが、他の者が行う武力の行使への関与の密接性などから、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るというものであり、そのような武力の行使と評価される活動を我が国が行うことは憲法第九条により許されないという考え方でありますが、これはいわば憲法上の判断に関する当然の事理を述べたものであると考えております。
今般の閣議決定は、そのような考え方を変えるものではございません。その前提を維持した上で、これまでは、自衛隊が活動する範囲を、およそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切るという枠組みを採用していたわけですけれども、この点を見直しまして、我が国の支援活動の対象となる他国軍隊が現に戦闘行為を行っている現場、別の言い方、一般的に申し上げれば戦場と言っていいのかもしれませんけれども、もちろん、断続的、継続的、一時休止みたいなものがあるかもしれませんけれども、これは常識的な意味におきまして、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動は実施しない。これによって、一体化の問題は基本的に回避できるであろうと。
仮に、状況変化によって、我が国が支援活動を実施している場所が現に戦闘行為を行っている現場となる場合には、直ちにそこで実施している支援活動を休止または中断する、そういう考え方によっても、まさに他国の武力の行使との一体化の問題は回避することができるという整理をいたしまして、その考え方に従って法整備を進めるというものであると理解しております。
○岡田委員 支援活動をやっていて、そこが戦闘行為が行われる現場になったら急に支援活動をやめるというのは、現実的に可能なのかどうかですね。むしろ、それぐらいなら最初からやってもらわない方がいいというぐらいの話ではないかというふうにも思いますが、いずれにしても、現に戦闘行為を行っている現場ということで、かなり範囲を狭められたということですから、それだけ行動する自衛隊員に対するリスクは高まったということは言えると思うんですね。
先ほど来の海江田代表の話ではありませんが、幸いにして、今まで、こういった形で自衛隊の皆さんが命を落とすということはなかった。しかし、今後そのリスクは高まるということは言えると思うんですね。それがないとは絶対言えないというふうに思うんです。
そこのところ、総理、どういうふうにお考えですか。当然そのリスクは高まるというふうにお考えだと思いますが、いかがですか。総理のお考えを聞きたいと思います。
○小野寺国務大臣 自衛隊の件でございます。
当然、今後さまざまな任務を付与されるということになると思いますが、私どもとしては、自衛隊の任務遂行に当たりまして、当該任務に従事する、任務をきちっと遂行するということは、例えば輸送業務やあるいはさまざまな補給業務に合わせて、その任務に当たる自衛官の安全を考慮するということも当然重要だと思っております。
私どもとしては、各幕僚の監部の軍事的見地からの補佐を含めて、全体的にしっかりとした任務が遂行できるかどうか、常にそのことを総合的に判断して対応していくことはもちろんのことだと思っております。
○岡田委員 そのことは当然だし、必要なことだと私も考えております。
ただ、総理の今までのさまざまな国会での答弁やあるいは記者会見での答弁で、自衛隊員に対するリスクが高まるということに対して、一度もお答えになっていないんですね、まともに。一度もお答えになっていないんですよ。違う答弁に常にすりかえておられるわけです。だから、私は、一度総理の覚悟を聞いておきたいんですよ、ここで。やはり、このことは自衛隊の皆さんに対して当然その生命のリスクを高めることであるということはきちっと認めた上で必要性について議論していかないと、そこを総理が答弁でいつも逃げられるのは、私は非常に残念に思っているわけです。
総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 今回の非戦闘地域と現場という議論については法制局長官から答弁をさせていただいたところでございますが、一体化論の中で、いわば一体化するかしないかというのは、これは憲法との関係において自衛隊の活動を縛る議論でございまして、他方、自衛隊員の安全を確保した上において自衛隊員を送るというのは、これは別の観点の問題であります。
今、私たちは、既にさまざまなPKO活動等々を経験してきた結果、もう一度これは再整理、およそ一体化をしないという範囲を大きくとっていたわけでありますが、これはもう少し小さくしていっても憲法との関係における一体化においてはそれはいいのだろうという解釈をしたわけであります。
一方、今、岡田委員がしておられるのは、自衛隊員に対する危険性ということなんだろう、このように思うわけであります。自衛隊員においては、まさにPKO活動というのは、これは常に、PKO活動あるいは集団安全保障措置における後方支援の活動において活動する場合ですね。これはPKOではなくて、集団安全保障措置の中における後方支援の活動の中においてですね。これは当然、その中において、かつての非戦闘地域においても、これも全く危険がないというわけではないわけでありますが、今回の現場と今までの非戦闘地域の違いは、基本的には、現に戦闘が行われていないということでは同じでありますが、その活動期間中ずっと行われているかどうかということについては違うわけであります。
しかし、今までの議論の中で、その予測が果たして本当に可能かということについては相当議論があったのは事実であろう、このように思うわけでありまして、我々はむしろその中で活動をしてきたわけでございますが、今回、もう一度それを現状に合わせて、今までの経験、あるいはまた国会での議論を踏まえた上で整理をした、こういうことでございまして、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊部隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもない、このように思うわけでありまして、これは憲法論議とは別の議論であるということは申し上げておきたい、このように思うわけであります。
そしてまた、もしそうでないという状況になって、すぐに帰れるかどうかという御議論でございますが、これはPKO法においても、それはそういう状況ではなくなればすぐに引き揚げるということになっているということを申し添えておきたいと思います。
○岡田委員 今、憲法論議と分けて言われたんですが、これは実質的には表裏一体だと思うんですね。
ですから、例えば、イラクの例でいえば、イラク特措法のもとで自衛隊はサマワに出ました。しかし、この考え方、新しい考え方に基づけば、場合によっては、戦闘行為が行われていなければ、ファルージャにだってバグダッドにだって、その町中にだって行くということですよね。ですから当然リスクは高まるんですよ。そのリスクが高まるということを総理がきちっとお認めにならないと、いろいろ今言われましたけれども、関係ないことばかりじゃないですか。
やはり、自衛隊の皆さんに対して、そういうリスクがあるけれども、だけれどもこういうことで必要なんだという説明を総理みずからがすべきだということを言っているわけですよ。それなしにごまかして、何か変わらないような言い方をされるのが私は非常に気になるんですね。
私だって、今までは少し安全を見過ぎている、そういう考え方はありますよ。だから、一体化について見直すことについて反対しているわけじゃありませんよ。だけれども、こんなに狭めてしまって本当に大丈夫なのか。私は心配ですし、それは心配ないというのなら、総理からそのことをきちっと説明してくださいよ。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、サマワでの活動は、これは後方支援ではなくて復興支援であるという
ことは改めて申し上げておきたい、このように思います。その中において、安全確保がなされてい
るということで、サマワに行ったわけであります。
今この解釈を変更したとしても、あのときのファルージャは現に戦闘行為を行っていたわけでありますから、ファルージャに行くということは当然考えられないわけでありまして、あそこではまさに米軍の戦闘部隊が戦闘行為を繰り返していたわけでありますから、そこに行くということはないわけであります。
どちらにしろ、水、食料の補給をするというのは、戦場にそのまま持っていくということは基本的には考えられないわけでございまして、いわば後方地域にそれは持っていくわけでございます。
つまり、戦闘活動に一緒に行動するオペレーションそのものに入っているわけではなくて、まさに、補給等々を、医療活動を担当するわけでございます。例えば、医療においてはそれは顕著だろう、このように思うわけでございまして、その中において憲法との関係を整理させていただいた、こういうことでございます。
○岡田委員 私は、自衛隊の皆さんのリスクが高まるということをきちんと認めた上で、その必要性について総理みずからが国民の前で説明すべきだということを何度も聞いているわけですが、総理はお答えにならないわけですね。
私、もう一回午後に聞きますが、これはやはり、かなりのことをやろうとしているんですよ。現に戦闘行為を行っている現場以外はいいということは、先ほど言ったみたいに、断続的に戦闘行為が行われているところにも、読み方によっては出せるということですからね。そういうことについて、やはりきちんと説明しなきゃいけないということを申し上げているわけです。
○安倍内閣総理大臣 まず、今議論をしていることは、これは集団的自衛権の議論とは違うということはまず申し上げておかないと、世の中で誤解されるということがあってはならないと思います。これは、集団的自衛権の議論ではなくて、集団安全保障における後方支援の概念として、一体化論の中で、今まで非戦闘地域という概念を持っていたものを、戦闘現場という概念に変えたということであります。
それは今まで、我々、PKO活動でありますから多少形は違いますが、そうしたものへの経験の中において、一体化論、今までは少し広くとり過ぎていたという問題が一点と、そして、これはまさに、どこが広いかといえば、期間において、今現在ではなくて、先に対しても、それは戦闘地域にならないということが、現在の中では果たしてそれが本当にあるのかどうかということはさんざん議論されてきたところであろうと思うわけでありまして、そこで、むしろ憲法の概念としての整理、憲法との関係における整理をして、総理として整理をして、これをいわば、将来にわたっての地域ではなくて、現に戦闘が行われているところには行かないということでありますから、今、岡田委員が指摘をされたように、現在戦闘行動をしているところに行くという危険というのは、これはないのは明確であろう、こういうことを申し上げておきたいと思います。
○岡田委員 いや、現に戦闘行為を行っているところに行くなんて私は言っていませんよ。そういうふうには書いていないじゃないですか。
それからもう一つ、総理、多分勘違いしておられますが、この武力行使との一体化というのは集団安全保障だけじゃないです。例えば、周辺事態法でも当然そういう議論をしましたよね。ですから、集団安全保障の話だけじゃないということは申し上げておきたいと思います。
そこで、それではその集団安全保障について、まず法制局長官にお聞きしたいと思いますが、先ほどの新三条件、これを満たした場合の国連の集団安全保障活動に自衛隊が参加をすることは、これは現行憲法上は可能であるというふうにお考えなんだろうと思うんですが、その点の確認であります。
○横畠政府参考人 今回の新三要件のもとで、憲法上一定の武力の行使を認められるということになるわけでございますけれども、その根拠は、先ほどもお答えしたとおり、国際法上の正当事由といいますか根拠があるということによるものではなく、憲法自身の考え方によるものでございます。
その意味で、新三要件のもとで許される武力の行使につきまして、国際法上の違法性阻却事由がいずれであるかということは直接は関係がないということでございまして、仮に、途中で国際法上の根拠が切りかわったような場合におきましても、それによって憲法上の根拠が失われる、すなわち、新三要件のもとで許される武力の行使を中断しなければならないということにはならないとい
うふうに解しております。
○岡田委員 もうちょっと端的にお答えいただきたいんですよ。
ですから、国際法上あるいは国連憲章上、違法性が阻却されている安保理決議に基づく国連の例えば多国籍軍への派遣とかあるいは国連軍への派遣、こういうことがあった場合に、今までは日本 は、それに参加をして武力行使をするということは、これは認めてこなかったということでありますけれども、それは憲法九条の制約があるということだったわけですけれども、今回、新三条件を満たせば、それは憲法九条の制約はなくなって、日本はそれに参加をすることが新三条件を満たす限りは可能である、そういう考え方でいいですねということを聞いているわけです。
○横畠政府参考人 法理上の整理は先ほどお答えしたとおりでございますが、御指摘の、国連安保理決議に基づきまして、例えば一定の制裁措置のような武力の行使を伴う活動が許容されるといたしましても、我が国がそれに参加できるということになるわけではございませんで、あくまでも、この新三要件を満たす限りにおきまして自衛の措置としての武力の行使が許される、そういう関係にございますので、御指摘のような、安保理決議に基づく武力の行使を伴う活動にそのまま参加できるということになるという関係ではないと理解しております。
○岡田委員 私の聞いたことにちゃんと答えていないんですね。
ですから、新三条件を満たす場合の話を私はしているわけです。そのときに憲法上の制約はないということになりますねということを言っているわけです。
これは当然のことだと思いますが、どうなんですか。
○横畠政府参考人 失礼いたしました。法理上は、そのとおりでございます。
○岡田委員 ここは太田大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、山口代表は、記者会見の中で、集団安全保障措置について、憲法に合致したものは憲法に基づいて行うというのが政府の基本方針だ、今法制局長官が言われたようなことだと思うんですが、基本方針だとした上で、これを重視して今後も議論していきたいということで、はっきりとは記者会見で述べられなかったんですが、太田大臣は、ここはいかがなんでしょうか。
今の法制局長官と同じような考え方、つまり、憲法上は、新三要件を満たせば、武力行使も含めて、正当なる、国連憲章に基づく、何といいますか、国連決議がある行為について、法理上は、それは参加することが可能である、そういう考え方でよろしいんでしょうか。
○太田国務大臣 あくまで新三要件ということを厳密に判断してということだと思います。
○安倍内閣総理大臣 先ほど来答弁させていただいておりますが、例えば、個別的自衛権を行使していて、そして国連決議があって、それが集団安全保障措置と変わった場合において、今まで個別的自衛権として武力行使を行っていますが、そうなったら武力行使をやめるということは当然これはないわけでございまして、この場合は、当然、武力行使は続いていく。いわば、これは我が国事態の場合ですね。これは新三要件においても、それは当てはまっていくんだろう、こういうことでございます。
しかし、他方、イラク戦争とか、先ほど来申し上げておりますように、湾岸戦争等々のケースにおいて、武力行使を目的とした戦闘に参加することは、これは三要件からいって、それは当てはまらないと我々は考えているところでございます。
○岡田委員 ですから、私は、抽象的に、新三要件を満たす場合にはということで議論していて、そこは総理も否定はされていないというふうに思うわけですね。
ただ、最初は、総理は、懇談会の結論、そもそも憲法の制約はないんだと、集団安全保障については。それを退けられた。それだけ見ていると、何か集団的自衛権に参加することはおよそ否定されているように私は思ったわけですけれども……(発言する者あり)集団安全保障ですね、集団安全保障に参加することはおよそ否定されているように思ったんですが、どうもいろいろな議論をしていく中で、最初に、集団的自衛権や個別的自衛権、あった場合に、国連決議があったりしたときに説明できなくなるということも多分あったんだと思いますけれども、新三要件を満たす限りは正当なる集団安全保障には参加できる、そういうふうに変わったんだと思うんですね。そこは確認ですけれども。
○安倍内閣総理大臣 そこのところについては、基本的に私が申し上げてきておりますのは、武力行使を目的として戦闘に参加することはないということでございますが、例えば、これは、空爆をしたり軍隊を送って戦闘行為を行うということはないわけでございます。
しかし、例として、例えば機雷を敷設された場合の掃海、これは国際法上は武力の行使に当たるわけでございますが、このように、受動的、限定的なものについては、これはいわば三要件の中に当てはまる可能性がある、こう考えているわけでございますが、いわば武力行使を目的として戦闘行為そのものに参加をするということについては、これは当然行うことはできないと考えているところでございます。
○岡田委員 総理、機雷を除去することも戦闘行為の一部ですよ、これは。武力行使ですからね。
ですから、総理、たびたび、きょうもおっしゃったんだけれども、イラク戦争や湾岸戦争、参加するようなことは、戦闘行為に参加することはありませんと何度も何度も言っておられるんだけれども、しかし、法理上はそれは可能だということじゃないですか。そこは非常にまた誤解を招いているんですよ、国民の。それはやはり、機雷除去という、そういう限られた行動だと総理はおっしゃるかもしれないけれども、法律上はもっと広く可能だ、しかし三条件は満たしていなければいけない、こういうふうに正確に言うべきじゃないですか。何か、そういったイラク戦争や湾岸戦争には参加しません、戦闘行為には参加しませんというふうに言い切っているのは、私は非常に誤解を招いていると思いますよ。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 重ねて説明させていただきますと、基本的にこの三要件によって判断をするわけであります。
この三要件の中において、当てはまるものもあれば当てはまらないものもあるわけでありますが、その中において、当てはまらないものとして、いわば武力行使を目的として戦闘に参加することはないという中において、湾岸戦争やイラク戦争、あるいはそうしたアフガンでの戦い等々、これは集団安全保障措置もあれば集団的自衛権もまじっておりますが、この中において、いわば部隊を送って、基地を攻撃するとか、戦闘行為をそのままするとかいうことはないわけでございます。
他方、機雷敷設につきましては、これについてはいわば受動的、そして限定的なものであり、いわば機雷敷設から戦闘行為に発展したということは事実上ないわけでございまして、実際に機雷が敷設され、そしてそれを除去していく上においては、それが遺棄機雷となれば、これは危険物の除去になるわけでございますが、しかし、どこかの国がやらなければ、例えば、ホルムズ海峡を八割の原油が通って日本にやってくるわけでありますから、これを掃海することができないわけでありますが、しかし、実際に、この掃海をする船自体は、木でできていたり、あるいは強化プラスチックでできているものでありまして、戦闘そのものを目的としているわけではありませんから、当然、そうした船が、掃海艇が活動できることはかなり限られるわけではございますが、そういう中においても、しかし、この体制としてはシームレスなものにしていく必要があるだろうということで、我々は今議論をしているところでございます。
○岡田委員 かつて湾岸戦争のとき、これは遺棄機雷だったんですけれども、掃海艇を出したことがありましたが、そのとき、掃海艇だけ出したんですか。当然、護衛艦を出していますよね。ですから、先ほどのペルシャ湾の話ですけれども、そういった集団安全保障の中で掃海艇を出して、そしてどこかの国が意図を持って設置した機雷を除去する、これも戦闘行為ですね、お互いに。したがって、それに対して妨害をする、そんな除去されてはたまらないということで妨害をする、あるいは攻撃をするということは起こり得る。当然、自衛隊の護衛艦も、それをほっておいたら攻撃を受けるわけですから、それに対して一定の範囲で応戦もしなきゃいけない。つまり、戦闘行為になる可能性というのは、それは絶対ないとは言えないんじゃないですか。
ですから、機雷の掃海だけ捉えて、いや、こういうことだからこれは別だと、いわば戦闘行為を二つに分けて、勝手に分けて、こっちはいいけれどもこっちはだめだみたいな話というのは、私はよくわからないんですよ。
○小野寺国務大臣 事実関係のみ。掃海艇は出しておりますが、護衛艦は出しておりません。
○安倍内閣総理大臣 つまり、遺棄機雷の除去でありますから、今答弁させていただきましたように、掃海母艦と給油艦のみを出して行っているということであります。
そして、実際、そこで戦闘、あるいは攻撃を受けるような可能性があるところにおいては、掃海活動というのはほとんどできないわけでございまして、私の地元、下関の吉見というところに掃海艇の基地があるわけでありまして、その訓練等も見たわけでございます。これは非常に繊細な作業を行うわけでございます。
つまり、しかし法的には戦闘状況が続いている中に、あるいは法的にはいわば戦闘状況が完全に終わっていないという中において、遺棄機雷とこれは言えないという状況があるかもしれないわけでありまして、そこで安全が確保された際には掃海を行う。
しかし、これは国際法上は武力行使になるわけでありますが、これは極めて受動的なものであり、そしてこれは限定的なものとなるわけでありまして、そこで、まさにそこに攻撃が行われるという状況の中においては、掃海というのは、そもそも、なかなかこれを現在は行えないというふうに我々は考えているところでございます。
○岡田委員 午前はここで終わりますけれども、たびたび総理は、ですから、イラク戦争や湾岸戦争のような、そういうところに行って戦闘行為をするようなことはしないとおっしゃるが、しかし今総理御自身もお認めになったように、機雷の掃海、そういう武力行使はやる、あり得るということですから、そこは非常に、ここも国民に対してちゃんと説明していないと私は思いますよ。
そのことだけ御指摘申し上げて、あとは午後にしたいと思います。
○二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡田克也君。
○岡田委員 まず、質問を再開する前に、午前中の先ほどのやりとりで、国連の集団安全保障措置に対する、新三要件を満たす場合の我が国の対応、参加について非常に重要な御答弁をいただいたと思います。
武力行使というものを、集団安全保障措置については、我が国は、集団的自衛権だけではなくて集団安全保障のときの武力行使も認めてこなかったわけですが、これが、新三要件を満たす場合にはあり得る、こういう答弁だったと私は理解するんですが、これは、明確にするために、考え方を文書で政府に出していただきたいということをまずお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○二階委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○岡田委員 いろいろ答弁をされていますけれども、整合性をとって、きちんとした見解を出していただきたい。これは、この前の閣議決定の中にも出てこない話でありますので、新しい話であります。そうであれば、きちんとした見解を出していただきたいというふうに思います。
その上で、新三要件について少し議論を進めたいと思いますが、先ほど来何度も、午前中議論されているこの三つの要件であります。
ここで、総理は、一番下に書いておきましたが、「今回、新三要件としたところでありますが、基本的な考え方はほとんど変わっていない、表現もほとんど変わっていないと言ってもいいと思います。」こういうふうに記者会見でお述べになっているんですね。
私は、これは全然違うんじゃないかと思うんですね、今までの三要件と。今までは、個別的自衛権について認めたもの、つまり、我が国に対する急迫不正の侵害があったとき、ここには、我が国に対する武力攻撃が発生した場合ということですが、これにプラスして、その下にいろいろ書いてあることについて、集団的自衛権の行使、限定した行使という言い方もできますが、こういうものが新たにつけ加わったわけですから、ほとんど変わっていないというのは、明らかに非常に誤解を招く表現。
それから、表現が変わっていないというのは、表現は全然変わっているわけですから、ここは、やはりかなり変わったんだと。基本的な考え方は、総理は変えていないというふうに御答弁になると思いますが、そのことはそのことでまた議論するとして、しかし、今までの個別的自衛権以外のところを認めるという意味では、やはり変わっているんだということを、まずお認めいただけませんか。
○安倍内閣総理大臣 これは、私の発言としては、「新三要件としたところでありますが、基本的な考え方はほとんど変わっていない、」こう答えているわけであります。この三要件の中で、三番目の、必要最小限度の実力行使にとどまるべき、これは全く同じであります、先ほど北側委員との議論の中でも紹介されたところでございますが。そして、真ん中の、「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るため」、「我が国の存立を全うし、国民を守るため」をつけ加えてはおりますが、他に適当な手段がないということにおいては、これは基本的に変わっていないということでよろしいのではないか、こう思うわけであります。
その上において、当然、私は、この答えをする前に、と同時に、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したということは、もちろんこれは違うけれども、歯どめとして、個別的自衛権の発動の際のいわば三要件としての歯どめの機能と、今回の集団的自衛権に対する歯どめの機能としての考え方としては基本的に変わっていない、こういうことを申し上げたわけでございます。
○岡田委員 総理は、北海道新聞の記者の質問に答えて、ここに書いたようなことを言っておられるんですよ。表現もほとんど変わっていないと言っていいと思いますと。表現は全然違いますからね。やはりそれは、国民に対して非常に誤解を招く表現だというふうに申し上げておきたいと思います。
そこで、国民が何を心配しているかというと、我が国に対する武力攻撃があったとき、これは客観的にかなり明らかであります、日本自身が攻撃を受けるということですから。しかし、次の、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これ以下、我が国の存立が脅かされ、生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、ここのところが非常に抽象的で、かなりいろいろな解釈ができるんじゃないかということを、私もそうですし、国民の中に、つまりどんどんこれが広がってしまうんじゃないかという心配がある、こういうことなんですね。
午前中の議論の中でも、法制局の長官は、我が国が武力攻撃を受けた場合と同等の深刻な影響がある場合と。総理も、同等な深刻な被害がある場合という表現をされたんじゃないかと思うんですが、そういうふうに言われました。つまり、武力攻撃が発生した場合と同等だということなんですね。
では、その同等ということは一体何なのかということで、先ほど午前中も議論になりました、ペルシャ湾に機雷が設置されたときに、石油が日本に入ってこない、これは我が国が直接攻撃を受けたときと同等な被害なんでしょうか。私はかなり違うというふうに思うんですが、いかがですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 新三要件について少し補足をさせていただきますと、いわば旧三要件は、四十七年の政府見解の中にも出て、この四十七年の政府見解から引いているわけでありますが、ここに、「外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」ということについて、これを、この新しい新三要件の中に書いてある、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、これが、新三要件の中ではこういう表現となっているわけでありますから、そういう意味においては、基本的な考え方と表現ぶりにおいては、それほど私は変わらないんだろうというふうに申し上げたところでございます。
それに加えて、いわば、我が国に対する、これはその状況が起こった段階において、実際に三要件に当てはまるかどうか、そして法制局長官から、この三要件においてはどういう状況であるかということについて説明をさせていただいたところでございますが、それはまさに、ホルムズ海峡が機雷封鎖をされる中において、この中における、そのときにおける国際経済状況等、あるいは原油価格の状況、あるいは原油の供給状況、ガスの状況もそうですが、供給状況がどうなっているかということも勘案をする必要があるんだろう、このように思います。
そうした状況が起こったとしても、これは、いわば我が国に対する供給が、もちろん備蓄はありますが、その後の状況、国際的な供給状況がそれほど大きな打撃を受けていないということであれば、もちろんこの三要件にはかかわりがないということなんだろう、このように思うわけでございます。
いわば、そのときの経済状況と、日本の経済に与える打撃、経済に与える打撃によって、これは結果としては、例えば、多くの中小企業等々も相当の被害を受けるということになってくる、いわば、多くの倒産も起こっていき、そして多くの人たちが職を失うという状況にもつながるかもしれないということもあるわけでありますから、そういうものを勘案しながら総合的に判断をしていくということになるんだろうと。
今の段階で個別的にそれを特定することはできないわけでありますが、いずれにいたしましても、この三要件がかかっているというのは、厳しい要件がかかっているのは事実でありますから、これはあくまでも、この要件との関係において判断をしていくということになるんだろうと思います。
○岡田委員 経済的な打撃と、それから我が国に対する直接的な武力攻撃、つまり日本人の命が失われたりするわけですね、これを同列にするということは、私には理解できないんですね。
太田大臣に所管でもありますからお聞きしますが、今言った、日本自身が武力攻撃を受けた場合に匹敵する事態というのは、ホルムズ海峡に機雷がまかれたような場合でどういう場合がそれに匹敵するというふうにお考えですか。そういう場合はあるというふうにお考えですか。
○太田国務大臣 私の直接の所管ではないんですけれども、そこは、その状況の具体的なものというのは相当幅があろうというふうに思いますので、新三要件というものの、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、こうされている、そこからどう判断するかということだと思います。
○岡田委員 要するに、これは日本自身が武力行使するかどうかの判断の基準なんですね。(発言する者あり)いやいや、三要件を満たしていれば日本自身が集団的自衛権の限定行使ができるということですから。その判断を全部内閣に委ねて、今言ったような経済的な影響を受けるような場合も含み得るんだ、それはそのときの判断ですよというのは、私は非常に問題があると思うんですよ、法治国家として。
やはり、日本自身が攻撃を受けたというなら話はわかりやすいですよ。そうじゃなくて、ここに、表現はなかなか厳しいですよ、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険。だけれども、それは、聞いたら、いや、油がとまって経済的に甚大な影響を受けるような場合も入るんだ、それはそのときの内閣の判断だと。
これは、私は、やはり事が、日本自身が限定的とはいえ集団的自衛権の行使をする、その基準の問題ですから、そういう曖昧なものは絶対許されないと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 今委員は武力行使という表現を使っておりますが、確かに武力行使ではありますが、しかし、それは、軍隊を送って戦闘行為をする、戦闘を行う、イラク戦争や湾岸戦争のようなああいう戦争を、戦闘を行う、あるいはまた海上部隊を行って砲撃をする、空爆をするという行為ではなくて、あくまでも、封鎖をしてはいけない海峡を機雷で封鎖した、それを取り除く行為、いわば合法的な行為をする、危険を除去する、これはあくまでも、受動的かつ限定的な、機雷を除去するという行為でありまして、午前中の議論でも申し上げたとおり、ここからいわば大規模な戦闘行為に発展したということは今までないわけでございますし、そういうところにおいては、当然、機雷の掃海というのはそもそもできないということについては、先ほど私がお話をさせていただいたとおりでございます。国際法的な概念においては、これは武力の行使と戦闘行為ということになるわけでありますが、しかし、性格はまず大きく違うということは申し上げておきたいと思い
ます。それは大きく違うわけですよ。
その上において申し上げれば、機雷が敷設をされれば、先ほど申し上げましたように、我が国の輸入する原油の八割でありますし、そして天然ガスの二割強がこの海峡を通過しております。そして、この海峡が封鎖されること自体が、世界のエネルギー状況に大きな影響、これは相当大きな影響を及ぼすのは間違いがないわけでありまして、基本的には、ガス価格も含めて相当の高騰が見込まれるわけであります。
ただ、もちろんそれだけではなくて、その中においてどういうエネルギー状況があるかということも勘案する必要があるんだろう、こういうことになるわけでありまして、そうしますと、やはりエネルギーの供給がとまるというのは、国としても、これは相当いわば経済の打撃は大きくなっていくということも当然私は考えなければならない、このように思います。
○岡田委員 今の答弁も非常に気になるんですね、世界のエネルギー状況に非常に影響があると。
そもそも、この新三要件というのは日本自身の自衛のためだったんじゃないんですか。世界のエネルギー状況のために自衛隊を出すんですか。それは全然違うと思うんですよね。そういうふうに受け取れますよ。
では、総理、逆に聞きますが、今まで、戦後日本がいろいろ直面してきた事態の中で、新三要件を満たすような事態というのは、例えばどういうものがあるんですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど私は、世界のそうしたエネルギー状況に影響があるからやるということではなくて、影響があるということは、それはひいては日本に大きな影響がある、つまり、世界のエネルギー需給状況に影響がありますから、このホルムズ海峡を通るもの以外の供給を得ようとしても高騰しますから、それは当然御理解をいただけるんだろうなと思って話していたわけであります。いわば、どれぐらい影響があるかどうかということを……(発言する者あり)済みません、ちょっと、真剣に話しているんですから聞いてくださいよ。よろしいですか。
そこで、つまり、この状況というのは、いわば経済的な問題として大きな打撃があるというのは、日本でもかつて石油ショックで経験したわけでありますが、あれを上回るショックになる可能性というのは当然あるわけでございます。あのときはいわば原発は動いているという状況であったわけでありますから、それを上回る状況で経済的な影響があれば、これは多くの製造業についても死活的な影響になっていくということも考えられるわけでありますから、それはしかし、常に自動的にやるということではなくて、選択肢として考えておく必要があるだろうということを申し上げているわけでございます。
もちろん、通常、蓋然性としては、遺棄機雷となった後に掃海をするということが当然考えられるわけでございますが、しかし、法的な状況においては、完全に停戦がなされているという状況になっていない中において、外形的、国際法的には武力行使に当たる機雷の掃海をするということはあり得るわけでありますから、そのことを私は今お話をしているわけでございます。
○岡田委員 油の価格が上がる、例えばOPECが示し合わせて上げたとか、いろいろな経験を我が国はしてきていますけれども、油の価格が上がるとか、あるいは供給が一時的に途絶するというだけで、ここに言う、我が国の存立が脅かされる、権利が根底から覆される、そういうことで武力行使を行うというのは、私は全く理解できないことなんですね。こういう限定をしても、限定になっていないじゃないですか。
では、もう一つお聞きしますけれども、よく、アメリカの若者が血を流しているときに日本は何もしないことが許されるのかと、総理もそういう趣旨のことを時々言われるわけですけれども、例えば、日本が限定した集団的自衛権を行使しないことで日米同盟が深刻な影響を受ける、こういう場合にはこの三要件に該当するんですか。
○安倍内閣総理大臣 私が申し上げているのは、つまり、同盟の信頼関係というのは常に強化をしていく必要があって、その中において同盟は有効に機能をしていくわけでありますし、外の国から見ても、機能している同盟に対してはなかなかそう簡単に挑戦しようとはしなくなるわけでありまして、チャレンジされる可能性は低下をしていく、つまり抑止力が高まっていくということになるわけでありますが、そこで、あくまでも基本的にはこの三要件でありまして、三要件に当てはまるかどうかということになるんだろう、このように思うわけであります。
○岡田委員 質問にお答えいただいていないんですが、その同盟に大きな影響、深刻な影響が及ぶような事態というのは、ここで言う新三要件、つまり、我が国の存立が脅かされ、そして権利が根底から覆される明白な危険というのに該当する場合があるんですかということを聞いているわけです。
○岸田国務大臣 日米同盟に基づく米国の存在、そしてその活動は、我が国の平和そして安定を維持する上で死活的に重要である、こういったことを前提とした場合に、このような米軍に対する武力攻撃、これは、それ以外の国に対する武力攻撃の場合に比較しても、この新三原則に当てはまる可能性は高いと考えなければならないと思っています。
○岡田委員 これは非常に重大な答弁だったと思うんですね。つまり、日本自身の自衛のためだというふうに言いながら、日米同盟が毀損するような場合には新三要件に当たりますよというのが今の御答弁でしょう。そんなことを言ったら、日米同盟が危なくなる場合には常に日本はできるということになりますよ。何のためにこの新三要件をつくったんですか。そのことは全く意味がなくなるじゃありませんか。
総理、いかがなんですか。今の答弁で本当にいいんですか。総理、どうなんですか。
○岸田国務大臣 我が国がこのたび安全保障の法的基盤の基本方針につきまして閣議決定をしたわけですが、この目的は、あくまでも我が国の国民の命とそして平和な暮らしを守る、このために我が国としてどう対応するべきなのか、こういった問題意識に基づいて議論をし、そして、集団的自衛権も含めて、グレーゾーンあるいはPKO等、さまざまな課題について我が国の基本方針を定めたということであります。
ですから、この新三原則に該当するということ、これも、あくまでも我が国の国民の命そして平和な暮らしを守るためにどう対応するか、これが基本的なところにあります。
ですから、今申し上げました日米同盟、我が国の平和と安全を維持する上で死活的に重要である、これは我が国の国民の命やそして平和な暮らしを守るために重要であるということであり、そして、米国との関係において、ほかの国との比較においても三原則に該当する、この可能性は高い、このように答弁させていただいた次第です。
○岡田委員 この答弁を取り消されないと、私は相当これは響くと思いますよ。
つまり、日米同盟というのは非常に大事だから、それが毀損するような、そういう場合であればこの新三要件の第一条件にそのものが当たってしまうという論理を展開すれば、これは日米同盟が大事だからということで、常に日本としては集団的自衛権の行使ができる、あるいはするということにつながってくるわけですよ。すごく広がっちゃうわけですよ。
だから、それは、あくまでも新三要件は日本の自衛のためのものだということで、私の質問に対してはノーという答え、そのことは直接関係ありませんというお答えがなければ、私はおかしいと思いますよ。いかがですか。
○岸田国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、新三原則に該当する事案、これはあくまでも我が国の国民の命とそして平和な暮らしを守るための対応であります。ですから、今申し上げました日米同盟との関係においても、我が国の国民の命あるいは暮らしにかかわる部分、この部分についてしっかりと対応する、そのために三原則を設けて、それに該当するかを判断する、これは当然のことであると考えています。
○岡田委員 この新三要件、言葉は非常に、一見厳しいけれども、そういう経済的な苦境のときもこれで場合によっては読み得る、同盟関係がおかしくなるのはここで読み得るということになると、結局、何の限定もしていないというに等しいと私は思うんですよね。しかも、それは内閣が判断するということになると、白紙で内閣に委任するような話。
これはやはり、何回も言いますが、武力行使を我が国としてするということの要件を決めているわけですから、それを内閣にかなりの程度授権してしまうというのは、私は、国会としても、それは許しがたいことだと思いますよ。
だから、もう一回、新三要件、見直してくださいよ。やり直してくださいよ。きちんとやらないと、絶対のむわけに私はいかないですよ、こんなことでは。そのことを申し上げておきたいと思いますが、総理、何か答弁ありますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほどの機雷の除去の話についても、あるいは日米同盟の関係についても、そういう事態が起こったときにそれがそれぞれ自動的にこの三要件に当てはまるということを私は申し上げているのではなくて、機雷の除去についても、機雷の除去というのは先ほど申し上げておりますように国際法的には武力行使に該当するわけでありますが、これは受動的なあるいは非常に限定的な行為であり、実際それを行う場合は、戦闘行為が事実上ほとんどその場所では行われていない場合に行うわけであります。
そこで、三要件との関係においても、これは相当の死活的な影響が、経済に打撃が与えられるというのは、国の存立のもとがまさに経済でもあるわけでありますから、それは全体的な中で判断をしていくということになるんだろう、このように思いますが、それは当然、この三要件の中で判断をしていくということになるわけであります。
そして、加えて申し上げますと、日米同盟との関係におきましては、いわば日米同盟は死活的に重要でありますから、日米同盟の関係において起こり得る事態についてはこの要件に当てはまる可能性は高いわけでありますけれども、自動的にこれは当てはまるわけではなくて、その状況、例えば、いつも挙げておりますように、近隣諸国で紛争が起こって、そこから逃れようとする邦人を輸送している米艦を自衛艦が防衛する、これは当然三要件に入ってくるというのは、近隣国である関係に鑑みて、これは我が国に対して発展していく可能性が、我が国の事態に発展していく可能性というのは高いわけでありますから、そうしたものを国際的な状況等を判断しながら決めていく。
しかし、これは行政だけの判断ではなくて、法律をつくっても、閣議決定にあるように、当然これは国会の承認がなければできませんから、政府だけの判断ではできない。政府が判断した後に国会の判断をいただいて初めて、自衛隊は行動できるということでございます。
○岡田委員 基準としては極めて曖昧、そして裁量の余地の大きい、そういうものだということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
終わります。