安倍首相は”法の番人”松島法相の疑惑に危機感を持て(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年10月16日号)
今年のノーベル物理学賞に、青色発光ダイオード(LED)を開発した、赤崎勇・名城大終身教授と、天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の3人が選ばれた。日本人として大変喜ばしいことだ。
LEDは省電力で長寿命、地球温暖化にも貢献している。「20世紀中の実現は不可能」とまで言われていたが、いまや信号機や照明などが次々とLEDに切り替わっており、世界中の人々の快適な暮らしを支えている。選考委員は声明で「20世紀は白熱電球が照らし、21世紀はLEDが照らす」とたたえた。
日本人のノーベル賞は2012年の山中伸弥・京都大学教授(医学・生理学賞)に続く受賞で、計22人になった。ただ、いずれも過去の業績に対する評価と言える。日本が10年後、20年後も世界をリードできる存在であり続けられるよう、基礎科学のレベルをさらに高めてほしい。
さて、衆参予算委員会の基本的質疑が終わった。地元を回っても「活発な議論が多かった」と評価する声が聞かれた。これは、安倍晋三政権が進めるアベノミクスについて、一時の熱狂が冷め、プラスとマイナスを冷静に評価できるようになったことが大きいと思う。
アベノミクスが目指してきた円安・株高は、日本経済にいいことばかりではない。円安はガソリンや食料品の価格を高騰させるなど、人々の生活を圧迫しつつある。安倍首相は「名目賃金が上がっている」と言うが、物価上昇分を加味した実質賃金は下がっている。期待された「第3の矢」も具体的な成果は見えず、「カジノ法案が切り札」と言われる始末だ。
閣僚の不手際も指摘された。
特に、松島みどり法相が、自身の選挙区内で有権者にうちわを配り、公選法違反の疑いを指摘されたことは深刻だ。「法の番人」である法相が違法行為の疑いを持たれていることに、松島氏も安倍首相も危機感を持つべきだ。
わが党の蓮舫参院議員が追及した、国立競技場解体工事の談合疑惑も問題だ。2020年東京五輪に伴う公共工事が、談合によって税金を無駄遣いするようなことは許されない。まずは政府の責任で、疑惑を解明すべきだ。
臨時国会序盤は、野党が安倍政権に攻勢をかけることができた。これは各党国対が協力した成果であり、今後も野党協力を進めていきたい。
私は国政選挙担当の代表代行として、次期衆院選に向けて野党間の候補者調整を丁寧に進めていく。前回(12年)衆院選で自民党が勝利したのは、野党候補が各選挙区で競合したためで、実は自民党の得票数は前々回(09年)の衆院選から減少している。野党が各選挙区で候補者を絞ることができれば、その効果は甚大だ。議論は多々あるが、何としても実現したいと考えている。 (民主党代表代行)