岡田克也代表定例記者会見(2月6日)
岡田克也代表記者会見
2015年2月6日(金)15時00分~15時26分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
■冒頭発言 ○子どもたちの安全を確保する取り組みについて
○シリアにおける邦人拘束事案等について国会で審議
○選挙報道のあり方をめぐる籾井NHK会長の発言について
○「総合選挙対策本部」役員会を開催
○地方視察の予定について
■質疑 ○憲法改正をめぐる議論について
○統一地方自治体議員選挙の対応について
○シリアにおける邦人拘束事案の検証作業について
○自衛隊の海外派遣について
○戦後70年の「談話」について
○サミュエル・ハンティントン氏との面識について
○東日本大震災から4年に当たって
■冒頭発言
○子どもたちの安全を確保する取り組みについて
【代表】
昨日、和歌山県で小学校5年生の男児が刺され死亡するという大変痛ましい事件が起きました。民主党としては児童・生徒の通学路の安全を確保する法案の堤出をこれまで重ねてまいりました。昨年4回目の提出(児童通学安全確保法案)をいたしましたが、誘拐事件等に対応できるように、対象を通学路から更に広げる内容で国会に提出したものであります。子どもたちの安全を守るために、この法案を今国会でも堤出を考えておりますが、民主党としても更に(子どもたちの安全を確保する)努力を続けていく必要があると考えております。
○シリアにおける邦人拘束事案等について国会で審議
【代表】
国会は今日、参議院の決算委員会で、今週は総理も連日委員会に出席して質疑が行われました。邦人人質問題や安保法制、70年談話、その他、様々な議論が行われましたが、邦人人質問題については我が党のバッター(質問者)が細野豪志政策調査会長や辻元清美政策調査会長代理、福山哲郎幹事長代理、いい議論を行って、いろいろな問題が指摘されていました。そういったことは国会でもなお議論していく必要があると思いますし、(邦人人質事件にかかる)政府の検証作業においても、指摘された問題点についてきちんと検証されることを期待したいと思います。二度と同じことが繰り返されないために、どうしても必要なことだと考えております。
私自身も代表質問、これが来週になるか再来週になるかというのは現在国対で協議中ですが、常識的に考えれば施政方針演説があった翌日というのはあり得ないわけであります。したがって、私は再来週だと考えておりますが、代表質問、それに引き続いての予算委員会での質疑を考えて、今準備を進めているところであります。
○選挙報道のあり方をめぐる籾井NHK会長の発言について
【代表】
今回の一連の議論を見ていまして、私が「おやっ?」と思ったことが一つありまして、それは(後藤祐一議員の質問に対する)NHKの籾井会長の答弁ですね。「オフレコだから言えない」と。
よくわからないのですが、オフレコだから外には言っちゃいけないというのは、それはオフレコで聞いた人のセリフであって、オフレコで自ら話した人がそのことについて、(籾井会長は)公人ですから、その発言が問題になっている時に「オフレコだから言えないのだ」というのは、全く論理としては成り立たない話です。ああいった答弁がまかり通ったことは、私は非常に不思議な感じがいたしました。やはり公人としての説明責任を果たしていただく必要があるのではないかと思っております。
○「総合選挙対策本部」役員会を開催
【代表】
今日は総合選挙対策本部の役員会を開催いたしました。もちろん選挙の総括もそうでありますし、同時に統一地方選挙、あるいは参議院選挙に向かっての準備も、いろいろ動き出したわけであります。
選挙対策委員長からブリーフがあったと思いますが、決まったことから順次お話をし、実現していきたい。私はかねがね「女性」と「地方」だと言っております。そういう線に沿った様々なこと、今日も女性候補者・新人候補者に対する特別支援の説明があったかと思いますが、その他にも様々なことを考えておりますので、それは順次決まったところでご説明していきたいと思っております。
○地方視察の予定について
【代表】
今週は土曜日に滋賀県連の大会がありますので、出席いたします。日曜日には愛知県の連合の会合がありますので、そこでお話をするとともに、滋賀県では「しが生活支援者ネット」の皆さんとの懇談・意見交換。愛知県では身体障がい者施設の訪問や、西尾市の抹茶工場の見学。抹茶は西尾市が全国一の生産量を誇るということで、その工場の視察もしたいと考えております。
■質疑
○憲法改正をめぐる議論について
【NHK・花岡記者】
憲法改正は(来年夏の)参院選後がめどじゃないかという話が官邸から出ている。代表選で岡田代表は、安倍総理のもとでは憲法議論はしないとおっしゃっていたが、今こういう状況になっての受け止めと、憲法改正そのものについてどうお考えか伺いたい。
【代表】
総理の発言は直接ではなくて、船田さん(船田元・自民党憲法改正推進本部長)のブリーフの中で「総理がこう言っていた」という話ですから、ちょっと確認できないのですね。その後、官房長官の記者会見や総理ご自身の答弁でも、若干ニュアンスが違う言い方をされていますので、あまり決めつけはよくないと思っております。
私が申し上げてきたことは、要するに総理の憲法観です。憲法そのものを「素人のGHQが8日間で作り上げた代物だ」と、これは総理として発言されています。やはりそういう発言は総理として極めて不適切だし、その後70年間の積み上げというか、国民が憲法を大事にし育んできたことをどう考えておられるのかと。そういうことをはっきり説明されないと、今の憲法を非常に悪くというか低く見ている。そういう総理大臣のもとでの憲法論議というのは、私は非常に危ないと思います。ですから、まず現在の日本国憲法に対する総理の考え方をきちんとお聞きしたいと思っています。
【朝日新聞・渡辺記者】
今日午前中、枝野幹事長が緊急事態条項について、「衆参の任期満了が半月後に迫っている時に、東日本大震災のようなことが起こった時、実際に選挙ができるかどうか、当時の官房長官として非常に問題意識を持った。ここに限定した議論がなされるのであれば、建設的な議論をする余地があるだろう」とおっしゃった。この発言についての受け止めが1点。
それから昨年9月に第2次海江田執行部ができた際に「憲法総合調査会」が「憲法調査会」となった。岡田体制でもう一度「総合」を付けた形での調査会とするお考えはなかったのか伺いたい。
【代表】
憲法の問題は党の中での議論は引き続きやってまいりますので、名前がどうなるかというのはあまり重要な問題ではないと私は思います。
幹事長の考えもわかりますが、私はやはりまず入り口が大事だと思います。総理の憲法観、そこをしっかり修正してもらわないと、ああいう言い方をされた総理大臣と議論をするのは非常に危ない。そこは変わりませんので、まずそこをしっかり質したいと考えています。一国の総理大臣が自国の憲法を「8日間で作られた代物だ」と言うのは、民主主義国家において考えられない発言だと思いますよ。
【東京新聞・横山記者】
総理と船田さんの一件の中で、今月中に憲法調査会を開くという提案も出ているが、それについて参加される考えはあるか。
【代表】
国会の機関として何か行われる時に、それに出ないという選択肢はないと思います。
○統一地方自治体議員選挙の対応について
【読売新聞・羽尻記者】
2点伺いたい。今日も総合選対本部があったが、まず党再生に向けて代表が統一地方選をどう位置づけているか、改めて伺いたい。
もう一点は、都道府県知事選と政令市長選については全部で15あるが、岡田代表のお膝元の三重県知事選も擁立を断念したという話もあり、なかなか自民との対決構図が作れていない現状だと思うが、これについてどのように見ているか伺いたい。
【代表】
後者のほうは個々の事情を見ないと一概には言えませんね。現職が代わる時はなるべく出すべきだと私は思います。ただ、既に現職がいる時に、それは2種類あって、我が党が中心になって擁立して現職になった場合、それでも例えば北九州市の北橋健治市長のケースのように、自民党が乗っかってくるというケースがあります。もう一つは、自民党が中心になって推した候補者が当選して2期目を迎えると。三重県などはそういうケースです。いずれにしても既に現職がいる時に、その現職が大きな問題がない時に無理に立てるというのは、これまた有権者から見てもどうなのかなと思います。(現職に)問題があれば、あるいは我々にそれ以上のいい候補者がいれば、立てるべきだと思いますが、それが見当たらない時に何でもといいますか、勝敗を度外視して候補者を立てる必要は必ずしもないと私は思っています。
前者のほうは、統一地方選挙は非常に重要です。足腰という意味でも、それから民主党も国会議員だけの政党ではなくて、地方議員の皆さんがしっかりして初めて民主党として成り立っているわけですから、しっかり戦っていきたいと思います。
ただ、今の党の状況もあって、候補者の数が限られてしまっているという現実はあります。今からでもまだ遅くないので候補者を立てたい、そういう思いで今回の新人候補者・女性候補者に対する特別の措置も決めたわけですが、そうは言ってももう2月ですから、あと2ヵ月しかない中でどこまで立てられるかというのは、全力は尽くしますが、限界はあるだろうなと思っています。
【読売新聞・羽尻記者】
今朝の総合選対本部の中で、代表は統一戦に向けて47都道府県、NC(ネクストキャビネット)大臣も含めて幹部が回るとおっしゃっているが、地方を幹部が回る目的・意義はどのようにお考えか。
【代表】
これは2種類あるわけです。一つは、代表や代表代行や幹事長、政調会長、それから参議院会長、手分けして回ると。これは主として候補者ではなくて、もう少し地方の現場を見る、そして「共生社会」の現場を見るということで回る。しかし、結果的にはそれも統一地方選挙にとってプラスの影響も期待できるかもしれない。こういうものと、それから個々の候補者を要請に応じて応援する。そこは先ほど言われたNC大臣や、あるいは幹事長室や代表室で手分けをして回ることになります。それは選挙の応援という色彩が非常に濃いと思います。
私も含めて、本番になればまたいろいろなことを考えなければいけないのですが、現時点では、我々の体も限られていますので、どこに行ってどこに行かないというのは非常に難しいし、少し視点を広げて回っていこうと考えているわけです。
【フリーランス・宮崎記者】
大分県知事選挙は、釘宮磐大分市長が、現職の知事が立候補する場合でも知事選に立候補すると表明されているかと思うが、釘宮さんは岡田さんと議員時代に仲がよかった方だ。大分県は社民党の組織もあるし、組織は強いところでもある。現時点で何か言えることがあれば伺いたい。
【代表】
まだ正式には党本部に上がってきておりませんので、現時点で代表である私がコメントすることは適切ではないと思います。いろいろな話は聞いておりますが、県連として何か意思決定したとか、そういう話は聞いていないし、少なくとも党本部に上がってきておりませんので。
○シリアにおける邦人拘束事案の検証作業について
【「FACTA」・宮嶋記者】
今回の人質殺害事件の検証は、あとは政府や官邸が行うとなっているが、防衛とか警察とか現場の人間を呼んで、国会議員がこの事件が起こった初動からの経緯を聞いて、その上で与野党合意の上で新しい方策を作るとか、国会で秘密会のようなことをやるのも意味があるような事件ではないかと思うが、国会議員が政府任せにせず、何かやるということについてはどうお考えか。
【代表】
そういうものの代わりに国会で聞いているわけですね。総理に、あるいは各大臣に聞いて検証しているわけです。例えば辻元さんが有志連合の話を持ち出しました。アメリカの理解では(日本は)有志連合に既に入っているということがわかったわけです。私は全く承知していなかったのです。そういういろいろなことが議論を通じてわかってきた。これも一つの検証作業だと思います。これで終わるわけではなくて、私は続くのだと思っています。
政府のほうも検証作業をやるということですが、中でやっているわけで、どうも第三者が入ってやるという感じではないのではないですかね。ヘッドは官房副長官補でしたか、役所の方ですね。だからどこまで検証作業ができるのか。例えば総理や官房長官の動向について、部下が上司に対して何か言えるのかというようなところは、かなり疑問は残るということだと思います。
我々としては、いずれにしてもそういった検証結果もしっかり国民に示していただいて、なお議論を深める必要があるのではないかと。そうでないと、また同じことが繰り返されてしまいかねないと思っています。
○自衛隊の海外派遣について
【フリーランス・宮崎記者】
来週から与党の安保法制に関する協議会が再開すると言われている。この中で今論点に出ているのが、自衛隊を後方支援で派遣する場合に恒久法であるべきか、特別措置法であるべきか、そして国会への報告、これについてどのようにお考えか。
【代表】
恒久法を作るべきだというのは自民党が昔から言っていることで、そのこと自身はいよいよ出てきたかという感はありますが、恒久法でやるということの問題と、ある意味でそれ以上に大きいのは後方支援というか、「これは武力行使ではないから憲法違反でない。したがって、できるのだ」という総理のご説明なのですが、その範囲が「現に戦闘行為が行われていない現場」であれば自衛隊は出ていって後方支援ができるというものでありますので、前の国会でも私は指摘いたしましたが、かなりのところまで自衛隊は出ていくのだと。今までは一線を画していた、「将来にわたって戦闘行為が行われない」、そういうところしか行けなかったわけですが、現に行われていなければいいということになりますと。しかも「地域」ではなくて「現場」という言葉を使っていますので、昨日ドンパチやっていても、今日はいいということになりかねないわけです。それは相当、質的に変わるのだと私は思います。そういうことも含めてしっかりとした議論が必要だろうと思っています。
○戦後70年の「談話」について
【毎日新聞・佐藤記者】
代表は、総理の「日曜討論」での「こまごまとした議論」という発言を非常に問題視されていた。さきの国会論戦においても細野政調会長はじめ質問に立たれ、総理の答弁も幾らか出たが、総理の答弁についての受け止めを伺いたい。
【代表】
ずっと前から変わらないのですが、「(歴代談話を)全体として引き継ぐ」とか「受け継いでいる」とか、そういう答弁で、個別のことには答えませんよね。聞けば聞くほど不安が募るというか、やはり“キーワード”は使わないのかなと。使わない時にどういう受け止め方になるのかなと。おそらく国民から見てもそうだし、近隣の国から見てもそうですね。そういうところは非常に疑問が残ります。
どういう議論の仕方をすれば、あの答弁を突破できるのかということはいろいろと今、考えを巡らせているところです。
○サミュエル・ハンティントン氏との面識について
【フリーランス・宮崎記者】
事実関係だけ伺いたいが、『文明の衝突』を書かれたサミュエル・ハンティントン教授は、岡田さんが通産省からハーバードに派遣されていた1年間にハーバードの教壇に立っていたようだ。その当時にお会いになったことはあるか。
【代表】
ございません。
○東日本大震災から4年に当たって
【「FACTA」・宮嶋記者】
間もなく3.11だが、枝野幹事長は会見で、4年目ということ(でイベント化すること)はあまり意味がないと言っていた。時の政権であった民主党はやはり福島と向き合って欲しい。新代表はこの1、2ヵ月、福島にどういう対応をするか。イベントをしろということではないが、行かれるのかどうかを含めて伺いたい。
【代表】
幹事長とどういうやりとりがあったか承知しておりませんので、それはちょっとコメントを避けたいと思います。
ただ、福島、東日本大震災の中でも特に厳しい状況がまだ続いているわけですから、私も機会を見て福島に。この前、岩手にはお邪魔したのですが、福島もなるべく、時間的なやりくりがつけば月内にはお訪ねしたいと思っています。もちろん岩手でも、陸前高田でも4年たってもまだ自分の家なり公営住宅に移れない、仮設住宅で生活がしばらく続くことに対して色々なご意見をいただきました。福島は、もっと見通しが立っていないわけですから、そういうことも含めて、まずは現場の声をしっかりとお聞きしてきたいと思っています。
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(参考:2月2日 幹事長会見やりとり)
〇東日本大震災被災地の復旧・復興に向けた取り組みについて
【「FACTA」・宮嶋記者】
岡田代表は(先週末に)岩手に行っていたが、3.11の福島と向き合う意味での民主党の計画が何かあるなら教えていただきたい。
【代表】
私は東日本大震災の被災者・被災地の皆さんに寄り添っていくということに向けては、一種のイベント的なことで毎年1年に1度思い出すようなことに風化させていくことが一番いけないことだと思っています。継続的・恒常的に、常にあらゆる施策あるいは政治行動の上で、これだけの大きな歴史的な、それも1000年単位の歴史的な自然災害によって受けたダメージ・打撃に最も近いところで直面している被災者・被災地の皆さんを常に、恒常的に意識し大事にしていくということでありますので、今具体的に、例えば今年の3月11日に向けて何かイベント的なことをやろうとか、そこに向けて何か注目されることをやろうということは、むしろ逆ではないかと思っています。
結果的に、例えば岡田代表も今のような思いの中から地方行脚の最初を岩手にいたしましたし、これから3.11が近づく中で、結果的に3.11に近いところで被災地や被災者の皆さんとコミュニケーションをしたりというようなことはあり得るかもしれませんが、別にイベント的にそういうことで考えるべき性格ではないと、私は強く感じています。