代表質問にて格差問題や安全保障法制を追及 (夕刊フジコラム「ズバリ直球」15年2月19日)
私は16日、党代表に就任後初めて衆院本会議の代表質問に立った。安倍晋三首相の施政方針演説に対するもので、今後予定されている衆院予算委員会での質疑のきっかけになるよう、「格差問題」「安全保障法制」「財政再建」などに関し、基本的な質問に絞って聞いた。
格差問題は入り口で意見が異なった。
私は「経済のグローバル化が進展するなか、日本は先進国の中で最も格差の大きい国の1つとなった」「相対的貧困率は急上昇しており、特に『ひとり親家庭』の貧困率は50%に達し、OECD(経済協力開発機構)諸国の中で最低だ」と指摘した。
これに対し、安倍首相は「格差が許容できないほど拡大しているとの(国民の)意識変化は確認されていない」と答弁したが、国民の厳しい現状を、もっと真摯(しんし)に受け止めるべきではないのか。
確かに、指標やデータはさまざまあるが、相対的貧困率は国際的にも広く認知されている。子供の貧困は、世代を超えた格差の固定化につながる。私は「『ひとり親家庭』の貧困率50%」など“国の恥”だと思う。頑張っても報われない人々に対し、政治の責任を果たしていくべきだ。
安保法制では、安倍首相の持論「積極的平和主義」などについて聞いた。
私も、日本が継続し、国際社会でも評価されている人道支援や発展途上国の国づくり、PKO(国連平和維持活動)などを積極的に進めることには賛成だが、安倍首相の方針には疑問がある。多国籍軍への自衛隊の後方支援などについて「恒久法を検討している」などと述べているからだ。
そこで、代表質問では「積極的平和主義を強調するのは、自衛隊を海外でより活用し、一歩踏み込んだ後方支援活動や集団的自衛権行使を念頭に置いていると考えられる。それは正しい選択なのか?」とただした。
安倍首相は「地域や世界の平和と安定の確保に、より一層積極的に貢献していく」と答えていたが、日本には日本なりの平和貢献のやり方がある。自衛官のリスクやテロの可能性などを考えると、あまりにも前のめりではないかと不安を感じた。今後、党首討論や衆院予算委員会で、さらに詰めて議論したい。
さて、18日で代表就任から1カ月となった。今月初め、私を本部長として、格差是正策を練り上げる「共生社会創造本部」を立ち上げた。現場の方々の声を聞くため、都内で唯一、24時間保育を行う認可保育園「エイビイシイ保育園」や、あしなが育英会「学生寮あしなが心塾」などを視察し、現場の方々と意見交換を行っている。
民主党は、多様な価値観や生き方をお互い認めつつ、互いに支え合う共生社会を目指している。これらを実現するため、「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立ちながら、「既得権と闘う未来志向の改革政党」というスタンスを貫いていきたい。 (民主党代表)