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2015.07.09|夕刊フジ

安保法案の強行採決は許されない あきらめない「なでしこ」に勇気もらった(夕刊フジコラム「ズバリ直球」15年7月9日)

 サッカーの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会で、なでしこジャパン(日本代表)が準優勝に輝いた。私も決勝戦をテレビで観戦したが、前半の立ち上がりはともかく、全体としていい試合だった。特に後半は、気迫でも、シュート数でも負けていなかった。米国代表とは体格などで差があったが、なでしこは全力を出し切ったと思う。

 4年前の東日本大震災直後、日本中が元気と自信を失っていたとき、なでしこは前回のW杯ドイツ大会で初優勝を成し遂げた。米国に2度リードを許しながら、ギリギリで2対2の同点に追いつき、PK戦で勝利をつかんだ。多くの日本人に「最後まで、あきらめてはダメだ」「私たちも頑張ろう」といった勇気を与えてくれた。

 今回のW杯も、素晴らしい戦いぶりだった。改めて、なでしこに対して、「感動をありがとう」「準優勝、おめでとう」と言いたい。

 さて、自民党若手議員の勉強会で先月末、報道機関に圧力をかけるような発言や、沖縄の2紙への暴言が出た問題はあきれた。同時に「これは見過ごせない」とも思った。

 若手の勉強会というが、加藤勝信官房副長官や萩生田光一総裁特別補佐も出席しており、事実上の「安倍晋三首相の応援団」とも言える集まりだ。「同じような思想的背景が、安倍首相周辺にもあるのではないか」という疑念を捨てきれないのだ。

 毎日新聞の最新世論調査(6日朝刊報道)で、安倍内閣の不支持率が支持率を上回る結果となった。「1強多弱」といわれる政権与党の「おごり」や「ゆるみ」の表れというしかない。

 こうしたなか、安全保障関連法案は衆院採決に向けて、日程的に緊迫してきた。ただ、国会審議の中身を見ていると、次々と浮上する重要な問題や疑問に対し、安倍首相や閣僚はほとんどまともな答弁ができていない。議論しても、大事な論点が全く詰まってこないのだ。

 わが民主党も、日米同盟の持つ抑止力や、日本を取りまく安全保障環境の変化は十分認識している。このため、武装漁民の離島への上陸など、武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事態に対処するため「領域警備法案」を国会に提出することした。同様の法案は昨年も提出している。

 安保法案については現在、報道機関の世論調査で約8割が「説明が不十分」、そして半数以上が「法案に反対」「今国会成立に反対」と回答している。戦後の安全保障政策を大転換させる法案だけに、「何時間、審議した」ではなく、国民の理解が十分に得られたかどうかを採決の判断基準にすべきだ。強行採決など許されるはずがない。

 安全保障環境について共通認識がある限り、与野党で徹底的に議論すれば、接点を見いだせる可能性はある。安保法案はいったん取り下げて、十分再検討した上で、本当に必要なものを一括法ではなく個別法の形で国会に再提出すべきだ。安倍首相の決断を求めたい。 (民主党代表)




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