平成27年7月10日 第189回国会 衆議院安全保障法制特別委員会
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○岡田委員 民主党の岡田克也です。
まず、きょうは最初、重要影響事態それから国際平和共同対処事態についてお聞きしたいと思います。
この重要影響事態法と国際平和支援法、目的はもちろん違うわけで、「我が国の平和及び安全の確保」と、平和支援法の方は、「国際社会の平和及び安全の確保」ということであります。
ただ、重要影響事態法では国連決議が必要ない、しかし国際平和支援法では国連決議が必要である。国会承認についても、国際平和支援法の方は、例外なく事前承認ということになっております。
まず、総理にお尋ねします。この二つの法案で、国連決議の有無でありますとか、国会承認、事前承認を必ず求めることにしているのか、あるいは、それは原則であって場合によっては事後でもいいということにしている、そういう違いが生じている理由をお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 重要影響事態法に規定する重要影響事態とは「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」であります。我が国に対する影響であります。一方、国際平和支援法に規定する国際平和共同対処事態は「国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの」であります。その点がまず大きな違いである。
ある事態が、影響重要事態及び国際平和共同対処事態のいずれの要件にも該当することもあり得ますが、その場合には、法律の適用については、当該事態が我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるものであり、その観点から優先的に対応する必要があることから、まずは重要影響事態法の適用を検討し、重要影響事態法の適用のない場合にのみ、国際平和支援法の要件に該当するかを判断することとなります。
したがって、まずは、一つの事態に両方の法律が適用されることはない。この違いは先ほど説明したとおりでありますが、これが同時に適用されることはない、このことを押さえておく必要があると思いますが、この趣旨は国際平和支援法に規定をしています。
そしてさらに、国会との関係においては、それぞれが規定しているとおりでございまして、そして同時に、今申し上げましたように、それぞれは目的が違う、そしてその目的が違うことによって、それぞれ国会承認との関係が定められているとおりでありますが、そしてまた同時に、同時にこの両方の法律が適用されることはない、これは申し上げたとおりでございます。
○岡田委員 総理、聞かれたことについてだけ簡潔にお答えいただいた方が国民にはわかりやすいと思うんですね。
それで、国会承認についてちゃんとお答えいただけなかったんですが、なぜ国際平和支援法では例外なく事前承認を求められ、重要影響事態法では原則事前承認となっているんでしょうか。もう一回お答えください。
○安倍内閣総理大臣 まさに重要影響事態、これは、我が国に対して、先ほど御説明をいたしましたように、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態でございます。そして、当然これは緊急を要する、我が国の国民に重要な影響を与えるわけでございますから、これは緊急な対応も必要になる場合もある、こういうことになるわけでございます。他方、国際平和共同対処事態につきましては、これは国連憲章の目的に従い対応していくわけでございまして、その違いがある。これは、お話を聞いていただいた皆さんにはおわかりいただいている。
まさに我が国事態そのものである、そして、他方は国連憲章の目的に資する活動であるという違いがある、こういうことでございまして、この点からも、いわば国会の承認が関係してくるわけでありますが、ある事態が、その中において、まさに重要影響事態に該当すると評価され、特定の対応措置を実施する必要があると認められる場合には、政府は、閣議決定した基本計画を遅滞なく国会に報告するとともに、後方支援活動等の実施については国会の承認が必要であるわけでありまして、このように、重要影響事態法におきましても厳格な手続のもとで運用されるということにつきましては全く同じことであろう、このように思います。
○岡田委員 もう少し簡潔な答弁をお願いしたいと思います。
実は、私の理解するところ、この国際平和支援法で、国会承認、例外なく事前承認にしたのは、これは与党協議の結果なんじゃないですか。私の理解では、公明党がこの点を強く主張してこうなったというふうに理解していますが、太田大臣、いかがですか。
○太田国務大臣 私は、現在公明党を代表して答弁するという立場にもありませんし、主管大臣でもありませんから、お答えすることは適切ではないと思いますが、私の聞き及ぶところでは、公明党は、自民党はどうか私はわかりません、公明党は事前承認を求めたということは事実だったと思います。
○岡田委員 私の理解するところ、公明党が強く与党協議の中で主張されて、ここは最初は必ずしも事前承認ということではなかったけれども、例外なく事前承認になったというふうに私は理解をしております。
それはそれで一つの公明党の成果だと思うわけですけれども、ただ問題は、この重要影響事態と、国際平和支援法におけるこの事態、国際平和共同対処事態、この垣根は結構低いと思うんですね。
先ほど総理の御答弁の中でも、両方重なったときには基本的には重要影響事態法で対応するということだと思うんですね。総理はいつも言っておられますよね、世界の平和と安定なくして我が国の平和と安定なしと。そういう論法を使っていけば、ほとんど、国際平和支援法の世界ではなくて重要影響事態法で対応する、できるということにもなりかねないと思うんですね。要するに、世界の平和と安定に影響を与える、そういう事態があったとしても、それは日本の平和と安定にも重要な影響を及ぼすんだということになれば、それは重要影響事態法でまず対応しようと。
つまり、私が申し上げたいのは、公明党がいろいろと御努力されて、例外なく事前承認というふうに入れられたけれども、実際には、この法案の適用される余地というのは、それは政府の考え方次第ですけれども、これは狭くて、例えば、国会の事前承認が難しいということになれば重要影響事態法の適用だとして、重要影響事態法の適用になれば、原則事前承認ですから、例外ありですから、そういうふうな運用によって、公明党の御努力というのは結局無に帰してしまうんじゃないかというふうに私は思うわけですが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 これは、もちろん我々は公明党の皆様と、与党で何回も議論を重ねました。その中において、自民党と公明党が完全に一致をしたものが今回の法制でございまして、我々も、今出しているこの国会承認との関係においては全くそのとおりだと思っているからこれを出しているわけでございます。
つまり、重要影響事態と国際平和支援法とはまさに要件が違うわけでありまして、先ほど申し上げましたように、我が国に対する事態でありますからこれは緊急を要する場合があるということでありまして、原則とするということを申し上げたところでございますが、国際平和支援法では、まさに先ほど申し上げましたように国際の平和、目的が違いますから、こちらの方が使い勝手がいいからこちらを使うということはあり得ない。
日本は法治国家でありますから。これは明確に法文上も違うわけでありまして、重要影響事態法は、重要影響事態に際し、我が国の平和及び安全の確保に資するため我が国が実施する対応措置等を定める法律でありまして、一方、国際平和支援法は、国際社会の平和及び安全のために国際社会が共同して対処している事態に際し、国際社会の平和及び安全の確保に資するため我が国が実施する対応措置等を定める法律でございまして、まさにこれは全く、そもそも違う。
しかし、先ほども申し上げましたように、これは重なる場合がありますけれども、重なる場合においては、例えば、国際平和支援法の対象であったものがまさに我が国に直接かかわってくると判断される場合は、当然それはあり得るわけでありまして、そのときにはそちらを適用するということになるわけでございます。
しかし、今、岡田委員が引用されました私の言葉、例えば、世界の平和と安定は我が国の平和と繁栄にとても重要である、こういうことを申し上げたわけでありますが、これは恐らく多くの方々には賛同いただけるのではないか。それがすなわちまさに重要影響事態となるということを私は申し上げたことは一度もないわけでありまして、そこと重要影響事態は明確に切り分けて考えなければならない、このように皆様に理解をしていただきたいと思っているところでございます。
○岡田委員 総理、私が最初に聞かないのに、両法案重なる場合があるということでるる説明されたんですね。
ですから、結局、違う面から見ているかもしれないけれども、結構垣根は低い。やることは一緒なんですよ、外国軍隊に対する後方支援ですから。入り口が違うんですね。入り口、一方は非常に厳しくしているけれども、実はその垣根は低いということを申し上げているんです。
もう一つ、最近、私非常に興味深いと思ったのが、五月二十八日のこの委員会の質疑で、重要影響事態法の定義のところが議論になったんですね。この定義で、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」、これが重要影響事態の定義ですが、この赤で書いてあるところの最後の「等」ですね、この意味が議論になりました。
公明党の北側委員は、この例示の意味というのは単なる例示ではありません、こうした例示と同等なもの、匹敵するもの、こういうものの例示として挙げていると。つまり、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と同等なものでないと重要影響事態じゃありませんねというふうに北側さんが言われたわけですね。質問者です。それに対して、内閣法制局長官は、どのような事態を法律が想定しているかの理解を助けるために、代表的な具体的事例を例示したものであると。
単なる例示ではありませんね、同等のものですねと北側さんが言ったのに対して、代表的な事態を例示したものですというふうに長官はお答えになりました。
これに関して、緒方委員が六月二十九日に、あくまでも例示であって、定義そのものに全く影響を与えていないということでよろしいですね、こう問うたところ、中谷長官は、委員御指摘のとおり例示でございます、こういうふうにお答えになりました。
つまり、これは単なる例示だという理解で、中谷さん、いいんですね。
○中谷国務大臣 御指摘の、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」という例示部分は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態の意味するところを例示的に丁寧に説明をしたということでございまして、これは、現在の安全保障環境に照らしてみましても、この例示は最もわかりやすい典型的な例であるということで、丁寧に説明したものであります。
そのやりとりにつきましては、民主党の委員から、「等」ということで、六つの事例が挙げられておりまして、その事例について、これは類型ではないかというような御質問がありましたので、この事例の六つの例におきましては、この事例がされたときに政府の統一見解が出ておりまして、この六つの事例につきまして、具体例をあらかじめ包括的に示すことはできないが、例えば次のような場合があるということで六つの事例を挙げたということで、あくまでも事例であって、全てを網羅的にしたものではないということでお答えした部分でございます。
○岡田委員 委員長もちょっと笑っておられると思うんですが、このやりとり、違うんですよ。六つの事例が出てくるのは、その後、このやりとりの後出てきた話なんですよね。
そして、私が聞いているのは、定義そのものに全く影響を与えていないということでよろしいですねという問いに対して、御指摘のとおりというふうに言っているわけですよ。だから、これは定義に影響を与えるものではなくて、単なる例示であるという認識でいいですねと確認しているわけです。
もし違うなら、前の答弁を修正しなきゃいけませんよ。どうですか。
○中谷国務大臣 先ほどお話ししたように、そのまま放置すればという部分におきましては、例示的に丁寧に説明をするというものでありまして、現在の安全保障環境に照らしてみても、この事例は最もわかりやすい典型的な例ということで、例示を丁寧に説明するものとして挙げた。また、今度の法案についても引き続きそれは挙げております。こういう意味であることは事実でございます。
○岡田委員 つまり、北側さんが言われた、単なる例示ではない、こうした例示と同等なもの、匹敵するもの、こういうものの一つの例示として挙げているという解釈は間違っていたということですね。いかがですか。
○中谷国務大臣 そのときいろいろな議論が、やりとりがありまして、「等」ということで、六つの事例の話も出ておりましたので、それは事例である、包括的なものでないというようなことをお答えしたつもりでございます。
○岡田委員 中谷大臣、言うに事欠いて、全く関係ない答弁をしないでもらいたいと思うんですね。
いずれにしても、普通に考えれば、それはそうかもしれません。ここに書いてある「等」は単なる例示だと。だから、私、北側さんの言われたのは少し言い過ぎていると思うんですよ。
ただ、恐らく与党協議の中で、公明党は何とかこれを少しでも縛りたいということでいろいろ御努力された、そのあらわれだと思うんですが、先ほどの国際平和支援法の入り口を絞ることといい、この重要影響事態の定義を限定することといい、いずれも成功していないということなんですよ。それが受け入れられていないということなんですよ。
これ、だって、単なる例示ですということになっているじゃないですか、政府の答弁は。だから絞り込んでいないんですよ。重要影響事態というのは、北側さんが言うのは、単なる例示ではなくて同等なもの、つまり、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある」、これと同等なものだと。そうじゃなくて、それは単なる例示ですから、もっと幅広いものだというのが政府の答弁ですよね、中谷さんの答弁も含めて。だから、それはうまくいっていないということですよ。絞り切れていないということなんです。
北側さんがいろいろ言われたこと、あるいは公明党が努力されたこと、それは実は成果を結んでいないということを私は申し上げたいわけです。もし反論があるなら言ってください。
○安倍内閣総理大臣 まさに自民党と公明党で議論をしてきたわけでありますが、重要影響事態とはどういう事態かということを、これは端的に、わかりやすく、典型的に示す例としてここに挙げたわけであります。ただ、同時に、典型例ではありますが、これ以外にも、いわば事態というのは相手があることでもありますし、国際状況が変遷していく中においてこれだけということは言えないというのは、これは共通認識であります。
しかし、今考え得る典型的な例は何か、単なる例ということではなくて典型的な例として、しかも明示的にこれを挙げているわけであります。だらだらだらと挙げて、この一つですよということではなくて、まさにこれは典型例として、特にこういうことはまさにわかりやすい例として典型例ですねというところで特記しているわけでございますので、これこそ、まさに自民党と公明党の考え方にそごはないと、今の御議論を聞いていて、私はそのように思ったわけでございます。
先ほどの、お話をさせていただいた、国会承認との関係におきましても、まさに目的が違うわけでありますから、それを、恣意的に使いたい方を使えるというたてつけには全くなっていないということもぜひ御理解をいただきたい、このように思います。
○岡田委員 典型例という言葉を総理は使われましたが、問題は、ですから、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と同じレベルの、かなりの事態ですからね、これは。同じレベルの事態でなければ重要影響事態にならないのか、それとも、ここまで至らないような、もう少し緩い概念で重要影響事態ということになるのかということが議論になっていて、典型例だというのは、やはりそれは、これと同じレベルでなければならないという話ではないですよね、代表例とか典型例というのは。そこに満たないようなレベルのものも含まれているということになるんじゃないですか。
もし、総理がそうでないと言うなら、委員長、ここの整理をぜひ政府にお示しいただきたいと思います。この二つの考え方、この「等」の意味ですね。そのことについて、きちんと政府の見解を示していただきたいと思います。
○浜田委員長 理事会で協議いたします。
○中谷国務大臣 私の発言でございますが、そこの文章の例示部分は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態の意味するところを例示的に丁寧に説明をするものであります。
重要影響事態というのは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありまして、現在の安全保障環境に照らして考えてみても、この例示は最もわかりやすい典型的な例である、したがって、重要影響事態の意味するところを例示的に丁寧に説明するものとして、引き続きこの文章は残されたということでございます。
○安倍内閣総理大臣 まさに、今、中谷大臣から答弁をさせていただいたように、これは典型例として挙げたわけでありますが、しかし、重要影響事態という事態は、これはまさに、我々は常に国民の命や幸せな生活を守らなければいけないという観点からも、この重要影響事態という概念を定めて、それに対応しなければならない、こう考えているわけでございます。
その中の典型例としてお示しをしましたが、起こり得る事態を最初から固定的に定めていくということでは、こういう安全保障上の対応については、それはなかなか難しいわけであります。今の段階で典型例として申し上げられることはこの例だなというところでございます。
しかし、国民の命を守らなければならない中において、我々は、典型例としてお示しをしましたが、これが全てではないという考え方を持っておく必要が常にあるんだろうと思うわけでございます。例として一例を挙げさせていただいたわけでございますが、これはもうまさにポジティブリストとして全部挙げるということは、なかなかこれは困難である、こういうことでございます。
○岡田委員 全部例を挙げろとか、そんなことは全く言っていないし、総理が今言われたように、これだけだということも私は全く言っていないわけです。
「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と同じレベルのことが重要影響事態なのか、もっと幅広いものなのかということを聞いているわけです。
もう一回、政府答弁を、後で理事会で御協議いただきたいと思います。
なぜこういう議論が出てくるかというと、やはり重要影響事態、その概念そのものが非常に曖昧、我が国の平和と安定に重要な影響を及ぼすというのはかなり幅広い概念だということだと思います。
従来の周辺事態法にも同じような定義がありましたが、周辺事態法は一応周辺事態。あの法律をつくったときに我々の念頭にあったのは朝鮮半島有事、そのことを念頭に置いて法律をつくった。地理的概念ではないとかいろいろな議論がありますが、しかし、やはり周辺という言葉が使われているので、おのずとその範囲には限定がかかっていた。
それからもう一つは、日米安保条約の「効果的な運用に寄与」するというのが法目的なんですね。だから、日米安保条約というのはその適用範囲も決まっていますから、その効果的な運用に寄与すると言えば、おのずとそこに限定はあった。今回は、それも基本的に取り去られて、日米安保条約の「効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化」するものだということで、安保条約そのものじゃなくなっているんですね。
だから、わかりやすく言えば、世界じゅうどこでも、米軍あるいはその他の軍も含めて、自衛隊が後方支援できる法案であるというふうに考えるわけですね。重要影響事態であればそうできるということだと思うんですね。
なぜそこまで広げる必要があるのかということを非常に疑問に思うわけです。自衛隊の能力にも限りがある、予算的にも限りがある、そして我が国の周辺の事態は、周辺環境は厳しくなっている、そういう中で、なぜそこまで幅広く後方支援というものを展開していかなくてはならないのか、そこは私は非常に疑問なんですけれども、総理、お答えありますか。
○安倍内閣総理大臣 周辺事態安全確保法も、これは地理的概念ではありません。その点においては今回と同じでございます。しかし、周辺という言葉も使われているということもございまして、いわば地理的概念と誤解される可能性もございますので、今回は、重要影響事態という、いわばまさに事態に着目をしているということを明確にさせていただいたわけでございまして、その点は変わりがないということを御理解いただきたい。
と同時に、では日本に重要な影響を与える事態が生じるのは専ら日本近海だけなのかということでございますが、それはやはりそうではない。大きく安全保障環境も変わりましたし、武器等も進歩を遂げているという状況の中において、これはいわば、まさに日本の繁栄というのは世界との交易の中で成立をしているわけでございますし、また多くの日本人が海外で活動をしている、海外にたくさんの日本の拠点が存在するという中において、これは日本の近傍だけに限られるわけではもちろんない。
これはもちろん周辺事態安全確保法においてもそうだったわけでございますが、今回は、周辺という、いわば誤解を与える名前を、これは、あのときも事態に着目するということは明確にお答えをしているのでございますが、今回はまさに事態に着目をする、重要影響事態、このような形にしているということでございまして、かつ、これは日本の近傍に限られたわけではないということにつきましては多くの方々にも御理解をいただけるのではないか、このように思います。
○岡田委員 私は、日本周辺の安全保障環境が変化している、その認識はかなり共有するわけですが、そうであれば、やはりそういった事態にきちんと備えられるものとして、周辺事態法、従来の枠組みを残しながら対応すべきであるということを申し上げておきたいと思います。
そして、従来から地理的概念ではなかったということですが、総理答弁はありますよね、インド洋、中東までは行かないんだと。ですから、どう考えても周辺というのは地理的概念ですけれども、政府の地理的概念ではないという答弁にもかかわらずそういう総理答弁もあるわけだし、日米安保条約の実効性確保という限定もかかわっていたわけですから、それを全部外しているというのは、私は、必要のないことだし、かえって我が国の平和と安全という観点から見ても問題の大きい、そういう案だということを申し上げておきたいと思います。
次に、存立危機事態における防衛出動についてお話をしたいと思います。
総理とこれは何回も議論してきましたが、なかなか煮詰まった感じが出ないので、国民の皆さんもなかなか理解しにくいと思うんですね。少し整理をして、この、総理がみずからパネルとして掲げられた案件、日本人の母子を乗せたアメリカの船が攻撃を受ける、そういうときに守れなくていいのかということを総理は言われました。
ここに、この前の党首討論などの議論を踏まえてもう一要件ちょっと加えておきますが、つまり、攻撃国が日本を攻撃するという言動を繰り返し、そしてミサイル発射の準備状況から我が国にも武力行使が行われかねない状況にあるという要件を一つ加えた場合に、この前申し上げたのは、最初にまず、攻撃国と被攻撃国との間で戦争が始まる、そして米軍も攻撃国と既に戦闘に入っている。二番目に、その攻撃国は、我が国に対してミサイルを撃ち込む、そういう意図の表明があったり、あるいはそれを示唆するような表現があったり、あるいはそれに近い行動が見られる。三番目に、米艦が攻撃国から攻撃を受ける、その米艦には日本人が乗っている。
そういうケースで考えて、どの時点で、時系列的にいうと今申し上げたような時系列になると思うんですが、時系列でいうと、どこまでいけば存立危機事態という認定がなされるとお考えなんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 まず、今、岡田委員からいろいろな例示がなされました。(岡田委員「一つだけですよ」と呼ぶ)いろいろな例示というか、幾つかの条件が、例示は一つでありますが、条件が付されたわけでございますが、基本的には三要件に当たらなければならないということでございます。
三要件の三番目については、これは必要最小限の実力行使にとどまるべきことということでありますし、二番目には他に適当な手段がないということでありますが、第一要件ということであろう、このように思うわけでございます。
まず、米国への攻撃が発生している。つまりこれは、第一要件の我が国と密接に関係のある国でありますから、これは満たしているということであります。そして同時に、我が国への攻撃が切迫をしているという状況もあるということを今岡田委員の方から示していただいた。これは、切迫事態であるか予測事態であるかはまだ今ここで明言することはできませんが、諸々の状況によればこれは予測事態であり、また、いろいろな状況が加わってくれば切迫事態なんだろう、こう思います。
そういう状況があるという中において、邦人輸送中の船、あるいはミサイルの警戒に当たっている米艦、これは両方、どちらでもいいんですが、今例として挙げられているのは邦人輸送中の船でありますが、その米艦が攻撃をされる明白な危機という段階におきまして、これはまさに根底から覆される明白な危険が存在する、つまり存立危機事態の認定が可能である、このように考えているところでございます。
○岡田委員 そうすると、私の言った三段階という、総理は私との前回のやりとりでもそういう御答弁だったんですが、米艦が攻撃を受けるということが存立危機事態の認定の要件だということになると、米艦が攻撃を受けることが、なぜ、我が国の存立が揺らぎ、我が国国民の権利が根底から覆されるということになるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 これはもちろん総合的な判断になるんですが、まず、米国への攻撃が発生しているということ、それと、今岡田委員が挙げられて議論を行ったのでございますが、日本に対して攻撃が切迫している、あるいは予測事態であるという条件が重なっているということもあります。その上において、米艦に対する攻撃ということについては、これはまさに我が国の、いわば国民の生命そして自由や幸福追求の権利が根底から覆されるおそれにつながっていくということになります。
これはまさに、例えば、朝鮮半島にいる多くの日本人を含めて外国人はまずは日本に避難、エバキュエーションの計画はそうなっているわけでありますが、これは、米艦といっても、さまざまな米艦があるわけでございまして、軍艦だけに限られないわけでございますが、それを攻撃するということは、まさに、日本海において、近隣諸国は全面的に日本との船の行き来に対して攻撃をしている、このようにも解されるわけでありますし、何といっても、多くの例えば日本人が乗っている可能性が十分にあるにもかかわらず、それを攻撃するということについては、これはもう既に日本を攻撃する意図がかなり、十分にうかがわれるということであります。
そして、それを我々がいわば守ることができるという状況においてそれを守らないということは、まさにこれは国民の生命や自由や幸福を追求する権利を守ることを放棄するということにもつながっていくわけでございまして、まさに今申し上げているとおり、第一要件にこれは当たり得る、こういうことになるわけでございます。
御党においてはそれは全く放置しておけということかもしれません。現在ではできないわけでありますが、それに対応する法案を……(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 私と岡田代表とのやりとりにおいて、党首討論においても、この際どうするんですかということを、これは政治家同士としての、お互いに党を代表する者同士としての問いの投げかけに対して、残念ながらお答えはいただいていないわけでございますが、最初に申し上げましたように、第一要件に当たり得るのは今御説明したとおりでございまして、これは十分に御理解をいただけるだろう。
まさに米国に対して攻撃が与えられている、しかも、日本に対する攻撃が予測されている、切迫している、そういう状況の中にあって、いわば日本に逃れようとする人々を運ぶ米艦を攻撃する。それはもうそれだけではなくて、多くの船を攻撃しているという状況の中で起こることでありまして、それが全く、国民の命を守ったり、自由や幸福追求の権利を根底から覆していないと岡田さんは考えているのかもしれませんが、我々は、それを覆す明白な危機である、こう考えているわけでございます。
○岡田委員 総理、聞かれたことにきちんと答えられたらどうですか。
総理の論理を追っていって私でも頭が混乱してしまいますから、国民の皆様は全くわからないと思いますよ。だから理解が進まないんですよ、こういう答弁を繰り返しているから。だから、もっと真摯に答えてもらいたいんですよ。
まず、民主党がどうするかというのは、前にも一度、昨年もお答えしていますが、我々は、これは警察的な行動として、米艦防護ということではなくて、日本人を守るという観点で、どの船に乗っていようと、例えば朝鮮半島有事があって五万人の日本人が逃げてくるということであれば、それを運ぶ船に対して、海上警備行動を発令して、あるいはそれに類似したものを発令して、そして守るということを、これは防衛出動じゃありませんよ。守るということを申し上げているわけです。そして、それで攻撃を受ければ、最低限の武器の使用で排除はできる、これが本来の流れだと思うんですね。
では、総理の今言われたことで一つ聞きますが、ここで米輸送艦防護の要請というのがアメリカ政府からあると。これは、どういうタイミングであるんですか。
○安倍内閣総理大臣 今の警察権というお話でございますが、相手は既に武力攻撃をしています。米国に対して武力攻撃をしている中で、そうした武力攻撃の一環で武力攻撃をしている中で、とても警察権で、これはとても警察権で対抗はできないという事態であるということは、ミサイルに対してまさにピストルで対応するようなものでありますから、これは極めて現実から遊離した立論であろう、こう思うわけでございます。
その上で、ということを申し上げた上で申し上げれば、これはもう先ほど来申し上げているとおり、まさに明白な危険がある中において我々はそう判断すると先ほど申し上げた。
つまり、タイミングはいつかということでありますが、まさにタイミングというのは、事態をそう判断するのは、どういう事態が起こった、それを、タイミングといえば、それはそう認定したことがそのタイミングでありますが、その認定する要件としては、要件としては、まさに米軍に対する武力攻撃が発生していて、我が国に対する攻撃が切迫、あるいは予測と言ってもいいんですが、という状況があって、そしてその中で、例えば日本を警戒する米艦艇、あるいは日本に邦人を初めそういう人々を運んでこようという船に対する武力攻撃があるということが明白な段階においては、これはまさに我々は事態を認定するということになるわけであります。それがそのタイミングとなるわけでありまして、これは明確ということを申し上げておきたいと思います。
○岡田委員 先ほど私が申し上げたことで総理言われましたが、日本に対しては武力攻撃はないんです、まだ。日本に対して攻撃はされていないんですよ。そういう中で我々は、みずから武力行使をせずに、その前の段階で警察行動として自衛隊を動かすと。それは全く問題のない話、無理のない話だと私は思います。
今、総理が言われた明白な危険とは、そうすると、米艦が襲われる前でもいいということですね。明白な危険があればやる、そういうお答えですか。
○安倍内閣総理大臣 これはもちろん集団的自衛権ですから、まず、我が国と密接に関係のある国に対して武力攻撃が発生していることでありますから、先ほど来申し上げておりますように、まずは米国への武力攻撃が既に発生しているということであります。その中において、武力攻撃が発生している中において、そしてさらに我が国への攻撃が切迫をしているということであります。同時にこういうことがある。この二つの条件があります。そして三番目に、ミサイル警戒、例えばミサイル警戒に当たっている米艦が攻撃される明白な、この米艦に対しましては明白な危険という段階で、これは存立事態という認定をすることができる、こう考えているわけであります。
○岡田委員 先ほどまでは攻撃されたらと言っておられたような気がするんですが、その前に、明白な危険があれば発動する、こういうお話でした。
私、総理の答弁をお聞きしていてよくわからないのは、これは個別的自衛権のときには、防衛出動という概念がありますね、しかし防衛出動即武力行使ではない、武力行使するためには相手方の武力攻撃の着手がなければ武力行使できないと、二段階になっていますよね。では、こういう存立危機事態における攻撃の着手という概念は、何が、アメリカに対するものなんですか、日本に対するものなんですか。それとも攻撃の着手という概念はそもそもこの場合にはないんですか。ちょっと明確にお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 これは、まずは武力攻撃が発生していることということであります。これは、三要件においては、まずは我が国に対する武力攻撃が発生していること、これであれば個別的自衛権でいくわけでありますが、と同時に、我が国と密接にある他国に対する武力攻撃が発生したことでありますから、先ほど私が答弁をさせていただいたとおり、岡田委員も例示として挙げられたとおり、米国への武力攻撃が発生していなければなりませんが、例として、これはもう武力攻撃が発生をしているわけであります。
そこで武力攻撃が既にもう発生している中において、そしてさらに我が国への攻撃が切迫していると認識し得る状況であるということについて、もう武力攻撃が発生しているんですが、そしてその先においては、その一環として、その中において、先ほども明確に答弁をしておりますが、例えばミサイル警戒に当たっている米艦が攻撃される、先ほど来これは一貫してこう答弁をしているんですが、明白な危険の段階で、我々は、存立危機事態に認定をし得る、こう考えているところであります。
いずれにいたしましても、これは総合的に判断をいたしますから、今挙げた例示が全てということではないわけでありまして、つまり、事態というのは最初から全て予測できるということは、これはできないというのが国際常識でありまして、その中で、今からそれを想定して、これ以外ではできませんと言うのは、極めて現実から遊離した議論になっていくということは申し上げておきたいと思います。
その中において、今、一つの例として挙げられましたから、その例をもとにお答えをさせていただいているところでございます。
○岡田委員 今の総理の御答弁を私なりに整理しますと、まず、着手の概念というのは、最初に、米国が攻撃を受ける、それが着手であるという考え方ですね、私はそう理解したんですが。
それからもう一つは、米艦に対する攻撃、そこに明白な危険があればそこで日本は武力行使できるということですか。明白な危険というのは、これは存立危機事態において防衛出動する要件ですよ。
防衛出動する要件は武力行使の要件とは本来は違うはず、少なくとも個別的自衛権では違う概念。しかし、今、明白な危険があればそこで日本は武力行使できるというふうに総理は御答弁になったと私は理解しましたが、そういうことですね。だから、存立危機事態に基づいて防衛出動したら、即、いつでも武力行使できますと。もうそこで明白な危険があるということは認定をされているわけですから。そういう理解でいいですね。
○安倍内閣総理大臣 いや、我が国に対する武力攻撃事態、これは個別的自衛権で対応する事態と、我々が限定的に認定した集団的自衛権で対応する存立危機事態は、これは事態が違う事態でありますから、まさにこれは別の概念ということで御理解をいただきたいと思います。
まず、我が国事態においては、防衛出動に至る上において、切迫事態においては防衛出動ができますが、しかし、それは武力攻撃を我々はできないわけでありまして、我々が武力攻撃を受けなければならないということになるわけでありまして、しかし、武力攻撃を受けるときに、その武力攻撃はどこで発生したかということでいえば、着手ということになるんだろう、こう思うわけであります。着手した段階で武力攻撃が発生した、これは今まで答弁しているとおりでございます。しかし、当然それは、着手については非常に限定的になっていくのはもう御承知のとおりであろうと思います。
一方、我が国が攻撃をされていないにもかかわらず、我が国と密接に関係のある他国に対する攻撃があった、これはまさに攻撃があった中において、そしてさらに、我々は今回は限定的に集団的自衛権の容認をしておりますので、さらに我が国への攻撃が切迫をしているという事態が加わっていくわけであります。米国への攻撃が発生して、そしてさらに我が国への攻撃が切迫をしているという状況が加わるということでありまして、そして、その上に当たって、米国の艦艇が日本を警戒している、この米国の艦艇に対してはまさに攻撃される明白な危険があるという状況をいうわけでございまして、ここではもう着手とかそれはもう、ここにおいては我々は、明白な危険がある中において武力行使をするということでございまして、これはまさに今まで答弁をしているとおりでありまして、よく法案を、また今までの私の答弁をずっとちゃんと読んでいただければ、これは一貫をしていることでございます。
皆さんは、個別的自衛権と集団的自衛権を混同されておられる方がここにいらっしゃるようでありますが……(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 そうではないということでありまして、まさに最後に申し上げましたように、密接に関係のある他国が武力攻撃を受け、さらには攻撃が切迫をしているという中において、ミサイル警戒に当たっている、あるいは邦人輸送中の米艦が攻撃をされる明白な危険の中において存立危機事態と認定をする、こういうことでございます。
○岡田委員 ですから、総理、存立危機事態の認定の要件、確かにそこに明白性は出てきますよね。しかし、それは防衛出動をするための存立危機事態の認定なんです。
そのことと、自衛隊が武力行使する、個別的自衛権の場合には明らかに概念が分けられているわけですね、着手がなければ武力行使できませんと。では、この存立危機事態の場合は、その個別的自衛権における着手の概念に当たるものは何なんですか、どこまで来たら自衛隊は武力行使できるんですかということを私は聞いているわけですよ。非常にシンプルな問いですから、シンプルに答えてください、時間もありませんから。
○安倍内閣総理大臣 まさにこれはもう繰り返し答弁させていただいていると思いますが、新三要件においては、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、また我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことでありまして、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、こう申し上げているわけであります。
まず、発生したことということについては、先ほど来申し上げておりますよね、米国に対する武力攻撃が発生した、これは御理解いただけます、発生していますね、発生している。つまり、三要件の第一要件で、発生をしています。そして、その後、我が国に対して危険が切迫をしているということでありますが、同時に、その後、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険ということが先ほどの段階で起こっているということでありまして、これはまさに定義の根底でありますから、これはそのとおりでございます。
○岡田委員 申しわけないですけれども、全くわからないんです、説明が。ですから、政府で少し整理をしてもらって、これは文書で示してください。これは根幹の部分でしょう、法案の。つまり、防衛出動をするかどうか、そして自衛隊が武力行使するかどうか、そういう根幹の部分なんですよ、これは。
そして、総理は、国民の命と暮らしを守るためにこういう法案が必要だと言われますが、防衛出動をする、武力行使をする、いわば戦争を始めるわけですよ、日本も。ですから、そのことによって、国民の命や暮らしもさまざまな影響を受けるんですよ。守られないかもしれないんですよ、逆に。
そういう非常に重要な概念だから、私は明確性が必要だということを前から申し上げているんだけれども、総理の答弁を聞いていて、そもそも、着手と、自衛隊出動のための存立危機事態の認定の話、ここもごちゃごちゃになっているし、よくわからないんですね。こういうことで本当に国民の命と暮らしを守ることになるのかということを私は申し上げているわけであります。
もう同じ答弁なら私は必要ありませんから、次に参ります。
まだ時間もありますからやりたいんですが、後方支援について、総理は、後方支援、非戦闘地域をやめたことについて、自衛隊は機敏に活動することができないという経験を積んできたというふうに言われました。
そこで、私は、後方支援について、今まで、インド洋における給油、それからイラク、サマワでの活動は人道支援に近いと思いますが、バグダッドにおける航空自衛隊の輸送、これが後方支援に近い概念だというふうに思うわけです。
このバグダッドを中心とした航空自衛隊の輸送活動について、一体どのような事態だったのかという情報が開示されていないんですね。非常に危険なこともあったんじゃないかというふうに思うわけですけれども、なぜそういったことについてきちんと情報開示されないんでしょうか。
○中谷国務大臣 イラクの活動が終わった段階で国会の方にはその報告をいたしておりますけれども、こういった活動等につきましては、防衛省の中では総括はいたしております。
○岡田委員 例えば、国会で、平成十九年六月、参議院の外交防衛委員会で、当時の久間大臣は、バグダッド空港の中であっても、外からロケット砲などが撃たれる、迫撃砲に狙われるということもあり、そういう緊張の中で仕事をしている、身の危険が非常にあるわけですということを、国会の答弁で当時の大臣が述べておられるわけですね。そして、民間の輸送会社にミサイルが命中したとか、あるいは米空軍の輸送機が攻撃されたということも報道されたりしています。
日本の航空自衛隊についてそういった危機的な状況というのはなかったんでしょうか。
○中谷国務大臣 御指摘の久間防衛大臣の答弁というのは、航空自衛隊が活動する地域はいわゆる非戦闘地域、これの要件を満たしているものの、テロ等の可能性もあり、派遣部隊及び隊員は安全面に細心の注意を払いながら緊張感を持って任務を遂行したことを述べたものでございます。
この空輸の活動中につきまして、こういった状況の中で、隊員は非戦闘地域という概念を確認しつつ任務を遂行したということでございます。
○岡田委員 非戦闘地域であったかどうかは今は議論しません。私は、バグダッド全体は非戦闘地域ではもちろんなかった、空港だけ非戦闘地域だったというのは詭弁だと思いますが、そのことを今議論しようと思いません。
自衛隊は、一体この活動の中でどういう状況だったんですか。国民の皆さんも知りたいと思っているんですよ。我々だって知りたいですよ。どういう状況、危険な状況があったのか、そういうことをきちんと把握した上でないと、今度概念を変えるわけですから、非戦闘地域をやめるわけですから、そういう概念を変えることの議論ができないじゃないですか。
あるいは、これはもともと輸送ということだったんですけれども、四万六千人を自衛隊機で輸送したということですが、そのうちの三万人は多国籍軍関係者だったということが報告されていますね。
武装した米兵等の軍人を運んだという実績はどのぐらいあるんでしょうか。そのことも含めて御答弁いただきたいと思います。
○中谷国務大臣 事例等につきましてきょう御質問をいただいたわけでございますが、基本的に、当時のイラクの情勢につきましては、離発着する航空機に対して携帯型の対空ミサイル等による攻撃が発生して、その結果、固定翼航空機、これが被弾した事案も発生したということは承知をいたしております。
このため、イラクの活動等につきましては、C130等の飛行に際しまして、念入りに安全対策をした上で運航をいたしたわけでございまして、装備、部隊の運用等について入念に検討、工夫をするとともに、日々の運航に際しては、着陸予定の航空機が攻撃を受ける可能性等もその都度考慮した上で運航の可否を判断することとしておりまして、予定した運航を取りやめたということもございます。
こういった状況で五年間活動をいたしましたけれども、安全確保に努めながら、五年間の期間は無事任務を遂行したということでございます。
○岡田委員 米兵等、武装した軍人を運んだ、その人数を聞いているんです。
○中谷国務大臣 航空自衛隊は、平成十六年三月から平成二十年十二月までの間に、クウェートのアリ・アルサレム飛行場を拠点として、タリル空港、バグダッド飛行場、エルビル飛行場との間で、C130H輸送機によって、任務運航延べ八百二十一回、人数延べ四万六千四百七十九名、貨物延べ六百七十二・五トン、これを空輸いたしました。
米兵につきまして、実績におきまして、米軍人二万三千七百二十七名、これは延べでございますが、これを運航したということでございます。
○岡田委員 私は、最初のイメージと全然違うんですね。これを考えたときに、武装した兵士も中にはいるかもしれないけれども、それはむしろ例外で、物資も生活必需品のような物資を運ぶんだというふうに私は思って政府の説明を聞いておりましたが、現実には、武装した米兵をかなり運んでいる。しかも、それはバグダッド空港に運んでいるわけです。一歩出れば、バグダッドは、いつテロが起きても不思議ではない、いわば戦闘地域に近いようなところ、そういうところに武装した兵士を送り込んでいたと言われても仕方がないかもしれないですね。だから、実態がそういう実態だったら、我々が事前に聞いていたことと全然違うわけです。
だから、正直に示してもらいたいんですよ、どういう現実があったのか。その現実を知らずして、この後方支援の議論、非戦闘地域をやめるという議論はできないですよ。だからその情報公開をちゃんとすべきだ。
あのインド洋における給油活動について、私は野党で、資料要求したときに驚いたんですが、政府から出てきたのは真っ黒でした、墨で全部塗り潰されていた。しかし、アメリカから出てきた情報公開は、ほとんど詳細にわたって事実関係が示されていましたね。もうあれから十年たつんですよ、イラクに飛行機を送ってから。もう十年たって、今出せない理由はないはずですよ。隊員の身に危険が及ぶとかいろいろなことを言われましたが、今はもう終わっているんですから。
だから、長官、約束してくれませんか、これ。総理、どうですか。きちんと情報公開する、そのことが、この後方支援について新たな概念を入れて議論する前提であるというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
○中谷国務大臣 まず、この任務につきましては、イラク国内において復興支援または治安維持のいずれかの活動に従事していたという米兵でございます。
人数等につきましては、ただいまお答えしたとおりでありまして、輸送機によって、任務運航延べ八百二十一回、人員延べ四万六千四百七十九名、貨物六百七十二・五トン、これを輸送したわけでございます。
○岡田委員 質問に全然答えていただいていないので、ここもぜひ理事会で協議していただきたいと思います。
きょうの六十分の議論を通じて、私は難しいことは全然聞いていないんです。基本的なことしか聞いていないんですけれども、それに対するまともなといいますか、きちんとした御答弁は、総理も含めて、私はほとんどなかったと思うんですよ。だからこそ、国民の八割はいまだにわからないと言っている。そして、やればやるほど、月次ごとに調査をメディアなどがやっていますけれども、法案に対する反対、あるいはこの法案の趣旨について賛同するかどうかということについて反対、必要ないという意見がふえていくんですよ。
いろいろなことが今言われていますけれども、ぜひ、しっかりと国民に説明責任を果たして、国民の多くが理解をするという状況をつくった上での採決ならわかりますけれども、こんな状況で採決を急ぐ、強行に採決するということは、これは全く許されないことですから、そのことを最後に申し上げておきたいと思います。
終わります。