強行採決は戦後民主主義に大きな汚点を残す 「あらゆる手段」で安保法案阻止へ(夕刊フジコラム「ズバリ直球」15年9月17日)
台風18号から変わった低気圧による記録的な豪雨の影響で、先週、東日本の各地で大規模な水害が発生した。犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者のみなさんには心からお見舞いを申し上げたい。
私は13日、鬼怒川の堤防が決壊して、甚大な被害が広がっている茨城県常総市を訪れ、高杉徹市長から要望を聞き取るとともに、避難されている住民の方々の話をうかがってきた。
同市では、災害対策本部が置かれた市役所までが水没し、市職員が身動きできなくなるという想定外の事態に見舞われていた。被災地区では、電気や水道、ガスも止まったままだった。
住民の方々からは「自宅が水没した。これから、どうすればいいのか」「大切な田畑が水没し、農機具も動かなくなってしまった」「空き巣が被災地区に入り込んでいるらしい。不安だ」などと、心配する声が多く聞かれた。自衛隊のヘリコプターで救出された女性は「隊員はとても親切だった。彼らを戦場に送らないで」と語っていた。
こうしたなか、全国から支援物資が届き始め、近隣の市町村からボランティアも集まってきていた。東日本大震災を経験して、国民一人ひとりの中に「助け合う」「支え合う」といった気持ちが自然と育ちつつあるようだ。こうした人々の笑顔は被災住民を勇気づけていたと思う。
被災地域の本格的復旧には、国と県、市で、それぞれやるべきことがある。民主党としても全力で対応していきたい。
さて、安全保障関連法案をめぐる参院審議は、採決の前提となる中央公聴会や地方公聴会が、与党主導で強引に決められた。衆参で200時間以上審議したというが、時間ではない、大事なのは審議の中身だ。政府答弁はあまりにも不十分で、審議は尽くされていない。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査でも、安保法案を「理解していない」という人は45%もおり、今国会での成立には59・9%が「反対」としている。200時間審議してもこの状況だ。民主党は、憲法違反の同法案は廃案にすべきだと訴えているが、やはり政府は出直すべきだ。
先週11日の野党党首会談では、野党が一致して行動し、政府案の成立を阻止するために「あらゆる手段」を講じることを確認した。国会の周辺でも連日、多くの人々が集まって抗議運動が続けられている。
こうした中で、与党が強行採決を行えば、戦後民主主義に大きな汚点を残す。安倍晋三首相はもちろん、与党議員の方々にも、よく考えてもらいたい。 (民主党代表)