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2015.10.14|夕刊フジ

夕刊フジコラム/共産党との連立のハードルはかなり高いが…次期衆院選で政権交代に再挑戦

今年のノーベル医学生理学賞に、開発途上国での感染症に大きな治療効果を上げている薬剤を開発した、北里大学の大村智特別栄誉教授が、ノーベル物理学賞に、素粒子ニュートリノに質量があることを証明した、東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長(教授)が選ばれた。日本人科学者が2日連続で、最高の栄誉に輝いたことを、心から称賛したい。

 報道によると、多くの人々の命を救った大村氏は大学卒業後、都内の夜間高校で教べんを執りながら大学院に通い、化学を学んだ苦労人だという。地道な研究を続け、微生物が作り出す有用な化合物を次々に発見し、医療や研究に大きく貢献した。まさに日本人の誇りだ。

 こうした業績に光を当ててくれた、スウェーデンのカロリンスカ研究所にも拍手を送りたい。きっと、日本をはじめ、世界各国でコツコツと研究を続けている後輩の研究者たちの励みになったはずだ。

 さて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が大筋合意した。アジア太平洋地域の活力を取り込み、日本の経済成長を加速させることは重要だ。民主党も野田佳彦政権時代から主張している。

 ただ、完全な情報統制が敷かれ、国会にも交渉内容の情報が出てこなかったので、まだ詳細は分からない。このため、現段階では簡単には評価できない。

 今後、牛肉や豚肉、乳製品などの関税が大幅に引き下げられることになる。これらの価格も下がるので、短期的に見れば、消費者には望ましいが、日本国内での生産が難しくなり、日本の農林水産業が窮地に陥れば、長い目で見て、日本のためには良くない。持続的生産が可能になるような対策が必要だ。

ともかく、合意内容や交渉過程の情報開示を速やかに行うべきだ。臨時国会では遅すぎる。政府・与党には、早急に閉会中審査を開くことを求めたい。

 私は最近、維新の会の松野頼久代表や共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首ら、野党党首と順次会談している。近く、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表とも会談する予定だ。

 これは、安全保障関連法の違憲部分を廃止することと、来年夏の参院選での選挙協力について意見交換するためだ。参院選の1人区や、衆院選の小選挙区で共闘できれば、自民党に勝てる選挙区は多々ある。各党とも、大きな方向性では異論はない。

 ただ、ともに政権を担うとなると話は別だ。民主党は次期衆院選で政権交代に再挑戦する。国民に対して、責任を持った政権構想を示すつもりだが、決して政権交代自体が目的ではない。国民のための強い政権を目指している。

 したがって、「国民連合政府構想」を掲げている共産党とは、日米同盟や市場経済に関する根本政策などに大きな違いがあり、連立のハードルはかなり高い。こうしたことも含め、志位委員長とも今後話し合っていきたい。 (民主党代表)




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