岡田克也代表定例記者会見(11月12日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=u9_E8w4gMuM
岡田克也代表記者会見
2015年11月12日(木)16時01分~16時49分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言
○憲法改正をめぐり予算委員会で安倍総理と議論
○児童扶養手当・第2子以降の拡充方針について
○園遊会に出席
■質疑
○園遊会について
○憲法改正をめぐる議論について
○野党再編をめぐる議論について
○野党協力について
○55年体制の確立から60年に当たって
○次期参議院議員選挙の候補者擁立について
○予算委員会での議論を受けて
○世論調査の結果について
○最低賃金の引き上げについて
○補正予算について
○児童扶養手当・第2子以降の拡充について
○次期参議院選挙マニフェストについて
○普天間基地移設問題について
○自民党聴取は「圧力そのもの」とするBPO意見書について
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■冒頭発言
○憲法改正をめぐり予算委員会で安倍総理と議論
【代表】
私からは2件。
まず憲法改正ですが、私自身、先般予算委員会で、総理がどうお考
えか、是非確認したいと思い議論したが、まず国際社会における標準
の集団的自衛権を認めるというふうにおっしゃっり、かつ、これは予算
委員会ではないのですが、都内で開催されたある集会でのメッセージ
で、「憲法改正に向けて、渡っていく橋は整備された」とも言われた。チ
ャンスがあれば憲法9条を改正して集団的自衛権の行使を全面的に
認める、そのことを任期中にやるという総理の強い意志を私は感じた。
もちろん、それは数がなければできないが、(憲法の発議要件である)
3分の2というのは、別に与党だけである必要はないので、そういった
ことも含めて、安倍総理が最もやりたいことが見えてきたと思います。
そういったことになれば、平和憲法の考え方、根本的な理念が変わ
るということでありますので、つまり「普通の国」になるということですか
ら、それは私の目指す方向とは全く違う。これはどうあっても阻止しな
ければいけない。そういう意味でも参議院選挙の重要性がより明確に
なったと考えます。
○児童扶養手当・第2子以降の拡充方針について
【代表】
2番目、児童扶養手当。衆議院の予算委員会で、塩崎厚労大臣が
児童扶養手当の第2子、第3子以降の加算額の拡充を検討している
と答弁されました。
これは実は私が2月19日の衆議院予算委員会において、総理と塩
崎大臣と議論したところであります。私は、2013年に議員立法で成
立した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」、その中でいろいろ
プロセス、議論はあったものの、現金給付というところが全く欠けてい
る。児童扶養手当は、子ども1人の場合は4万1020円(当時)という
ことですが、第2子については5000円、第3子については3000円
ということに現行法上なっています。月3000円ということは1人1日
100円です、第3子は1日100円しか加算されないというのは、これ
は全く論外ではないですか、そこの手当をしっかりとする必要がある
と私は申し上げましたが、当時、塩崎さんは「第2子、第3子の話が
ありましたが、恒常的なその財源と、それから子育て生活支援や就
業支援という、言ってみれば個別の対応などの、ひとり親支援施策
の全体のバランスをどう考えて効果を出していくのかということもや
はり考えた上で、慎重に考えていかなきゃいけないんじゃないかな
というふうに思っております」というのが、当時の塩崎さんの答弁で
す。
私はそこで、当時私の議員会館の部屋を突然訪ねてくれた(あし
なが育成資金で生活する)学生の手紙を読み、しっかりと対応すべ
きだと申し上げましたが、総理は「財源が確保できればと思ってお
りますが、同時に、いわばふたり親の家庭とひとり親の家庭に注目
したのが児童扶養手当でございますから、その関連もあるんだろう
と思います」ということを言われて、かなりネガティブでした。
あれから半年以上たって、だいぶ前向きにお考えいただいている
とすれば、それはそれで評価できることだと思いますが、まだ金額
等も明らかになっておりません。ここはわが党としては引き続き、
国会に法案を出すことも含めてしっかりとした対応をしていきたい。
「共生社会」ということで、今、党内の議論が大詰めを迎えておりま
すが、そこで着目点として「子ども」「若者」「女性」という三つの切り
口で議論しており、子どもであり、そして母子家庭という意味では
女性の問題でもある。ここはしっかりと経済的な支援、底上げをし
っかりやらなければいけない。政府も同じ考え方に立っていただい
たとしたら、そのことは評価しつつ、しっかり内容のあるものにして
もらいたいと思います。
○園遊会に出席
【代表】
私からは以上で、後はちょっと雑談的になりますが、今日は園遊
会が開催されまして、私も先ほど出席させていただきました。いろ
いろな方にお目にかかって、立ち話ができる機会でもありますので、
自民党の谷垣幹事長や森憲法調査会長や、あるいはわが党の前
原誠司議員とか、いろいろな方に機会を捉えて立ち話をする機会が
あったことは非常によかったと。あわせて、東宮御所の緑の中で散
策をして非常にリフレッシュできたということもご報告しておきたいと
思います。
■質疑
○園遊会について
【フリーランス・宮崎記者】
今回は櫻井よしこさんも招待されていたと思うが、櫻井よしこさん
と何かお話をされたか。また、前原さんとも話をされたということだが。
【代表】
櫻井さんとはお会いしておりません。かなりたくさんの人がおられま
したので、お会いする機会はありませんでした。
前原さんとは少し立ち話はしました。
【時事通信・小松記者】
園遊会で前原さんとお話しになったということだが、野党再編につ
いて話題になったのかということと、立ち話ということなので、改めて
落ちついた形で会談を持たれる予定はあるか。
【代表】
だいぶ話し込みましたが、立ち話の中身をご披露するような野暮な
ことはいたしません。
○憲法改正をめぐる議論について
【TBS・柏木記者】
先ほど、(安倍総理の姿勢は)代表の目指すところとは全く違うこと
が明確になったということだが、以前から民主党は安倍政権のもとで
の憲法改正議論には乗らないという立場を示しているが、その立場
は変わらないということでよろしいか。
【代表】
私が申し上げているのは、まず総理の憲法観というか、憲法という
のは何のために存在するのかという考え方、それがもし歪んでいると
したら、議論しても仕方がありませんねということです。
我々は、憲法というのは権力者が国民に対して権力の濫用をしない
ように、いわば「たが」をはめるというのが憲法の第1の存在理由であ
ると考えます。その認識が共有されないとすれば、議論しても仕方が
ないということです。普通の人はそういう認識だと私は思いますが。
【IWJ・ぎぎ記者】
代表は9条について取り上げたが、その他にも先日の閉会中審査
の中で安倍総理が、緊急事態条項が重要なテーマになると明言して
いる。それについて民主党の考えを伺いたい。
【代表】
今こういう形で考え方を申し上げる、そういう話ではないと思います。
緊急事態条項が大事だと総理がおっしゃるのが、それが本当にそう思
っておっしゃっているのか、こういうところをこう言えば議論を拒めない
だろうという思惑で言っておられるのかも、よくわかりません。最も狙い
としているのは先ほど申し上げたところだと思います。
【IWJ・ぎぎ記者】
自民党の改憲草案は立憲主義を根底からひっくり返す内容と懸念さ
れているが、部分的に賛成のことがあるのか反対の部分があるのか
は個別にはお聞きできないが、民主党としては護憲なのか改憲なのか
ということを伺いたい。
【代表】
「護憲」か「改憲」かという聞き方は非常によくわからない聞き方だと
思います。私も民主党も、憲法は時代の変化とともに変わる、考え方
が変わるということはあり得るという前提で議論はしてきている。抽象
的に申し上げればそういうスタンスです。私もそうです。
【朝日新聞・村松記者】
来夏の参院選から適用される合区について、自民党は合区は暫定
的な措置であり、したがって合区を撤廃して改選ごとに各都道府県か
ら1名ずつ代表が出るようにしたいという旨を憲法改正草案に盛り込
むことを決めた。「一票の格差」に対する抜本的な対策なしに、そうい
ったことを憲法改正で対処しようとする自民党の姿勢について代表の
見解を伺いたい。
【代表】
草案の中身を、私よく承知しておりませんのでなかなか申し上げら
れませんが、法の下の平等、そして最高裁の解釈は、一票の価値は
平等でなければならない。いろいろな地域とか県のくくりとか、そういう
ものがあったとしても、そういったことより、やはり一票の価値というこ
とのほうが憲法の求めるものであるという考え方です。ですからそこの
憲法の考え方を変えるような改憲かと思いますが、それはもちろん憲
法改正が成り立てば、たぶんアメリカの上院議員のように一つの州で
1人の代表ということも、憲法を変えれば可能でしょうが、今の憲法の
体系を大きく崩さずしてできるのかというと、私はかなり疑問があると
思います。
○野党再編をめぐる議論について
【IWJ・ぎぎ記者】
前原・細野両議員が、維新の江田議員と合議して、解党して新党を
作るという話が出ているようだが、これについて一体どんな話になって
いるのか。民主党の支持者もそうだが、これまで安保法制に反対して
きた国民も、かなり混乱していると見ていると思うが、代表はこの動き
についてどう見られているか。また今後、野党をどうまとめていくのか
伺いたい。
【代表】
今のご質問に出た人達がどういう議論をしているのかというのは私は
承知しておりません。ただ、ご心配いただく必要はありません。執行部
は私です。
【時事通信・小松記者】
昨夜、江田憲司さんとお会いになっていると思うが、そこで民主党の
解党についても話があったかと思うが、現時点で代表は民主党を解党
して維新と合流して新党を立ち上げるという構想に対しては、どういう
見解をお持ちか。
【代表】
まず、昨日誰と会ったかということは私は申し上げません。
それから、今おっしゃった話は党のあり方に対する根本論であります
ので、党の執行部の中でしっかりと考え方が固まり、そして党を支える
皆様の理解が得られる前に軽々にお話しすることではないと考えてい
ます。
【朝日新聞・村松記者】
代表は常々、解党とか党名変更とか、そういったことでは国民の信
頼は取り戻せないとおっしゃっているが、今もその気持ちに変わりは
ないかということと、変わりがなければ、そういう手法では国民の信頼
が取り戻せないと思う理由について伺いたい。
【代表】
私が申し上げているのは、本質が変わらなければだめだ。看板の
掛け替えではだめだということです。
【共同通信・関記者】
昨日の細野さん、前原さん、江田さんの会談に関連して、細野政調
会長、執行部の中からこういった動きが出たことに関して、本人にど
ういった意図であったか等について代表自ら話を伺う考えはあるか。
【代表】
「執行部」というのはどの範囲まで言うのかということですが、党の基
本的なところ、党の運営、あるいはあり方の基本的なところというのは、
私の認識では代表や代表代行、幹事長、参議院議員会長だと思って
います。もちろん政調会長は政策については非常に重い責任を持って
いる。ご本人も、執行部だという自覚があれば、もし伝えられているこ
とが本当だとすれば、そういう発言は軽々にはおっしゃらないはずだと
思います。
ただし、事実かどうかは私、確認していません。報道だけですから。
3人が会ったかどうかも私は知りませんし、どういう話があったかも知
りませんので、そのことについて私は何も確認しておりません。
【毎日新聞・田所記者】
先ほどの「軽々に話すことではない」というお答えからすると、解党に
ついては特に前向きであったりとか慎重であったりとか、そういうスタン
スを今明らかにする段階ではないということでよろしいか。
【代表】
今、何か決めているわけではありません。
それから、党を支えているたくさんの人がいます。今、福島県でも県
議選の真っ最中です。党の公認で出ている人達もいます。そういう中で
無責任なことは私は言いません。
【時事通信・小松記者】
前原さんとは今日、立ち話をされたということだが、改めて落ち着い
た形で会談を持つ予定はあるか。
【代表】
現時点で具体的な予定はありません。ただ、今日お話しして、非常
に穏やかに、中身は申し上げませんが、いい話ができたなとは思って
います。
【テレビ朝日・河村記者】
先ほど代表は、本質が変わらなければだめと、看板の掛け替えで
はだめだという考えを述べられたが、党内から、なかなか民主党が
変わったところが見えないという批判も。今回の新党を作って野党再
編するというのも、「変える」という意味で見せていったほうがいいの
ではないかというのが根本にもあるかと思うが、そういう党内からの
批判的な意見についてどのように思われるか。
【代表】
私のところにそういうふうに言ってこられた方はほとんどいません。
言ってこられた方とはちゃんと話をしています。
【毎日新聞・田所記者】
発言の確認だが、「看板の掛け替えだけでは意味がない」と従来
からの発言で、先ほども再度伺ったところだが、それを文字どおり
読むと若干慎重な雰囲気に聞こえるが、本当に慎重な姿勢なのか、
それとも看板を掛け替えつつ本質も変えればいいという意味なのか。
本質も変えれば看板を替えてもいいということなのか。つまり中立的
でフラットにおっしゃっているのか、慎重な意味でおっしゃっているの
か確認したい。
【代表】
それは私の申し上げているとおりです。どう解釈するかは皆さんの
問題だと思います。
○野党協力について
【IWJ・ぎぎ記者】
共産党が統一政府という提案を出してから結構時間がたったが、
これまで党内でどんな議論がされていて、来夏の参院選に向けてど
ういうふうに野党で共闘していくという話が進んでいるか。何か報告
があれば教えていただきたい。
【代表】
党内で、機関で何か議論しているということはありません。ただ、私
の方針は一貫してはっきりしています。理念、それから政策、これが
あまりにも違う中で、一緒の政府というのは無理がある。これは私の
一貫した考え方です。
【IWJ・ぎぎ記者】
統一政府とは別に、選挙協力については何か話は進んでいるか。
【代表】
連合政府か統一政府かわかりませんが、それが前提のご提案です
から、その前提がない時にという議論はする必要がないと思います。
【IWJ・ぎぎ記者】
民主党が、そこのボードにも掲げている「暴走にSTOP」ということを
実現するには、やはり野党共闘が欠かせないと思うが、今までの代
表の回答を聞く限り、煮え切らない感じを受けてしまう。党内でも解党
・新党という話も出ていて、共産党から提案があった統一政府に関し
ても、何か民主党から提案して野党共闘するという意気込みをなかな
か感じられない。その「暴走にSTOP」というのは、来夏の参議院選
に向けて何か新しい策を打たなければ、自民党に大勝させてしまう
のではないかと思うが、新しい計画というか狙いというか、「こうして
いく」という具体的な方法はあるか。
【代表】
よく聞かれるお話を今お聞かせいただいたと思いましたが、あまり
論理的ではないと思います。わが党としては野党第1党、第2党がし
っかり協力していく。そういう中で他の野党とも必要な協力をする。
共産党との関係は、統一政府ということが条件であり、難しいという
ことを私は明確に申し上げています。参議院選挙で、なぜ統一政府
ということを持ち出す必要があるのか。そういうものがない中で選挙
の協力ということであれば、その程度はいろいろあると思います、
「(候補者を)出さない協力」ということも含めていろいろある。そうい
うことは話し合う価値があるということです。
○55年体制の確立から60年に当たって
【読売新聞・中田記者】
今年で55年体制が始まってから60年目になる。当時の政治状況
を振り返った時の55年体制の代表の評価と、翻って今の政治状況
をどのように見ているかということについて、ご意見を伺いたい。
【代表】
50年、100年ならばともかく、60年で何か記念すべきほどの意味
のあるものなのかという感じがまずします、55年体制というのは。
いずれにしても、長らく冷戦下においては、そういったイデオロギー
対立というものを背景にして「自民党対社会党」という時代が続きまし
た。これは政権交代を前提にしない対立、二大政党ということで非常
に特徴があると思います。
冷戦構造が壊れて細川政権ができた頃からは、そうではなくて、や
はり政権交代を目指す、そういう二大政党というか、あるいは複数政
党の時代に入っているということだと思います。
いろいろなチャレンジがありましたが、やはり自民党はしぶといです。
全く考え方の違う村山さんを担いで政権に復帰したり、公明党と手を
組んだり、そこのしたたかさというのはある意味では大したものだと思
いますが、やはり政治というのは基本的な理念とか政策というのが非
常に大事なので、そこのところを踏み外してしまうと何でもありになっ
てしまう。それは国民にとっていいことなのかどうかというのは、もう少
しきちんと考えられるべきではないかと私は思います。
もう一つは、自民党単独ではもう政権維持ができなくなってしまった。
ずっと連立です。というのが最近の特徴だと思います。
○次期参議院議員選挙の候補者擁立について
【産経新聞・松本記者】
来年の参院選で既に公認が内定している大久保勉議員が、今日地
元で不出馬の意向を表明したということだが、この件について大久保
氏から党側に何か説明なり報告なりがあったかということと、内定して
いる人が辞退したことの受け止めを伺いたい。
【代表】
大久保さんは今、記者会見を現地でしている最中ではないかと思い
ます。それを聞いていただければと思います。どこまでお話しになるか
わかりませんので、私、今そこで、よく記者会見を聞いていない段階で
いろいろ言うのは控えたいと思いますが、ご報告は事前に受けて、中
身も私は了解し、ゴーサインを出しております。
○予算委員会での議論を受けて
【日本テレビ・川上記者】
昨日まで2日間、予算委員会・閉中審査が開かれていたが、大臣の
資質やTPPなどいろいろな問題が取り上げられたと思う。その2日間
を通じて、与党側の議論に対する姿勢、特に高木復興大臣の説明に
ついてどのように感じたか。
【代表】
メディアは高木大臣のことが関心の第1で、民主党の取り上げ方が
甘いとか、そういうご批判もあります。大臣のスキャンダルは重要なこ
とですが、非常に限られた、2日間と時間しかない中で、やはり国民
の生活に直結する政策課題を真摯に議論することも大事なことだ。
高木大臣のことは、委員会で議論されたとおりでありますが、さまざ
まな疑問がさらに湧き上がったということは言えると思います。ぜひ
臨時国会を開いて、この問題も含めてしっかりとやりたいと思います。
【日本テレビ・川上記者】
今、臨時国会を開いてという話があったが、昨日、参議院で野党の
国対委員長が会談をし、臨時国会ということも改めて話をしたと思うが、
今後、憲法53条の規定も含めて、これ以上さらに踏み込んだ形で、
どのように臨時国会を求めていくかということについてお考えはあるか。
【代表】
野党の幹事長間でよく議論していただいております。我々の要求は
全く無視されている。過去に小泉政権の時の先例があるというふうに
政府はおっしゃりたいのでしょう。ただ憲法53条はどう考えても、4分
の1(以上の要求)で臨時国会の召集ができると、その要求があった
時は開催をしなければいけないと定めてあるわけで、その「開催」とい
うのは通常国会ではない。明らかな憲法違反ということだと思います。
○世論調査の結果について
【フリーランス・安積記者】
近々の内閣支持率、大体50%前後で、やや回復の傾向にあるとい
う分析がされている一方で、日本農業新聞・10月28日付の朝刊では、
これはTPPの関係だと思うが18%だ。具体的な政策については厳し
い意見が出ているのに、トータルとしては50%前後という政権維持可
能な水準であるということ、これ自体について野党第1党としてはどう
お考えか。
【代表】
安倍総理の作戦が図に当たっているということでしょう。国会を開か
ず、そして「1億総活躍社会」とか、中身はよくわかりませんが、耳ざわ
りのいいことをまき散らして、そのことが報道を通じて国民に伝わって
いる。国会は開いていませんから野党の声はなかなか届かない。そ
ういう中で支持率が回復しているということです。私は、それは健全な
ことだとは思いません。
○最低賃金の引き上げについて
【フリーランス・宮崎記者】
労働分配率に関して伺いたい。代表は最近、労働分配率を高める
ことが必要だとおっしゃっている。また予算委員会の閉会中審査でも、
春闘の時に総理が働きかけたことに関してはある程度容認できると
いう趣旨のことをおっしゃったかと思う。あと最低賃金を、マニフェスト
にある1000円に引き上げたいとおっしゃった。ただ、民主党は政策
減税や租税特別措置は基本的にやらないという立場の中で、どうや
って労働分配率を高めていくのか。具体的な政策や法律が見えてこ
ないが、どういった手法があり得るとお考えか。
【代表】
賃金を上げればいいのです。最低賃金を上げることも、全体の賃
上げにつながりますね。
【フリーランス・宮崎記者】
閉中審査の中で、最低賃金を1000円にするという2009年のマニ
フェストに言及されたが、最低賃金を1000円にすると。東京都が今
907円だが、これは何年ぐらいで1000円にしたいというスケジュール
感でおっしゃっていたのか。
【代表】
安倍総理は15円、16円、18円、3年間そういう単位で引き上げて
きたとおっしゃる。私はあの時にグラフを示したのですが、我々は、東
日本大震災の時は7円だったが、その前後の年はやはり12~13円
上げています。それは、消費者物価が下がっている中で、デフレの中
で最低賃金を上げた。今は消費者物価が上がっている中で、それに
最低賃金が追いついていないという状況ですから、実質目減りしてい
るということです。ですから、もっと思い切って上げる必要があるという
ことを申し上げました。
私の念頭にあるのは、やはり20円以上は、できれば25円ぐらい上
げる必要があるのではないかと思います。具体的なことは専門家が
議論していただくことですが、今の15円前後、あるいは17~18円前
後で「上げた」「上げた」と言って満足してもらっていたら、それは困る。
物価が上がっていることを十分考えて、もっとしっかり上げてくださいと
いうことを申し上げた。そういうふうに上げていけば、100円ぐらいは
4、5年でクリアできるわけです。
国際的に見ても、OECD加盟国の中で賃金の中央値との比較で見
た時に、日本の最低賃金は下から5番目です。非常に低い。そういう
こともしっかり考える必要があると思います。
【フリーランス・宮崎記者】
県別という考え方の中でおっしゃっていることか。全国一律で1000
円という意味ではないと。
【代表】
平均で1000円です。
【フリーランス・宮崎記者】
最低賃金が平均で1000円ということを、具体的に何年までに実現
しようということでおっしゃっているのか。
【代表】
ですから、具体的に幾ら上げるかということは、一定の仕組みの中
で議論されていますから、明確に申し上げることはできませんが、例
えば20円上げれば5年で1000円になる。
○補正予算について
【フリーランス・宮崎記者】
TPP対策大綱、それから「1億総活躍社会」の政策パッケージも、今
月中にできると思う。先ほどの児童扶養手当の塩崎大臣の話もそこ
に入れて、早ければ補正で対応してしまいたいという趣旨ではないか
と思うが、恒久的な制度ではなくて補正でやると。そもそも今回、補正
予算は必ずしも必要ではないのではないかと思うが、安倍内閣になっ
てからの補正、1回ずつしかやっていないが、補正のあり方、そもそも
今回必要なのかということに関してお考えを伺いたい。
【代表】
補正が必要かどうかは、中身を見てみないと、まだコメントできない。
ただ、ご指摘のように、恒常的に必要なものを補正でやるというのは
邪道です。例えば児童扶養手当について、来年1-3月分から上げま
すというのであれば補正で対応するというのはわかりますが、もし4月
分以降であれば、これは補正の話ではなくて、通常、本予算の中で対
応しなければならない。補正で対応するということは、一回きりになって
しまうかもしれない、ということになるのかもしれませんが、こういうもの
は一旦上げれば、それが持続していかなければ、ある意味では上げる
意味がないわけですから、基本的には補正でやるべき問題ではないと
思います。
TPPも、今、「バラマキではありません。仕組みとしてしっかりと生産性
を高め、農家を支える制度を考えているのです」というのであれば、一
時的な補正にというよりは、それは本予算で対応すべきだ話だと思い
ます。
安倍内閣になって、税収の上振れなどを当然のようにそれを補正で
ばらまいてきていますが、本来であれば税収が予定よりも上がれば、
それは国債の発行を抑える、あるいは基金に積み立てるという形で、
財政健全化にもしっかりと使うというのが本来で、予定より多くお金が
できたからこれ使っちゃえというのは、全く財政健全化に反すると思い
ます。
○児童扶養手当・第2子以降の拡充について
【フリーランス・宮崎記者】
冒頭で、児童扶養手当に関して法案を出したいということだった。こ
れは子ども手当の法案ということでよろしいか。
【代表】
子ども手当てではなく、ひとり親家庭の児童扶養手当。子ども手当と
いうのは、別にひとり親家庭だけの問題ではありません。現在ある児
童扶養手当、先ほど言いましたように第3子は月3000円です。第2
子は5000円。ほとんど意味のないお金です。3000円というのは1
日100円、じゃあ3番目の子どもは1日100円で生活しろというのか
と、こういうことになる。もっと意味のある金額をしっかりと手当てする
ことが必要だと思っています。
○次期参議院選挙マニフェストについて
【NHK・花岡記者】
先日のNC(次の内閣)で、マニフェスト作りに向けてどういうふうに
議論を進めていくかが議題になったかと思うが、代表が常々おっしゃ
っている経済政策も含めてマニフェスト作りのスケジュール感、あと
何を目玉にしていくかについて伺いたい。
【代表】
年内には考え方としてはあらかたできていないと、細かい表現とか
そういうのはいいのですが、政策の骨格が固まっていないといけない
と思います。
したがって前回NCで、久しぶりに開かれたNCだったのですが、そ
こでまず私の考え方を伝えて、議論も、皆さんのご意見もいただきま
した。これから各大臣にしっかりと政策を出していただく、その指示を
する予定にしています。NCで、もう少し頻繁に開いて議論しながら練
り上げていきたいと考えています。そういうものがあってマニフェストに
なるわけですし、1月の予算委員会なども具体的な政策がもう少し揃
わないとなかなか議論しにくいところもあるなというのが率直な私の感
覚です。
経済政策も、これは細野さんが責任者になって議論してもらってい
ますが、私も入って、よく方向性について議論する、そういう必要性が
ある段階に来ているなとは思っています。
長妻さんのところの共生社会のほうはだいぶ文章化も進んでいまし
て、これから各地方に行って、さらにご意見をいただいて完成していこ
うと、そういう流れになっています。
【NHK・花岡記者】
所得税制などについても代表はよくお話しされているが、今ここの
部分は、成長戦略の素案などは出てきていて、あとは共生社会の長
妻さんの報告もあるが、その税制の部分はどういうふうにこれから議
論していくか。
【代表】
税制も、古川元久税調会長などとだいぶ議論をしております。私の
考え方をまた古川会長が税調に持ち帰って議論を重ねてもらってい
ます。まだ最終的な形にはなっておりませんので、ここで申し上げる
段階にはありません。ただ、大きな方向性としては、やはり所得税に
ついて、あまりにもフラットになり過ぎているものについてもう少し是正
していく。ただ、実は所得税は我々の時に相続税も含めて増税という
のを決めてしまっていますので、それが今やっている最中ですので、
そこの部分はすぐ来年どうかということにはならないかもしれません。
そういったことをかなり具体的に議論しているところです。
マニフェストも、大きな方向性と、それからここ数年間、参議院の場
合は最長6年になるのかもしれませんが、3年とか6年の間で具体的
に何をするかということをきちんと分けて書けるようにしてくださいと。
そうでないと2009年の時のように、タイムスケジュールというか、少
し大きな方向性の話と、すぐやる話が一緒になってしまっていて、そ
の結果として「期待外れだった」とか、そういうご意見もいただいたわ
けですから、具体的にやれることをマニフェストというのは書く。しか
し、それだけだと民主党が目指しているものがはっきりわからないの
で、大きな方向性は大きな方向性としてきちっと書いて、その方向性
の中でまずやることをきちんと書く。そういった考え方でまとめるよう
に指示を出しているところです。
もう一つは、「正直に書きましょう」ということです。
○普天間基地移設問題について
【時事通信・小松記者】
せんだって細野政調会長が沖縄を訪れた際に、普天間移設計画、
現行計画の妥当性について検証する考えを示し、地元のメディアでも
大きく取り上げられたようだが、党としてそういうことを検討していくの
か、それとも政調会長の個人的な見解ということか。
【代表】
政調会長に、地元紙の報道内容について、どういうことなのか確認
しました。政調会長は、いろいろな前提をつけて慎重に言ったつもりで
あるという話でした。
辺野古自身が正しいかどうかという、そういう話ではなくて、私が申し
上げているのは、現在、辺野古以外に具体的に案がないまま辺野古
を取り下げるということはできません。それはかつて「県外」と言ってし
まったことと同じです。しかし、辺野古がベストだと言っているわけでは
ない。他にいい案がきちんと提案できるという状況になれば、それは
そちらのほうがいいという判断は当然あり得る。しかし現実には、今の
ところそれはないということであります。
○自民党聴取は「圧力そのもの」とするBPO意見書について
【朝日新聞・村松記者】
先日出されたBPO(放送倫理・番組向上機構)の意見書について、
NHKの番組をめぐって自民党がNHKの幹部を党本部に呼んだこと
に関して、BPOの意見書では政治圧力である、番組への介入である
と批判している。それに対して自民党の谷垣幹事長や安倍首相は、
法にのっとった適切な対応であると反論している。その意見書につい
てと、こうした反応について、どのようなご見解をお持ちか。
【代表】
中身は二つあって、一つは、「クローズアップ現代」の指摘されたこ
とについてはやはり問題があるということを指摘した上で、しかし、自
民党本部に呼んだりしたことについて批判をしているということだと思
います。ですから、二つあって、それぞれの問題だと思いますが、や
はり党本部に、特に権力を持った政党が呼びつけて、そして話を聞く
というのは本来の「報道の自由」というものに触れる可能性が高い。
もっと慎重に対応すべき話であった。にもかかわらず、それを正当化
して開き直っている。総理大臣にしても幹事長にしても極めて問題が
あると私は思います。
これはもちろん我々政党として申し上げていることですが、メディア
の皆さんも、もっとしっかりとそういったことには反論しないと、これが
当たり前になってしまいます。そこはぜひお考えいただきたいと思い
ます。