夕刊フジコラム/「年内解党」吹聴は無責任 「看板の掛け替え」は無意味だ
フランスの首都パリで13日に発生した同時多発テロは、死者129人という甚大な被害が出た。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、傷つかれた方々には心からお見舞いを申し上げたい。
過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出したが、何の罪もない多数の一般市民に銃口を向け、命を奪うなど、憎むべき犯行であり、強い怒りを覚える。決して許される話ではない。私は16日、ダナ駐日フランス大使をお訪ねし、心からのお悔やみを申し上げてきた。
無差別テロが続く背景には、シリアやイラクを始めとする中東の紛争、地域の人々の貧困がある。限られたことかもしれないが、中東の安定に向けて日本独自の役割が果たせないかと、改めて思いを巡らせている。
さて、衆参両院の閉会中審査が先週行われた。私も衆院予算委員会で質問に立ち、安倍晋三首相と約1時間、憲法改正や外交、経済などについて議論した。相変わらず、かみ合わなかった。
だが、安倍首相の答弁から、チャンスがあれば憲法9条を改正したいという思いが伝わってきた。自民党が衆参両院で3分の2以上を確保すれば、すぐ着手するだろう。何がなんでも、来年の参院選は頑張らなくてはならないと、改めて覚悟を固めた。
参院選に向けて党内結束が求められるなか、民主党の「年内解党論」がメディアに報じられた。結局、誰が発言したのかも不明だが、私には「年内解党」など、まったく考えられない。
政党は、国会議員だけでは成り立たない。地方議員や地方組織、党員やサポーター、支持団体の方々、そして、民主党に1票を投じてくれた有権者とともに存在している。そうした人々の意見も聞かずに、「年内解党論」を吹聴するなど無責任であり、党の信頼を根本から傷つけることになる。「看板の掛け替え」では何も解決しない。
維新の党とは、以前から話し合ってきたように、年内に統一会派を結成する方向で調整に入っている。これは野党の力を強く、大きくして、国会で巨大与党に対峙するためのものだ。維新は代表選もあるようなので、それが終わってから本格的な話し合いとなるだろう。
ともかく、さまざまな発言が党内外から聞こえてくる。党内で議論するのは結構だが、党のあり方や、根本に関わる批判を安易に外部に向かって発することは、党の信用を地に落とすだけだ。よくよく考えてほしい。 (民主党代表)