夕刊フジコラム/「衆参同日選挙も排除できない」たとえ明日解散となっても戦える準備
国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が、パリ郊外で開幕した。気候変動による深刻な影響を避けるには、世界の気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えることが必要とされる。そのための極めて重要な会議といえる。
会議では、新たな枠組みでの合意を目指している。世界約150カ国の首脳らが開会式に出席していたが、地球温暖化対策のために、自国の利害得失を超えて、次世代の人類のために責任を果たしてほしい。
今回の合意の拘束力は弱いものになるかもしれないが、まずは先進国だけでなく新興国なども含むすべての国が参加する枠組み作りを優先し、次第に拘束力を強めていくしかないだろう。これまで必ずしも熱心でなかった米国と中国が積極的になったのは、好ましい。
安倍晋三首相はCOP21のスピーチで、途上国に官民合わせて約1兆3000億円の気候変動対策支援を行うと表明した。それ自体は結構なことだが、問題は日本自身の温室効果ガスの削減目標だ。「2030年に13年比26%減」とのことだが、福島原発事故後で排出量が多かった13年を基準年にしており、従来の基準年(1990年)で見ると、18%減に過ぎない。90年比40%減を掲げるEUなどと比べて、大きく見劣りする目標だ。
日本は08年、09年のサミット(主要国首脳会議、G8)で、当時の福田康夫首相、麻生太郎首相が「50年までに世界全体で50%削減」「先進国全体で80%以上削減」という長期目標を確認している。だが、このままでは、日本が80%削減することは不可能だ。長期目標と整合性のある具体的な目標を早急に策定する必要がある。
さて、国会が閉会となって、地方に行く機会を増やしている。特に最近、農業従事者の方々から聞こえてくるのは、大筋合意したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への「不安」と「不満」。「自民党は公約を守っていない」「自分たちは農業を続けられるのか」といったものだ。
米の消費が減るなか、安倍政権は生産調整(減反)を廃止する方針だが、どうやって米価を維持していくのか。「飼料用米転換」という政策は現実的なのか。財政の裏付けはあるのか、など疑問点は多い。農業に意欲を燃やす若い人々を後押しするためにも、民主党が導入した戸別所得補償制度のような政策と仕組みが必要だ。国会でしっかりした議論をしていきたい。
最近、自民党幹部から、来年夏の参院選に合わせた「衆参同日選」(ダブル選)に関する発言が相次いでいる。「軽減税率をめぐって攻防が続く、公明党を牽制する策だ」という見方もあるが、私は「消費税を17年4月に10%に上げるなら、来年、衆院選がある可能性は高い」とみている。当然、衆参同日選も排除できない。
ともかく、「衆院は常在戦場」であり、たとえ明日解散となっても戦える準備をしておくのが、衆院議員の務めといえる。党執行部としても、衆参の候補者選定を急ぎたい。(民主党代表)