民進代表選 公開討論で党の政策、人材のアピールを
民進党代表選が、9月2日告示、同15日投開票で行われる。現時点で、蓮舫代表代行(48)と、前原誠司元外相(54)という、有力な2人が手を挙げている。
蓮舫氏は、現執行部で一緒に活動してきた。代表代行として力量を発揮し、国会審議や選挙応援でも、強い発信力で大活躍してきた。政策や野党との連携など、私と基本的な考え方は近い。女性であるとともに、父親が台湾出身で、多様・多彩な人材が活躍できる社会を目指す、わが党の「ダイバーシティ」という価値観に合致する人物だ。
前原氏は、外相や国交相、経済財政担当相など、政権中枢を経験している。専門分野である外交・安全保障政策に加え、最近は、経済や金融問題でも、国会で鋭い議論を展開している。民主党時代には代表経験もある。党運営の知見も十分といえる。
今回の代表選では、候補者がそれぞれ意見を述べ合うのではなく、米大統領選のように、候補者同士の公開討論を中心に進める予定だ。多少ヒートアップしても、議論が深まり、候補者の実像が見えるはずだ。政策論争を戦わせて、民進党の政策の深み、人材の豊富さをアピールしてほしい。
メディアは「代表選は野党連携のあり方が焦点」と報じている。私は、蓮舫、前原両氏に大きな差はないと思うが、違いがあるなら徹底的に議論し、選ばれた新代表の方針で進めるべきだ。ともかく、これまで蓄積してきた土台をもとに、民進党をさらに発展させることを期待したい。
さて、政府は8月24日の臨時閣議で、総額3・3兆円の2016年度第2次補正予算案を決定した。気になる点がいくつもあり、秋の臨時国会で十分な議論が必要だ。
建設国債2・8兆円を追加発行して、不足する財源を補うというが、本当に借金までしてやる必要があるのか、十分な精査が必要だ。バブル崩壊後、無駄な公共事業を計上して、財政悪化の原因となった悪しき経験を忘れてはならない。
また、低所得者への年1万5000円の現金給付に3700億円を投じる。一時的に現金を得ても将来不安は解消されず、持続的な消費喚起にはつながらない。金利が下がった分、国債費を減額して財源に充てるというが、国債費の財源は赤字国債だ。赤字国債を財源にしたバラマキと言われても仕方ない。
リニア中央新幹線のうち、名古屋-大阪間の開業を最大8年前倒しするなどとして、国が新たに財投債(国債)を発行して調達した資金を民間に低利で貸し出す「財政投融資」を3・6兆円上積みすることも疑問だ。
東京-名古屋間の建設は前倒しにならず、当面の景気対策にはならない。JR東海が自己資金でリスクを取って建設するのであれば、民間企業の判断であり異論はないが、国の資金、ひいては国民の税金が入る以上、工事内容や採算性などのリスクについて、徹底的な検証が必要だ。
安倍首相主導で始める事業の責任者は誰なのか。財務相か国交相か、首相自身なのか、はっきりしない。リニアが完成するとされる2037年に、事業として成り立たないと判明しても、誰も責任の取りようがない。 (民進党代表)