平成28年5月18日 第190回国会 国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)
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○会長(浜田靖一君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。
本日は、私が会長を務めさせていただきます。
国家の基本政策に関する件について調査を進めます。
これより討議を行います。
討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。
また、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に慎まれますよう、御協力をお願いいたします。
発言の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。(拍手)
○岡田克也君 民進党の岡田克也です。
総理、まず、始める前に一つ提案があります。
お互い、これは国民が大変注目していると思いますので、私も長くならないようにしますので、総理の答弁も、御意見も余り長くならないように、お互い簡潔にお話をしたいというふうに思います。
さて、まず第一に、消費税の問題について議論したいと思っています。
総理は、たびたび、リーマン・ショックやあるいは大震災のような出来事がない限り、予定どおり来年の四月から一〇%にする、こういうふうに言ってきておられますね。
リーマン・ショック、麻生総理の時代ですけれども、あのときは大変でした、確かに。四半期ベースで見て、年率一〇%のマイナスが二期続いたわけですね。そのときと比べると現状はそういうことではない、これは誰が見てもわかることだと思うんですね。
ということは、予定どおり一〇%、引き上げる、一〇%にするということですね。端的にお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず初めに、岡田代表に、昨日成立をいたしました本年度補正予算、震災のための補正予算が御党の賛成のもとに成立をいたしました。御党の御協力に心から感謝申し上げたいと思います。
また、改めまして、熊本地震によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、そして、御家族の皆様にお悔やみを申し上げ、全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
発災から三十四日が経過をしたところでございますが、いまだに約一万人の方々が避難所での生活を余儀なくされ、そしてまた、自動車の中での時間を送っておられるわけでございます。
本日は、報道によると三十度近くまで気温が上がるということでございますので、このテレビをごらんになっておられる方々もおられると思いますので、熱中症など、お体に気をつけていただきたいと思いますが、我々も、避難所へのエアコンの設置等、全力を尽くしていきたいと思いますし、安心できる住まいの確保にまずは全力を尽くし、生活の再建、なりわいの再建に政府一丸となって力を尽くしていきたいと思います。
そこで、今の質問でございますが、今まで言ってきたとおりでございまして、まさに、世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していく上において必要なものであるとの考え方のもとに、三%の引き上げを行いました。
次の二%の引き上げにつきましては、従来から申し上げておりますように、リーマン・ショックあるいは大震災級の影響のある出来事が起こらない限り引き上げを行っていく、予定どおり行っていく考えでありますが、いずれにせよ、そういう状況であるかないかは、専門家の皆様の御議論もいただき、適時適切に判断していきたい、このように考えております。
○岡田克也君 熊本の地震、これについては、我々、七千億円の予備費という極めて異例なことを認めました。これは、今後の日程などを考えると、本来であれば望ましいことではないと思いますけれども、国会できちんと、具体的な補正予算を出してもらって審議するのが筋だと思いますけれども、我々はそれを受け入れて、成立、賛成させていただいたところであります。
ぜひ透明性を持ってその予備費の支出をしていただきたいというふうに思っております。
さて、先ほど、総理は予定どおりというふうに言われました。そこで、私は、一年半前の解散時、衆議院の解散時の総理の記者会見を思い出すわけですね。
そのときに総理は何とおっしゃったかといいますと、一〇%への消費税増税を再び延期することはない、ここではっきりと断言する、三年間、三本の矢をさらに前に進めることで、必ずやその経済状況をつくり出すことができる、こうおっしゃったわけですね。そして、経済判断条項も削除された。つまり、必ず消費税を上げられる状況に持っていきますよということを解散時に約束された。そして、これはアベノミクス解散だというふうにおっしゃったわけです。
経済の現状はどうか。もちろん、リーマン・ショックのようなこととは違うということを先ほど私申し上げましたが、しかし、順調な回復軌道に乗っているかというと、残念ながらそういう状況ではない。きょうもGDPの数字が、一―三の数字が出ましたけれども、消費はやはり力強いものはないという状況であります。
そういう状況である、つまり、なかなか消費税を上げられるかどうか微妙な状況、あるいは上げられないかもしれない、そういう状況にあることについて、私は、やはりこの一年半の経済運営がうまくいかなかったということだと思うわけですけれども、私、国民の皆さんにあれだけ断言されて選挙されたわけですから、きちっと説明する責任があると思うんです。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 本日、速報値が出ました。年率でいえば名目二%、そして実質一・七%の成長でございました。一月、二月、三月であります。その結果、安倍政権下、いわゆる三本の矢の政策、アベノミクスと言われる政策を進めてきて以来のこの三年間の結果どうなったかといえば、名目で六・四%の成長でありまして、実質で二・五%でありますから、我々の経済政策は功を奏している、こう思っているわけでございます。
そしてまた……(発言する者あり)今、えっという声がございましたが、名目六・四%ですよ。その前は……(発言する者あり)今、実質という声がございました。そういう声がございましたので答えさせていただきますと、民主党政権時代は実質五・七%でありましたが、名目は〇・七%ということは、どういうことかというと、五%のデフレだったということを示しているわけでありまして、名目も実質も大切です、しかし、給料に、明細書に書いてある数字は、まさにこれは名目なんです。収入は名目、税収も名目であります。
そして、もう一つ大切なことは、必ず名目が実質を上回らなければならない。それがまさにデフレではないという状況であります。デフレというのは逆の状況、ずっとこの逆の状況が続いてきたのを、我々安倍政権ができて以降、自公連立政権ができて以降、名実の逆転を正常化させることができたと思います。これは二十年近く続いていたデフレから脱却する上において、私は、大きな一歩であったことは間違いないのではないか、このように思います。
○岡田克也君 私は、総理のやられた経済政策を全否定するつもりはないんです。実績を上げたところもあるというふうに思っています。ただ、二十年間デフレだったという、その二十年のほとんどは自民党政権ですからね、そのことも申し上げておきたいというふうに思います。
今言われましたけれども、例えば、きょうの数字に基づいて、昨年度の名目と実質、一月時点での政府見通しは、実質が一・二%、昨年度ですね。そして名目が二・七%だったわけです。それが、今回の数字をもとにして計算すると、結果が出たわけですけれども、実質が〇・八、つまり一・二から〇・八に下方修正、そして名目は二・七から二・二に下方修正ということで、一月段階、つまり半年前の政府の見通しをかなり下回った。一・二が〇・八、実質でいうと。かなり下がってしまっているわけですね。だから、私はうまくいっていないというふうに思うんです。
いや、うまくいっているから、もう消費税もちゃんと一〇に上げます、そういうことなのかもしれませんけれども、私は、この経済運営、あれだけ、これから三年間で必ず消費税を上げられる状況に持っていきますというふうに国民に約束した、その約束が果たされていないなら、私は、内閣総辞職だ、そういうふうに思いますよ。そのぐらいの責任があるということを申し上げておきたいと思います。
その上で、自民党の中にいろいろな議論がありますね。例えば、公約違反とか、アベノミクスが失敗だ、こういうことはないんだけれども、G7で国際協調が言われる中、あるいは機動的財政出動、財政政策の調和が言われる中で、やむを得ず一〇%を先送りする、こういうふうに、ここ二週間ぐらいの間に総理が言われるんじゃないか、そういう意見もあります。自民党の中にもそれを期待している意見もあると思います。そういうことはないと断言されますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二十年間の間の多くは自民党政権ではなかったかという御指摘がございました。これは、前から私もそう申し上げております。ほとんどは自民党政権でありましたし、安倍政権も含まれています。前の安倍政権下においても企業は最高の収益を上げていましたが、給料は伸びなかった、そうした反省も含めて今政策を遂行しているんだということは申し上げておきたいと思います。
そこで、世界経済の状況であります。
世界経済の状況について言えば、一五年については、リーマン・ショック後においては最低の成長率になりました。つまり、下方リスクがあるということではみんな認識を一にしているところでありまして、これが景気循環を超えるリスクとして顕在化をしてくるかどうかということについて注目をしているわけでありますし、注目をしなければならないと私は考えています。そこで、不透明さを増す状況の中において、中国の経済の減速というリスクもありますし、テロの問題等もあります。
そうした認識においては、これはもう世界共通の認識と言ってもいいと思いますし、先般回ってきたイタリア、フランス、ドイツそしてイギリス、それぞれの国々の認識もそうでありましたし、EUの認識もそうでありました。そういう中において、G7としてどういう責任を果たしていくべきかということについて議論をしてきたわけであります。
そこで、私としては、需要を創出していくべきであろう、供給の制約要因は取り除いていかなければならないということについては認識が一致したところでございます。
あしたも国際金融経済分析会合を開いて専門家の意見を聞くところでございますが、その上において、G7において議論を進めていきたい。その中で、日本はG7の議長国としてどのような責任を果たしていくかということについてしっかりと考えなければならない、こう思っているところでございます。
○岡田克也君 総理が今言われた、中国の経済がどうなるか、新興国がどうなるかというような、あるいは石油の価格がどうなるかというようなリスク、それがあるということは共通の認識だと思うんですね。しかし、それに対してどう対応していくか、その認識が、ことしかなりリスクが高いのか、もう少し、数年間のタームで物事を考えるのかということで対応は変わってくると思うんですね。
総理は、機動的財政出動だと。これは、まさしくすぐそういうことがあり得るということで機動的財政出動。しかし、ヨーロッパの国々の中には、もう少し長いタームで見て、やはり大事なのは構造改革だ、そういうものに耐えられるようにするためには構造改革こそが必要で、単年度で財政出動したって余り意味がないねと。そういう考え方の違いがあるということは申し上げておきたいと思います。
そこで、総理、ぜひ私は聞いたことに答えていただきたいんですね。このサミットの前後で、いや、やはり一〇%は再延期する、そういうふうに言われることはないんですかと聞いているんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げておりますように、経済というのは生き物でもあります。ですから、その中において、私は、リーマン・ショック級の出来事あるいは大震災、そうした大きな影響を及ぼす事態が起こらない限り消費税を上げていくという従来の方針に変わりがないということは述べているとおりでございます。
そして、今、岡田さんがおっしゃったように、世界にはさまざまな意見がございます。
短期的に効く、つまり金融政策を行っているのは、金融緩和を行っているのは、ECBもそうですし、日本銀行もそうでありますし、アメリカのFRBもそうであります。そういう中においては、財政政策が比較的効力を及ぼしていくという考え方があるわけでありまして、こういう考え方においては、日本も、米国も、恐らくカナダも、イタリアも、フランスも、そしてEUにおいても大体これは共有していただいているのではないか、こう思うわけでございます。
そして、他国、それぞれの国は、しかしそれぞれの事情があるわけでございまして、そしてまた、経済の状況についてのリスクに対する認識、危機感というのは大体私は共有できているのではないか、こう思います。それは、今そういうリスクが顕在化するおそれがないと考えている首脳は私はいない、こう考えておりまして、そういう中で何をするかということを議論したわけであります。
○岡田克也君 私が二度お聞きして、サミットの前後で一〇%引き上げ再延期はないんですかと聞いて、総理がお答えになりませんでしたから、私はないと理解しますよ。もしそれで再延期するということになると、これは国民に対してきちんと説明する説明責任が生じるということは申し上げておきたいと思います。
私も、総理御存じのように、与党時代に、野田総理とともに社会保障・税一体改革を担当大臣としても推進してまいりました。やはり次の世代に大きな債務を残すわけにはいかない、同時に、社会保障制度の持続可能性は重要だ、そういうふうに考えて、社会保障・税一体改革、御党や公明党の皆さんの御理解もいただいて、何とかこれを、党の方は相当傷みましたけれども、だけれどもそれを何とかまとめました。私は、今もその気持ちは変わっておりません。
ただ、先ほど来言っていますような経済状況、特に消費がこれだけ力強さを欠いているという中で、私は、ここでもう一度消費税の引き上げを先送りせざるを得ない状況だ、そういうふうに思っております。
その際に、四つのことを申し上げておきたいと思います。総理は、いや、先送りしないと言うんですから、これはお答えは要りませんが、四つのことを申し上げておきたい。
一つは、二〇二〇年度の基礎的財政収支黒字化、この目標は変えない。したがって、そのためにはやはり二〇一九年四月には一〇%に上げる。そうでないと間に合いません。そのことをしっかりと守る。
そして、二番目は、法律にも書いてありますが、行政改革、行財政改革をしっかりやるということをより具体的に進める。
総理、この三年半見ていても、私は余り進んでいるようには思えないんですね。公共事業を重点化していく、そして国民の皆さんに負担をお願いする以上、国会議員の歳費や公務員人件費も含めて削減する、そういったことを含む行財政改革の具体的計画を同時に策定しなければ、私はマーケットの信頼は得られないと思います。
三番目は、社会保障の充実策です。
本来であれば、来年四月から、残された、例えば年金の、低年金者に対する年額六万円の給付、こういうものは制度として、一時的に三万円を配る話じゃありませんよ、制度としてしっかり始まるはずですね。子ども・子育てもあります。そういうものは、消費税の引き上げを先送りするからといって先送りしない、これは四月からちゃんとやる。それはある意味で、私は機動的財政出動の中身だと思います。公共事業じゃないんです。
そして、財源は、上げるまでは赤字国債でやるしかありません。つまり、二年間は赤字国債で賄うということです。
そして、四番目……(発言する者あり)
○会長(浜田靖一君) 静粛に願います。
○岡田克也君 二年間時間ができたわけですから、もう一度、軽減税率の導入は白紙に戻して、総合合算制度や給付つき税額控除と、どれが一番望ましいかということをきちんと議論し直す。
この四点を提案しておきたいと思います。
もし何か、総理、ありましたら。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 消費について言えば、確かに消費に、今回は、この一―三においては個人の最終消費についてはプラスになっておりますが、しかし、消費が弱いということについては、消費税を引き上げて以来弱いのは事実でありますし、その弱さにおいて、我々の予想よりも弱いというのは事実でございます。そこに我々も注目をしているわけでございます。
ただいま、私は、岡田代表から具体的な御提案をいただいた、このように思います。いわば経済をしっかりと成長させていかなければいけない、また、その果実を生かしていく、あるいは、既に国民の皆様にお約束をしている社会保障等々についてどのように対応していくか、そして、その財源についても御提案をいただいたと思っております。
ただ、まだ我々はそういう判断を、今申し上げた、従来の、申し上げた考え方の中で判断をしていく、適切に判断をしていくわけでございますが、今の岡田代表の御提案は御提案として伺っておきたい、このように思います。
○岡田克也君 議題をかえます。
総理は、自民党の憲法改正草案、これについて、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、現行憲法の基本原理は私たち自民党の憲法改正草案においても貫かれているというふうに答弁されました。二月三日の予算委員会です。
そこでお聞きしたいんですが、そこで貫かれている、今の現行憲法そして自民党の憲法改正草案、これを通して貫かれている平和主義とは具体的に何なのか、御説明ください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々は、七十一年前、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、この不戦の誓いのもと、平和主義を貫いてまいりました。
その中において憲法の九条がございますが、第一項、第二項、こうあるわけでございますが、その中で、我々は、例えば武力の行使についても三要件がかかっているわけでございます。そして、二度と他国を侵略しない、戦渦に世界の人々を巻き込むことはしない、これこそまさに平和主義であろうと思います。
同時に、私が今進めている積極的平和主義は、世界の平和を維持していくためにも貢献をしていこうということであります。紛争等が起こりそうなところにおいても、しっかりとその地域の生活の向上を図っていく、安定化を図っていく、貢献をしながら、より平和を拡大していく、平和の強度を上げていく、そのために日本が役割を果たしていく。これが私たちが今進めている積極的平和主義であります。
○岡田克也君 自民党の憲法改正草案の九条二項には、自衛権の発動を妨げないというふうに書いてありますね。
その自衛権の意味は、私は総理に委員会で質問をしたことがありますけれども、いや、国連憲章に書いてある集団的自衛権の行使、つまり、限定したものということではなくて全面的なフルスペックの集団的自衛権の行使、こういうふうに言われていますね。そうすると、憲法改正草案で禁止されているものは一体何なのか。
今、侵略戦争と言われました。侵略戦争は、それは国連憲章上もちろん禁止されていますよ。そんなことは言わずもがなのことですよね。わざわざ侵略戦争をしませんと言うことが平和主義とは言わないわけですから。
ですから、平和主義という名のもとで、では、どういう国家としての行為が封じられているのか、そのことについてお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が党の憲法改正草案でありますが、これは我々が野党時代につくったものでございますが、当時、まさに、約七十年間、指一本触れてはならない、憲法議論はいわばこれはしてはならないという空気を変える大きな一石を投じるものになった、こう思っているわけであります。
そして、憲法改正の、これは草案でございます。つまり、憲法改正というのは、衆参でそれぞれ三分の二を得なければならないわけでございます。その上において、国民投票で過半数の賛成を得て成立をするものでございます。
つまり、三分の二を得る中において、もちろん自民党で衆参でそれぞれ三分の二を得ることは、これは不可能なことでございます。恐らく与党においてもこれは不可能なんだろう。多くの方々に賛同を得る、その賛同を得る道というのは、憲法審査会において議論を深めていくことであります。その議論を深めていく中において、我々は一石を投じたところでございます。
そして同時に、我々は、前文から全ての条文について私たちの案はお示しをしております。御党からは、そうした具体的なものは出ていないわけでございますが。そうしたものをしっかりとお示ししていく中において、議論をし、そして恐らくこれは修文がなされていく中において、最終的に、国民の皆様にどの条文からお示しをしていくかということで憲法の改正の手続というのは進んでいくんだろう、こう思っているわけでございまして、私たちが出したものは、あくまでもこれは一つの草案として、国民の皆様に御議論をいただくたたき台として、一石を投じる、そういう役割を果たしている、こう思うわけであります。
大切なことは、憲法審査会において、岡田さん、これは議論することなんですよ。憲法審査会という場をつくって、そこで議論しないのであれば、議論しないのであれば、これは全く議論は、私は……(発言する者あり)
○会長(浜田靖一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 議論は全く深まらないんだろう、こう思うわけであります。
そこで議論を深めながら、そこで、例えば九条ということについては改憲はできないという勢力が例えば三分の一以上いるのであれば、それはできないわけでありますし、しかし、同時に、三分の二を、形成を我々が図っていく中において、当然多くは修正されていくということになるんだろう、政治の現実はそういう現実でありますから、その中でよりよいものをつくっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
いずれにいたしましても、私たちは指一本触れてはならないという考え方ではないわけでありますし、議論するための考え方、草案はお示しをしています。ですから、民主党においても……(発言する者あり)済みません、民進党ですか。民進党においても最低限草案は出していただかなければ議論のしようがないということは申し上げておきたいと思います。
岡田さんに一つお聞かせをいただきたいと思いますが、草案を出す、草案を出すお気持ちが……(発言する者あり)
○会長(浜田靖一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 草案を出すお気持ちがあるかどうかだけ、お伺いをさせていただきたいと思います。
○岡田克也君 まず、我々は、草案を出すつもりはありません。本当に必要な憲法改正の項目があれば、そのことはしっかり議論したいと思います。しかし、私は、あなたたちとは違うんですよ。GHQがたった八日間でつくり上げた代物だと言って、日本国憲法そのもの全部を取りかえなきゃいけないんだ、そういう考え方ではありませんから。むしろ、同じ与党でも公明党の皆さんの考え方に近いですよ。必要があれば直していけばいい。だから、必要があるかどうかをちゃんと議論したらいい。
総理は言われました、憲法審査会で議論しよう。この国会で、実質、衆議院は一回もやっていませんよ。開いていないのは与党の責任じゃないですか。それでなぜ審査会に逃げるんですか。議論するならしっかり議論しようじゃないですか。
そして、私、一番大事な、つまり憲法の三つの原則の一つ、平和主義、これについて聞いているんですが、答えはないんですよ。いつの間にか、憲法改正、これはたたき台と。尻込みしないでくださいよ。自信を持って出されたんでしょう。
草案の言う平和主義の具体的な法規範として一体何を言っておられるのか、そのことをお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平和主義というのは、まさに我々は戦前の反省の中から、他国を侵略しない。これは当たり前というふうにおっしゃったけれども、しかし、そういう出来事がこの世界の中で起こっているじゃないですか。そういうことをしないということなんですよ。そういう状況をつくらないように我々も貢献していくということが大切なんです。当たり前と言えばそれがなくなるものではないんです。当たり前にするには、その努力をしなければならないということは申し上げておきたい、このように思います。まさに、その中で、国民の命と、そして幸せな暮らしを守るために私たちの責任を果たしていかなければならないと考えているわけであります。
我々の憲法草案においても、いわば国連憲章に書いてある考え方、国連憲章というのはまさに平和主義が貫かれているものであります。この国連憲章に書いてある文言とかなり近いのが第一項でありまして、第一項がこれは残っているわけでございます。つまり、そこにおいて平和主義は貫かれている、こう言っていいんだろうと思います。
つまり、必要な自衛の措置しか我々はとらない。そして、我々が申し上げているのは、必要な自衛の措置に当然限られるわけであります。侵略とか、戦闘的な、攻撃的な侵略、あるいは他国を踏みにじる、そういうことはこれから二度としていかない、そして二度と戦争の惨禍を繰り返さないというのが私たちの考え方であり、平和主義であります。自民党の憲法草案におきましても、当然、平和主義が貫かれていることは間違いない、こう思う次第でございます。
これは、こういうことについては、先ほども、やはり、草案を出さずに、必要だったら何かやるというのは、それは考え方としておかしいんじゃないですか。つまり、お互いに考え方を示し合って……(発言する者あり)済みません、ちょっと……
○会長(浜田靖一君) やじに答えないようにしてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) やじが多いとしゃべりにくいので、ちょっと静かに。済みません、よろしいですか。
○会長(浜田靖一君) 簡潔に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ちょっと静かになるまで待たせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
そこで、大切なことは、お互いに案を示し合っていくということであります。そうしなければ、憲法審査会においても議論がやはり深まっていかないんだろうと思うわけでございます。
○岡田克也君 私は、今の憲法九条を当面変える必要はないと思っているんです。だから、案もないんです。今の憲法でいい、九条でいいということですから。
今、総理のお話を聞いていて、いや、総理の言う平和主義というのは、侵略戦争を禁じる、法規範としてはそういう意味しかないんだということがよくわかりました。
でも、皆さん、それで本当にいいんですか。日本国憲法は明らかに違ったわけでしょう。最初は、個別的自衛権しかだめなんだ、そういう解釈でずっと去年まで来ましたよ。私は、今もその解釈が正しいと思いますけれどもね。
しかし、憲法改正草案は、集団的自衛権の行使について限定なく認めるというものですよね。それは、全く考え方が変わっているじゃないですか、同じ平和主義といっても。平和主義が貫かれていると言っているけれども、貫かれていないじゃないですか。
総理、こういう言葉を、「いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。」これは昨年八月の安倍談話ですよ。総理の言葉ですよ。いかなる紛争も、武力の行使ではなく、平和的、外交的に解決する。もちろん、自国が攻撃されたときは別ですよ。それが私は日本国憲法の平和主義だと。
海外の紛争を、みずから日本が武力行使することで解決しない、この一線を越えてしまって集団的自衛権の行使を全面的に認めることにしたときに、私は、日本国憲法の平和主義は壊れる、そういうふうに考えております。
ここは国のあり方が本当に問われるところです。あなたたちが憲法九条を改正して集団的自衛権の行使を全面的に認めるということであれば、これは国の形が変わることですから、私たちはそれは絶対に認めるわけにはいかない。今度の参議院選挙で大いに議論していこうじゃありませんか。国民の判断を仰ごうじゃありませんか。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国連憲章も他の多くの国々も平和主義を貫いている、そうそれぞれ言われています。そうしますと、岡田さんの今の言いようであれば、ほかは平和主義ではないということになってしまいます。
つまり、まさに自民党の憲法改正草案は、多くの平和主義を貫いているという憲法と大体相通じるものがございますし、そして、国連憲章と、これは言わんとするところは大体同じであります。ですから、まさに、我々は、平和主義はまず間違いなく貫かれている、こう考えるところであります。
同時に、皆さん、国民の命や、そして平和な暮らしを守るために何をなすべきかということについては真剣に考える必要があるんですよ、岡田さん。
その中において、岡田さんは、平和安全法制を廃止する、こうおっしゃっています。
これは既に、日米のガイドラインにおいて、この法制のもとに実効性を持ってきていると思います。お互いが助け合うことのできる同盟というのはきずなを強くする。先般の、まさに北朝鮮のミサイルの発射の際、その効力はあらわれたと思っておりますし、ハリス太平洋軍司令官が、日米の能力は上がり、そしてそのきずな、その連携は強くなった、こう述べています。
幾ら日米同盟が悪くなっても廃止をするつもりなんですか。岡田さん、かつて鳩山内閣の外務大臣で苦労されたじゃないですか。できもしないことを言って……
○会長(浜田靖一君) 時間が来ておりますので、簡潔に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米の抑止力の意味がわからなかったと言っても、これは遅いんですよ、岡田さん。
○会長(浜田靖一君) 岡田克也君、時間が来ておりますので、簡潔に願います。
○岡田克也君 いや、驚きました。(発言する者あり)
○会長(浜田靖一君) 静粛に願います。
○岡田克也君 私は、総理がアメリカで演説したときに、本当にこれはまずいなと思いました。もう全てアメリカの言うとおりにやりますからと、もう裸になったに近い。お互いに国益を踏まえて、同盟関係、努力しながら深めていかなければいけない。全部やりますと言うのであれば、それは同盟の意味がないじゃないですか。
私は、集団的自衛権の行使……
○会長(浜田靖一君) 時間でございますので、終了してください。
○岡田克也君 侵略戦争との違いと境目は必ずしも明らかでない。総理御自身が言ったとおりですよ。侵略の定義がはっきりしないとおっしゃったじゃないですか。そういう世界に日本は足を踏み込むべきではないということを最後に申し上げておきたいと思います。