維新と「新党」合意 政権交代へ努力 ご都合主義の自民「定数削減案」(夕刊フジコラム「ズバリ直球」16年2月25日)
民主党と維新の党との新党構想について、さまざまな報道がある。詳細は後日、この連載でご報告するが、私と維新の党の松野頼久代表は、3月中の新党結成に向けて、それぞれの党内手続きに入ることに合意した。ともかく、国民のため、政権交代ある政治の実現のため、最大限の努力をしていきたい。
さて、民主党と維新の党は18日、領域警備法案と周辺事態法改正案、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案の3法案を衆院に提出した。わが党の「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」という安全保障政策の基本方針を踏まえた法案である。
集団的自衛権の行使を認め、安倍晋三政権が昨年9月に成立させた安全保障関連法は憲法違反だ。今回提出した3法案は、憲法の範囲内で自衛隊活動を強化・充実させ、国民の生命と財産を守り抜く対案である。
特に、領域警備法案は、武装集団がわが国離島に上陸するなど、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」に迅速に対処するための法案だ。与党からも「こうした法案は必要だ」という声が聞こえている。
翌19日には、民主党と維新の党、共産党、社民党、生活の党の野党5党で、安保関連法を廃止する法案2本を衆院に共同提出した。
これに先立ち、野党5党の党首会談を行った。ここでは、「安保関連法廃止を共通目標とする」「安倍政権の打倒を目指す」「国会対応や国政選挙で、できる限りの協力を行う」ことで一致した。具体的な協力内容は今後、幹事長間で詰めるが、5党が歩調を合わせた意味は大きい。
党首会談では、共産党の志位和夫委員長が、今年夏の参院選に向けて提案していた野党連立政権「国民連合政府」構想を「横に置く」考えを示した。参院選の1人区で擁立済みの独自候補を取り下げる可能性にも言及した。野党共闘の態勢が徐々に整いつつある。
さて、わが党の野田佳彦前首相が19日、衆院予算委員会の質問に立った。長く沈黙を守ってきた野田氏だが、2012年11月の党首討論で、安倍首相が約束した「衆院の定数削減」を守らせるため、異例の登板を決意した。野田氏の質問は、どちらが首相か分からない迫力だった。
安倍首相は、野田氏の批判を恐れたのか、同日朝、伝えられていた自民党案から「衆院の10議席削減」を前倒しする考えを明らかにした。半歩前進といえるが、自民党は「衆院選挙制度に関する調査会」答申のキモである新たな議席配分方法「アダムズ方式」の採用を先送りする方針とされる。話にならない。
同調査会は、安倍首相が主導して設置された。「結論は尊重する」とも公言していた。まさに、ご都合主義というしかない。民主党は調査会の答申を全面的に受け入れる。国民との約束を無視して、議席や選挙区など、自分たちの権益を死守しようという、自民党の内向きの議論にはあきれるばかりだ。指導力を全く発揮できない安倍首相には怒りすら覚える。 (民主党代表)