平成30年4月4日 第196回国会 外務委員会「非核三原則 、朝鮮半島有事 、北朝鮮と非核化」
○岡田委員 岡田克也です。
まず、きょうは、非核三原則について少し大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
特に非核三原則のうちの核の持込みについてでありますが、この問題は密約問題として長く議論されてきた問題ですが、密約調査の結果としてわかったことは、もともと、この持込み、つまり認識のギャップが日米にある。
一時的な寄港というのは持込みに当たるという日本に対して、いや、それは持込みに当たらないというアメリカ側の認識、そこにギャップがあることについて、もともと意識的にそういうことが密約として行われたのか、あるいは、自然に、何といいますか、認識の違いがそもそもあったことに気づかなかったのか、あるいは、人によっては、最初から日本側も、一時的な寄港というのは持込みに当たらないんだというのが当初の日本政府のスタンスであった、そういう意見までさまざまあります。
そのことを今議論するつもりはありませんが、むしろ学者の領域に属する話ではないかと思いますが、最大の問題は、ある時点から日米間に認識のギャップがあるということが明確になったにもかかわらず、依然としてそのことを放置してきたというところに私は問題があるんだというふうに思います。
この件は十二月にもたしか大臣とも少し議論させていただきましたが、私は、一九六八年の東郷北米局長メモというものがあったということが明確になった、つまり、歴代の外務次官が、総理が就任した、あるいは外務大臣が就任したときに、きちんとそういう認識のギャップがあるということを説明してきた、そのことは明確なわけですけれども、にもかかわらず、それを放置してきたということは、やはりこれは国民に対して極めて遺憾だというふうに思うわけです。
大臣はそこのところをどう考えておられるのか。もちろん、その時々のいろいろな事情があったことは私も理解しつつ、やはり国民に対して余りにも不正直だったのではないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 いわゆる密約問題については、民主党政権当時、外務省において徹底した調査が行われ、二〇一〇年三月にその結果を「いわゆる「密約」問題に関する調査報告書」として公表されておりまして、現政権もこの報告書の内容を踏襲していると言ってよろしいかと思います。
当時の状況については簡単に判断できるものではなく、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨、述べられております。
しかし、おっしゃるように、一方で、この問題がこれほど長期間にわたって国民に対し明らかにされてこなかったことは、やはり遺憾であると言わざるを得ないと思います。
私としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○岡田委員 そういうふうに一般論で私はお答えになることを求めているのではないんです。
例えば、一九九一年にアメリカの政策が変わって、戦略原潜あるいは戦略爆撃機以外の艦船についてはもう核を積んでいないということが明確になって、事実上のそういった日米間の食い違いというのは起こらない、つまり、密約の問題について正直に語っても弊害は少ないという状況が生まれたにもかかわらず、例えば、党首討論などで共産党の不破さんが当時の総理に密約の問題について追及しても、そういうものはないと、いわば国会で国民に対してうそをつき続けてきたということは否めないと思います。
本来であれば、今いろいろな局長の答弁が問題になっていますけれども、これは、やはり党首討論という場でそういうことを言っていたことは、私は、国会に対する侮辱である。そのことについて、もう過去のことで、私も外務大臣のときにそのことを殊さら言うようなことはしませんでしたが、しかし、自民党の外務大臣としてそういう一般論だけで切り抜けるというのは、私は納得いかないんですね。
もう少し、自民党の外務大臣として、この問題についてどう総括するのか、おっしゃっていただきたいと思います。
○河野国務大臣 歴代の政権関係者が答弁を行った当時の状況について、これは簡単に判断できるものではないというふうに思いますが、当時の国際環境その他日本国民全体の利益、国益に照らしてそれぞれの判断をされたんだろうと思います。
ただ、おっしゃるように、この問題がこれほど長期間にわたり明らかにされてこなかったというところは遺憾であると思います。
今後とも、国民とともに歩む外交というものをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
○岡田委員 大臣、答えられていないんですが、秘密があって事実を明らかにできない、外交にはそういうものがあるということは当然だと思います。そうじゃなくて、はっきり、そういうものはない、いわば事実に反すること、もっと言えばうそを言ってきたと。
では、外交で、大臣は、国会の場で、国民に対して、必要があればうそを言うことは許されるというふうにお思いなんですか。
○河野国務大臣 私個人としては、外交には秘密のものがございますから、それはつまびらかにできないものはいろいろあろうかと思いますが、そうでないものにつきましては、できる限り、誠心誠意お答えをしてまいりたいと思っております。
○岡田委員 質問に答えていただいていないんですが、明らかにできないものもある、それは当然です。だけれども、だからといってうそを言っていいのか。河野大臣は、そういう場合には国会の答弁でうそを言うこともやむを得ないというふうにお考えなんですね。
○河野国務大臣 先ほど申しましたように、私は、秘密のものは別でございますが、誠心誠意答えられるものについてはお答えをしてまいりたいと思っております。
○岡田委員 私の質問には全然答えていないわけですね。誠心誠意答える、当たり前です。そして、秘密のものがある、これも当たり前です。でも、秘密のものがあったら、事実と異なることを国会で答弁していいのかと私は聞いているんですが、いかがですか。
○河野国務大臣 外交には当然外交秘密というものがございますが、お答えできるものについては誠心誠意お答えをしてまいりたいと思っております。
○岡田委員 今の答弁をお聞きしていると、河野大臣は、明らかにできないものがあるときにそれを言わない、答弁を回避するというだけではなくて、積極的に事実に反することを言ってもいいというふうに受け取られますよ。それで、河野大臣、いいですね。
○河野国務大臣 私が先ほどから申し上げているのは、外交には外交秘密というものがございまして、それについてはつまびらかにすることはできないというのは外務大臣を経験した岡田委員もよくおわかりだと思いますが、そうでないものにつきましては、誠心誠意お答えできる範囲でお答えをさせていただきたいというふうに申し上げております。
○岡田委員 では、もとに戻って、先ほどの持込み疑惑、日米間の認識のギャップがあるということは、これは正直にそういうギャップがあるということを言うことができない何か秘密があったんですか。
○河野国務大臣 当時のことは、民主党政権当時、外務省において徹底した調査が行われ、いわゆる密約問題に関する調査報告として公表されており、この政権もこの報告書の内容を踏襲している、先ほど申し上げたとおりでございます。
○岡田委員 調査結果を踏襲しているといっても、それは有識者が述べた報告書ですから、大臣自身の口でそういった、この持込みをめぐる問題について歴代総理あるいは外務大臣が事実に反することをしてきたことについてどう考えているか。密約調査の中では、有識者がいろいろなことを言っていますよ。だけれども、大臣はどう考えているかということを聞いているわけです。
○河野国務大臣 当時の状況については、簡単に判断できるものではなく、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨、述べられております。
○岡田委員 ちょっと今原本を持ってきていませんが、密約調査の中で、この持込みに関するところについては、それにしても、もう既にアメリカの政策が変わった後もそういったことを維持してきたことについては、これは国民に対して正直でなかった、遺憾であるという趣旨のことを明確に言っていると思いますよ。どうですか。そういう認識は共有されますか。
○河野国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、この問題がこれほどの長期間にわたり国民に対し明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えております。
私としては、今後、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力してまいりたいと考えております。
○岡田委員 事務当局はそういう答弁を作成しているんだと思います。安倍総理も岸田大臣も、同じようなことを言っておられました。しかし、そこはやはり河野大臣のリーダーシップというものがあっていいんじゃないかと。やはり、事務方をどうやって動かしていくか。
私は、大臣に就任した日に命令を発して、そして、全省挙げて明らかにしろと。公務員法の制約がかかっているよ、そういう中でこういう調査をして、そして出てきた話なんですね。でも、この調査をしていなければ、いまだにうそを言い続けなきゃいけなかったかもしれない。私は、日本の外交にとって一つの大きな問題を取り除いたというふうに自負はしているんです。
ぜひ大臣も、この問題についてどう考えるのか、過去のことについて、先輩のことですから言いにくいところはわかりますが、しかし、やはり国民を向いて外交をやっているのであれば、そのことについての大臣の肉声が聞こえてくるのは、私は当然だというふうに思います。これ以上きょうは言いませんが、ぜひ大臣が外務大臣として大成していただきたいと思うからこそ、私はこういうことを申し上げているところであります。
それでは、昨年の十二月のこの委員会における私との質疑の中で、大臣はこういう答弁をされているんですね。アメリカ政府は日本政府の非核三原則の立場を理解しているので、それを損なう形で戦略爆撃機が来ることはない。つまり、戦略爆撃機が日本に仮に来たときに、そこに核を積んでいるかどうかわからないではないか、そういう私の質問に対して、アメリカ政府は日本政府の非核三原則の立場を理解しているので、それを損なう形で戦略爆撃機が来ることはないと答弁されています。
そこで言われている日本政府の非核三原則の立場というのは何ですか。
○河野国務大臣 政府として、政策上の方針として、非核三原則を堅持しております。
○岡田委員 ここで問題になるのは、持ち込ませずということですけれども、核兵器を搭載した艦船の寄港あるいは航空機の飛来もこの持込みに含まれていて、認められないというのが日本国政府の立場だというふうに私は理解するんですが、大臣も同じですか。
○河野国務大臣 我が国は非核三原則を堅持するわけで、政府としてその方針を堅持しよう、そういうことでございます。
○岡田委員 ちょっと大臣、答弁が不真面目過ぎますよ。私が聞いていることにイエス、ノーでお答えください。
その持込み、非核三原則の一つの持ち込ませず、その持ち込ませずの中に一時的な寄港も含まれるということが日本国政府の立場ですね。そういうことについて、大臣は同じ考えですかと聞いているんですよ。もし答えなければ、大臣は一時的寄港は持ち込ませずに含まれないんだというふうに言っているに等しいことになりますよ。
○河野国務大臣 先ほどから申し上げているように、我が政府は非核三原則を堅持するということを申し上げているわけで、この非核三原則の中の持ち込ませずに一時的寄港も含まれるというのは、これまで政府が申し上げていることでございます。その方針を堅持するということを申し上げているわけでございます。
○岡田委員 その日本政府の考え方をアメリカは理解しているというふうに、立場を理解しているというふうに大臣はおっしゃったんですが、理解しているんですか。
○河野国務大臣 同盟国として、日本の方針を米国はしっかり理解をしていると考えております。
○岡田委員 理解しているかどうか、外交の場で確認されたことはありますか。
○河野国務大臣 日米の間では、この核の問題を含め安全保障に関するさまざまな問題について、日ごろから緊密に連携をしておりますので、日米の間でこの非核三原則についてそごはないというふうに考えております。
○岡田委員 アメリカは理解しているとか日米でそごはないとおっしゃったんですが、そのことは、一時的寄港については持込みに含まれるので、それは、日本国政府の非核三原則、もし一時的寄港で、核を積んだ船が一時的寄港をすれば日本国政府の非核三原則に触れることになる、したがってそれは行ってはならないというふうにアメリカが理解しているということですか。
○河野国務大臣 日米の間でそのように理解されていると考えております。
○岡田委員 その理解という言葉が非常に不透明なんですね。理解している、日本国政府の考え方は理解している、わかっているということと、アメリカがそれを尊重して守るということは、それはイコールじゃないわけですね。
ですから、理解していると大臣はおっしゃったけれども、アメリカ政府は、日本国政府の非核三原則の立場、つまり一時的寄港も持込みに含まれるということについて、それを守る、尊重するということは明確なんですかと聞いているわけです。
○河野国務大臣 日米間で、先ほどから申し上げておりますように、核を含む安全保障の問題について日ごろから緊密に連携をしておりますので、日米の間で考え方、その理解にそごはないということでございます。
○岡田委員 これは、アメリカは、従来は、核を艦船に積んでいるか積んでいないか明確にしないという中で、実際には核を積んだ艦船が日本に寄港していたという、その疑いは極めて濃いわけですね。日本国政府の非核三原則の考え方は知ってはいたけれどもアメリカの立場は違うということで、そういったことが事実上黙認されてきたということだったと思うんです。
そういうことはもうないということは断言できますか。
○河野国務大臣 アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしておりますから、米国が核兵器を搭載した戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということは、現状において想定されません。
○岡田委員 現状においてとか想定されないと言われるんですが、もしアメリカ側が日本側の非核三原則をしっかりと守るということであれば、そのことを確認されたらどうですか、日米間で。
○河野国務大臣 先ほどから何度も申し上げているとおり、日米の間では、核を含む安全保障について日ごろから緊密な連携をしているところでございますので、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしております。米国が核兵器を搭載する戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということは、現状において想定をしておりません。
○岡田委員 それはどうやって確認するんですか。
○河野国務大臣 日米の間で、核を含む安全保障について日ごろから緊密に連携をしているところでございます。
○岡田委員 私は、アメリカは核を積んでいるか積んでいないかということを言わないわけですから、結局、核を積む可能性のある戦略爆撃機や戦略原潜を日本に寄港させることは認めないということしか事実上担保できないと思うんですね。そういうお考えはありませんか。
○河野国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げているように、日本とアメリカは、核を含む安全保障の状況について日ごろから緊密に連携をし、アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということは、現状において想定をしておりません。
○岡田委員 これは結局、新しい密約がスタートしつつある、そういうふうに考えざるを得ないんじゃないかと思うんですね。日本のことをアメリカは理解しているからそういうことをするはずがないと言いつつ、実際それを確認する余地はないわけですから、アメリカを信頼するしかないと。
しかし、日本の非核三原則をもし堅持するというふうにおっしゃるのであれば、それはやはり、きちんと確認できるような、そういう形がなければならないと思うんですね。
それでは、少なくとも文書でそういうものを日米間で確認されたらどうですか。
○河野国務大臣 日米の間は核を含む安全保障について日ごろから緊密に連携をしておりまして、その結果として、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということを現状において想定をしておりません。
○岡田委員 この持込みの密約といいますか、この問題を、過去を振り返ると、アメリカ側は何度か、いや、日本政府は核兵器を積んだ艦船の一時的寄港は持ち込ませずに含まれると言っているけれども、我々は実はそんなことは区別できないし、例えば核を積んでいる艦船がそれをわざわざおろして寄港させるなんということはできないのでしていないんだよ、そこに食い違いがあるけれども大丈夫かということをアメリカ側が何度かサインを発しているわけですね。
例えば、大平さんが駐日米国大使に呼ばれてそういう話をされた。結局、それはもういかんともしがたいということで、日本国政府は、本当のことを言うとこれはもう国会がひっくり返っちゃう、内閣がひっくり返っちゃうということで、ずっと修正できないまま来てしまった、こういう問題だというふうに思うんです、大臣もお詳しいと思いますけれども。
同じようなことがまた始まろうとしているんじゃないか。それをきちんとした形で、国民に対して正直な形で整理できるのは、それは外務大臣なんですよ。だから、あなたがそれをきちんとするかどうか、あるいは、かつてあなたが批判してきたような、そういった歴代の外務大臣や総理大臣と同じような道というか、新たに始めるんだからそれより罪は深いと思いますよ、そういった道を行くのか、今その瀬戸際だというふうに私は思うんですが、もう一回答弁してくれますか。
○河野国務大臣 日米は核を含む安全保障に関して日ごろから緊密に連携をしております。よって、アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりというようなことは、現状において想定をしておりません。
○岡田委員 何回聞いても同じ答弁をされるんですが、まあ大臣も非常に苦しいところだと思いますが、ここはまたやがて私は質問しますから、よく考えておいていただきたいと思います。これは外務大臣しかいないんです、このことについてきちっと整理できるのは。事務方では無理なんですね。そのことを申し上げておきたいと思います。
それから、非常に気になるのは、核兵器搭載可能なB2戦略爆撃機が自衛隊の航空観閲式へ参加する、これは結果的にはなかったんですが、そのことが取り沙汰されたり、それから、B52戦略爆撃機が日本の領空を通過して、航空自衛隊と共同訓練を行った。つまり、核を積める航空機というものが自衛隊とリンクしつつあるということについて、私は非常に懸念をしているわけです。
大臣にお聞きしたいと思いますが、もし、これは日本の領空でなくて結構なんですが、B52戦略爆撃機を日本の自衛隊が守る、護衛する、編隊を組んで護衛するというようなこと、そして、その戦略爆撃機に核が積まれている可能性がある、そういう事態というのは、大臣はどう思われますか。
○河野国務大臣 自衛隊機と米軍の航空機との共同訓練は、日米同盟全体の抑止力、対処力を一層強化するためのものであって、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、地域の安定化に向けた我が国の意思と高い能力を示す効果があるというふうに考えております。
その上で申し上げれば、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは、現状において想定をしておりません。
○岡田委員 私が聞いたのは、領空を通過するということではなくて、日本の領空の外で戦略爆撃機が実際に行動するというときに、それに自衛隊がその戦略爆撃機を守るために一体として行動する、そういったことは、当然訓練しているわけですから想定されていると思うんですが、しかし、その戦略爆撃機に核が積まれている可能性がある。実際に実戦になったときに、そういった核を積んだ戦略爆撃機がその核兵器を使うかもしれない、それに自衛隊がその戦略爆撃機を護衛するというようなことは、もちろん非核三原則とは直接関係ありませんが、しかし、非核三原則と同じような考え方に基づけば、そういうことは私は認められないと言うべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○河野国務大臣 核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定をしておりません。
○岡田委員 現状において想定しないという二重の言い方をしているんですが、そういうものは認められない、日本はしないんだというふうに言うべきじゃないですか。
○河野国務大臣 認める、認めない以前の問題として、核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定されません。
○岡田委員 現状において想定しないという答弁を二回繰り返されたんですけれども、本当にそれだけでいいんですか。想定するってどういう意味ですか。答えてください。
○河野国務大臣 国語辞典が手元にありませんから正確にお答えができているかどうかわかりませんが、現状において想定されないということは、現状において考えられないということでございます。
○岡田委員 想定されないというのは、アメリカがそういったことはしないという意味ですか。それとも、日本国政府として、アメリカに求められてもそれは受けないということですか。どちらですか。
○河野国務大臣 現状において、そうしたことが起こるとは想定をしていないということでございます。
○岡田委員 これは、客観的に起こる、起こらないの話じゃないんですね。想定されないというのは、日本はそういったことをアメリカから求められてもそれは受けないということなのか、あるいはアメリカがそういうことはしないということ、どっちかしかないじゃないですか。客観的にそういうことは起こらないって、自然現象じゃないんですから。はっきりお答えください。
○河野国務大臣 先ほどから申し上げているように、核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍の戦略爆撃機を自衛隊が警護することはない、想定されない、そういうことでございます。
○岡田委員 同じ答弁を繰り返しておられるんですが、想定されないってどういう意味ですかと聞いているんです。日本としてやらない、そういうことですか。それとも、想定されないって、地震が起こるとは想定されないならわかりますけれども、これは意図的に、人間の意思が聞かれているわけですから、日本の意思としてどうなんですかということを私は聞いているわけです。
○河野国務大臣 核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機を自衛隊が警護するということは求められないというふうに今想定をしているということでございます。
○岡田委員 核兵器の特殊性を踏まえれば求められないというのは、もう少し説明してもらえますか。アメリカからなぜ求めないんですか。
○河野国務大臣 核兵器の運用について言えば、アメリカは、核兵器の運用は自国のアセット、米国のアセットのみで運用するという秘匿性の高さがまずございます。また、核兵器を搭載する戦略爆撃機は、一度命令を受ければ米本土の基地から敵地まで自律的に飛行して攻撃を行うものであって、艦艇のように、補給のための寄港のためその他第三国の領域を経由する必要がないという運用の特殊性がございます。またさらに、核兵器の安全を確保するという必要性がございます。
こういう特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍の戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定されません。
○岡田委員 グアムにいる戦略爆撃機、もともとは本土から来たかもしれません、それが朝鮮半島に向かう、それを警護するということはないんですか。今の大臣の御答弁のようなことを私は言っているんじゃなくて、グアムにいる戦略爆撃機が朝鮮半島に向かう場合に、それを警護することはないのかと。お答えください。
○河野国務大臣 核兵器を搭載した米軍の戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定しておりません。
○岡田委員 もとの答弁に戻られちゃったので、この続きはまたしたいと思いますが、私は、かなり、日本政府は、アメリカの言うがままに、どこまでも突き進んでいるという印象を受けるんですね。確かに、朝鮮半島の今の現状は憂慮すべき事態です。しかし、そこに一定の線を引かないと、もし線を引かないというのなら、非核三原則を堅持するなんて言わない方がいいですよ。
そのことだけ申し上げておきたいと思います。