平成30年2月23日 第196回国会 予算委員会第7分科会「原発の使用済み燃料の貯蔵方法 、原発の新増設・気候変動」
○岡田分科員 民進党・無所属の会の岡田克也です。
きょうは、原発の使用済み燃料の貯蔵方法について、大臣そして規制委員会と議論したいというふうに考えております。
まず、大臣、ちょっと記憶を思い起こしていただきたいんですが、あの二〇一一年の東日本大震災、私は当時与党の幹事長をしておりまして、リアルタイムでいろいろな情報が入っていたわけではないんですが、あのときに、四号機は三月十五日に水素爆発を起こし、当時非常に懸念された、特にアメリカが強く心配していたのは、果たして四号機の燃料プールに水はあるのか、こういうことだったと思います。
十六日にヘリコプターで燃料プールに水があることが確認をされたということで、少し安心したわけでありますが、なぜあのとき燃料プールに水があったのか。当然、蒸発しますから、水が補給されなければプールは水がなくなってしまう。それが水があったのはなぜなのかということについて、大臣、承知しておられると思いますが、お答えをいただければと思います。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
当時貯蔵されていた使用済み燃料の崩壊熱から照らして、水がなくなるのは、漏えい等がない限りは、水位が下がっていくのに一週間ないし数週間程度かかりますので、漏えいがなければ、あの状態で水があったということは不思議ではございません。
○岡田分科員 そのときに水があったとしても、やがてなくなるということで、たまたま四号炉は計画停止期間中であって、近くに水があって、それが自動的に補給される形があった、それが水があった理由ではないんですか。
○佐藤(ゆ)主査代理 どなたに質問されますか。
○岡田分科員 私は基本的には大臣にお答えいただきたいんですが、今、更田さんがお答えになりましたから、更田さんでも結構ですよ。
○更田政府特別補佐人 改めてお答えします。
使用済み燃料プールに移されている燃料は、使用後しばらくの期間がたっておりますので、崩壊熱のレベルもかなり下がっております。その状態では、水の補給がないとしても、冷却に必要な水位が失われるのに一週間ないし数週間程度かかります。
したがいまして、漏えいさえなければ、補給がなされない状態でも、あの時点であの水位があったということは不思議ではないと考えております。
○岡田分科員 それでは、その漏えいの問題ですけれども、その四号機の燃料プールは、BW方式ですから建屋の最上階にある、その建屋の屋根は吹き飛んで瓦れきがプールの中に落下していた、こういう状況であります。そのことによってプールが破損される可能性もあったし、あるいは、追加的な地震が起これば、プールが、底が崩落して冷却水が抜けてしまう、そういうリスクは当然懸念されたと思いますが、その点についてはいかがですか。
〔佐藤(ゆ)主査代理退席、主査着席〕
○更田政府特別補佐人 お答えします。
先生御指摘のように、あの当時、大きな地震がございましたので、米国等々が懸念を持ったのは、使用済み燃料プールに大きな亀裂ですとか、そういったところから冷却水が漏えいしたのではないかと。急速に水が抜けた場合には、これは空気雰囲気に使用済み燃料が触れますので、そうしますと崩壊熱によって徐々に温度が上がる、それを懸念したというふうに承知をしております。
○岡田分科員 私の聞いたことにお答えいただいていないんですが、その後の余震によって底が抜けたり、あるいは水が足らないという状態になって、時間がたって、燃料が溶けてプールの底が抜ける、そういうリスクはあったんじゃないですか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
地震の程度にもよりますけれども、リスクという観点からいえば、使用済み燃料が破壊されるというリスクは決してゼロではありません。
したがいまして、新規制基準では、使用済み燃料プールが破壊して大きな漏えいが起きて水が抜けた場合、この場合でも上から水をかけることができれば使用済み燃料の冷却を続けることができますので、新規制基準では、使用済み燃料プールに大きな漏えいが生じた場合に冷却を続ける能力というものを要求しております。
○岡田分科員 まず、私は二〇一一年の三月の状況を聞いているわけで、その後のことはまたお聞きしたいと思いますが、私はかなり強い危機感を当時持ちました。最悪のシナリオということも議論されましたが、この四号機を中心に、底が抜ける、それは、どういう余震が来るかわからない状況の中で、底が抜けるということも想定される。あるいは、何らかの理由で穴があいて水が抜けてしまえば、持続的に水を補給することができなければ、そのことによって燃料が溶けて、そのことによってプールの底が抜けるということだってあり得たというふうに思います。
その可能性が高かったかどうかというのはともかくとして、当時、そのことは懸念されたし、その可能性はあったということは規制委員会としてお認めにならないんですか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
当時、四号機の使用済み燃料プールに水があるかどうかというのは、非常に高い関心を持っておりました。これは恐らく、あの事故ないしは原子力に携わる者みんなが非常に心配をしたと思います。
というのは、あの状況ですから、もし水位が失われていたら、外からそこへ水を供給することは困難だということが予想された。水が抜けていると、これも時間の経過とともに、燃料棒の表面、被覆管の表面の温度は上がっていって、これは米国での研究の事例等がありますけれども、ジルコニウムに火がつくと、いわゆるジルコニウム火災のような形に、そうすると急激に温度が上がりますので、燃料の溶融を伴って大量の放射性物質が環境に放出されるおそれがある。
ですから、懸念であったことは事実であります。
○岡田分科員 その場合に、一体どういう事態になったのか。もし燃料棒が全部下に崩落したということになった場合に、どういう事態が予想されたか。お答えいただけますか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
これはいわゆる最悪想定の範疇に入るものではありますけれども、使用済み燃料プールには、炉心にして数基分、数回分炉心に入るような使用済み燃料があります。そういった意味で、冷却は進んでいるものの、放射性物質の総量からいえば、一炉心、二炉心よりもはるかに多くの燃料があるわけですので、最悪想定を考える中では、今先生が御指摘になった、使用済み燃料プールの燃料が多数、被覆管が燃え出して燃料が溶けるような事態というのは、最悪想定の中でも最も、最もといいますか、非常に多くの放射性物質の環境への放出のソースとなり得ることとして、そういう意味で、そういった最悪の事態を考えた場合は非常に危険な状態に至っていただろうと考えております。
○岡田分科員 当時は、首都圏も含め東日本全体に放射能汚染が広がるのではないかということも懸念されたわけであります。そういう深刻な事態と紙一重のところでその事態は起こらなかった、そのことはやはり肝に銘じておくべきだというふうに思うわけですね。
経産大臣、ずっとこれを委員長に答弁していただきましたが、当時はこれは経産省の所管の問題だったんですね。ですから、当然、経産大臣として当時のことはよくわかった上でこれからの原子力政策を考えていただきたい、そういうふうに考えております。
委員長にお聞きしたいと思いますが、十一月九日の記者会見で、規制委員会の役割を超えているかもしれないが、不測の事態に対応するための貯蔵方法としては、燃料プールよりも乾式貯蔵をお勧めすると言い続けているというふうに言われました。前田中委員長は、福島第一原発の経験からいっても、プールの中に燃料をたくさん入れておくのは望ましくない、より安全な方向を追求するのであれば、乾式容器に入れてサイト内に貯蔵すべきだ、これは世界的に見てもどこもそういうことをやっているわけだから、できるだけそうしていただきたい。これは平成二十八年十一月九日の記者会見です。
プールに入れておくよりも乾式の方がリスクが少ないという御認識ですか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
乾式貯蔵キャスクに入れているという状態は、使用済み燃料プールと比較した場合、ある種、小分けになっている。それから、水冷ではなくて空冷の状態ですから、そもそも空冷の状態にできる冷却の進んだ燃料を入れるわけですけれども、一つは、福島第一原子力発電所の教訓でもあって、あの大きな津波に襲われた乾式キャスクが、燃料貯蔵容器が、燃料をきちんと守ることができた。そのことも踏まえて考えると、さまざまな工学的な観点がありますけれども、乾式貯蔵の方、乾式キャスク、特に輸送兼用の乾式キャスクにおさめておくということは、使用済み燃料プールで大量の使用済み燃料を貯蔵するよりはリスクが低くなると考えております。
○岡田分科員 リスクが低くなることがわかっていて大量の使用済み燃料がプールにあるということについて、規制委員会としてはどう考えているんですか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
各号機の使用済み燃料プールないしは共用プールといったプール形式での使用済み燃料の貯蔵であっても、これは先ほど先生の御指摘にもありましたように、万一水が急に抜けるような事態であっても冷却を続けるような能力を要求しておりますので、著しく使用済み燃料プールでの貯蔵がリスクが高いとは認識しておりません。
このため、新規制基準におきましては、使用済み燃料の貯蔵方法として、乾式キャスクによるものと使用済み燃料プールによるものの双方を認めており、どちらかの方法に限定するということはしておりません。
一方で、私も田中前委員長と同様に、一定程度冷却が進んだ燃料については乾式キャスクに入れて貯蔵する方が望ましい、これは繰り返し申し上げていますので、この方式が進むことを促しているわけですけれども、強制力を持った要求として乾式キャスクへの移行を求めているものではありません。
○岡田分科員 経産大臣にお尋ねします。
私は、一月二十五日の本会議の質問で、テロ攻撃や大規模災害といった不測の事態を考えても極めてリスクが高い燃料プールへの貯蔵についてどう考えているのかというふうに質問したんですけれども、総理の答弁はありませんでした。
現在でも一万五千トンの使用済み燃料が原発内に貯蔵されていますが、先ほどの話で、規制委員会が、それを禁止するほどのリスクではないにしても、リスクはより高い、そういう判断をされる中で、これが一万五千トンも存在しているということについて、経産大臣としてはどう考えておられるんでしょうか。
○世耕国務大臣 使用済み燃料の貯蔵について、どれが安全で、どっちが安全だというような論評をするのは、これは私の立場としてはふさわしくない。そこが規制委員会と切り分けられたというのが、まさに福島第一原発事故の一つの教訓だったのではないかというふうに思います。
その上で、政府としては、まず原子力規制委員会による安全規制のもとで、先ほどお話があったように、乾式貯蔵も、そしてプールによる貯蔵の場合についても、安全規制のもとで各事業者において適切に実施をされているのではないかというふうに考えます。
その上で、政府としては、平成二十七年に決定をいたしました使用済燃料対策に関するアクションプランにおいて、乾式貯蔵の導入への重点的な支援を行うこととしておりまして、その建設、活用を推進しているところであります。
○岡田分科員 平成二十七年十月のアクションプランというのは、リスクについて考えた上で出てきたものではない。総理も、このアクションプランに、本会議の私の質問に対して答弁されたんですが、全く答弁としてはすれ違っている、今の大臣の答弁も含めて。
乾式貯蔵については、維持管理の容易さ、設置場所の柔軟性、輸送の利便性などにすぐれることからこれを推進するということであって、乾式の方がリスクがより少ないという観点は全く入っていないんですね。それは間違いじゃないですか。
○世耕国務大臣 どちらがリスクがどうかというのは、これは逆に規制委員会に聞いていただかなければいけないと思います。
現実の問題として、事実を御指摘すれば、乾式貯蔵を進めたとしても、使用済み燃料プールというのは必要なわけですね。定期点検のときには燃料を入れておかなければいけませんし、あるいは、乾式貯蔵するにしても、一定期間プールで冷やして温度を下げてから入れなければいけないわけであります。
ですから、乾式貯蔵にしてもプールにしても、これは規制委員会の新規制基準で厳しい基準が定められているわけでありますから、電力会社ではそれをクリアするということによってリスクを低減させているというふうに私は考えております。
○岡田分科員 どちらがリスクが高いか言及すべきでないとか論評は望ましくないと答弁されていますが、ということではなくて、規制委員会の判断を尊重するということじゃないですか。それについて全く関係がないということであるはずがないので。
規制委員会の方は、先ほどの記者会見でも、十分に冷やされたものについては乾式が望ましい、リスクがその方が少ないということを言っているわけですから、そういう方針に沿ったしっかりとした対応が必要なんじゃありませんか。
○世耕国務大臣 それは当然、おっしゃるとおりだと思います。
ですから、我々は、まさにこのアクションプランに基づいて、乾式貯蔵の建設、活用も含む「使用済燃料対策推進計画」を策定して取り組んでおります。
実際に、既に使用済み燃料の一部を乾式貯蔵に移管している東海第二原発に加えて、中部電力浜岡発電所では乾式貯蔵施設の安全審査を規制委員会に申請中であります。また、四国電力の伊方原発では新たに乾式貯蔵施設の導入の検討を開始するなど、事業者においても具体的な取組が進んでいるところであります。
引き続き、地元の御理解をいただきながら、乾式貯蔵を導入し、移管する取組が一層進むよう事業者を促してまいりたいと思いますし、一方で、使用済み燃料プールについても、規制委員会の新規制基準をクリアして、電力事業者において取り組む必要があると思っております。
○岡田分科員 平成二十七年にアクションプランをつくって以降、これはいわゆるインセンティブ方式、こうした方がいろいろな恩恵がありますよ、国からも交付金が出ますよというやり方で進めてきて、遅々として進んでいないというのが現状じゃないですか。
ですから、電力各社は、これから再稼働を控えて、燃料プールがもう満杯になりつつあるから、もう入らないものについて乾式を入れようということであって、積極的に、今満杯の燃料プールの中から、もう既に十分冷却したものについては乾式に移していく、そういう発想じゃないんじゃないですか。
○世耕国務大臣 いずれにしても、これは規制委員会の規制基準に適合した形で進めていくしかないと思っています。
ただ、政府としては、基本的に乾式貯蔵へ移行を進めていくという立場でありますので、事業者をしっかり促していきたいというふうに思っています。
○岡田分科員 規制委員会は、独立の機関として、最低限のラインというものを設定して、それをきちんとクリアしているかどうかを判断する。規制委員会が判断したからそれをどんどんやってください、そういうことを言う立場には規制委員会はないわけですね。
原発をどれだけ再稼働させていくか、そして、今ある使用済み燃料を、どういうふうに対応して、それをより安全な状況にしていくかということは、それは経産大臣の、あるいは政治の仕事じゃないですか。それを全部、規制委員会が決めたからというのは、私は完全に理解として間違っていると思いますよ。
○世耕国務大臣 当然、我々は、乾式貯蔵というのを地元の御理解もいただきながら導入をして、移管をしていくという立場であります。ただ、当然、地元の御理解ということもしっかりとやっていかなければいけないわけであります。
我々は、規制委員会がだめだと言うことをやるつもりはありません。ただ、使用済み燃料プールについても、現実として、使用済み燃料プールのない原発というのはあり得ないわけでありまして、これについては、先ほど規制委員長からお話があったように、いかなるときでも冷却が続けられるという、この規制基準をクリアした上で使う必要があるだろうというふうに思っております。
○岡田分科員 今私が聞いているのは、プールをなくせとかそういうことを言っているわけじゃないんです。ですから、もう冷却の終わった燃料については速やかに乾式に移していくという道筋をつくる、それは政府の責任じゃないですか、そういう気はないんですかということを聞いているわけです。
○世耕国務大臣 これは、あくまでも事業者の責任でしっかりと進めてもらうということが重要だというふうに思っております。もう中間貯蔵施設の建設も進んでいるわけでありまして、そういう意味で、我々も、各地の地元の御理解をいただきながら、乾式貯蔵をしっかり導入していきたいというふうに思っています。
現に、もう導入する動きは、先ほど申し上げたように、具体的に幾つか出てきているわけでありますから、この動きをしっかり継続していくことが重要だと思っております。
○岡田分科員 ですから、そういった乾式貯蔵に取り組んでいる事業者もあるけれども、そうじゃないやり方を志向しているところもあるし、まだめどがついていないところもある、事業者ごとに見ていけば。
そして、その多くは、再稼働によってプールが満杯になるから、そのあふれる部分について何かしなきゃいけないということで乾式貯蔵をやっているのであって、今満杯になっている燃料プールの中で、冷却を終えて乾式に移行できるにもかかわらず、しかし、燃料プールに置いたままにしているものがたくさんあるんじゃないか、そこは政府としてきちんと、一定の期間冷却を終えたものについては乾式に基本的に移す、そういう道筋を立てて、そして、単なる誘導ではなくて、場合によっては規制も行ってやっていく必要があるんじゃないかということを私は言っているわけです。
○世耕国務大臣 ここはどうしても見解の相違という形になりますけれども、我々は、基本的には、インセンティブを付与することによって重点的に乾式貯蔵へ移すことを促していくというのが我々の立場であります。
使用済み燃料プールについても、これは新規制基準によって、いかなる場合にも冷却できるようになっているわけでありますから、そういう意味で、使用済み燃料プールと乾式貯蔵が並立する時期があるということだというふうに思っております。
○岡田分科員 規制委員会の方は、最低限クリアすべきそういうラインを引いて、それをクリアしているかどうかを判断する。しかし、最低限クリアすべきライン、しかし、それは超えているけれども、よりリスクが少ない方法というのはある。今回の乾式はそういうことだと思いますね。それを、そういうよりリスクの少ないやり方があるにもかかわらず、基本的に事業者に委ねてしまっているというのは、そういう判断を経済産業省として、あるいは安倍政権としてしているということですか。
○世耕国務大臣 我々がやっている判断というのは、あくまでも規制委員会によって認められた方法に基づいてやっていくということでございます。
○岡田分科員 規制委員会によって認められた方法であれば、もうあとは基本的に事業者にお任せと。そのリスクの違いというのは規制委員会も認めておられるわけですから、そういうことが、リスクがより低い方法というのがあるにもかかわらず、それは基本的に事業者にお任せで、せいぜいやるとしたら、インセンティブ方式で、なるべく乾式にしてくださいと。政府としては、それだけやれば十分だ、そういうお答えですね。
○世耕国務大臣 安全対策には終わりはないという立場ですから、これだけやれば十分という立場には立ちません。インセンティブ措置をとって、しっかりと移行させていくことも重要だというふうに思っています。
ただ、使用済み燃料プールが、では即危険なのかといったら、これは、新規制基準に適合をして、しかも、新規制基準を上回る適合をしているところが多いというふうに思っておりますけれども、きちっと新規制基準にのっとった安全対策が確実に実施をされているというふうに認識をしています。
○岡田分科員 さっきからちゃんと答えてもらっていないんですが、私は別に、今の燃料プールが危険だと言っているわけではないんですね。一応、規制委員会で基準を設けて、その範囲の中で、それは認めた上で、しかし、より安全性が高いものがあるときに、それをもっと強力に進める責任が政府にあるんじゃないか、事業者任せでいいのか。現実にはほとんど進んでいませんよ。そして、たくさんの使用済み燃料、これが放置されていて、再稼働してプールが足らなくなれば、やむを得ないからその部分を乾式貯蔵でやろうかというのが現実に近いんじゃないかというふうに思っているわけです。
もっとリーダーシップを政治として発揮すべきじゃないですかということを重ねて聞いているんですが、いかがですか。
○世耕国務大臣 乾式貯蔵については、インセンティブ方式というのは十分なリーダーシップだと思いますし、地元の御理解もいただきながら、移管の取組が一層進むように事業者を促していく、これが私は政府の責任だと思っております。
○岡田分科員 最初に四号機の現状について、当時の状況について議論したわけですが、いろいろな手当ては講じて、そういうことが二度と起こらないような状況になっているということかもしれませんが、しかし、絶対はないんですね。
この問題の恐ろしさは、もし使用済み燃料棒がばらまかれるようなことになれば、先ほど言ったように、東日本全体が汚染されるぐらいの、そういった大きな影響がある、そういう問題だ。したがって、そういうことにならないように、政治としては、少しでもリスクを減らしていかなきゃいけない。
もちろん、原発を全部とめろとか、そういう議論もありますよ。だけれども、とめたって、まだ燃料プールには残っているわけですから、私はそれだけでは答えにならないと思いますが、少なくとも、冷却を終えた使用済み燃料については、きちんと乾式にして、より安定的な状況にする、それは政府がやるべき仕事じゃないかというふうに私は申し上げているわけです。
業者に任せていていいのか、本当にそれで、あの四号機の状況、本当に、日本じゅうを震撼させたような、そういう状況を絶対招かないというふうに言い切れるんですか。言い切れないなら、少しでもリスクを減らす努力をすべきじゃないですか。いかがですか。
○世耕国務大臣 ですから、我々は、事業者を促すという、国もしっかりと前面に立って、協議会などの場で事業者に対して、地元理解を得た上で、しっかりと乾式貯蔵に移していくように我々は事業者を後押ししていますし、具体的なインセンティブ措置もとっているわけであります。
○岡田分科員 事業者を促して事業者任せにしているということがおかしいのではないかというふうに言っているわけです。
政府の方は、原発について、これからもベースロード電源として期待していくということで、動かし続けるということであれば、やはり最低限の安全性の確保、そういう意味で、事業者に対して、場合によっては、法律に基づいて、一定期間経過したものについては速やかにより安定的な乾式貯蔵などに移すということを義務づけるような、そういう考え方があってもいいんじゃないかということを私は言っているわけです。
単に、事業者に任せて、インセンティブを与えて、やってくださいというのは、私は、国民に対する影響が極めて大きな案件だけに、非常に無責任じゃないかというふうに思っているので、最後にもう一回答弁してください。
○世耕国務大臣 我々としては、あくまでも安全ということに関しては、規制委員会の判断、これに基づいて対応していく、そのことに尽きるんだろうというふうに思っております。乾式貯蔵であろうが使用済み燃料プールであろうが、新規制基準をしっかりクリアして、規制委員会に認められたものだけを動かしていくということに尽きると思っております。
○岡田分科員 福島原発事故が起きた後、これは安倍総理も言われていることですけれども、安全神話に陥って、津波や地震、それを過小評価したと。今まさしく同じことを安倍政権は行おうとしているんじゃないか。現実にリスクを軽減する、そういう道がありながら、それを業者任せにしている。もし万が一同様なことが起これば、あるいは東日本全体に影響が及ぶようなことが起こればということを考えて、とるべき最善の策をとるのが私は政治の責任だというふうに思っております。
大臣がそういうお考えに立っていないことは非常に残念だし、後ほど安全神話にどっぷりつかっていたという批判を免れないかもしれませんよ。そのことだけ申し上げておきたいと思います。
○宮下主査 これにて岡田克也君の質疑は終了いたしました。