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12/5 外務委員会(北方領土問題、日露関係)

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<質問要旨>

Ⅰ 北方領土問題のいままでの経緯について

Ⅱ 11月日露首脳会談の合意の意味について

Ⅲ 今後の日露交渉について

( 答弁要求 外務大臣、政府参考人 )

     ――――◇―――――

○岡田委員 岡田克也です。
 北方領土問題についてやりとりをしたいと思っています。
 まず、北方領土問題の今までの経緯について少し確認をしたいと思います。確認ですので、事務方の答弁で結構です。
 冷戦時代に、ソ連は領土問題の存在をそもそも認めてこなかった。これに対して、日本としては、北方領土問題が存在すること、しかもそれが四島であるということを認めさせるというのが外交目標で交渉してきたというふうに私は理解をしております。
 一九九一年のゴルバチョフ大統領と海部総理との日ソ共同声明で四島の名前が具体的に記され、九三年の東京宣言において領土問題を北方四島の帰属に関する問題であると位置づけたことは、私は日本外交の一つの到達点、成果だったというふうに認識をしておりますが、外務省は同じような認識だということなんでしょうか。

○宇山政府参考人 お答え申し上げます。
 日ロ間では、これまで、一九九三年の東京宣言、二〇〇一年のイルクーツク声明を始め、多くの諸文書、諸合意が作成されてきております。
 御指摘の文書の評価も含めまして、政府の考え方について交渉以外の場で申し上げることは、今後の交渉に悪影響を与える可能性もございますので、お尋ねの件にコメントすることは差し控えさせていただきます。

○岡田委員 ちょっと驚きですが、今申し上げた東京宣言で、領土問題は北方四島の帰属に関する問題であると位置づけたこと、そのことは事実としてお認めになりますね。

○宇山政府参考人 委員御指摘の件は、事実関係として正しゅうございます。

○岡田委員 その後も、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結するという考え方は、エリツィン大統領、クラスノヤルスク首脳会談や川奈首脳会談、それから、プーチン大統領、イルクーツク首脳会談、小泉総理の訪ロ時の日ロ行動計画などで何度も確認をされてきている。これは事実関係としてお認めになると思います。
 例えば、二〇〇三年の日ロ行動計画の中で、こういうふうに表現されていますよね。五六年日ソ共同宣言、九三年東京宣言、二〇〇一年イルクーツク声明及びその他の諸合意が、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結し、もって両国関係を完全に正常化することを目的とした交渉の基礎であるとの認識に立脚し、交渉を加速する。
 事実関係ですから、イエス、ノーでお答えください。

○宇山政府参考人 二〇〇三年の日ロ行動計画につきましては、委員御指摘のとおり、ちょっと長いので途中省略しながら申し上げますが、一九五六年の日ソ共同宣言、一九九三年の東京宣言、二〇〇一年のイルクーツク声明及びその他の諸合意が交渉の基礎であるとの認識に立脚しということが記載されております。

○岡田委員 安倍総理の二度目の登板後の、二〇一三年の訪ロ時の日ロパートナーシップの発展に関する共同声明においても、四島の具体的名前こそ書いていないものの、その中で、両首脳は、平和条約交渉を、二〇〇三年の共同声明及び日ロ行動計画を含む全ての諸文書及び諸合意に基づいて進めることで合意した、そういう項目が入っていることを確認します。

○宇山政府参考人 二〇一三年四月、安倍総理のロシア訪問に際しまして、プーチン大統領との首脳会談後に、日ロパートナーシップの発展に関する日本国総理大臣とロシア連邦大統領の共同声明の採択が発表されております。
 この二〇一三年共同声明の第八項には、委員御指摘のとおり、「両首脳は、平和条約締結交渉を、二〇〇三年の日露行動計画の採択に関する日本国総理大臣及びロシア連邦大統領の共同声明及び日露行動計画を含むこれまでに採択された全ての諸文書及び諸合意に基づいて進めることで合意した。」と記載されております。

○岡田委員 以上の事実関係について大臣に確認しますが、今私が申し上げたことは全て事実関係、文書にこう書いてあるということですから、大臣もお認めになりますね。

○河野国務大臣 政府の法的な立場について変わりはございません。

○岡田委員 それじゃ、もう一点ちょっと確認したいんですが、北方四島の帰属の問題というフレーズがよく出てくるわけですが、この意味について、従来、外務省の説明は、北方四島の我が国への帰属が確認されるのであれば、実際の返還時期、態様については柔軟に対応する考えであるというふうに説明をしております。
 日本の主張としてはそういうことだと私も思いますが、しかし、日ロ両国間で、例えば東京宣言などで具体的に合意されたのは北方四島の帰属の問題ということでありますので、別に北方四島全てが日本に帰属するということが両国間でもちろん合意されているわけではありません。
 そういう意味では、東京宣言を始め日ロ首脳間の合意文書では、返還の時期、態様だけではなくて、四島の間のどこかで国境線を引くことを排除していないというふうに読むのが普通だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 領土問題を解決し平和条約を締結するというのが我が国の立場でございます。

○岡田委員 質問に答えてもらいたいんですが。
 領土問題を解決すると言いましたが、具体的には北方四島の帰属の問題、これは大臣も否定されていないわけですから、この北方四島の帰属の問題というときに、それは全て北方四島は日本の領土であるというのは日本の主張ですけれども、例えば東京宣言にその文言が出てくるときに、お互い合意した文書として出てくるわけですから、その解釈として、日本の解釈は解釈でわかりますけれども、しかし、文書を客観的に見ると、その主張がロシア側が納得してくれるわけではない。
 つまり、ある意味では、お互いの主張が違っているわけですが、その文書を読む限りは、国境線を北方四島のどこかで引くということは排除されていませんね、日本の主張は主張として、しかし、可能性として排除されていませんねということを確認しているわけです。

○河野国務大臣 日本政府としては、領土問題を解決するというのが立場でございまして、領土問題を解決して平和条約を締結するための交渉を加速化していこうということでございます。

○岡田委員 今まで確認したことの文書の確認をしているわけですから、同じようなことを繰り返されるというのは私は非常におかしな話だと思いますよ。違うなら違うと言ってください。いや、これは、例えば東京宣言は、四島は日本の帰属であるということをお互い認め合ったものだと。私はそういうことはあり得ないと思うんですね、ロシアの主張は違うわけですから。
 だから、双方の主張が違う中でこの文書があるということは、そこは決まっていないというふうに言わざるを得ない。それを決めるのがこれからの両国の交渉だというふうに考えざるを得ないと思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 日本の法的立場に変わりはないというのは、これまで繰り返し申し上げてまいりました。
 先ほどから申し上げておりますように、これから交渉をしていくわけでございまして、この両首脳が合意をした、交渉を加速化しようということを現実にするためには、その交渉のための良好な環境をつくっていくというのも必要だというふうに思っておりまして、これまでの立場を公の場で申し上げ合っても、これはなかなか良好な環境をつくるということになりませんし、こちら側が何か申し上げ、それに対して向こう側が反応をし、それがまた後々の交渉に影響が出るということを避けたいということを先ほどからるる申し上げているわけでございますので、我が国の法的立場に変わりはないというところで御理解をいただきたいと思います。

○岡田委員 全く私は納得できないわけですが、ちょっと別の問題に行きたいと思います。
 先ほど何度も確認したように、日ロ間では、一九五六年日ソ共同宣言と並べて、東京宣言その他の文書を基礎とするということを何度も認めているわけですね。しかし、十一月の日ロ首脳会談では、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることを合意したということで、五六年の共同宣言のみが記載されている。なぜほかの、東京宣言を始めとする諸合意はここから欠落したんでしょうか。

○河野国務大臣 五六年の共同宣言は、両国の国会で承認され、批准された唯一の法的文書でございますので、これを基礎として交渉を加速化しようということで両首脳が合意したものでございます。

○岡田委員 五六年の共同宣言がそういった性格のものであるということはプーチン大統領もかねがね主張していましたが、しかし、日ロの首脳間で合意した東京宣言以下の諸合意が、もちろん国会の承認は経ていないとしても、やはり首脳間で合意して文書化されているわけですから、極めて重要なものだ。今までの外交交渉の成果としてあるわけですから。それを書かなかったというのは何らか一定の意図があるというふうに言わざるを得ないんですが、それをちゃんとこの国会の場で国民に説明してくださいというふうに申し上げているわけです。

○河野国務大臣 たびたび申し上げているように、この五六年の共同宣言が、両国の国会、議会が承認し、批准された唯一の法的文書であるから、両首脳がこれを交渉の基礎として条約交渉を加速化しようという合意をしたわけでございます。

○岡田委員 では、今まで何回も何回も日ロの首脳が合意してきた東京宣言その他を基礎にするというのは何だったんですか。もしそんなに格段の違いがあるなら、なぜ今までは合意してきたんですか。

○河野国務大臣 我が国の立場に変わりはないということはこれまでも繰り返し申し上げてきたわけでございます。
 平和条約の締結交渉というのは、先ほど寺田委員の御質問にもお答えをしましたように三つの要素があり、そのうちの二つは五六年の共同宣言でいわば解決済みでございます。この残された要素を解決するのが今度の条約の交渉でございます。
 先ほどの答弁の繰り返しで恐縮でございますが、両国の国民が現実に居住している実態を見れば、非常に機微な交渉にもなるわけでございますし、多くの方がそれに対してさまざまな意見をお持ちになる、さまざま御意見をおっしゃることになるだろうというふうに思っております。
 我々といたしましては、なるべくこの交渉を良好な環境の中で行いたいと思っておりますし、交渉をする中で、なるべくロシア側にもさまざまなことに拘束されないように交渉をしていただきたいと思っております。まあ、それは向こうからしてみればこちら側もそうなのかもしれませんが。
 そういうことでございますから、これまでの立場を申し上げ、それがさまざまな場面で引用され、それに対してさまざまな方が反応を求められるというようなことになるべくならないように交渉の環境をつくっていきたいというのが我々の考え方でございますので、どうぞ、その点、御理解をいただきたいと思います。

○岡田委員 申しわけないけれども、理解できないですよ。
 先ほど言いましたように、二〇一三年の安倍総理とプーチン大統領との間の共同声明においても方針を確認されている、つまり、東京宣言その他、日ロ行動計画を含む全ての諸文書及び諸合意に基づいてと、まあ東京宣言は引用されていませんが、全ての文書及び諸合意に基づいてと書いてあるわけですね。それが今回、全く欠落してしまったということは、それは合意内容が変わったというふうに言われても仕方がないことだと思うんですよ。
 なぜ勝手にそこまで下がってしまったんですか。これはロシア側に、国後、択捉は交渉の対象外だということに根拠を与えることになっていますよ。なぜそこまで下がったのか、国民にきちんと説明してもらいたいと思います。

○河野国務大臣 日本政府の立場に変わりはないというのは、これまでもたびたび繰り返し申し上げているところでございまして、また、交渉の場で我々はその立場で交渉に臨むということでございます。
 ただ、これは交渉事でございますから、双方が受け入れられる結論を導き出さなければならないわけでございます。
 そして、先ほどから申し上げておりますように、そういう交渉事でございますし、この両国民が現実にどこに住んでいるかということを考えたときに、我々として、ロシア側が、ロシア側の交渉者が良好な環境の中で交渉に出てこられるようにするというのは非常に大事なことだと思っております。そうしたことを御理解いただきたいと思います。

○岡田委員 大臣の発言を聞いていると、歯舞だけでいい、ロシア人が住んでいないというふうにも聞こえてしまう、そういう答弁だと思うんですね。
 日本の主張は変わっていない、何回も繰り返されていますが、それはそのとおりです。日本の主張は変わっていないんだけれども、問題は、今回合意した日ロ両国首脳がどのような共通認識で合意したかが問題になっているのであって、その合意文書を見る限り従来とは変わっている、そこが問題だというふうに私は聞いているんですが、もう一回答えてください。

○河野国務大臣 先ほども申し上げましたが、首脳会談の後、対外的に公表しようとお互い合意をしたものを公表しているわけでございます。この交渉に臨むに当たっての首脳の考え方というのは、首脳会談の中でも確認をしてきているところでございますので、差はないというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
 日本が交渉に臨む立場というのは、これまでと法的に何の変わりもございませんし、岡田委員がおっしゃっておりますさまざまな経緯があって今日があるわけでございますから、私としては、そうした歴史の積み上げの上でしっかりと交渉に当たってまいりたいというふうに考えております。

○岡田委員 今大臣おっしゃったことは、外交の常識には反していると思いますよ。やはり、合意した文書が交渉の出発点というか、それが基礎になるわけですから、その合意した文書が一つだけになってしまったわけですから、そこは明らかに変わっているというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですね。
 例えば、竹内元外務事務次官は、十一月合意は、一九九一年以降の、今までの外交努力やその成果を後戻りさせるものだというふうにコメントしておられますね。私も同じ意見です。せっかく東京宣言で確保したものが、何かわけのわからないうちに後に戻ってしまったということです。
 では、安倍総理の十一月合意に関する国会答弁についてお聞きしたいと思いますが、安倍総理は、十一月二十六日の予算委員会で、我が会派の大串委員への答弁で、今回初めて五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意したという意味は大変大きいというふうに言っておられます。この言っている意味がよくわからないんですが、どういうふうに意味が大変大きいんでしょうか。

○河野国務大臣 安倍総理は、領土問題を解決して平和条約を締結するという、この戦後七十年残されてきた課題を次の世代に先送りせず、安倍総理とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意思を大統領と共有をした、それを確認をしたということでございます。
 戦後残されてきた懸案であります平和条約交渉を、総理、プーチン大統領のリーダーシップのもとでしっかりと交渉をなし遂げようということで、双方の首脳の意思の確認ができたということが大変意味が大きいと評価しているのではないかと思います。

○岡田委員 質問に答えてもらっていないんです。
 総理はこう言っているんですよ。今回初めて五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意したという意味は大変大きいと。別に、二人で必ず解決するとか、そういうフレーズに関して言っているんじゃないんですよ。
 五六年共同宣言以外のものも含めて、それを基礎として平和条約の交渉を加速させるということは何回も確認されていることだし、何が初めてなのか、しかも五六年共同宣言だけになってしまって、それがなぜ意味が大きいのか、私にはわからないので説明してください。

○河野国務大臣 総理とプーチン大統領の手で、先送りをすることなく平和条約の締結交渉をしっかりと確認をしよう、しっかりと締結しようという意思の確認ができたことを、意味は非常に大きいとおっしゃっているんだろうと思います。

○岡田委員 議事録を読む限り、そういうふうには読めないんですね。それは大臣の勝手な解釈であります。
 安倍総理は、もうちょっと言っておりますね。今まで全く、日ロ関係、主張する、議論するだけで七十年間全く動いてこなかったというのは事実です、このフレーズは時々安倍総理は使われるんですが、本当にそうなんですか。
 東京宣言とかいろいろな、お互い合意をして、そして北方領土問題が存在する、しかもそれは四島だというところまで持ってきたのは、私は我が国外交の大きな成果だと思いますよ。それを全部否定するような、全く動いてこなかったという一言で片づけてしまう。私は外務大臣として抗議すべきだと思いますが、いかがですか。

○河野国務大臣 戦後七十年にわたり平和条約が締結されてこなかったというのは、残念ながら厳然たる事実でございます。
 きょうまでさまざまな外交努力があって、そしてこういう交渉を加速化しようという合意が両首脳の間でなされた、それはこれまでの外交努力の積み上げの上にあるというのは委員おっしゃるとおり、これはもう紛れもない事実でございますが、他方、七十年にわたり、残念ながら平和条約が締結されなかったというのも現実でございます。
 今回は、平和条約を締結して、この現実も動かそうということでございます。

○岡田委員 全く納得できないわけですが、最後に一言だけ申し上げますが、六月のG20大阪で交渉する、これは参議院選挙の直前ですね。そういうタイミングで交渉するというのは、私は決していい結果を生まないと。つまり、こちらとしては下がれない、それだと総理としては下がれない、そういう状況で交渉するわけですから。だから、もう少しタイミングについてもよくお考えになって、しかも国民に対してきちんと説明しつつ交渉されたらどうかということを申し上げておきたいと思います。




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