5/13 外務委員会質問(核の拡大抑止ほか)
【委員会】 外務委員会
【日 時】 5月13日 9時16分~9時48分 (32分)
動画はこちら⇒ YouTube 【岡田かつや国会論戦】 https://youtu.be/wkBfuvwpiA4
(質問要旨)
Ⅰ 2018年NPRに対する評価
Ⅱ 日本にとっての拡大抑止
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岡田克也君。
◎ 岡田委員 立国社の岡田克也です。
きょうは、核の問題について大臣の御見解を聞いて議論したいと思います。
まず、二〇一八年のNPR、「核態勢の見直し」ですね、米国政府が発表しました、トランプ大統領のもとでのものですが。これに対して、当時の河野外務大臣は、我が国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にしているとして、今回のNPRを高く評価するというふうに言われたわけです。
私はかなり違和感を持って聞いたわけですが、茂木大臣もこの二〇一八年NPRに対して高く評価しているんでしょうか。
◎ 茂木国務大臣 まず、NPRについてでありますが、委員も御案内のとおり、東西冷戦終えんの五年後、一九九四年に米国でクリントン大統領が同政権としての「核態勢の見直し」、NPR、ニュークリア・ポスチャー・レビュー、これを発出して以来、各政権ごとにNPRを発出してきたところであります。
これら歴代政権のNPRは、その時々の安全保障環境がどうなっているかとか政治的スタンスの違い等によって一定の差はあるものの、基本的にはニュークリア・ポスチャー、核態勢のレビューでありまして、一つは、核攻撃の抑止を核兵器の目的の基本に置いていること、そして、冷戦後も同盟国に対して拡大抑止を提供していくこと、さらに三つ目として、核軍縮・不拡散の努力を継続していくこと等の大きな方針については一貫した内容になっている。私は、これがまず大きなポイントである、そのように考えております。
二〇一八年のNPRにおきましても、北朝鮮によります核・ミサイル開発の進展であったり、ロシア、中国の動向などから、オバマ政権がNPRを発出した二〇一〇年以降、安全保障環境が急速に悪化したとの評価から、二〇一〇年のNPRと比較すればそのトーンや具体的記述に一部変更はあるものの、今申し上げたとおり、大きな方針についての一貫性は保たれている、このように考えております。
その上で、核兵器のない世界の現実に至る道のりにおいて、我が国にとっても、現実に核兵器などの安全保障の脅威が存在する以上、NPRの柱の一つであります核抑止を含みます米国の拡大抑止は不可欠であると考えております。
これらの観点から、二〇一八年二月に米国が発表しましたNPRは、米国による抑止力の実効性確保と我が国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にしているものでありまして、このような方針を示したニュークリア・ポスチャー・レビュー、これを我が国としては高く評価している。
だから、核攻撃の抑止、これを核兵器の目的の基本に置きつつ、核軍縮・不拡散の努力を継続している、こういう大きな方針は変わらない中で、同盟国への拡大抑止へのコミットメント、これを明確にしている、こういった点で高く評価をいたしております。
◎ 岡田委員 私は、二〇一〇年、オバマ大統領のNPRが出たときに、外務大臣としてこれを高く評価したものであります。
二〇一〇年と一八年を比べますと、大枠で大臣の言われたようなことが言えるのかもしれませんが、しかし明確な違いがある。それは、核兵器の役割をどう考えるかということだと思います。
オバマ大統領のもとでのNPR、二〇一〇年NPRは、核兵器の役割を低減させるということを明確に打ち出した点で従来とも異なったわけであります。例えば、消極的安全保証、核兵器を持たない国には核兵器を使用しないということを明確にした。それから、核兵器の役割を核攻撃の抑止という唯一の目的に限定すること、ソールパーパス、これについては、そこまではいかないものの、そのような政策が安全に採用され得る条件を創出するように努力していく。かなりソールパーパスに近づいたというのが当時の私の評価でありました。
それに対して二〇一八年のNPRでは、消極的安全保証について、これを積極的に評価するということはなく、そして、先ほどの、核兵器の役割を核攻撃の抑止という、ソールパーパスはともかくとして、核の使用についてかなり具体的に書いた。つまり、核兵器国が、核で攻撃しない場合にも核の抑止あるいは核の使用ということを、まあ従来から認めてきているわけですが、具体的に二〇一八年NPRでは、米国や同盟国の一般市民やインフラに対する攻撃、これは核攻撃に限らないわけです、攻撃を例示して、そういう場合には核の使用を認め得るということです。これは、やはり核の役割というものをかなり拡大したと言わざるを得ないし、一般的にそういう評価をされていると思うんです。
ここは、大臣、どう思われますか。
◎ 茂木国務大臣 先ほど冒頭の答弁でも申し上げましたが、やはり安全保障環境の変化というものによってNPRというものは当然変わってくると思っておりまして、二〇一八年のNPRは、核兵器の役割を拡大するか縮小するかというよりも、急速に変化する安全保障環境、例えば、北朝鮮によります核・ミサイル開発の進展等に対処するために、核兵器の役割というものを改めて明確にし、敵側の誤認や誤算のリスクを減らすことで米国の抑止力の実効性を確保することを意図したもの、このように理解しております。
そして、もう一つ、ソールパーパスの話があったわけでありますが、二〇一〇年のNPRにおきましても、また二〇一八年のNPRにおきましても、先ほど申し上げた大きな方針の一つに、核攻撃の抑止を核兵器の目的の基本に置くこととしております。一方、二〇一〇年のNPRでも、委員も御案内のとおり、米国は、唯一の目的、ソールパーパスを採用する用意は現時点ではできていないとしておりまして、いわゆる唯一の目的を採用しないという安全保障環境の認識、そして核兵器の目的に対する考え方に対して本質的な違いがあるとは認識しておりません。
それでも、二〇一八年、具体的に書いているじゃないか、こういう御指摘かと思いますが、その上で、二〇一八年のNPR、これは核兵器の目的を明示的に列挙しておりますが、これらは、核兵器の役割を改めて明確にすることで、敵側の誤認や誤算のリスクを減らし、米国の抑止力の実効性を確保することを意図したもの、このように理解をいたしております。
◎ 岡田委員 先ほど言いましたように、ソールパーパスは採用していないものの、ベクトルは違うわけですね。ソールパーパスを明確に否定したトランプ大統領のNPR、しかし、オバマ大統領のNPRにおいては、そのような政策が安全に採用され得る条件を創出するよう努力していくということで、明らかにベクトルは異なるということは申し上げておきたいと思います。
これは多分、大統領選挙の結果、どちらの候補者が大統領になるか、次の大統領選挙ですね、それによってまたかなり異なってくるのではないかと私は思っております。
それじゃ、もう少し具体的に聞きますが、二〇一〇年のNPRでは、新たな核弾頭の開発を行わない、それからトマホークを退役させる、こういったことを具体的に提案をいたしました。これに対して二〇一八年NPRでは、逆に、小型核の開発や新たな艦船発射型巡航ミサイル、SLCMの開発が強調されています。ここは明らかに異なる点ではないでしょうか。
◎ 茂木国務大臣 これは考え方というか解釈にもよるんだと思いますけれども、例えば低出力の核の導入、二〇一八年のNPRにおいて米国は、米国自身も低出力核を保有することで、相手側に例えば限定的な核の先制使用の余地があり戦略的優位性を得られるとの誤った認識を持たせないことによりまして、相手側によります核の先制使用であったりとか核のエスカレーションのリスクを低減するものであって、核の敷居を下げるものではなく、むしろこれは上げるものである、このように説明していると理解をしております。我が国としても、そのような意図によるものと受けとめているところであります。
◎ 岡田委員 そうすると、大臣は、そういった非戦略核、戦術核と言ってもいいかもしれません、それが核使用の敷居をむしろ上げるというトランプ大統領のNPRの考え方に賛同するということですか。
◎ 茂木国務大臣 私がトランプ大統領の考え方に賛同するかどうかというよりも、一般的な考え方として、この例えば核の抑止力、これをきちんと確保するために、相手側に誤算があるということは決していいことではない。相手側にきちんと、こちらが持っているものがどういうものであるか、またそれをどうしているかということを示すことが核抑止力の実効性を高める、そのように考えております。
◎ 岡田委員 明確に答えてもらいたいんですが、これは両説あるわけですね。そういった戦術核を持つことが核使用の敷居を低くする、むしろ使いやすい、使える核ということで核使用の可能性が高まるという考え方と、いやいや、そういうものがむしろ敷居を高くするんだという考え方があります。
先ほど大臣は、そういった戦術核あるいは小型核を持つことが核使用の敷居を高くするというアメリカの考え方について、それを肯定的に言われたと思うんですが、いかがですか。
◎ 茂木国務大臣 肯定的に捉えられる面もあると考えております。
例えば、さまざまな核能力をお互いに持っているとする。例えば、私が素手だけしかない、素手の次はピストルしかない、そこで岡田委員が竹刀を持っていらっしゃる。竹刀でたたいたときに、まさかピストルでは攻撃しないだろう。こういうふうな誤認を与えることというのは避けることができるんだと思っております。
◎ 岡田委員 そこは考え方としては二つあると思いますね。ですから、そういった戦術核の使用というものが、結局、戦術核の使用をすればそのことが戦略核まで行き着いてしまう、そういうリスクがあるという、そこを重視する考え方も当然あるわけで、どちらの考え方に立つかということは、これは非常に、私は、これからの日本の安全保障を考える上で重要なところであると。大臣は、はっきりとはおっしゃらなかったんだけれども。
以前、エスカレーションラダーという表現をこの委員会でも使われたと思いますが、これは核についてのどういう考え方ですか。
◎ 茂木国務大臣 いわゆるラダーですから、はしごでありまして、はしごには当然段というのがあるわけであります。お互いの段が合っていれば、同じような形での抑止力が機能する。しかし、その段の例えば間隔がずれていた場合に、相手側がその中間の段階の段、そのレベルで何かのことをしたときに、こちら側がどちらの段で対応するかということによって、上の段でまさか対応することはないんであろうと。こういうことがあった場合に、これが中間の段での相手側の攻撃の余地があるのではないか、若しくはそれによってお互いがエスカレートしていく、ラダーがエスカレートしていく、こういう誤解、誤認を避けるために核攻撃の目的等々を明確にしている、このように考えております。
◎ 岡田委員 解説はいいんですが、大臣としては、このエスカレーションラダーという考え方をとるべきだというふうにお考えですか。
◎ 茂木国務大臣 エスカレーションラダーをとるべきかとるべきでないかというよりも、恐らく、このNPRも一九九四年にできたわけでありますけれども、東西冷戦が終えんをして、多分これから、米国にとっても国際社会にとっても安全保障環境が大きく変わっていく。単にアメリカがソ連だけを見てこの問題に対処すればいい、こういう時代ではなくなってきている。特に東アジア地域においては、そういったさまざまな新しい安全保障上の脅威というのが存在をするようになってきている、また、それが急速に増大をし、さらには不透明感が高まる、こういった中においては、よりきめ細かな核体制のあり方、こういったものを模索していく必要はある、こう考えております。
◎ 岡田委員 そこで、東アジア地域で、北朝鮮、中国、ロシア、それぞれの核の脅威というものが抽象的には存在するというふうに思うんですが、そうすると、大臣の今の御発言を踏まえると、日米同盟あるいは米国と言ってもいいんですが、そこでは、戦術核というのは東アジアにはないということですから、そこに空白がある。したがって、東アジアにおいて、そのエスカレーションラダーではないですが、同じようなレベルでの核戦力、戦術核というものが必要である、そういうお考えですか。
◎ 茂木国務大臣 そのように申し上げているわけではありません。実際にアメリカも地上発射型の中距離ミサイルを開発中でありますが、米国からは、直ちに配備する状況ではなく、また具体的な配備先についても検討は行っていないとの説明を受けているところであります。また、米国は、開発する中距離ミサイルは、核弾頭搭載型ではなく、あくまで通常弾頭搭載型である旨述べているところであります。
恐らく、岡田議員、多分、もう核については戦略核にとどめて、それ以外のものはできるだけ持たないようにしよう、こういうお考えをお持ちなんじゃないかなと思うんですけれども、現状においては、通常兵力とそういったものを組み合わせた抑止力を持っていくということが現在の環境からは必要なんだろうと思っております。
◎ 岡田委員 私は、核についての議論をしているのであって、戦略核による抑止、それに加えてミサイルディフェンスやあるいは通常兵器による抑止というものの組合せの中で日本の安全というものを保っていく、そういう考え方ができるのではないかというふうに思っているわけです。
一方で、いや、戦術核はどうしても必要である、そういうふうに恐らく日本政府は考えているのではないか、そういうふうに私は思うわけですね。
もちろん必要だというのは、もちろん日本に配備をするということもあるかもしれませんが、政治的にそれが困難だとすれば、やはり米軍が戦術核を持って、そして抑止力を発揮するということが不可欠であるというふうに日本政府は考えているのではないか、いろいろな状況から私はそう判断しておりますが、そういうことはないんですか。
◎ 茂木国務大臣 必ずしもそういう考えは持っておりません。
NPRにしましても、冒頭申し上げたような大きな三つの柱のもとで米国は核態勢というのをつくっている、こういう理解のもとで、しかし、現実に今出てきた米ソ冷戦構造とは違う形の、さまざまな核を始めとする脅威に対してどういう対応をしていくか。これは、安全保障環境も変わってまいりますから、いろいろなオプションというものを、ある意味採用するかどうかも含めて、ある程度検討する、また開発をする、こういったことは、御案内のとおり、じゃ、あしたから持ちましょうと言って、すぐに持てる話ではないわけです。
トマホークがなくなる、そうすると、一旦やめたときに、来年からまた再開しましょうという話にならないわけでありますから、いろいろな状況を想定しながら開発であったりとか検討する、これは当然私は必要なことなんだと思っています。
◎ 岡田委員 トマホークについても、その退役、米国政府が決定したものですが、それに対して日本政府として異議を唱えたということはないんですか。
◎ 茂木国務大臣 済みません、ちょっと質問の趣旨がよくわからないんですけれども、もう一度お願いします。
◎ 岡田委員 トマホークの退役というのは米国政府がもう既に決定をしているわけですが、そこで、いや、トマホークの退役は困るというふうに日本政府が言った可能性もあるわけですね。
実は、私が外務大臣のときに、メディアで報じられたことですけれども、米国議会が設置した戦略態勢委員会において、トマホークの退役にブレーキをかけたというふうに受け取られかねない発言があったと報じられました。私が調べた限り、明確なそういう発言はなかったというふうに判断をいたしましたが、しかし、疑念が完全に晴れたわけではない。
今回のトランプ大統領のNPR作成に当たっても、トマホークにかわるものをぜひ開発するようにというふうに日本政府からアメリカ側に伝えた、そういうことはないんですか。
◎ 茂木国務大臣 済みませんでした。
米議会の戦略態勢委員会のいろいろな検討の話だと思いますが、当時のやりとりについては私以上に岡田委員の方が詳しいと思いますので差し控えたいと思いますが、我が国は、米国の特定の装備体系の保有等について判断する立場には当然ないわけでありまして、米議会戦略態勢委員会とのやりとりにおいて、今御指摘のような特定の装備体系を米国が保有すべきか否かについて述べたことはございません。
◎ 岡田委員 私は戦略態勢委員会の件についてこれ以上言うつもりはありませんが、ただ、トランプ大統領になって、ロシアや中国の核に対抗して米国の核能力を強化しようと。具体的には、それは戦術核。したがって、東アジアにおける戦術核レベルでの態勢の見直しが始まっているというふうに私は理解をしております。小型核の開発とか、あるいはトマホーク退役後の最新のSLCMの開発を強調しているというのはそのあらわれであるというふうに考えております。
このトランプ政権になってからの米国政府の考え方、東アジアにおける戦術核レベルの態勢を見直していこう、今はないわけですから、それをもう一度配備していこうという考え方について、どうお考えですか。
◎ 茂木国務大臣 昨年の八月二日にINFの全廃条約が終了したわけでありますが、この背景には、米国が主張するところのロシアによります深刻な条約違反が継続してきたことに加え、むしろ私はこちらの要因が強いのではないかなと思いますが、INF全廃条約で米ロに廃止が義務づけられてきたミサイルをそれ以外の国々が開発、実戦配備している、こういう状況の変化があると考えております。
もちろん、日米間では、安全保障環境のあり方、これについてさまざまなやりとりは行っておりますが、そういった安全保障環境の中で核兵器も含めてどういった形の抑止力を持っていくか等々は、まさに、すぐれて米国が判断する問題であると思っております。
◎ 岡田委員 それは、すぐれて米国が判断する問題ではなくて、日本の安全保障政策の根幹でもあると思うんですね。果たして戦術核を東アジアに必要とするのかどうか。したがって、それはアメリカが決めることだと言って逃げることは私はできない、しっかりとした議論が必要だ、そういう思いで今議論をしているわけですが、いかがですか。それはアメリカが勝手に決めれば済む話なんですか。
◎ 茂木国務大臣 先ほどの答弁と今の答弁をあわせてお聞きいただければと思うんですが、先ほど答弁申し上げましたのは、米国は地上発射型の中距離ミサイルを開発中でありますが、米国から、直ちに配備する状況にはなく、また、具体的な配備先について検討は行っていないとの説明を受けている。また、米国が開発する中距離ミサイルは核弾頭搭載型ではなく、あくまで通常弾頭搭載型である旨述べていると理解をしております。
そして、直前の答弁におきましては、私が申し上げた前に、この安全保障環境のあり方については日米間でさまざまなやりとりを行っております、こういう前提をつけた上で、最終的な判断は当然アメリカが行っていくものだ、こういうふうに答弁をさせていただきました。
◎ 岡田委員 トマホークは核を搭載することもできるし、通常の弾頭を搭載することもできる。だから、一方だけに限ったものをこれから新たに開発するということは、私は全くないんだ、どちらも可能なようなものとして開発していくというふうに思うんですね。それから、二〇一八年NPRでも、必要に応じて米国は核兵器を北東アジア等の地域に配備する能力があるということも言っています。
ですから、そういった新しいミサイルの開発だけではなくて、例えば爆撃機に積む核爆弾といいますか、核を配備するとか、そういったことも考えられるし、それから地上発射型のミサイルに核を搭載するということも考えられる。いろいろなオプションがあるというふうに思うんですね。
そういったことを、米国が志向している対中国、あるいはロシアだって、INF条約が全廃された以上、極東に同じような核ミサイルを設置をする可能性だってあるわけですから、それに対抗してアメリカが設置をするというようなことはあり得ないんでしょうか。私は、十分考えておかなければいけないことではないかと思うんですが。
◎ 茂木国務大臣 戦力というものは、確かに岡田委員がおっしゃった能力もありますが、あと、意思との組合せということになってくるんだろうと思っております。意思があっても能力がなければ、それは抑止力にはならないというのは明らかなのではないかなと思っております。
そして、米国が最近言っていますことは、これは米ロだけではなくて、米ロを超えてより広範な国家、より広範な兵器システムを含む幅広い軍備管理の重要性、これを指摘しているわけでありまして、我が国としては、本件は、東アジアの安全保障にも直結することから、米国と連携しつつ、東アジア地域における望ましい安全保障環境の確保、透明性の向上の観点からしっかり議論していきたい、また、アメリカとも連携をしていきたいと思っております。
◎ 岡田委員 確かに、例えば中国の核、NPT加盟の核を保有している国の中で核能力を増強しているのは、現時点では中国だけ。それに対して日本が関心を持つことは当然であり、何とかして軍縮の方向に持っていかなきゃいけない。私も、実は外務大臣のときに、相当中国とこの問題では激しい議論をしたこともあります。ただ、その方法論としてINFを全廃してしまったことが賢明な道だったのかどうかというのは、相当私は疑問を持っているわけであります。
この続きはまた次回に行いたいと思いますが、私は、どうも日本政府が、もう既に戦術核を、東アジアにその存在があることを期待して、かなり前のめりに米国と協議しているのではないかという、いろいろな情況証拠からそういうふうに疑念を持っておりますので、それは前のめり過ぎないか、もう少ししっかり国としての議論を経た上でそういう選択をとる、説明責任を果たしてとるというならともかくとして、そういうものがないままにどんどんどんどん前のめりになってしまっているとすると、それは国を誤ることになりかねないということを申し上げて、続きは次回にしたいと思います。