4/2 外務委員会質問(日米関係・米国の外交安保政策について)
4/2 衆議院外務委員会で質問しました。
下記インターネット中継でも閲覧可能です。
【日 時】 4月2日(金) 9:40~(40分間)
【委員会】 衆議院外務委員会
衆議院インターネット中継 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
【質問要旨】
日米関係・米国の外交安保政策について
Ⅰ.日本政府の基本姿勢
・民主主義的価値重視
・同盟重視姿勢と責任
・日米首脳会談
Ⅱ.中国
・米中対話の見通し
・安全保障と経済のバランス
・第一列島線ミサイル配備構想
・存立危機事態・重要影響事態と台湾海峡
Ⅲ.北朝鮮
・シンガポール合意の今後の扱い
・非核化実現に向けての日米韓の協力
・拉致問題
Ⅳ. 日韓関係
・日韓関係の現状についての米国の指摘
・日韓外相会談
Ⅴ.拡大抑止と核軍縮
・拡大抑止強化の内容
・核兵器の役割低減
(要求大臣 外務大臣、政府参考人)
================================以下議事録=================================
第204回国会 衆議院 外務委員会 第5号 令和3年4月2日
○岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
今日は、日米関係、あるいは米国の外交、安全保障政策ということで質疑をさせていただきたいと思います。
まず、三月三日の国家安全保障戦略の暫定的な指針、ここに、今までにない、かなり思い切ったことが盛り込まれているなというのが私の印象であります。
とりわけ二つのこと、一つは、現状認識として最後に出てくるわけですけれども、世界は転換点にある、ナショナリズムの高まりや民主主義の後退、権威主義国家との競争が新たな脅威をつくり出している、そういう認識に立って、民主主義的価値の実現の重要性というものを正面からうたった。そしてもう一点は、同盟であります。NATO、豪州、日本、韓国との同盟は、米国の最大の戦略的資産であると。公平な責任分担を強調しています。
この二点が私は非常に特徴的で、そして、具体的には中国の問題が様々指摘されているわけですが、この暫定的な指針、やがては本格的な指針になる、そういう意味でも、今、日本の考え方を示すことも非常に重要だと思いますが、外務大臣は、まず、この暫定的な指針について、どういう考え方、印象をお持ちでしょうか。
○茂木国務大臣 三月三日、ブリンケン国務長官の外交演説でも、脅威にさらされている民主主義の刷新、これが最優先課題の一つに挙げられているところであります。
バイデン政権になって二か月少しがたとうとしているところでありますけれども、例えば、日米同盟を重視する、こういった姿勢は変わっていないと思いますが、トランプ政権、その中でもやはりアメリカ第一主義というのを掲げて、様々な問題への対処もどうしてもマルチよりもバイを選好する、こういう形であったのに対して、バイデン政権、同盟の再構築、こういったことも冒頭から強調しているところでありまして、価値観を共有する同盟国、同志国、この結束によって国際社会に正しいメッセージを打ち出し、また、力による一方的な現状変更等々を取る国に対して毅然として対応していく、こういう姿勢を示していると思っております。
この点に関しましては、まさに、自由で開かれたインド太平洋を始め、我が国がこれまで提唱してきた考え方と完全に一致する考え方だ、しっかり連携しながら取り組んでいきたいと思っております。
○岡田委員 ちょっと皮肉な言い方をしますと、トランプ大統領の時代、今大臣も御指摘のように、基本的にアメリカ・ファースト、外交交渉もディール、取引だと。同盟軽視、日米同盟はともかくとして、NATOなどは非常に軽視をしていた。そのトランプ大統領の時代に、各国の中ではうまくやってきたし、そして、そのトランプ大統領の路線についてあえて異を唱えることもなく、うまくやってきた。このアメリカが、大統領が替わって方針が全く変わった。またこれでうまくやっていく。ちょっと情けなくありませんか。
○茂木国務大臣 私は、そうは思っておりません。日米同盟、日本にとっても極めて外交、安全保障上の基軸になるものであります。これをしっかりと確保しながら日本外交を展開するということは極めて重要だと思っております。
確かにトランプ大統領、様々な国から見ると、なかなか、どういう形で連携していくというのが難しかった大統領である、そういう側面もあると思いますが、安倍総理そしてトランプ大統領の間は個人的な信頼関係もありますし、こういった日米同盟の重要性については完全に意識が一致する中で、共同で対処すべき問題、これには対処をしてきた、こんなふうに今考えているところであります。
なかなか、日本が、例えばアメリカとNATOの関係をどうするかということについて主体的に取り組むというのは難しいんだと思います、それはどう考えても。それは岡田委員も一致をしていただけるのではないかなと思っております。
一方で、バイデン新大統領になりまして、まさに同盟を重視すると。そこの中でも、ブリンケン長官、オースティン長官が最初の訪問先として日本に来る、そして、四月には菅総理が最初の首脳としてワシントンでバイデン大統領と会う、こういった形で外交がスタートをしていく。
これは、それだけ、トランプ政権の時代もそうでありましたけれども、バイデン政権においても、日米同盟の重要さ、また、日本と連携して様々な課題、これは単に自由で開かれたインド太平洋だけではなくて、気候変動の問題にしてもそうでありますし、またコロナの問題にしてもそうでありますが、そういったことに取り組んでいきたい、こういうアメリカ側の姿勢でありまして、ザ・フィーリング・イズ・ミューチュアル、思いは一緒だ、こんなふうに思っております。
○岡田委員 アメリカの大統領ですから、そことうまくやっていくということは日本の国益を考えれば必要な場面もありますが、ただ、そのアメリカの大統領が替わって言っていることがほぼ百八十度変わってしまったときに、前もうまくやっていました、今回もまたうまくやっていきますというのは、私は、少しさめた目で見れば、決して尊敬を世界から受ける、そういう国じゃないというふうに思います。
バイデン大統領、あるいはこの暫定指針の中で、民主主義の価値を実現することがとても大事だと主張していますけれども、今までのトランプ大統領とうまくやってきた日本がその考え方にすんなりと移れるのかどうか、少なくとも世界はそういうふうに見ているのか。そのときそのときに応じて合わせていくだけの国じゃないか、そういうふうに私は見られても仕方がないというふうに思います。
そこで、四月九日とされています、日米首脳会談の予定をされていますが、ここで菅総理が何を述べるのかというのは非常に大事だというふうに思います。
もちろんインド太平洋のことも大事です。しかし、やはりこの基本的な価値観のところ、民主主義の重要さというものを、首脳同士ですから、まずしっかり共有するということが私は最初になければならないというふうに思いますが、そういう方向で調整されていますでしょうか。
○茂木国務大臣 まず、日本が現在世界でどう見られてきているか。適切な例えかどうか分かりませんが、決して日本が、誰に対してでも調子がいい、言ってみると、昔の喜劇映画で出てきた植木等みたいな感じで見られているということはないんだと思います。
例えば、トランプ政権の時代はG7も相当苦労しました、共同声明を出したり。そのときに、やはり安倍前総理が間に入って、どうにかメルケルさんとトランプ大統領、トルドー首相とトランプ大統領、その間をまとめる。一体シンゾウはどう思うんだという発言があって、どうまとめるという形でまとめてきたということで、一つの存在感があった。
また、バイデン大統領になったときは、今度は同盟関係を重視する、そして、その同盟関係の中心にあるのが日本である、このように考えておりまして、決して日本に対する世界の見方というのが、あっちを向けばこっちを向く、こういう形ではなくて、それだけ日本の存在感というのが、トランプ大統領の時代も、またバイデン大統領の時代も、性格は変わるにしても、そのプレゼンスの高さというのは私は変わっていないんだなと思っております。
そんな中で、最初のアメリカとの首脳会談、日本が行う、日米首脳会談ということになるわけでありますけれども、ここで、先日、日米外相会談、2プラス2、進めてまいりました。
恐らく、バイデン政権の一つの特徴というのは、トランプ政権のときは、例えば北朝鮮との間でもすぐにトップ会談に行く、こういうあれでしたけれども、ステップ・バイ・ステップ、一つ一つ積み上げながら成果を上げていく、こういう方向性、そういうアプローチを重視しているんだと思っておりまして、先日の日米外相会談そして2プラス2、こういった成果も踏まえて、日米同盟の強化であったりとか、自由で開かれたインド太平洋の実現、新型コロナ対策、気候変動、こういった課題について幅広く日米の連携と協力を更に深める機会になると考えております。
相当、先日の日米外相会談そしてまた2プラス2、共同発表を御覧いただいても、今までになく踏み込んだ表現もしております。それだけ相当突っ込んだ議論もしているわけでありまして、それを踏まえて、大きな方向性、首脳間で打ち出してもらえるのではないかな、このように考えております。
○岡田委員 これからのバイデン政権が、ステップ・バイ・ステップなのか、それともトップダウンなのか、私は大臣とはちょっと認識を異にするんですけれども。今の布陣を見ても、やはりバイデン副大統領時代の一緒にやってきた仲間がそのまま移行しているということを考えると、やはり相当大統領の意向というものが中心になって動いていく、そういう政権じゃないか。積み上げ式というよりは、大統領を中心に、国務長官やその他、それを構成する、外交を構成する人たちがまずしっかりと引っ張っていく、必ずしも積み上げ方式じゃないような、そういったやり方ではないかというふうに思いますが。
大臣、一つお聞きするんですが、首脳会談に同行されないという話も聞きますが、もしそうだとすれば、なぜ行かれないんですか。
○茂木国務大臣 まず、トップダウンとボトムアップに対する認識、いろいろな言葉の使い方があると思うんですが、例えば、本当に現場から積み上げて、トップに上がってトップが判断する、こういうボトムアップというのもあると思いますけれども、私、決してボトムアップという言葉を使っていません。
チーム・バイデンとしていろいろなことを決めていく、そこの中では、当然、トップであるバイデン大統領の最終的な方向性というのが重視されながら、では、どういう動き方で始まっているかというと、いきなりトップ会談というよりも、一つ一つ積み上げていく、こういうアプローチになるのではないかな、こういった意味で申し上げたところでありまして。
その意味で、既にブリンケン国務長官とは二度の電話会談、最初の電話会談は初日でした。最初に、朝、電話がかかってきまして、すぐにでもやりたいという話で、日本と最初にやりたいんだということで、電話会談もやりました。そして、最初の訪問先として日本にお越しになられた。そこでかなりな議論をした上で、総理がアメリカに行かれる。
恐らくそれほど時間を置かずに、様々な、今度は大きな方向性、これで一致した上での具体的な詰めというのが出てまいります。そこはしっかり私の方で、ブリンケン長官との間で詰めていかなければいけないと思っております。
○岡田委員 なぜ行かれないのかという質問に対して、お答えをいただいていないんですが。
○茂木国務大臣 一つは、今コロナ対応というのもありまして、できるだけ少ない、実務的にいいますと少ないメンバーで訪米をするというのが一つであります。
もう一つは、もちろん、これは委員会でお決めいただいたりすることでありますけれども、なかなか、外務大臣としてできる限り海外には出たいと思っておりますが、国会審議等々の日程、こういったものも考えながら活動していかなければいけないかなと思っております。
○岡田委員 国会のことは御相談いただければ、我々も協議はできると思いますが。
今までの常識というか慣行でいうと、首脳会談のときに外務大臣は基本的には同席しないということだと思うんですね。たまたまその場にいればともかくとして、わざわざついていくようなことはしない。私のときもそうでした。ただ、菅(かん)総理が初めて就任されてサミットがあるときは、私、手を挙げてついていきました。心配がありましたから。
今回も、菅(すが)総理は総理としての初めての首脳会談で、それがアメリカのバイデン大統領。私は、かなりリスクもあると思うんですね。形だけじゃなくて、やはりバイデン大統領はその場でいろいろなことをおっしゃる可能性もある。でき上がったセレモニーじゃないというふうに思います。
そういうときに、やはり外務大臣がいて支えるということは、私は必要なことじゃないかと。ぎりぎりの場合に、首脳会談ですから首脳間で話をするわけですが、事務方は話はできないと思います。そのときに口を挟んで発言することはできないと思いますが、大臣であれば発言はぎりぎりできると思うんですね。そういう場面だってあるかもしれない。
そういう意味では、私は是非、首脳会談に同行されることをお勧めしますが、いかがですか。
○茂木国務大臣 貴重な御意見であると思っておりますし、できる限り外遊等、外交活動を野党の皆さんも優先していただける、大変心強いなと思ったところであります。
今、日米首脳会談について相当な詰め、もう日米外相会談から始まりまして、行っております。そういった中で、当然いろいろなシナリオといいますか、あれも想定をしながら進めるということになっています。
今、大きな対立というのはないのは間違いないところであります。そこの中で、もし細かい点で詰めが残るということであったら、その次の段階の外相会談でそこはしっかり詰めれば、十分私はできるのではないかなと思っておりまして、大きな方向性が一致するということは十分可能であろう、そんなふうには考えております。
○岡田委員 私は、やはり日米のスタートですから、ある意味では枠組みを決める、そういう場面ですから、大臣にもう一度考えていただいた方がいいのではないかと申し上げておきたいと思います。
さて、暫定指針の中の中身について少し議論したいと思いますが、まず中国であります。
かなりのことをこの暫定指針は言っていますよね。中国指導者が多くの分野で不当な利益を追求し、攻撃的、強制的な行動を取り、開かれ、安定した国際システムの規則、価値観を毀損していると。中国指導者がで始まるというのは、ちょっと私は異例ではないかと。中国がとかいうなら分かりますが、かなりこれ、個人を批判しているというふうに取られても仕方がない。そういったことだと思います。
そして、その後行われた米中の外交トップ会談も、冒頭は激しいやり取りになったということで、メディアも入った中でそういったやり取りが行われました。
大臣にお聞きしたいのは、米中間の話合いというのは、もちろん基本は、民主主義の価値とか、そういったものがありますので、越え難い対立というのはあるわけですが、そうはいっても、私は、このトップ会談の終わった後の反応などを見ていると、かなり突っ込んだ議論が行われたんじゃないか、対立ばかりではなくて、中身のある議論が行われたんじゃないかというふうにも思うんですが、そこはどういうふうに理解しておけばいいんでしょうか。米中の話合いですね。
○茂木国務大臣 アラスカでの会談、冒頭部分は映像にも映りましたので、どういう発言があったか、こういったことについては岡田委員も御案内だと思います。
その後も相当の時間をかけて、二日間にわたって議論が行われたわけでありますが、その詳細について私の方から申し述べるのは差し控えたいと思いますが、米中の双方が、様々な問題に対するお互いの立場、さらには相手に対する見方、これを率直に述べ合った、これが先日のアラスカでの米中会談の概要であったと考えておりまして、では、今後、米中間でどのような議論が進むのか、ここについても、若干、この進め方を定例化するのか、そこまでは決められないというのか、そこでも意見が実際には分かれているところでありまして、現時点で予断を持ってお答えするということは難しいのかなと思っております。
アメリカも、基本的に中国は競争相手である、しかし適切な場合には協調もしていく、さらには必要な場合には敵対もしていく、こういう関係として見ているわけであります。
そういった中で、これはアメリカだけではないんですが、様々な国が、中国とは特に経済面では深い関係を持っている。さらに、今後、気候変動問題等々を考える上では、最大のCO2排出国である中国が何もしなかったら、地球温暖化、この気候変動の問題は解決できないわけでありまして、当然、中国にも大国としての責任というのは果たしてもらわなければならないと考えております。
ただ、経済の問題がある、若しくは気候変動で協力をする、だからといって、法の支配であったりとか、基本的人権の尊重であったりとか、航行の自由であったりとか、こういう基本的な価値で譲ることはできない。少し協力してくれたから若干目をつぶりましょう、そういうふうにはならない問題だ、ここはきちんと切り分けながら考えていく必要がある、このように考えておりまして、この認識は日米で完全に一致していると思っております。
○岡田委員 日本にとっても、安全保障上の脅威であり、同時に経済的には強い相互依存関係にある中国との関係をどういうふうに形作っていくかというのは、恐らく日本外交の最大の課題の一つであることは間違いないというふうに思いますが、今、大臣、経済の問題と、そしてそういった法の支配とか民主的な価値、これは完全に切り分けてという合意が日米間であるんだというお話ですが、現実に、これを切り分けることがなかなか難しい場面もあると思うんですね。
例えば、経済制裁をそういう人権侵害に対して科すということは当然あり得るわけだし、中国側も逆に、私も経験がありますけれども、日中間で何か重大なもめごとが起こると、突然レアアースが来なくなるとか、日本の経済活動に対して、例えば人が拘束されるとか、いろいろなことが起きたりする。お互いにそうきれいに切り分けられないところがあるからこそ難しいと思うんですが、そこのところ、日米間で、今回の外相会談では議論になったんでしょうか。どういう議論があったんでしょうか。
○茂木国務大臣 様々な議論をしております。経済というのは、もちろんなかなか一くくりにはできない部分がありまして、本当に単純なビジネスとしての経済というのもあるわけでありますし、一方で、かなり経済安全保障に近い分野、これも出てくるわけであります。これは、サプライチェーンの問題等々も関わってくる問題であります。
経済も一くくりにはできない、そういった中で、例えばこういう問題についてはこう考える、そういったことも含めて議論をさせていただいておりますが、どの問題についてどういう議論をした、これにつきましては、まさに外交上のやり取りでありまして、今後の様々な対応にも関連しますので、そこは控えさせていただきたいと思います。
○岡田委員 米中間で軍事的なバランスが崩れつつある、これは、例えば、インド太平洋軍のデービッドソン司令官の上院軍事委員会の公聴会などでも述べられた話でありますが、そういった軍事バランスが次第に中国側に有利になりつつあるという認識は、大臣は共有しておられますか。
○市川政府参考人 お答えいたします。
米中の軍事バランス、我が国の安全保障に極めて重要な影響を持つということで、私ども、日米間、外務省、防衛省、国務省、国防省、関係省庁の間で、常日頃から緊密に意思疎通あるいは分析をしておりまして、その詳細はつまびらかにするのは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、日米同盟の抑止力そして対処力、こういうことを高めて日米同盟を一層強化していくということで、日々議論しているところでございます。
以上でございます。
○岡田委員 まあ、お答えになりたくないという答弁だったと思いますが、このデービッドソン司令官は、公聴会の中で、沖縄からフィリピンを結ぶ第一列島線に地上配備型ミサイルを構築する構想ということを言われまして、米国の議会の中でもその議論が行われているということです。
私は、この延長線上に、沖縄からフィリピンと言っていますが、沖縄というよりは日本と言った方がいいかと思いますが、日本のどこかに、在日米軍基地に中距離ミサイルを配備するなり、あるいは移動式ミサイルを装備した部隊を配置する、そういったことが求められる場面が近い将来来る可能性が高いというふうに考えておりますが、大臣の認識はいかがですか。
○茂木国務大臣 日米同盟、今、米側から何かを要求されて日本がそれに応えるという関係ではなくて、これはホスト・ネーション・サポートの議論のときにもさせていただいたと思うんですけれども、日米双方で同盟強化に向けて自らどういう役割をお互いが担っていくのか、主体的にそれぞれ考える問題だと思っております。
その上で、地上発射型の中距離ミサイルについては、米国から、直ちに配備する状況にはなく、また、具体的な配備先についても検討は行っておらず、さらに、どの同盟国に対してもその受入れや配備に関して打診を行っていない、こういう旨の説明を受けているところであります。
今後、米国そして中国の軍事バランスがどうなっていくか。恐らく、以前と比べるとこの差というのは縮まってきている。さらに、例えば、それぞれの、局地的といいますかスポット的に見るとどうなのかという問題があります。では、中国のA2ADに対してどこまで対処できるか。それぞれの問題というのはあるわけでありますけれども、どこでどうなっているか、これはまさに安全保障上の機微に関わる問題だと思っておりますけれども、全体的な抑止力、拡大抑止、こういったところできちんと歯止めがかかる、こういう体制をつくっている、そのように考えております。
○岡田委員 大臣が今述べられたアメリカの見解というのは、トランプ時代の国防長官の発言じゃないですか。大統領が替わってからも、閣僚なりそれなりのレベルの人が同じ発言をしていますか。確認します。
○茂木国務大臣 別に誰かの発言をなぞって言っているわけではありません。一般的な認識として私は申し上げたわけでありまして、誰かが言ったことを引用したということではありませんし、私が言ったことをアメリカの例えばブリンケン長官、オースティン長官が言っていない、だから問題だということにもなるとは思っておりません。
○岡田委員 現時点で公式には言ってきていないかもしれませんが、やがてそういうことになるんだろう、そういう発言が示されることになるんだろうというふうに私は思います。
同様に、安保法制によって、存立危機事態とか重要影響事態ということになれば自衛隊が一定の役割を果たす、存立危機事態であれば武力行使も含まれる、重要影響事態の場合には後方支援、こういう形ができております。
例えば、台湾海峡の平和と安定の重要性というものをさきに2プラス2で確認されていますが、そういった台湾海峡有事の際に、日本の自衛隊が一定の役割を果たす、あるいは後方支援を行う、そういったことは法制上は可能になっていますが、大臣はそういったことについてどう考えておられますか。そういう場面があるというふうにお考えですか。
○田島政府参考人 お答えいたします。
存立危機事態や重要影響事態が認定された場合の自衛隊の対応については防衛省からお答えいただくのが適切かと思いますが、その上で申し上げますと、いかなる事態が重要影響事態や存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになるため、一概にお答えすることは困難であります。
両岸関係について申し上げれば、経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、その軍事バランスは確実に変化しております。我が国として、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待しており、最近の動向を含めて、関心を持って注視しております。
こうした観点を踏まえて、先般の日米2プラス2においては、米国と台湾海峡の平和と安定の重要性について改めて確認いたしました。
○岡田委員 どういう場合に重要影響事態あるいは存立危機事態に当たるかというのは、それはそのときの政府あるいは日本の判断だというのはそのとおりでありますが、法律上、そういう事態に当たれば自衛隊を出す、一定の役割を果たすということは可能な、そういう法制を作ったわけですね、今の与党が、自民党と公明党が。ということは、米軍としてはその法制があることを当然前提にして、あるいは期待をして様々なことを求めるということになる。
先ほど、公明党の委員の方が日米同盟の重要さとか今までの実績とかを言われましたが、最後は、でも、それの法律に基づいてやることをやらなきゃいかない場面が来るんだということは分かった上で、覚悟をした上でこの議論をしていかないといけない問題だと思うんですね。だから、私たちはこの法制には反対しました。でも、今ある。そして、日米同盟を更に深める議論をしている。ということは、場合によってはそういうことが起こり得るということ。私は、そのことをやはりもっと大臣は、そして日本国政府ははっきりと述べるべきだというふうに思うんです。法律を作った責任があります。いかがですか。
○茂木国務大臣 法律、確かに作りました。そして、重要影響事態、存立危機事態、これが起こり得る、可能性は別にして、起こり得る。ただ、そうなった場合に誰が影響を受けるのか。我々としては、我が国の国民の生命や財産を守らなきゃならない。何か全く違ったところで起こっている事態ではないわけでありまして、こういった、我が国の存立に危機が及ぶ、様々な影響が及ぶ、こういう事態に対処する上で、日本としてどういうことができるのか、日米間でどういうことができるのか、こういう法的な組立てであるというふうに考えておりまして、基本は、やはり日本として、国民のために、我が国の領土、領海、領空を守るために何をするかという観点に対して法整備を行っている、このように考えております。
○岡田委員 この法律を作ったことを安倍総理はかなり誇っておられましたが、米国も、法律を作った以上はかなりやってくれるんだろうというふうに、過剰な期待になっていないことを私は非常に気にしているところであります。
では、残りの限られた時間ですが、ポイントだけ。
まず、北朝鮮の問題ですが、今いろいろと議論をしているところだと思いますが、私は、二〇一八年六月の米朝首脳間のシンガポール合意、これの取扱いをどうするかというのが一つのポイントだというふうに思います。
この中で、新たな米朝関係の構築、朝鮮半島の恒久的、安定的平和体制の構築、それから朝鮮半島の完全な非核化などが確認をされています。両国の、アメリカと北朝鮮のトップが会って、そしてこの合意をしたということは、私は一つの成果だというふうに思います。
これを否定するところからスタートするのか、それとも、これを前提として米朝間で議論をしていくべきか。私は前提とすべきだというふうに考えますが、日本として、どういうお考えをお持ちなんでしょうか。
○茂木国務大臣 アメリカは今、バイデン政権、まさに北朝鮮政策、レビュー中であります。そして、二〇一八年のシンガポール合意、重要な合意だと考えておりますけれども、これは合意でありますから、一方がやります、合意に従いますと言っても、もう片っ方がそれに乗らないということであったら、その合意というのは残念ながら履行できない部分もあるわけであります。
単にアメリカで政権が替わったということではなくて、二〇一八年以降の金正恩委員長の様々な言動であったりとか、また北朝鮮の動き、こういったものも見極めながら判断していく、こういう問題になっていくのではないかなと思います。
○岡田委員 北朝鮮は注意深く、アメリカに対してはこの合意の範囲の中で動いているというふうに私には思えるわけです。
ハノイでの二回目の会談では、米朝首脳会談は決裂しましたが、ここでかなり中身が議論されて、まあ、お互いの言っていることは少し食い違うんですが、もちろん、国連の経済制裁を全面解除するなどということはできないことだというふうに私も思いますが、やり取りがあって具体的交渉が始まったということは注目すべきで、私は、これからアメリカが中心になって、日本や韓国がそれを支える形で北朝鮮と交渉していく、そういった可能性はあるのではないかというふうに思っておりますが、大臣の御見解はどうでしょうか。
○茂木国務大臣 まず、北朝鮮の非核化を進めるということで、これは日米韓だけではなくて、中国も含めてその目標というのは共有していると考えております。
問題はその進め方ということでありまして、例えば、行動対行動、こういうアプローチで本当に実際に非核化がなし得るかというと、今、残念ながら、そこで大丈夫ですよと言える状況には私はない、こんなふうに思っておりまして、完全に非核化に至ります全体のプロセスといいますか、このパッケージ、これをまずどういうものなんだということをしっかり決めてから物事を動かす、こういう手順が必要である、こんなふうに思っております。
○岡田委員 是非、そこのところを日米韓でよく協議をして、すり合わせをしてもらいたいというふうに思っています。
最後に、大臣は、韓国との関係、これは極めて重要だし、恐らく日米の外相会談でも実はかなり言われたんじゃないかと思います。少なくとも、日米韓三か国は、インド太平洋地域の安全、平和、繁栄にとってその協力が不可欠だというふうに2プラス2でも述べています、共同発表です。
韓国で新しい外相が二月八日に選任されて、大臣、電話会談されていますか。あるいは、直接お会いになるという予定はないんですか。
私は、米も含めた日中韓で会う、その前にやはりしっかりと対話をしておくべきだ。もちろん、相入れないものはたくさんある。しかし、先ほどの北朝鮮の問題、中国の問題、そういうところで、やはり日韓がコミュニケーションがしっかりできていない、少なくとも閣僚のレベルでできていないということは、私は大きく国益を損ねていると思いますが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 先般の日米2プラス2、それから米韓の2プラス2、いずれの共同発表においても、日米韓三か国の協力の重要性に言及しております。
日韓関係も重要な二国間関係だと思っております。今、これが非常に厳しい状況にある。是非、韓国側に国際法違反の状態を是正するような対応を求めたいと思いますし、そのための外交ルートでの意思疎通、これは継続していきたいと思っております。
○岡田委員 大事な問題が残されていることは事実ですが、だからといって、この日韓の関係が現状でしっかりすり合わせもできないということであると、それは大きく国益を損ねている、早く外相会談をやるべきだと申し上げておきたいと思います。
終わります。