4/21 衆議院外務委員会質問(「自由で開かれたインド太平洋」ビジョン、中国、核による拡大抑止について)
【委員会】 衆議院外務委員会
【日 時】 4月21日(水) 15:00~15:30【30分間】
動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ YouTube【岡田かつや国会論戦】 https://youtu.be/Yl0PPcehzww
【質問要旨】
1.「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンについて
・同ビジョンにおける民主主義や人権の位置づけ
・従来の日本の唱えた自由で開かれたインド太平洋構想
・普遍的価値を強調しすぎることの弊害
2.中国
・対話と協働による日中関係構築
・台湾問題における平和的解決
・日中共同声明第三項
・平和的解決に向けた日本の役割
3.核による拡大抑止
・核による抑止強化の具体的な内容
・先制不使用宣言の位置づけ
・先制不使用・唯一の目的と日米首脳会談
答弁要求者 外務大臣 政府参考人
================================以下議事録===================================
第204回国会 衆議院 外務委員会 第9号 令和3年4月21日
○岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
先般の日米首脳会談に関して、三点ほど議論したいと思います。
まず第一に、自由で開かれたインド太平洋ビジョン、今回、ビジョンという言い方がされていますが、この点について確認をしたいと思います。
日米首脳共同声明の中では、普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントに基づく自由で開かれたインド太平洋という共通ビジョンを推進するというふうに書かれています。普遍的価値及び共通の原則に関しては、自由、民主主義、人権、法の支配、国際法、多国間主義、自由で公正な経済秩序を含む普遍的価値及び共通の原則ということで、このインド太平洋という共通のビジョンの中には、民主主義とか人権という概念が重要な概念として入ってきているというふうに読み取れるわけです。まず、そういう理解でよろしいでしょうか。
○茂木国務大臣 基本的にはそのような理解で結構だと思います。
厳密に申し上げますと、岡田委員、幾つか御指摘をいただきました、自由であったりとか民主主義、そして人権、更に並べていきますと、価値と原則でいうと、これはかなり近いんですけれども、若干、バリュー、価値の部分と原則、プリンシプル、並べていただいた中の前者に重きを置いているのが価値で、後者に重きを置いているのが原則になるんじゃないかなと考えておりますが、おおむねそういった理解で結構だと思います。
○岡田委員 そこで、この自由で開かれたインド太平洋というのは、安倍前総理の時代に打ち出された日本外交の看板政策の一つだというふうに思うわけですが、私の理解では、従来、そもそも自由で開かれたインド太平洋の中身がはっきりと定義されていないように思うんです。まあ、時間とともに変化していくのはやむを得ないとは思いますが。
例えば、最近といいますか、二〇一九年三月の参議院予算委員会で安倍前総理が言われたのは、航行の自由、法の支配などの基本的価値の追求、それからインフラ整備等を通じた連結性の強化などによる経済的繁栄の追求、三番目が海洋法執行能力の向上支援や防災等を含む平和と安定のための協力、この三つを言われています。
もっと前に言われていたのは、ルールに基づく国際秩序の確保、航行の自由、紛争の平和的解決、自由貿易の推進、こういうものでありまして、いずれも民主主義とか人権という概念は私は基本的に含まれていないものだというふうに理解していたんですが、ここの理解は、大臣、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 様々な会議において、また様々な場面において強調する部分というのは、若干オーディエンスの関係もありますけれども、この自由で開かれたインド太平洋、ここで普遍的な価値、また共通の原則と我々が考えているものが特に変遷してきた、そのようには思っておりません。
例えば、二〇〇〇年代の一時、自由と繁栄の弧、こういった構想を進めてきましたけれども、この自由と繁栄の弧、これは、ある一定の地域において、そこの秩序であったりとか社会の在り方、規定するような考え方だったのに対して、自由で開かれたインド太平洋、これは、二〇一六年、TICAD6の際に日本が提唱したものでありまして、五年たっておりますが、世界の成長センターとしてのインド太平洋地域、こういう地域的な概念よりも、むしろ、共通の価値や原則、そしてそういったものに基づく様々な具体的な協力、そこにより重点を置いているものだと考えております。
○岡田委員 かつて言われた自由と繁栄の弧というのは、私は一種の価値を言う価値観外交というふうに理解をしているんですが、この自由で開かれたインド太平洋というのは、具体的に説明されている、確かに、強弱の置き方で、場合場合で中身は少しずつ変わるんですけれども、もう少し具体的なことを言っていて、人権とか民主主義的な価値とか、そういったものはあえて言ってこなかったというのが今までではなかったかというふうに思います。それがいいか悪いかは別にしてですね。
私がずっと見たところ、菅総理が一度、基本的価値と法の支配に根差した自由で開かれたインド太平洋の実現と、それから、安倍総理が二〇一七年十一月の衆議院の本会議で、「この戦略はまさに普遍的価値の上につくり上げられた戦略である」ということで、根差したとか上にというのも、言い方はいろいろなんですが、この自由で開かれたインド太平洋、構想そのものではない、その背景にあるものという言い方で使っておられたように思うんですね。
今回の日米共同声明は、かなりはっきりと民主主義とか人権と。特に人権という概念が入ってきたのは私は初めてじゃないかというふうに思うんですが、そういうふうにされたということであります。
もう少し定義を、これは日米で協議する必要があると思いますが、明確にした上でやっていかないと、なぜか雰囲気としては分かるんですけれども、内容ははっきりしないままそれを推し進めるというのは、やや日米が協力しながらやっていくビジョンとしてはいかがなものかというふうに思います。
日本側が人権とか民主主義というものを大上段に振りかざさなかったのはそれなりの理由も当然あるわけで、やはり、この自由で開かれたインド太平洋、対象地域は非常に広範にわたるわけで、アフリカもあればアジアもあるという中で、それぞれ、民主主義の成熟度というか、かなり違う。ASEANですら、選挙で代表者が選ばれているという国は実はそう多くはないわけであります。
そういう民主主義の成熟度を考えて、余り人権とか民主的価値というものを前面に出し過ぎると、かえってビジョンの外にこぼれ落ちてしまうということもあり得るので、あえて少し懐深く自由で開かれたインド太平洋というものを捉えてきたというのが日本外交だったんじゃないかと私は思うんです。
そこのところはこれからもよほど気をつけていかないと、かえって、これは実質的には権威主義、専制主義との競い合いだということだとすると、そちらの方が心地いいので、いろいろな国をそちらの方にどんどん追いやってしまう、そういうふうにも考えられるわけですが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 かなりの部分で岡田委員と考え方を共有すると思っておりまして、民主主義といっても、絶対にこうでなければならない、そういう形というよりも、ある程度の幅というか許容力というものが私は必要だと思っております。
特に、この考え方、日本、米国だけではなくて、クアッド、さらには、AOIPを発表しましたASEAN、欧州、そしてアフリカ諸国、様々な国を巻き込んでいくという中において、ある程度の幅があるということは私は必要である、こんなふうに今考えております。
ただ、幅があるためにそういったことについて打ち出してこなかった、そこにつきましては若干岡田委員とは認識を異にする部分はあるかもしれませんが、いずれにしても、我々が大切にしている価値であったりとか、そういったものについてできるだけ共有する国を増やしていく、そのための幅というものは今後とも必要だ、こんなふうに考えております。
○岡田委員 安倍総理、第二期安倍政権になって、最初に訪れた国がベトナムでした。菅総理も最初にベトナムに行かれました。私は、若干違和感を感じながら見ていたんですけれども、もちろん、ベトナムは日本にとって非常に大事な国であることは間違いありませんが、別に選挙をやっているわけではありません、社会主義国ですね。そこに行って、自由で開かれたアジア太平洋というふうに言われるのは、少し違和感がございました。
いずれにしても、今回、日米間でそういった人権とか民主主義の尊重ということを大きく打ち出されましたので、もちろんそれは大事な概念ですから、その背景にある、基本にあるものとして据えることは大事だと思いますが、自由で開かれたアジア太平洋ということを現実に進めていく上に当たっては、もう少し、柔軟性というか、懐の深さということが必要であるというふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 先ほど申し上げたように、基本的に岡田委員と私の認識はそんなに変わっていないと思っております。
特に、インド太平洋の中でも、その中心になりますASEAN、菅総理が昨年、最初の訪問先としてベトナムを選んだ。この中の一つの理由としては、昨年、ベトナムはASEANの議長国でもありました。そういう、まさにASEANの取りまとめる立場にあったベトナムを最初に訪問した、こういう意味合いもあると思うんです。
ASEAN、アジアの国々、見てみますと、歴史も違います、文化も違います、体制的にもいろいろな違いがあるわけでありまして、そこの中で、ASEANとしても、どうやって一体性、中心性を保とうとするか、こういったことに取り組んでいるわけでありまして、日本としても、一九六〇年代以来のODAでも、そういったASEAN独自の取組というのも支援しながら、民主化プロセス、これも進めてきた、後押しをしてきた。こういったことも踏まえながら、今後、取組を進めていきたいと考えております。
○岡田委員 次に、中国であります。
日米共同宣言で中国の問題について具体的に取り上げて厳しく指摘をしたということですが、最後に、中国との率直な対話の重要性、直接懸念を伝達していく意図、それから、共通の利益を有する分野に関し、中国と協働する必要性を認識したというふうに結ばれました。どういう意図でこの表現を最後に盛り込まれたのか。
○茂木国務大臣 今回の日米首脳会談におきましては、地域情勢、これについても、様々、率直な意見交換が行われたわけでありますが、中国について、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動に対して、懸念というのを日米で共有したわけであります。
今後、やはり新しい国際秩序をつくっていく、こういった意味においても、さらには、例えば気候変動対策を進める、そして国際的な通商の円滑化を図っていくという意味でも、デカップリングするのではなくて、やはり、中国に大国としての責任を果たしてもらう、こういった働きかけが必要でありまして、そのための対話を行っていく。基本的に問題を認識した上で、対話によって様々な取組を進めていきたい、これが日米の共通の思いだ、こういう観点から共同声明の中に盛り込んでいるところであります。
○岡田委員 私も中国を長く見ておりますけれども、特に指導者が替わって、最近の振る舞いはちょっと目に余る、理解できない行動が続いているというふうに思うわけです。ただ、そうはいっても、隣国であり、経済的にもお互い相互依存している関係で、やはり、しっかりとお互い対話をしていくということが重要だというふうに思います。
ケリー大統領特使が同じようなタイミングで上海に行き、中国の韓正副首相と気候変動問題で両国の協力を確認いたしました。やはり、そういった一種の使い分けのようなことをやりながら、なるべく軌道修正を努力していくというのが日本やアメリカの取るべき態度ではないかというふうに思いますが、日中の話合い、私は、例えば戦略対話、そういった形で制度化するか、少なくとも外相間では相当しっかりと話し込んでいくということが重要だと思いますが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 バイデン政権、まだスタートして数か月でありますが、恐らく、トランプ政権と比べた場合に、トランプ政権は、やはりアメリカの利益、こういったものを第一にしながら、一対一で中国と対峙をするという考え方だったのに対して、バイデン政権、岡田委員も今ケリー特使の話をされましたけれども、気候変動であったりとかコロナ対策、こういったことでは中国との協力も模索する。まさに国際協調、こういったものも重視をしながら、一方で、民主主義、基本的人権の尊重、こういった普遍的価値で譲ることはない、こういう考えで、この点については日米の間で一致をしている、こんなふうに考えております。
トランプ政権と比べて、協調の側面も持っている。しかし一方で、さらに、単純なアメリカの利益というよりも、我々が国際社会全体として守っていかなきゃならない価値というものについてはより強い姿勢を示している、こういう部分もあると考えております。
中国は、日本にとりましては隣国であります。引っ越しのできない仲であります。経済的な関係、そういったものもあるわけであります。同時に、中国との間では日本は様々な懸案というのも抱えているところでありまして、今後の状況であったりとか、また、戦略的対話というものが内外からどういうふうに受け止められるのか、こういったことも慎重に見極める必要はあると思っております。
私も、王毅委員とは相当頻繁に、会談であったり、最近はどうしてもリモートになりますけれども、電話会談、先日も電話会談で一時間半、かなり長い時間になると思うんですが、行わせていただきまして、こういったハイレベルの対話を通じて一つ一つ懸案を解決し、また、中国に対しても、しっかり大国としての責任を果たすように働きかけを行っていきたいと思っております。
○岡田委員 そうはいっても、やはり日中間、緊張するところはかなりこれから更に厳しくなっていきますから、容易なことではないというふうに思いますが、やはりそこは外交の出番ということでもあると思います。
台湾問題について。
今回の首脳会談では、両岸関係の平和的解決を促すという文字が加わりました。これは2プラス2の共同発表にはなかったものであります。
昨日の本会議の総理の答弁を見ますと、従来の日本の立場を、日米共通の立場としてより明確にしたものであるという旨の答弁がありました。伝えられるところでも、これは日本側が最終的に盛り込んだ、主導的に盛り込んだものだというふうにも報じられていますが、どういう意図でこの最後の平和的解決を促すという文言が入ったのか、御説明いただきたいと思います。
○茂木国務大臣 共同声明の策定過程については、まさに外交上のやり取りでありますのでコメントは控えたいと思いますが、その上で、我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題、これが当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待する、こういう方針は一貫しておりまして、三月十六日の2プラス2におきまして、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した上で、それを踏まえて今御指摘のような表現を盛り込んだということによって、これが日米の共通の立場なんだということをより明確に示す、それがまた、中台含め国際社会に対しても明確なメッセージとして伝えるものになったと考えております。
○岡田委員 少なくとも、中国、台湾双方に対してメッセージを発したということだと思いますが。
そこで、その台湾ですけれども、一九七二年の日中共同声明第三項で、中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを表明し、日本政府は、この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持するということが確認されています。
この意味するところは国会などで当時の大平外相などが説明などされていますが、日本政府としては、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国の主張については、それを承認はしていない、ただ、十分理解し、尊重すると。そして、一つの中国、一つの台湾、あるいは台湾の独立は支持しない、こういった趣旨でこの第三項ができているというふうに説明しておりますが、その考え方は現時点においても変わっていないということでよろしいでしょうか。
○茂木国務大臣 十分理解し、尊重する、その上でポツダム宣言の第八項に基づく立場を堅持する、これは全く変わっておりません。
○岡田委員 さて、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸関係の平和的解決を促すとしたわけですが、日本として、この両岸関係の平和的解決を促す上で、具体的にどういったことが考えられるというふうに思っておられますか。
○茂木国務大臣 ここの部分は、まず、こういった形で日本そして日米の立場というものを明確にさせていただいた、平和と安定の重要性、また、この問題の平和的解決を促す、こういう重要性についてメッセージを発した形であります。
このことを我々は望んでいる、その上で、そうならない場合の想定というのは当然あり得ると思いますが、では、こういうケースについてどうする、これはまさに今後の外交努力にも関わってくる問題でありますし、安全保障にも関わってくる問題であるということは、岡田委員、よく御理解いただける点だと思います。
○岡田委員 ですから、平和的解決に至るような外交的努力、それは日本外交としても大きな課題であるというふうに思います。
最後に、核の問題についてお聞きしたいと思います。
先般、東京新聞が報じたわけですけれども、オバマ政権が二〇一六年、広島に行った後ですね、核兵器の先制不使用宣言を検討したが、抑止力の低下を懸念した日本政府が反対した、そのことで断念したということを、当時の核不拡散担当国務次官補だったカントリーマン氏がインタビューで述べたというふうになっております。
まず、こういう事実があったんでしょうか。
○茂木国務大臣 報道の一つ一つについてコメントすることは今までも控えてまいりましたが、日米両国間で日頃から、日米安保、防衛協力について、様々な事項について、緊密かつ幅広く意見交換を行っているところであります。
先日の岡田委員との議論の中でも、この核の先制使用、この宣言について、これはあくまで一般論という形でお話ししたと思うんですが、全ての核兵器国が検証が可能な形で同時に行わなければ実際には機能しないのではないかなと考えておりまして、現時点で、当事国の意図に関して何らの検証の方途のない核の先制不使用の考え方に依存して、我が国の安全保障に万全を期すことは困難だと考えております。
こういった考え方については、おおむね日米間でそごはない、こう考えております。
○岡田委員 私も外相のときにこの先制不使用の議論というのがあって、そのときに、当時の冷戦時代のソビエトが、先制不使用を唱えながら、現実にはそういったことを考えていなかったということが文書で明らかになって、やはりこの概念は余りよろしくない、そういう御提案をアメリカ側からもいただいたことはあります。でも、そういうことも十分分かった上で、オバマ政権はこの先制不使用ということを打ち出そうとした。それから、バイデン大統領は、大統領になる前ですけれども、先制不使用とは言っていませんが、ソールパーパス、唯一の目的ということで、ほぼ同じようなことを言っているわけですね。
日本の安全が守られないというふうに言いますが、先制不使用は駄目だということは、逆に言うと、先制使用の余地を残しておかないと日本の安全は守れないというふうに言っていることになりますね。核の先制使用を、その余地を残さないと日本の安全は守られないんでしょうか。先制不使用というのは、もちろん攻撃を受けたら撃ち返すことまで否定しているわけじゃありませんから、それで十分じゃないかと私は考えるんですが、大臣の、なぜ日本の安全が守られないのか、もう少し具体的にお話しいただけますか。
○茂木国務大臣 核の先制不使用であったりとか、唯一の目的、ある意味、その先にある崇高な、やはり核廃絶、こういったものも将来的な目標としながら、そこに至るプロセスとしてそういった発言というのは私はあるのだと思っておりますけれども、では、実際にその状況に持っていけるかということを考えたときに、少なくとも、今の我が国を取り巻く安全保障環境については、それだけの保証がないということであります。
ただ、先制不使用イコール、先制不使用の条件が整っていないと先ほど申し上げましたけれども、これがなかなか現状においては実際に機能するような方策がないという段階で、我が国の安全保障に万全を期すことは困難ということ自体、先制使用を許容しているということではありません。
○岡田委員 いろいろ言われますが、よく分からないんですね。
例えば、先制不使用ということをアメリカが宣言すれば、米朝の話合いだってそこで一歩進む可能性がありますよね。北朝鮮にとっては、アメリカが先に使わないということを明確に言うだけでも。
ですから、もちろん、こういう宣言政策というのは相手がどう捉えるかという問題はありますけれども、最大の核保有国であるアメリカがそれを言うということは、核の役割を減らしていく、核軍縮の大きな一歩になる、その可能性があるだけに、私は、日本だけの立場で狭く考えてそれを否定してしまう、しかも、その日本の否定が元になってアメリカの政策が打ち出せなかったというのが、これは極めて残念なことだというふうに思うんですね。
広島からオバマ大統領が帰って、そして、その上で、こういったことで一歩進めようとしたときに、それを実質的にブロックしたのは日本であったということは、私は、極めて残念なことだし問題だと、安倍政権の時代ですけれども、そういうふうに思いますが、何か感想はありますか。
○茂木国務大臣 先ほども申し上げたように、私は報道を肯定しているわけではありません。そういった意味で、日米間におきましては、この核抑止力も含め様々な議論をしているということでありますし、核のない世界をつくっていく、これは、唯一の戦争被爆国として日本が大きな責任を持っていると考えておりまして、そういった中で、日本としてきちんとした対応をしてまいりたいと考えております。
○岡田委員 最後に確認しますが、この日米首脳会談でも、日米両国は拡大抑止を強化することにコミットしたというふうに書かれているわけですけれども、首脳会談の中でアメリカ側から、核の先制使用の議論は何か議論があったんでしょうか。それに対して、日本としてはどう答えたんでしょうか。議論がなかったのなら、なかったというふうに断言していただきたいと思います。
○茂木国務大臣 ありませんでした。
○岡田委員 終わります。