消えた年金――今日まで放置した政府・総理の責任は重い
昨日、党首討論が行われ、消えた年金記録5000万件の問題が、主たる論点になりました。
安倍総理は党首討論の中で、1年間でこの5000万件について調査をし、対応するということを言われたわけですが、基本的に私はこのことについて2つの大きな疑問を持っています。
第1は、それが本当になされるんだろうかということです。
選挙も近いですし、支持率がこの問題で大きく落ちた。その危機感をもとに、1年間で全体について対応するという安倍総理の答弁がなされたと思います。
しかし、つい最近までは、1年ではできない、2年かかると言ってきたわけです。どうして突然できることになったのか、その説明はありません。
そして、その中身についても、従来は領収書を自分で持ってくるなど、様々な前提条件がなければ、認められてきませんでした。
突然その方針が変わると言われても、本当にどこまで変わったのかということは、実は確信が持てない。これが本当のところではないでしょうか。
私はこの安倍総理の発言を聞いてきて、少し前に安倍総理と税の議論をしたときのことを思い出しました。
つまり、前回の総選挙において、サラリーマン増税しないと公約をしながら、その直後に定率減税をやめる、つまり所得税の増税をするということを決めた。これは公約違反ではないかという質問を私は予算委員会で安倍総理にしました。同じ質問を小泉総理の時代にもしたわけです。
安倍総理の答えは、いや、サラリーマン増税はしないと言ったけれども、所得税の増税はサラリーマン以外も含めて全体に対して増税するものだから、サラリーマン増税しないという公約には反しない、そういった答弁でした。
誰が考えても、そのおかしさは分かります。給与所得者、つまりサラリーマンは所得税納税者の9割です。
しかも、その9割の人たちだけに増税するわけではない、その9割の人たちを含む全員に増税するのだから、これは公約に反しないというのは、明らかに詭弁です。
選挙が終われば、こういったことを平気で開き直ることから見ると、今回のことも参院選が終われば、また180度前言を翻す可能性があるのではないかと思われてならないわけです。
そして、もう1つのより大きな疑問は、今日までこの問題を放置しておいた責任はどうなるのかということです。
安倍総理は、「こういう問題は政争の具にすべきではない」と言われましたが、我が党の長妻議員が数年前から、そして、党としても、今年の代表質問において松本政調会長がこの消えた年金の問題を取り上げ、代表質問の中で、再質問、再々質問も含めて聞いているにもかかわらず、木で鼻を括ったような、「相談窓口を強化している」というような答弁で終わってしまった安倍総理。
そして、その後厚生労働委員会でもたびたびこの問題が議論されながら、基本的な対応は変わらなかった。つまり、5000万件ということが分かったあともきちんと対応しようとしなかった政府。
そういう中で、支持率がガクンと落ちた、そこから政府は動き出したわけです。
こういうことを見ていますと、今日まで数年間、堅く見ても今年の1月の代表質問から見て4カ月間、放置しておいた責任は政府そして安倍総理にあるわけです。
そういったことについて一言の釈明もなしに、年金の問題を政争の具にすべきでないと言って、逃げようとしているわけです。
私はまず、今日まで放置したことの責任、そして、その背景にある国民の年金、保険料を払っている国民に対して、あまりにもそれを軽んじている政府、そういったことについて、しっかりと問題視されるべきだと思っています。
いずれにしても、この年金の問題は、これからも衆参国会において、しっかりと議論していけなければならないと思っています。
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