地球温暖化問題――まさに政治が試されている
今日は地球温暖化の問題について、少しお話をしたいと思います。
つい最近、妻とともに『北極のナヌー』という映画を観てきました。この映画は、北極において生まれた白クマの赤ちゃんナヌーが成長を遂げていくという物語ですが、テーマとして扱っているのは、温暖化が北極の、ホッキョクグマに限らず、様々な生物に影響を及ぼしているということを訴えたい、それをテーマにした映画です。
なかなかいい映画だったと思いますが、北極に限らず、いま温暖化の問題が日本も含めて、世界各国で具体的な影響を及ぼし始めているというのは、多くの方が実感されていることだと思います。
そして、将来の責任を果たしていかなければならない、次の世代に対して、しっかりと我々いまの世代が責任を果たしていかなければならないテーマでもあると思います。
さて、この温暖化の問題ですが、まず、アメリカのゴア前副大統領のノーベル平和賞受賞が決まりました。大変嬉しいことだと思います。
ゴア前副大統領の先見性に心から敬意を表するとともに、我々はそのゴア前副大統領が切り開いた道を引き継いでいかなければならないと改めて感じています。
そして、もし大統領選挙で、あのフロリダの最後の集計のやり方如何によっては「ゴア大統領」が誕生した可能性もあったわけで、ゴア大統領であれば、アメリカが京都議定書の取り組みから抜けるということはもちろんなかったわけですし、イラク戦争の開始も含めて世界はだいぶ違う世界になっていたなと、指導者一人でこれだけ世界というのは変わるのだと、改めて感じているところです。
さて、温暖化の問題ですが、一部のマスコミが報じるところによると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次の報告書の最終案が明らかになったということです。
その中身は、報じるところによると、2050年までに世界全体の温暖化ガスの排出量を半分にすれば、気温の上昇は2℃程度で抑えられるという中身だそうです。
科学者や専門家の方々が議論したことですから、私がその中身について、それが正しいとか間違っているとか、そういうコメントをする立場にはありませんが、1つの勇気を与える報告書であることには間違いないと思います。
2050年までに世界全体で温暖化ガスの排出量を半減する、そのためには、私も予算委員会で福田総理に申し上げましたが、とにかく、まず日本自身が2050年には7割から8割削減する、逆に言いますと、その前提で2020年にどれだけ減らすのか、そして、京都議定書の達成目標をまずしっかりと確実に実現することが日本に求められていると思います。
予算委員会での鴨下環境大臣の答弁は甚だ心許ないものでしたが、福田総理は中期長期の目標を作ることについて、前向きの姿勢を示されました。
最近の温暖化に関する関係閣僚会議でも、「日本の京都議定書における約束6%削減を確実に達成できる計画を作り、我が国の足元を固めなければ、洞爺湖サミットで説得力ある主張ができないことを肝に銘じてほしい」と総理は発言されたと報じられています。
まさしく私も予算委員会で述べたのと同じ問題意識を総理も持っておられるということですから、その点は私は評価をし、期待をしたいと思っています。
いずれにしても、この温暖化の問題は、予算委員会でも申し上げましたように、次の世代に責任を果たすために、与党とか野党とかということではなくて、力を合わせて京都議定書の6%削減の確実な達成、そして、中長期目標の設定、そのことにしっかりと取り組んでいきたいと思います。
経済界も経団連は国内排出権取引や環境税に対して極めて後ろ向きですが、同友会は積極的です。大事なことは世論を大きい声に喚起して、国民合意の上で、この日本の世代間責任、あるいは国際的な責任というものを果たしていく、それは政治というものがまさしく試されている、そういう問題だと思っています。
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