ガソリン国会――本質論は特定財源廃止、税金の使い道
先般来、国会はだいぶ混乱していましたが、昨日の与野党の合意で、一定の決着を見ました。
私も予算の筆頭理事として、補正予算の審議に月曜、火曜と出席していました。筆頭理事ですから、予算委員会をどういうふうに持って行くかというなかで、与党が検討していた「ブリッジ(つなぎ)法案」についても、だいぶ理事会で議論をしました。このブリッジ法案なるものは、到底認めがたい、とんでもない代物です。
予算委員会は、政府の予算を審議する場と位置づけられた重要な委員会です。「予算」というのは当然、歳入と歳出を含みます。したがって、予算委員会でまず予算を審議し、その採決を委員会で行ったうえで、裏付けとなる歳入法案(税法)、あるいは歳出についての予算関連法案をそれぞれの委員会で採決をします。
従来から、歳入については予算委員会で議決をし、そして、その上で各委員会で歳入法案を決める。本会議でも、予算をまず決定したうえで、歳入法案についても引き続き本会議で決める。こういう順序が守られてきました。
これが守られなかった例が戦後4つありますが、いずれも暫定予算が組まれているなかで、歳入法案の暫定法案が出てきたということであって、「予算」というものが最初にあったことは変わらないわけです。
今回のブリッジ法案というのは、まだ本予算の審議が予算委員会でなされてもいない段階でいきなり出てきて、その予算の中身をなす歳入の一部を、2カ月間という期間限定とはいえ、先取りして決めてしまうという、極めて乱暴な無茶苦茶な法案です。
こういう法案が与党から出てきたこと自体が驚きですが、もし、そういったものが可決されたとすれば、我々民主党としても、重大な決意を持って国会運営に臨まなくてはなりませんし、何よりもやはり、国会における従来のルールを公然と破り捨てることになりますから、国会の権威そのものが揺らぐということになります。私は大変心配をしていました。
今回、与野党のぎりぎりの決着でブリッジ法案が取り下げられたことは、本当に国会にとっても良かったと思います。
これから仕切り直しです。一応、年度内に歳入・歳出について結論を出すということになりました。これから本格的な議論が始まると思っています。
我々が主張してきたことは、ガソリン25円値下げも重要ですが、それは結果論であって、本質的な議論としては、ガソリンについて道路特定財源あるいは特別会計というなかで先に道路予算が決まってしまう、そのこと自体が問題である。特定財源について議論することが物事の本質であって、特定財源は必要ない、一般財源化するということになれば、暫定税率までユーザーに課すのは説明が非常にしにくくなる、したがって、暫定税率を廃止する、その結果としてガソリンが25円下がる、こういうことです。
本質論は、特定財源制度です。本来、道路が本当にたくさん必要とされたときに設けられた、この特定財源制度が延々と残っている。国の予算が足りないなかで、増税も必要ではないかという議論すらなされるなかで、道路だけが特別ですよ、10年間で50数兆の道路予算が先に決まってしまうというやり方が果たしていいのかどうか。このことが問われなければならないと思います。
道路に使うのか、介護や医療に使うのか、年金に使うのか、農業に使うのか、そういったことは国会や議会で決めていけばいいことであって、まず道路ありきという発想は間違っているというのが私たちの信念です。
小泉さんも安倍さんも、道路財源は一般化するということを一度は言われました。しかし、にもかかわらず、基本的に特定財源制度というのは生き残ったわけです。これこそが、最大の改革です。改革の本丸です。しっかりと腰を据えて、今後の予算委員会で議論していきたいと思っています。
是非、国民の皆さんにも関心を持っていただきたい。皆さんに払っていただく税金の使い道の話であるということですから、大いなる関心を持って、これからの議論を見守っていただきたいと思います。
コメントを返す