金融危機―米国一極から多元時代へ、世界が劇的に変わる
世界の金融危機で、株の値段も激しく乱降下しています。
この金融の問題をどう考えていくのか。いまから10年前、民主党が出来た頃ですが、「金融国会」というものがありました。私もその当事者の1人だったわけですが、あのときは日本の金融機関の不良債権の問題。今回は日本の問題というより、アメリカはじめ世界の金融体制が揺らいでいるという問題で、日本だけで対応できる問題ではない、より深刻な問題であると言えると思います。
短期的には、先進国が中心になって、あるいは中国やインドといった国も含めて、金融安定のための協調した行動を取っていくということが非常に重要であると思います。株式相場というものは、どのぐらいそういった主要な国々が協調してこの問題に対応しようとしているか、そのことを試しているということも言えると思います。
しかし、中長期的に考えると、より事態は深刻であると思います。いままで双子の赤字、財政赤字と貿易赤字に苦しむアメリカが、結局アメリカの国内に世界の資金を還流させて、そして成長してきた。そのモデルがいまや通用しなくなってきたということで、世界全体のカネの流れも変わる。そして、一人勝ちであったアメリカが、いよいよ貿易赤字、財政赤字という問題に直面せざるを得なくなる。それに対する対応が、いままでのやり方ではできなくなってきたと、非常に重要な問題だと思います。
大きく言えば、アメリカの一強一極の時代から多元的な時代にまさしく変わりつつある、そういう時期を迎えているんだというふう思います。
政治、経済あるいは安全保障、いろんな面でこれから劇的に世界の状況が変わっていくと思います。これは、政治家として真剣にこの問題を考えていかなくてはならないと思います。
同時に日本にとっても、いかにしてこれから経済成長を遂げていくかという問題があります。アメリカ依存、あるいは外需依存ではない、内需依存ということになるわけですが、この問題は実は随分、私が通産省(現・経済産業省)にいた時代から、そういうことは言われていたわけで、どうやったら内需が増えるのか、外需に依存せずに経済成長できるのか、この問題に改めて直面しなければならないと思います。
1つは温暖化。地球温暖化の問題をきっかけに国内の設備投資を積極的に行っていく。つまり温暖化への対応、新しい価格体系への対応ということで設備投資を積極的に行っていく。そのためのインセンティブを政策的にどうするか。
それから、もう1つはやはり個人の消費あるいは住宅投資。こういったものをどうして増やしていくかということです。
日本の住宅は、かなり状況は改善されてきたとはいえ、地震その他の面から見ると、まだまだ危険な状態。そういう住宅が、例えば東京都内ですらたくさんあるわけで、こういったものを、より居住環境の良い、かつ安全なものに変えていくための政策。
そして個人消費。個人消費はやはり所得が増えない限り、なかなか個人消費が増えるということは考えにくいと思います。もちろん、中長期的には、社会保障制度、年金や医療、介護といったものをきちんとすることで安心して消費できるということはありますが、やはり賃金が増えない限りは、あるいは雇用が安定しない限りは、消費は増えません。
そういう意味で、私たちも中小企業に配慮しながらではありますが、最低賃金の引き上げや、あるいは、企業所得をなるべくそこで働いている人たちの給料に反映させるようにということを言ってきていますが、制度的にそういったものをどうやって担保していくのかということが、これから議論されなければならない点だと思います。
目の前の当面の危機にきちんと対応しつつ、中長期的には、いま私が申し上げたようなことについて、きちんと政治がまさしくリーダーシップをとって政策作りをしていかなければいけないと思います。
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