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2008.10.21|TALK-ABOUT [ブログ]

テロ特措法――国連決議なしの米軍の後方支援に問題あり

honkaigi081021


今日、衆議院の本会議で、テロ特措法が可決されました。これから参議院に行って、参議院では否決されますが、このまま参りますと、両院協議会で協議を開いたうえで、衆議院で再可決ということになると思います。

この件に関して、一部の皆さんからは、昨年のように徹底的に引き延ばしをして、参議院における審議をゆっくりやることで、事実上、このインド洋への自衛隊の派遣を阻止すべきであるというご意見をいただいています。


私は、昨年十分に参議院においても議論をして、ある意味では決着のついた話ですから、我々はもちろんインド洋に自衛隊を送ることについて、つまりこの法案について反対ですが、だからといって、単なる引き延ばしというのはいかがなものかと思います。

したがって、参議院において審議をしたうえで3分の2で再可決というのは、いまの自民党政権を前提する限り、やむを得ないことだと考えています。

このインド洋への自衛隊の派遣について、様々な議論がありますが、これ自身が憲法違反だという意見もあるわけですが、私は、自衛隊は武力行使そのものに関わっているわけではないので、そういう意味では、憲法違反とまでは言えないだろうと思っています。

ただ、この活動はアメリカの活動で、国連決議に基づくものではありません。もともとは9.11、ニューヨークでテロが発生したときに、その犯人であるとされたアル・カイダ、そのアル・カイダをかくまっていた当時のアフガニスタンのタリバン政権、これに対する攻撃、自衛権の発動ということで、いわば正当化されたものです。

その時点では私は、日本も後方支援ということであれば、同盟国としてそれなりの意義があるのではないかと考えていました。したがって、あのテロ特措法の最初の法案には、国会の事前承認があれば、賛成をするということを民主党としても決めて、総理官邸での協議に臨んだわけです。

しかし、国会の事前承認は認められないということだったので、反対に回ったという経緯があります。私は当時の政調会長として、この法案の協議の責任者をさせていただきました。

しかし、その後、このタリバン政権は崩壊しました。そして、新しい現在の政権が、いわば民主的な手続きを経て選ばれたということです。

したがって、いまアメリカが戦っているのは、アフガニスタンという国家ではありません。当初は、タリバン政権というアフガニスタンを支配する政権だったわけです。しかし、いまはアフガニスタンの一部を占拠している実力集団と闘っているということです。

インド洋における活動が、国連できちんとオーソライズされていればともかく、それがない中で、日本がアメリカの行っている戦いを支援するということは、自衛権の発動などきちんとした国際法上認められる状況であればともかくとして、国際法上は自衛権の発動というのは限定的であって、その後国連の決議に基づく活動に移行していかなければならないというのが大前提になっていますから、その国連の決議がないままでの日本の活動というのは控えるべきだというのが私の意見であり、民主党も基本的にそういう立場に立っています。

もちろん、陸で活動している国連決議に基づく活動(ISAF)は、私は、機会があれば日本も参加すべきであると考えています。ただ、武力行使そのものはできない。そして、いま武力行使をせずにできる活動というのは、現実にはなかなか考えにくい状況ですので、将来的にそういうことが可能になったときには、日本も積極的に参加すべきだと考えているところです。

いずれにしても、タリバンの勢力は段々盛り返してきています。アメリカがアフガニスタンで存在感を余りにも大きく発揮していることが、アフガニスタン国民の気持ちにどういう影響を与えているのか、それがプラスなのかマイナスなのか、そういったことの見極めも重要だと思います。

あるいは、アフガニスタン政府の中にタリバンとの話し合いを目指す動きも出てきているとも聞いています。そういった全体の状況を見極めながら、日本としてアフガニスタンの平和のために何ができるかということを考えていかなければならないと思っています。

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