世襲――民主党は一歩先を行く、自民党も真剣に議論を
今日は、議員のいわゆる世襲の問題についてお話ししたいと思います。この問題は、私が本部長を務める政治改革推進本部ですでに方向性を出し、そして、その後各議員のアンケート調査も実施しました。
そういうものを踏まえて、近々、もう一度所属議員の皆さんの意見を聞き、集約したい。結果を出して、次の選挙でマニフェストにきちんと示して、政権を取れば実現していきたいと考えています。
まず、世襲の問題ですが、定義から始めなければなりません。いわゆる世襲ということを、非常に幅広く捉えられる方もいらっしゃいます。私がここで世襲というのは、同じ選挙区で、一定範囲内の親族が、引き続き選挙に出る――これを世襲と考えています。
ある選挙区で、例えば、お父さんが引退したり亡くなったりしたあと、その子どもが引き続き立候補するというものです。小泉元総理が今度引退される、その後次男が出るというのは、典型的な世襲にあたるわけです。
これがなぜいけないかと言いますと、それは政治の活力をそぐからです。政治というのは、公です。決して私事ではありません。そうであれば、幅広く候補者を募って、そして、そこから最適な人を出していく。このことが、特に求められるわけです。
従来のような中選挙区の時代であれば、無所属で出るという手もありましたし、同じ党でも複数人が立候補を認められていましたので、そういう形であれば、世襲の弊害というのは、まだ少なかったと言えると思います。それでも、世襲議員は非常に多いわけです。
小選挙区になりますと、1つの政党から候補者は1人です。したがって有権者は、基本的には自民党と民主党から出てきた1人ずつの候補者のどちらかを選択するということになるわけです。非常に選択肢は限られているわけです。
だからこそ政党にとって、その候補者をどういうやり方で選んでいくかということが、大事になるわけです。私たちは、基本的に公募制を取り入れるべきだと考えているわけです。
世襲の候補者も公募に応募すればいいじゃないかという議論もありますが、実際には、例えば、前任者がそのお父さんであれば、周りの支持者もそのお父さんを支持していた人たちが大部分ですから、公募をするといっても、なかなか現実には、一般の方々が候補者になるのは難しいと思います。
だからこそ、政党がそこでしっかりと世襲を制限・禁止をして、そして幅広く人材を求める努力をしなければならないわけです。もちろん、憲法で職業選択の自由が認められている以上、法律でこれを禁止するというのは、私の実感では、おそらく法制局は通らないだろう、憲法違反になるだろうと思います。
しかし、憲法で禁じられているからといって、各政党が自らの判断で自主的にそのこと(世襲の制限・禁止)を行なうとことは、これはもちろん許されているわけです。そして私は、そのことをすべきだと申し上げているわけです。
私の著書『政権交代~この国を変える』の中でも書きましたが、自民党はもっと危機感を持つべきだと思います。
いま、自民党の人材がだんだん枯渇してきて、そして、50歳以下は民主党のほうがはるかに人材が揃っていると言われるようになってきたことも、やはり世襲制が影響していると思います。
もちろん、世襲議員であっても立派な人はたくさんいる、それは事実です。私の尊敬する世襲議員の方も、たくさんいらっしゃいます。
しかし、全体として、そういうふうにして入口を狭くしてしまうことが、組織全体の活力の低下につながってきているということは見逃せないと思います。
もし、自民党の皆さんが、将来にわたって自民党が日本の政治を担っていく政党として生き残っていきたい、国民の皆さんから支持されていきたいとお考えであれば、ここは思い切って、同じ選挙区から引き続いて出ることは制限すべきではないでしょうか。
もちろん、父親や母親が政治家・国会議員をしていても、本当に優秀なその子どもであれば、同じ選挙区から別に出なくても、他の選挙区から出ることは十分に可能なわけですから、是非そういうチャレンジをしてもらいたいと思います。
選挙というのは、特に最初の選挙は大変です。その試練を乗り越えたときに、政治家として成長することができると私は思います。是非、自民党の中でも大いに議論してもらいたいと思います。
すでに一部の閣僚からは、世襲を禁止するなら、現職を含めて禁止すべきだというような議論も出ていますが、これこそまさしく、子ども騙しの議論であって、そんなことはできるはずもないわけですから、例えば、麻生さんや鳩山さんを世襲だからといって資格を失わせる、そんなことを考えている人はいないわけですから、結局それは既得権益として、その子どもたちにも世襲を認めるべきだという議論に等しいと思います。
民主党は一歩先を行きます。自民党にも、是非真剣に議論してもらいたいと思います。
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