クリントン米国務長官との会談――報じられない様々な中身
さて、今日は先月行われた、米国のヒラリー・クリントン国務長官との会談のお話を少しさせていただきたいと思います。
いろいろ新聞にも報道されていますが、普天間基地の移設問題が中心になったというような報道が多かったと思います。私は、このクリントン長官との会談の後、カメラの前で15ぐらい話をしました。
まず申し上げたことは、会談は全体で60分、予定は45分でしたが、少し長引いて60分の会談を行いました。
そのうち、この普天間移設の問題は、私が最初に取り上げたのですが、10分程度。その他の50分は、違うテーマを話していました。そういう説明しました。
ただ、新聞などは、もっぱら普天間の議論をしていたかのような、そういう報道をしたところも多かったわけです。普天間の問題は、これは政策になりますので、むしろ外務省の私の記者会見などを見ていただきたいと思いますが、改めて大臣レベルのワーキングチームを作り、そこで、なるべく可及的速やかに議論することが合意されました。
これは、ヒラリー・クリントンさんとの間で合意されたのではなくて、その前に、東京でルース駐日米大使と私の間で合意をしたわけです。
その他、クリントン長官との意見交換は非常に有意義なものでした。雰囲気も良かったのですが、私から、まず普天間を中心とする米軍再編のお話をしました。
10分くらい経ったところで、今度はクリントンさんがアフガニスタンの話を持ち出しました。日本の支援には感謝しているということと、お互い出したお金が無駄にならないように、しっかり第2期カルザイ政権にも注文を付けなければいけないし、日米間で具体的な使い方についてもよく協議していこう。
そして、アフガニスタンの問題は、日本にとっても米国にとっても自分自身の問題としても大事だし、世界にとっても大事だということを話し合ったわけです。
その後、様々な話題が出ましたが、例えばクリントン長官から出たのはイランの問題。イランの問題についても、日本にも協力してもらいたいと。
もちろん、日本は従来も協力しているのですが、このイランの問題、あるいは、パレスチナ難民の問題で財政的に非常に厳しい状態にあると、クリントン長官はパレスチナに行ったばかりですから、そういう話もされました。これについても、日本としても出来るだけ協力していきたいということになりました。
私から持ち出した話題は、1つはAPEC(アジア太平洋州経済協力会議)。APECはもう20年を迎えるわけで、アジア太平洋の主要な国が集まって議論をする場ですが、20年を迎えたところで、これからのAPECの20年についてどういう目標を持って、そして、いまのような体制でやっていくのがいいのか、もう少しきちんとした、成果が上がりやすいような改革をこのAPECに加えていくのか。
そういうことを――今年はシンガポールが議長国ですが――来年は日本、再来年は米国ですから、日本と米国でよく議論しようと。太平洋またいだ国際会議というのは、いまはこのAPECが最も機能していますので、米国と日本、そして、アジア、中南米といった国々が入っているこのAPECの強化策について話し合いをしました。
そして、最近、米国政府もブッシュ政権のときとは違って、ASEAN(東南アジア諸国連合)やメコン(川
流域)といった、日本が従来しっかりとやってきた地域に、より関心を持ってくれるようになってきました。そのことに私は感謝を申し上げながら、これも日米間で協力できることはたくさんある。
例えば、ミャンマーの問題について、ミャンマーがしっかり民主化するということは、ASEANの発展にと
っては非常に重要なことだと思いますが、米国も最近政策を変えてきた、つまり、制裁一辺倒ではなくて、アメとムチを使い分けていくという日本のやり方に近づいてきたので、これをお互い協力してやっていこうということになりました。
つまり、60分間、そういった米国と日本の二国間の問題、そしてアジア太平洋をめぐる日米協力、何が一緒に出来るか、そして核の問題とか、あるいはパレスチナ和平とか温暖化、アフガニスタンといったグローバルな問題について、非常に意味のある良い会談が出来たと思います。
これからも出来るだけ機会を作って、米国のクリントン国務長官とは、よく話し合いをしていきたい、改めてそう感じたところです。
なかなか十分報じられてないことが多いので、今日はあえてお話を申し上げました。
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