ハイチ大地震―治安の悪化する中での日本の対応と支援
ハイチの地震が1月13日に発生して少し時間が経ちました。大変な状況で、多くの方が亡くなり、家をなくされたり、傷ついたりということに、心からお見舞い申し上げたいと思います。
このハイチへの支援をめぐって、日本の支援がやや遅かったのではないかというご批判が一部にあります。そのご批判は甘んじて受けたいと思いますが、こういう事情もあったということもご理解いただきたいと思います。
つまりハイチは、首都において国連のPKO(平和維持)部隊が、現にいま展開をして、治安の維持を図ってきたわけです。残念ながら、そのPKO責任者である特別代表を含めて、たくさんの方が地震の犠牲となり、亡くなられたわけですが、ハイチはそういったPKO部隊が武器を携えて首都にいないと治安を保てない状況にあります。
しかも地震が起きて、さらにその状況は悪化しています。例えば、刑務所から囚人が逃げたり、警察官がたくさん亡くなったり、そして、水も食料もないという状況の中で、一部住民が暴徒化しているという状況があります。
そういう中で、日本がこういう緊急時に人を出すということになると、残念ながら日本では武器の携行は認められていません。閣議で、武器を持っていかないことも確認しています。
災害救助だからという理由ですが、そういうことになると、やはり現地の状況を把握したうえで人を出すということになります。
したがって、普段はハイチではなく隣のドミニカにおり、両国への駐在大使を兼任している日本の大使と関係者が調査チームを作り、まずは陸路でハイチに入りました。
そこで状況を把握したうえで、もうすでに活動は始っていますが、今回医療チームを派遣しました。それが、他の国、例えば米国などと比べて少し遅かったということです。
非常に難しい問題だと思いますが、現地の安全を確認したうえで派遣しないと、非常に危険な状況を招いてからでは遅いという問題もあります。そして、軍に守られて入る米国とは状況も違うと言えると思います。
そういう状況を考えたときに、支援が遅くなったことは、私はやむを得なかったと思います。
小規模ではありますが、現地の大使館の職員も、ほとんどが家が災害に遭って危険で使えない状況にあり、自分の自動車の中で寝泊りをしながら邦人の安全確保に走り回ってくれました。
いまは幸いにしてホテルを確保できて、大使館もつぶれていますので、そのホテルを大使館兼宿舎代わりに使っているという状況です。厳しい状況の中で、外務省の職員、大使館の皆さんは非常に頑張ってくれたと思っています。
いずれにしても、これからこのハイチの支援の問題は、一義的にはとりあえずの日本の支援も決めたわけですが、より根本的な解決策を考えていかなければいけない、そして協力していかなければいけないと思っています。
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