「密約」報告書―当時の判断に思いを馳せつつ読んでほしい
私が外務大臣に就任して以来、ずっと調査をしてきたいわゆる「密約」の問題についての報告を、今日、ようやく行うことができました。
この問題は、まず4つの密約について、約15人の専門家からなるチームを外務省に作り、約2カ月をかけて、徹底的に外務省の中の資料を調査することから始まりました。
全体で、約4,400冊のファイルを調査し、そして、その中で35点の関連する文書を特定し、徹底的に調査を行ったものです。
11月末には外務省としての調査を終え、その上で、学識経験者、大学の先生方、東京大学の北岡伸一教授をはじめとする専門家の皆さんに有識者委員会を作っていただきました。
そこでまた、徹底的に資料を読み込んでいただき、あるいは、関係者の皆さんからのヒアリングなども行い、アメリカや沖縄の公文書館にも調査に行ったりしていただきながら、役所の報告書に加えて、有識者の報告書もまとまったところです。
中身については、外務省のホームページで見ることができますので、是非ご覧いただきたいと思います。
それだけではなくて、関連する約330点の文書についても、外務省のホームページで全部見ることができます。いままでの外務省始まって以来と言われる本格的な調査、そして、情報公開をさせていただきました。
中身については、これから国会で議論になったり、あるいは新聞で報道されるということも当然あると思います。
いろいろ申し上げなければいけないこともたくさんありますが、まずはきちんと出すという思いで、過去の資料を徹底的に調査し、重要なものについては全部出したということについて、国民の皆さんにご理解をいただきたいと思います。
そして、それを徹底的に調査した結果としての報告書は、非常に読みごたえのあるものになっていると思います。是非、外務省ホームページを通じて入手し、読んでいただきたいと思います。
戦後、特に日米安保条約改定時、沖縄返還時という日本の歴史の大きな節目のときにあたって、当時の総理大臣や外務大臣、あるいは関係者がどういう判断をしたのか。なぜ、密約やそれに類することを必要としたのかということについて思いを馳せていただければ、外交に対する理解も深まっていくのではないかと思います。
もちろん、この「密約」の公表をきっかけに、さらにやらなければならない問題が出てきました。もっと資料がきちんと保存されるようにする。そして、その資料が外務省の30年ルールに則って、30年経てばきちんと公開されるようにする。そのための体制をこれから作っていかなければなりません。
そういったことも含めて、しっかりとやっていきたい。そしてこれが、いまの外務省の「なるべく情報は出さない」という姿勢を、大きく転換させるきっかけになるのではないかと期待をしているところです。
最後に、外務省の職員の皆さんも、とにかく「いま出せるものはきちんと出す」という思いで、この半年間本当に一生懸命に、徹底的に資料を調べ、そして公開のために準備をしてくれました。
外務省の皆さんも本当に一生懸命頑張ったということ、そこは、国民の皆さんに申し上げておきたいと思います。
◎ いわゆる「密約」問題に関する調査結果(外務省HP)
→ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mitsuyaku/kekka.html
◎ いわゆる「密約」問題の調査について(外務省HP)
→ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mitsuyaku.html
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