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2010.06.01|TALK-ABOUT [ブログ]

モッタキ外相―国の考え方は違えど、個人的な信頼関係は大事に

イランのモッタキ外務大臣が急遽日本に来られて、夕食をとりながら、約2時間にわたって議論をしました。

特に機微に触れるところは少人数で議論しましたが、モッタキ外相が来られた理由は「制裁」に関してです。つまり、イランが核兵器を持とうとしているのではないかという疑惑について、ずっとこの問題は話し合ってきましたが、私も、民主党代表を辞めたあとにイランに渡ったときにも、モッタキさんと議論になりましたが、いよいよ「制裁」が大詰めになってきたということで、関係国を回っているわけです。


特にモッタキ外相が主張されたことは、最近、トルコ、ブラジル、イランの3カ国で「テヘラン合意」が出来たが、それは、ここ数年議論してきたイランが持っている低濃縮ウランを海外に出し、加工して――これは、アイソトープ用に使うものですが――20%まで濃度を上げ、特別な加工をしてからイランに戻して使うという合意が3カ国間で出来たので、制裁の必要性はなくなったというのがイランの主張です。そして、「この間、アメリカもこのことについて賛成してきたのではないか」ということです。

私は、「信頼醸成措置として重要なことであるから、是非、このテヘラン合意はやってほしい。ただ、だからと言って、制裁の問題がそれでなくなるということではない。なぜなら、ウランの20%濃縮をいまでも続けている。それをやめない限り、制裁は避けられない。したがって、イランおよびイラン国民の将来を考えたときに、ここは大きな決断をして、20%濃縮を直ちにやめるべきだ。そうでなければ、制裁になって、大変な苦しみを国民に与えることになる」と申し上げました。

かなり突っ込んだ激しいやり取りになりましたが、お互いの溝は埋められないまま、会談は終わりました。

モッタキ外務大臣もハイレベルの指示に基づいて日本に来られたわけですから、簡単にお互いが合意に達することは出来ないことは、最初からわかっていました。ただ、私としては、重要なイランの外務大臣、しかも、前から知っているモッタキさんが是非会いたいということでしたから、時間を割いてお会いをして、「是非大きな決断をしてもらいたい」と申し上げたところです。

全体の議論が終わったあと、車までの1分くらいの間ですが、モッタキさんが「子どもは何人いるか」と聞いてきました。私も、モッタキさんのご子息が、いま、日本で学んでおられることを知っていましたので、少しその話をしました。

モッタキさんは外相をやる前に、5年間日本でイラン大使をしておられたので、ご家族も日本には親しみをお持ちです。

外務大臣同士がそれぞれ国を背負って厳しい議論をしたあと、そういったプライベートな話をお互いして、「国の考え方はそれぞれ大きく違うけれど、個人的な信頼関係は大事にしていこう」というサインであると、私は受け取りました。

同い年でもあるモッタキ外務大臣が、イランにとって大変厳しい状況の中で、しっかりと役割を果たしていかれることを期待したいと思います。



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