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2012.04.03|TALK-ABOUT [ブログ]

新規採用抑制を決定―人件費削減に対する政権の覚悟を示す


今日の閣議で、新規採用の抑制について正式に決まりました。

この問題は、賛否両論いろいろご意見をいただいていましたが、私としては、政権交代後の2年間、その前(平成21年度)と比べて、4割弱(23年度)、3割弱(24年度)と新規採用を減らしていたわけですが、それをさらに大幅に上回る削減ということでお願いしていたものです。

最終的には、56%抑制ということに決まりました。四捨五入すれば6割ということですが、まずまずの結果になったと思います。

いろいろなご批判をいただきました。「若者にしわ寄せをするのか」という批判が、一番堪えた批判です。

もちろんこれは、若者にだけしわ寄せをするものではありません。たまたま物事の順番が、新しい採用試験が始まる4月ということがありましたので、最初にこれが来たような印象を与えていますが、できることはあらゆることをやると申し上げています。

あとで少しお話したいと思いますが、中高年の方や定年を迎えた公務員に対しても、民間と比べて優遇されていると思われるような部分は、変えていかなければいけない。具体的にいま動き出しているところです。

今回、非常に面白かったのは、抑制幅の数字が報道で先走りしたことです。

私自身は、「大幅に削減する」と申し上げました。したがって、過去2年間の4割弱、3割弱という数字と比べれば大幅に削減するということで、6割弱になったわけであります。

私としては、6割ぐらいを目途にということで、実際に各省と第一線で折衝していただくのは総務省(行政管理局)ですから、総務省の皆さんには「6割ということでなるべく収まるようにお願いしたい」と言いましたが、これは外には言わない、外に対しては「大幅に削減」という言葉で、あまり数字が先走らないようにしよう、ということで進めてきたわけです。

メディアは、最初は「4割超」から始まって、「7割」とか「8割」とか、私がそういう数字を指示した、言っていると。そういう報道がたくさんなされたわけです。そのたびに、記者会見で「私自身が数字を挙げて各省と交渉していることはない」と申し上げましたが、一旦メディアも報道してしまうと、それを訂正するよりは、そのことが事実であるかのようにいろいろ報道し、最近も「岡田副総理は7割という指示を出したが、各省の抵抗で56パーセントに落ち着いた」、と全くの作り事、「作文」や「小説」みたいなものですが、そういう記事を書いたところもあります。

もちろん、いろいろな数字が飛び交ったのは、総務省から各省庁に対して、この範囲でということで数字を投げたことによるものです。しかし、それはもちろん一律ではなくて、各省庁の状況をよく見て、どうしても減らせない職種もあります。例えば海上保安庁などは、あまり減らすわけにはいかないわけです。そういった職種の状況なども踏まえながら、省庁ごとに違う数字を総務省として提示をしたということです。

しかもそれは、交渉事では当然のことだと思いますが、ある程度きつめの数字をまず投げて、そして相手と交渉しながら妥当なところに落ち着かせていくということです。

その交渉過程のきつめの数字を取り上げて、「7割」、「8割」と報道したことは、こんないい加減な報道をしていていいのかなと、思わないでもありませんでした。

いずれにしても、今回の数字は、人件費の削減効果としては、1年間で見ればそう多いものではありません。しかし、これがずっと定年まで続くことを考えれば、かなりの金額になります。そして何よりも、全体の総人件費削減ということに対する政権としての覚悟を示すことになったと思っています。

定年の延長について、人事院からの「60歳定年を65歳に延ばすように」という意見に対して、それは受け入れずに、60歳で一旦定年退職して退職金を払う。その後は、「再任用」という形で、1年契約で65歳まで任用を延ばしていくと。そういう考え方を取ることは、すでに政府として決めたわけです。

60歳でいったん退職していただきますから、その後の勤務状況については再度協議をすると。それまで引っ張られることはない。場合によっては、課長補佐だった人が平社員並みの待遇になるということもあり得ると。もちろん、しっかり能力もあり、力量を発揮してこられた課長補佐は課長補佐として留まることもある。こういうことで、制御をさせていただきました。民間の実態に合わせて考えさせていただいたわけです。

退職金の官民格差が約400万円あるという人事院の調査結果が出ています。これの対応も急がなければなりません。

その他、年金は、公務員とサラリーマンは同じ年金制度になるという法案を、国会に4月の上旬に出しますが、そのときに「職域加算」といって、半分くらいの企業は同様の制度を持っていますが、その「2階建」の上に「3階建」の年金制度を公務員は持っています。もちろん、その源泉(事業者負担分)は税です。この扱いをどうするべきかという議論も、既にスタートしました。

現時点では、(職域加算を)廃止するとも廃止しないとも私は申し上げていません。しっかりとした議論を踏まえて、また国民の皆さんにご説明しなければならないと思っています。

その他、総人件費抑制に関して考えなければいけないことが、仕事のやり方を変えるということです。

今の仕事を前提にして、「もうこれ以上削れません」など、いろいろなご意見を聞きますが、やはり役所の幹部であれば、どうやったら仕事の負担を減らせるか、効率化できるか、ということは常に考えていなければ、管理職とは言えません。そういう発想がないまま、今のやり方を続けて、そして「人が足りない、人が切れない」というのは、私は管理職としては失格だと思います。

今ある有能な人材をいかに効率的に使って、しかも、やり甲斐を持ってやってもらえるか。そして、ここにムダがないようにするかということは、やはり課長以上の管理職であれば、常に考えていなければならないと思います。残念ながら、霞が関全体にそういう風潮が乏しいと私は思っていますので、そういった管理職の意識改革も併せてやっていかなければいけないと思っています。

※ブログの動画版はこちら

※「平成25年度の国家公務員の新規採用抑制の方針」はこちら(総務省ホームページ)



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