1票の価値―無責任な先送りは許されない、粛々と努力する政治を
国会も今日で終わりということで、いろいろなことがありました。私にとっては、政治改革について、全く前進が見られなかったことを大変残念に思います。
各党で合意文書は作りましたが、極めて曖昧なもので、方向性を示したものにはなっていません。
そういう中で、今日の朝日新聞の1面トップは、選挙制度改革について、第三者機関を作って議論をするという安倍総理の発言でした。
額面通り受け取れば、政党同士では結論が出ないので、第三者を入れるという前進に見えますが、実はそういうことではないと、残念ながらそう言わざるを得ないと思います。
安倍さんの発言によれば、選挙制度の抜本改革も含めて議論するということです。
結局、各党で議論した結果分かったことは、「選挙制度の抜本改革をやるときに、定数削減や1票の価値の格差是正ということを同時にやるべきだ」と言う政党、具体的には、みんなの党、共産党、社民党ということになります。
そういう考え方と、「選挙制度の抜本改革について、将来に向けて議論をすることは否定しないが、まずは最高裁が2年前に1票の価値の格差是正を言っている。そして、定数削減も各党がその必要性を言っている以上、定数削減と1票の価値のさらなる格差是正を先立ってやるべきだ」と言う自民党、公明党、維新の会、そして、民主党。ここで大きく2つに分かれたということです。
選挙制度の抜本改革も併せて第三者で議論するということになれば、結論が出るのに1年以上かかるのは間違いありません。結局、定数是正(1票の価値の格差是正)や定数削減の話は先送りされるという結果になることは、プロが見れば誰でも分かることです。私は安倍総理の第三者機関という発言がここで出たことは、大変残念だと思います。
自民党と議論してきて、私の率直な感じは、要するに1票の価値の格差是正ということになると、最高裁判所の言うように、各都道府県にまず1議席配分するという基数配分(1人別枠方式)をやめなければいけなくなります。
今回の0増5減案(政府案)でいうと、例えば東京都は本来5議席増えるはずが、増えないまま。神奈川も3増えるはずが、増えないままということになっています。
人口比例でももう1回やり直せば、東京や神奈川といったところでは大きく議席が増え、多くの県では1議席減るということになります(18増23減)。そうすると、いまの小選挙区の区割りが相当程度変わることになって、それが嫌だ、出来ないというのが自民党の考え方の根底にあるということです。
我々も小選挙区に候補者を立てていますので、その調整が大変だという事情も理解します。しかし、それを言っていたのでは、結局、最高裁が指摘をする「基数配分をなくして1票の価値の格差を是正する」ということがクリアできないということになるわけです。
おそらく、そういったことをやらないまま、次の選挙を迎えたい、先のことはまた先の人が考えるだろうという、単なる先送りの無責任な考え方がその背景にあると思わざるを得ません。
どうせやらなければいけない話ですので、この際しっかりやると。そしてそれは、中選挙区制を廃止していまの選挙制度に変えた、あのときの目の前のいろいろな困難を乗り越えようという気持ちになれば、私は出来ることだと思っているからです。
1票の価値というのは、民主主義にとって最も基本的なことで、そのことについて、努力をしない、先送りをするというのは絶対に許されないことだと思っています。
いずれにしても、この問題、最高裁が遅くとも秋には判決を出します。各都道府県に配分する基数配分について、「違憲」だと最高裁も言った以上、0増5減案だけということについて、何らかの意見の表明はあるはずです。
そのときになって慌てるのではなくて、やはり粛々と努力をしていく政治でありたいと思っています。
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