毒入りギョーザ事件結審―日中の食の安全のため外相時代に注力
今日は、中国でいわゆる「毒入りギョーザ事件」の裁判が結審したことについて、お話したいと思います。
実際に事件が起きたのは、2007年末から2008年1月にかけてで、中国から輸入されたギョーザを食べて、日本人10人が中毒症状を起こし、1人が意識不明の重体になったという事件です。
当初中国政府は、中国の企業ないし中国の国内で毒が入れられたということについて、否定的な見解を述べていました。日本側は、中国で毒が入れられた可能性が高いということで、見解が対立していたわけです。
この問題は、2009年の夏に政権交代が行われたあと、私が外務大臣として特に力を入れて取り組んだ問題の1つです。
最初に中国外相と議論したときも、当時の日中関係は比較的良い状況だったと思いますが、そういうなかで、特に問題点として私が取り上げたのが、東シナ海の資源開発の問題とこの「毒入りギョーザ事件」でした。
私が申し上げたのは、客観的に見て、これは中国で毒が盛られた可能性が高い。日本では、2カ所で毒入りギョーザを買った人たちが中毒になり、中国の港からダイレクトに、それぞれ別のルートで日本に陸揚げされたギョーザに毒が入っていたということは、やはり中国の可能性が高いのではないか、ということです。
そして、こういう問題をきちんとしないと、中国の食品に対する日本国民の心配は益々高まって、それは中国にとっても決して良くない。したがって、徹底的な捜査、そして、その捜査結果に基づいた司法的な手順を尽くすべきだ、ということを強調したわけです。
お互いメンツの問題もあって、この問題はなかなか進まなかったわけですが、やがて、中国政府が被疑者を逮捕するということになりました。
この間、かなり時間がかかりました。捜査も相当難航したと思います。そういうなかで、その後の日中関係はかなり感情的に対立する状況もありましたので、この問題はいろいろな途中経過があったにしても、最終的に結審に至ったということは、私は、中国側の努力に対しても多としたいと思います。
この事件をきっかけに、より前向きな話として、日中間で食品の安全について協議する場もでき、双方向で食品が輸出入される際の安全性の確保について、より厳しいルールが定められたということもありました。
いずれにしても、私が外務大臣として、この問題はかなり真剣に取り組んでいましたし、それが日本の国民の食の安全ということだけではなく、中国にとっても、食の安全に対する信頼性という意味で、非常に大事なことだということを強調しました。
前向きの姿勢で取り上げてきただけに、今回1つの結論に至ったということは、非常に感慨深いものがあります。
具体的にどういう判決になるかは中国の問題ですので、私がコメントすることではありませんが、結審したということをもって、私は一つの区切りがついたと考えています。
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