シンガポール―見習うべき点も多いが、健全な野党の育成も大事
先週(9月2日~5日)、シンガポールに行ってきました。実質丸3日間という比較的ゆとりのある日程でした。
シンガポールを創設し、最初の首相でもあったリー・クワンユーさんの名前を冠したファンド(リー・クワンユー・エクスチェンジ・フェローシップ)のお招きで、シンガポールのことをより知るため、関係者の皆さんにお世話になり、お訪ねしてきました。
残念ながら、リー・クワンユー元首相とはお目にかかりませんでしたが、ゴー・チョクトン前首相(現名誉上級相)、リー・シェンロン首相をはじめ、K・シャンムガム外相やチャン・チュンシン社会・家庭開発相ともお目にかかり、いろいろな意見交換をさせていただきました。
それだけではなく、街を見たり、あるいは植物園を歩いたりするなど、リラックスしながらシンガポールをよく知る機会になったと思います。
加えて、私が大変尊敬している、前駐日シンガポール大使とその奥様、タン夫妻にもお目にかかって、ゆっくりとお話をさせていただきました。
全体として見た感じは、シンガポールはやはり国が主導権を持って、活力ある社会づくりをしているということでした。
5~6年前に、私がシンガポールの港を見て、日本の港はとても太刀打ちできないと、その規模の大きさと効率性に本当に驚きました。その港を今度は新しい場所に移し、よりよいものを造るという計画が現在進んでいるということでした。跡地にはビルなどを建てて、再開発していくということです。
空港についても、滑走路の数を増やす工事がこれからスタートするというお話でした。つまり、アジアの中でも突出して素晴らしい港やハブ空港を持ちながら、それに満足することなく、さらに先を行こうという国の意気込みを感じることができました。
もちろん、良いことばかりではなく、政治的には国が成熟性を持つにつれて、国民の多様な意識の中で、従来のような国主導の一本槍ではいかない部分も出てきています。
独立以来、与党は政権をずっと持ち続けてきました。しかし、小選挙区制度のため議席数をたくさん失ったわけではないですが、前回の選挙で与党の得票率が60パーセントになり、従来とは違う局面が出てきました。私が親しかった当時の外務大臣も、現職でありながら落選されました。
これから、野党も次第に力を付けてくると思いますが、安定した政治状況、つまり、民意を反映して、第一党になったところが政権を担っていく。その当り前の民主主義の実現に向かって、さらなる努力が求められると思いました。
もちろん、現時点では、国民の意識を先取りして、しっかりとした行政・政治を実現している現在の与党が素晴らしいため、しばらくその時代が続くと思います。しかし、健全な野党を育成していくことも大事ではないかと、改めて感じました。
いずれにしても、シンガポールという小さな国は、東京23区くらいの大きさしかありません。そして、資源も何もない中で、いろいろなことを仕掛け、それらを成功させ、今や日本以上の1人当たりの所得を誇るようになりました。
1つの政治のリーダーシップのあり方、日本はとても真似できないと思いますが、政治的リーダーシップによって国を引っ張るというところは、見習うべき点も多いなと、改めて感じた次第です。
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