靖国参拝―対話の道を閉ざし、歩み寄る努力に冷や水、米国も失望
安倍総理が靖国神社に参拝されました。そのことは懸念されていたものの、現実になされたことに私は非常に驚いています。
いま北朝鮮の状況は不安定で、こういうときこそ日本と韓国、そしてアメリカが協力しながら様々な対応を考えていかなければなりません。
例えば、北朝鮮が崩壊するというような事態も全く想定されないということは言えないと思います。そのときに、韓国にいる日本人をいかに安全に避難させるか。このこと1つとっても、日韓両国政府の協力がなければできないことです。
しかし、総理が靖国に行くことで、良好な対話の道を閉ざしてしまい、非常に残念なことだと思います。
日中関係も、尖閣の問題で日本は全く譲る必要はありません。そういう意味では対立状態が続きますが、経済の問題やその他の政治問題で、なるべくお互いが歩み寄るという努力をいろいろな方々がやってこられたと思います。それに対して冷や水を浴びせる結果になったということです。
現時点(12月27日)では、韓国、中国ともにデモや抗議活動というものはあまり見られていないようですが、特に中国で経済活動やいろいろな活動をしている方々の中には、不安感を覚える方々もいらっしゃるのではないかと思います。
今回、アメリカ政府は「失望している」ということを明確に述べました。このことをやはりもっと重く受け止めるべきだと思います。
アメリカからすれば、中国との関係が非常に重要なときに、アメリカと韓国と日本が協力しなければならない。にもかかわらず、日本と韓国が対立していることについて、常々懸念を持っていたと思います。
今回のことはその心配が現実化しました。そういう意味で、「失望」という外交上非常に強い言葉を使われたと思います。
安倍さんは従来から、東京裁判やサンフランシスコ平和条約について様々な発言をしていますが、安倍さんは一種のリビジョニスト(歴史修正主義者)ではないかという見方がアメリカの中にあります。今回の一件を通じて、さらにそれが強まったのではないかと思います。
首脳間の信頼関係がないなかで、日米関係をどうやってハンドリングしていくのか。そのことも大変気になるところです。
いずれにしても、安倍さんを止める力が政府の中にないのも、驚くべきことだと思っています。
※ブログの動画版はこちら
コメントを返す