集団的自衛権―憲法解釈変更は国会議論を通じた国民の理解が必要
予算委員会の最終日(2月28日)に質問に立ちました。
約40分間、テレビは入っていませんでしたが、選挙制度改革、密約に関連すること、そして集団的自衛権の3つについて質問しました。
今日は、そのうちの2つについて、簡単に申し上げたいと思います。
前回の予算委員会(1月31日)で、私が密約に関することを取り上げたときに、1991年のアメリカの政策転換で、核が日本に入ってこないことが明確であったにもかかわらず、歴代内閣がずっと事実を話さなかったことについて、安倍総理は「間違いだった」という話をされました。そして、政府としての考え方を述べるということを答弁されました。
私はそのことについて今回聞いたわけですが、結局、いつの間にか総理の答弁は後退し、非常に形式だけの反省の弁(「遺憾である」)に留まったわけです。
私が言ったのは、この密約そのものについて、いろいろなそのときの状況がありますので、そのことを一方的に批判することはしない。
しかし、歴代内閣総理大臣が、国会の場で国民に対して事実でないことを言ってきた以上、そのことについてきちんと釈明すべきではないか、ということを申し上げました。
密約を解明したのは、私が外務大臣時代(2010年)ですが、そのときにあえて一方的に批判することは避けました。
事実でない答弁をしてきたのは自民党の総理であり外務大臣ですので、私がいろいろ言うと、一方的な批判に聞こえてしまう。
したがって、そこは抑えて、政権がもう一度代われば、自民党がきちんと説明責任を果たすだろうと期待したわけです。
安倍総理の前回の答弁は、そのことを期待させたわけですが、官僚にいろいろ巻き戻されたのか、結局、型通りの物の言い方に終わってしまいました。
私は繰り返し申し上げたのですが、自民党の歴代総理大臣が事実でないこと、嘘を国会で述べてきた。そのことについて、密約の必要性があったかどうかということとは別に、事実として嘘を言ってきたということですので、そのことについてきちんと説明する。それは国会の権威の問題であり、政治が国民に信頼されるために必要不可欠だ、ということを申し上げました。
残念ながら、安倍総理からは確たる返事はありませんでした。
そして、集団的自衛権についても、(憲法の解釈変更を)閣議決定するまでに、国会で議論すべきだ、ということを改めて申し上げました。
安倍総理は、「閣議決定しないと議論するものがないではないか。案が固まっていないではないか」ということを言われました。
私は、「政府の『案』を固めたうえで、閣議決定の前に、その『案』を国会で議論すればいい」と申し上げました。
安倍総理は、「法律案も閣議決定したあと、国会で議論するではないか」という、極めて見当違いのことを言われました。
法律の場合、閣議決定されるのは法律「案」です。そして、国会で審議して法律になるわけです。
憲法解釈の変更は、閣議決定した瞬間に「案」が取れて、確定になります。そのあとに国会で審議をしても、これはいけないわけです。
海外で武力行使をしないという戦後の大きな方針、これを変えるという極めて大きな憲法解釈の変更であれば、しっかりとした国会の議論を通じた国民の理解が必要である、ということを申し上げたところです。
多くのメディアや与党の幹部の皆さんからは、「岡田さんの言うとおりだ」「岡田さんの質問は良かった」という励ましをいただきます。実は、自民党の中も含めて、そういう声は与党の中にも多いと思います。
安倍総理には、もう少し謙虚になって、国民に対して説明する姿勢を求めたいと思います。
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