集団的自衛権―海上警備行動と類似の活動で日本人を守る仕組みを
集団的自衛権をめぐる予算委員会の集中審議が行われ、45分間、総理と議論しました。そのことについて少しお話ししたいと思います。
まず、今回は、日本近隣で紛争が起こった場合、そこから逃げてくる日本人の保護の問題についてお話ししたいと思います。
安倍総理は5月15日の記者会見で、パネルを使い、「近隣国からアメリカの船に乗って日本人が逃げてくるときに、集団的自衛権の行使を認めなければ、日本の自衛隊は日本人の母親や子どもを守れない。それでいいのか」と言われました。この問題を私は取り上げました。
話を分かりやすくするためにより具体的に説明すると、想定されているのは朝鮮半島有事です。つまり、何らかの理由で北朝鮮と韓国の戦闘行動が始まったという場合です。
いま3万人を超える日本人が韓国にいます。ビジネスマン、その家族、そして観光客などです。その3万人を超える日本人を日本に無事に移動させることは、当然日本国としての責任です。
総理は、アメリカの船に乗った日本人の保護のために、集団的自衛権の行使を認めないと、「自衛隊が何もできない。それでいいのか」と言われました。しかし、私は、アメリカの船に乗った日本人の問題だけで議論するのは全くおかしなことだと思っています。
まず、どこの国の船に乗っていようとも、避難する日本人に対して、日本国として責任を持って対応すべきだということを私は申し上げました。
日本人やその財産を守るために、海上における警備行動というものを自衛隊が行うことは現在も認められています。韓国から日本へは当然いろいろな船で運ばれてきます。その中には、日本の船、アメリカの船、全く違う国々の船もあります。
海上警備行動と類似の概念で、そういった船に乗っている日本人について、きちんと自衛隊が警護できるような規定を、自衛隊法の中に置くべきだと申し上げました。
アメリカの船にはチャーター船も含むと総理は言われましたが、集団的自衛権の行使では、限られた範囲でしか守られません。どんな船に乗っていてもしっかり対応することが必要だと私は申し上げたわけです。
そして、アメリカは、すでに集団的自衛権を行使して韓国とともに北朝鮮と戦っているということになりますが、日本は、防衛出動(自衛権発動)以前の海上警備行動に類似の活動を、防衛大臣の命令の下で行っているということであれば、邦人に対する安全はより高まります。
集団的自衛権を行使するということになると、これは防衛出動、あるいは、これから自衛隊法にどう書くかは分かりませんが、集団的自衛権を発動する、つまり武力行使するということが、国として意思決定されているわけですので、北朝鮮から攻撃される危険度はより高まるということになります。
私のこういった議論に対して、総理は中身をどれだけ理解したか分かりませんが、感情的になって反論されました。
自らの席に座って、私に対して「全然分かってない」とヤジを飛ばされました。分かってないのはどちらか議事録を読んでいただければはっきりしますが、少なくとも総理大臣であれば、自らの席でヤジるなどということは控えられるべきです。これは世界が見ているテレビだということを、忘れられてはならないと思います。
総理はその前に、我が党の辻元議員のヤジに対して批判しましたが、もう少し冷静に対応されればよかったのではないかと思います。
最後にもう一度申し上げますが、やはり、海上警備行動と類似の活動で、どこの国の船であろうと、日本人の乗った船を自衛隊がしっかりと守ることができる仕組みを構築することが重要です。集団的自衛権の問題ではないと申し上げておきたいと思います。
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